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『妖怪人間ベム』#05

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私は配達業の傍ら、小遣い稼ぎにコンビニの夕勤バイトをしています。こないだ、こんな事がありました。

10歳位の可愛い顔した男児が、500円の商品をレジに持って来て、にっこり笑って店員に差し出したのです。

男児「これ、ピーして」

店員「え? ピーするって?」

男児「バーコード通して」

店員「? 買うってこと?」

男児「…いいから通して」

店員「いやいや、いいから通してじゃなくて。買うの? 買わないの?」

男児「…買う」

店員「買うんやね? じゃあ(バーコードを通して)500円ね」

男児「…(黙って手を差し出す)」

店員「いやいや、だから500円」

男児「渡して」

店員「はぁ?」

男児「いいからこっちに渡して」

店員「あかんよ、代金と交換やから」

それでも男児は引かず、押し問答になった所で、30歳位の母親が別の安い商品を2つだけ持って来ました。

店員「いらっしゃいませ。こちらの(男児が持って来た)商品もお買い上げですか?」

母親「(苦笑して)いいえ」

母親は、息子が今、店員とどんなやり取りをしてたか分かってる様子でした。でなければ「はぁ?」というリアクションだった筈ですから。

母親と店員がやり取りしている間、男児はカウンターの、店員からは見えない部分を思いっきり蹴っていましたが、それを見ても母親は笑ってるだけで、何食わぬ顔をして男児と一緒に出て行きました。

店員は呆気にとられて口は半開きのまま、気がつくと中途半端なモミアゲが生えていましたとさ。(おわり)

もし、あのまま商品を渡したら、男児は一体どうするつもりだったのか?

ただ店員をからかってただけの可能性もありますが、もしバーコードを通して商品を渡したとして、「ちゃんと500円、払ったのに!」って泣きながら言われたら、回収は難しくなるでしょう。500円程度なら諦めて、自腹を切った店員が過去にいたのかも知れません。

いずれにせよ末恐ろしいガキですが、それ以上に驚きだったのが、しつけを完全に放棄してる母親です。もしかしたら男児は、あの母親の入れ知恵、あるいは指示に従ってた可能性だってあります。

これは、ほんの一例に過ぎません。コンビニにいると、人間の嫌な部分が否応なしに目に入って来ます。

例えば、ゴミです。家庭ゴミを大量に(平然と)捨てに来るわ、分別をちゃんとする人よりしないヤツの方が圧倒的に多いわ、駐車場には弁当の器やら空き缶やら煙草やらが当たり前のように捨てられてるわ…

私には、そんな事を平気でする人間の神経が全く理解出来ないのですが、理解不可能な人間は、どこにでも、いくらでも存在するのです。

そんな人間達が子供を作り、その子供が大きくなって、また子供を…

震災以来、このフレーズを書くのは自粛して来ましたが、もう我慢出来ません。書きます。

もう、人間は終わってます。「破滅」ですね。

いや、最初から人間っていうのは、そういう生きものなんでしょう。理性という名のリミッターが、悪の本性を封じ込めて来たワケですが、そのリミッターがもはや劣化し、利かなくなって来たのだと思います。

『妖怪人間ベム』に出て来る「名前の無い男(柄本明)」がやってる悪事は、そのリミッターをちょいと麻痺させてやるだけ、のような事だと思うのですが、別にそんな事しなくたって、とっくに麻痺してますよ。

「あなた達の方が、よっぽど人間じゃないですか!」

第5話でベム、ベラ、ベロの正体を知ってしまった夏目刑事(北村一輝)が、彼らに言ったこの台詞に、作品のメッセージが凝縮されてると思います。

このドラマの創り手達はまだ、人間の善を信じてるからこそ、ベム達こそが最も人間らしい人間だと言ってるんですよね。

私も、そう思いたいし、まだ心のどこかで信じてるからこそ、この台詞に号泣しちゃったんだと思います。

ベム達の正体を知り、状況的にこれまで彼らが関わった犯罪者達との繋がりを疑うしかない夏目刑事に対して、ベムはひたすら感謝の言葉を繰り返します。

今、自分達を疑い、まさに化け物を見る眼で見てる相手でも、これまで親しく接してくれた事、人間の暖かさを教えてくれた事に、ひたすら「有難うございました」…

そんな人間でありたいって、心底から思いますけど、なかなか出来ないのがまた、人間なんですよね。

この後、夏目刑事の危機を察して、「どうせ正体はバレてんだ。いっちょ派手に暴れてやろうかい」っていう、ベラの粋な台詞を合図に、3人が救出に向かいます。

この時、軽快なあの主題歌が、初めて劇中で使用されて、ビルからビルへと跳躍する3人の姿が、月をバックにシルエットで映し出されるんですよね!

その瞬間に鳥肌が立たなかった男は、いないんじゃないですか? あおきさんあたり、ハイパー狂喜し過ぎて失禁されたのでは? 私も危うく脱糞するところでしたw

それも、これ見よがしにヒロイックに見せるんじゃなくて、ほんのサワリだけであっさり切り上げちゃうクールさに、ますます痺れました。

この場面でもう、今秋の連ドラBEST1は『妖怪人間ベム』に決定しました。はい欽ドン賞、決定! 今後『家政婦のミタ』でどんだけ泣かされたとしても、この瞬間の興奮を超える事は(私にとっては)まず無いと思います。

今、私が世の中に対して言いたい事は、全てこのドラマが代弁してくれてます。だから私は安心して大便します。

早くモミアゲになりたーい!!

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