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『つばさ』24 (中)

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ちょっと更新がペースダウンしてますが、単純に、忙しいからであります。今年は何かと出費がかさむ予定なので、休日出勤などして何とか収入を増やそうと頑張っております。

そうすると執筆時間も減るし、疲れて書く気になれなかったり、テレビを観る時間が減る分、書くネタも無かったりするワケであります。

なので、当分はこんなペースになるかと思いますが、なにとぞ気長にお付き合いくださいませm(__)m

☆千日草の君
残された時間を思えば、ボヤボヤしてる暇は無い… 同級生である房子様の言葉に触発された千代さんは、ついに葛城さんに電話をし、再会を果たします。

加乃子&秀樹と同じく、熱い内に引き裂かれた二人ゆえか、今でも互いに恋をしてる感じの千代さん&葛城さん。なんだか可愛らしいですよねw

葛城さんは、家業を正太郎に委ね、家を出て地方のどこかで最後の時を過ごす決意をしたようです。

窓の外、一面に千日草が見られる家を見つけたと言う葛城さんは、明らかに千代さんと一緒に行く事を望んでる様ですが、言い出せないでいます。千日草は、二人の思い出の映画でラストシーンを飾った、愛の象徴なんです。

その頃、出張中で真瀬が不在のラジオぽてと。臨時の市民パーソナリティーとして、翔太(ウォーレン・チクビーティー)の母・佐知江(手塚理美)が久々に登場! 手塚さんは昭和を彩ったアイドル女優の一人ですから、我々もテンション上がりますw

それはともかく、ぽてとに寄せられた批判FAXの束。多部ちゃんの芝居を「学芸会並み」などと根拠も述べずに一言でこき下ろす、馬鹿の批判書き込みと同レベルで、単に批判の為の批判。『つばさ』に寄せられたFAXをそのまま流用した?w

それが象徴してるように、今のラジオぽてとは完全に四面楚歌。こうして精神的につばさと真瀬を追い詰めるのが、魔女・房子様の狙いである事は分かってても、「みんなの広場」を目指すつばさにとっては、あまりにつらい状況です。

一人、DJブースで過去の放送テープを聴いて、再放送候補の物色をするつばさ。伸子の、二郎の、正太郎の声と共に、楽しかった日々の記憶が甦り、つばさは涙が止まらなくなります。真瀬も不在である今、淋しさと心細さが一気に襲って来たのでしょう。

家に泊まりがけで遊びに来てた友達が自宅に帰っただけでも、泣きたくなるぐらい淋しくなった経験は、誰にでもあるかと思います。まして1年間、苦楽を共にしてラジオ番組を創り上げて来た仲間が一斉にいなくなったんだから、観てるだけの我々ですら、胸が張り裂けそうになります。

☆幽霊
連日ぽてとに泊まり込んでるつばさを心配してか、千代さんが訪ねて来ます。葛城さんとの話を聞いたつばさは「一緒に行かないの?」と問いますが、「もう、そんな歳じゃありません」と、相変わらず自分の殻を破れない千代さんです。

「お婆ちゃん、まだ若いじゃない」

「…そういうこと若い人が言うのは、残酷ですよ」

ドキッとする台詞ですね。気を遣ったつもりで言った事が、逆に相手を傷つけてしまったような経験も、誰しも苦い思い出として持ってる筈です。

千代さんの場合、人生の残り時間を否応なく考えさせられてる今、まだまだ先が長いつばさから「若い」だなんて言われたら、悪気は無いと分かってても、皮肉と受け止めざるを得ない、って事ですよね?

「千日草の君の所へ行くがいいや、なぁ。生きてる内が花なんだぜ?」

そう言って千代さんの背中を押したのはなんと、亡き夫・梅吉(小松政夫)の幽霊(?)でした。

千代さんのリアクションからすると、梅吉さんは以前からちょくちょく、こうして千代さんと会話をしてたみたいですね。つばさとラジオの男みたいに。

遺影の表情が変わるのも、単なるギャグと見せかけて、実は梅吉さんの存在が其処にあって、ずっと家族を見守ってる事を暗示…じゃなくてストレートに見せてたワケですねw

ところでこの後、ラジオの男と梅吉さんが廊下で出くわして「あんた、幽霊だろ」「あんたに言われたくないよ!」ってなやり取りがありますけど、ラジオの男って、幽霊でしたっけ? つばさの内面が形になった人の筈では?

いや、いいんですいいんですw 答えは多分、嗚咽しながら観る羽目になるであろう、別れの場面で明かされる筈ですから、今は疑問のままにしておきましょうw

☆嫉妬
事情を聞いて、巣立ちを促す加乃子に、それだけは出来ないと言う千代さん。

「家族を捨て、店を放り出したあなたを、私は絶対に許せなかった」

そんな自分が、同じ過ちを繰り返すワケには行かないと言うのです。

「私は、ずっとあなたに嫉妬していたのです」

葛城さんも家業に縛られ続けて来た人で、音楽の道に走った息子・正太郎への「嫉妬」が勘当という仕打ちに繋がった事を、かなり前のエピソードで認めてたと記憶します。

『つばさ』最大のテーマである「愛」を阻むもの、壊すものとして、この「嫉妬」ってのも大きなテーマになってますよね。

竹雄さん→秀樹への嫉妬、翔太→真瀬への嫉妬、ロナウ二郎→ベッカム一郎への嫉妬、万里→つばさへの嫉妬、そして房子様→千代さんへの嫉妬と、枚挙に暇なしです。

人の心に必ず愛があるように、誰もが嫉妬という名の暗黒面を備えてる。

自分の中に芽生える嫉妬心にもがき、苦しみ、それを自分で認め、克服した時にこそ、本当の愛を獲得する、あるいは大きな成長を遂げる。

千代さんと加乃子はとっくに和解したように見えたけど、実はその作業が完遂されないままだった。千代さんは、いよいよ自分の殻を破って羽ばたく為に、覚悟を決めたんだと思います。

20年? いや、30年? 千代さんは、とてつもなく長い年月、自分の中にある嫉妬心に苦しみ続けて来た。

それは恐らく、千代さんの親から、そのまた親から、代々受け継がれて来たものじゃないでしょうか? この週の千代さんを見てると涙が止まらなくなっちゃうのは、あらがいようの無い「血の呪縛」を、その背景に感じるから…かも知れません。

「自分が奪われて来たものを、あなたからも奪う事で、恨みを晴らしていました。あなたが出て行ってから2年後に、一度帰って来た時も、幸せそうな顔をしてるあなたが許せなくて、敷居を跨がせなかった」

そんな母を、加乃子は憎んでた。それは事実でしょうけど、憎んでも憎んでも、どこかで互いを求め合わずにいられないのが、良くも悪くも親子… これも言わば、血の呪縛でしょうか。

つばさと知秋に『魔女の涙』の絵本を読み聞かせる時、魔女の台詞を千代さんの口調を真似て読んでいた加乃子。でも、物語のラストを魔女と仲良しになるハッピーエンドに書き換えたのも、加乃子でした。

魔女は千代さんであり、房子様でもある。本当はみんなと仲良くなりたいのに、不器用過ぎて嫌がらせしちゃう孤独な魔女は、今の房子様と完全にリンクしてます。ちなみにこの絵本が登場したのは、15週前のエピソードですw

つばさ、知秋、竹雄もやって来て、家族が揃ったところで、家を出た10年間の事を話し始める、旅人・加乃子。

放浪中、とあるバス停で見かけた千住観音。その観音様の手が、家族みんなの手に見えた。家族を捨てた罪を一生背負う覚悟を決めて、加乃子は「らくらくお掃除・せんじゅ君」を作った。その8本のほうきやモップは、家族全員が両手を広げた姿… そそ、そんな意味があったとは!!w

「私にとって、せんじゅ君を売り歩く旅は、生まれ変わる為の巡礼みたいなものだった。私が掃除したかったのは、この中にある憎しみや苦しみだった」

加乃子にも、受け継いだ血の呪縛がある。もし、千代さんと同じように優等生を続けて家に居続けたなら、彼女も娘・つばさに対して、きっと千代さんと同じ仕打ちをした事でしょう。

「家を出て初めて解ったの。私の人生がうまく行かないのは、母さんのせいなんかじゃなかった。母さんのせいにしてる私自身が問題だったって事」

加乃子は、家を飛び出した事で、どん底まで墜ちて這い上がった事で、母よりも先に大事なことに気づけた。彼女にそうさせたのは誰あろう、秀樹です。秀樹は加乃子を救い、そして今、千代さんをも救おうとしてる。

「母さん、今から人生取り戻そう! いま母さんが家を出る事は、誰にも迷惑かけないんだから!」

「そんな事したら、私のこれまでの生き方を否定する事になります」

なおも破れない千代さんの殻を、最後に駄目押しで破ったのは、竹雄でした。

「じゃあ、あの話は嘘なんですか?」

竹雄がどん底に墜ちた時、彼を救ってくれた千代さんの手紙。…過去に選ばなかった道や、出来なかった事には、なんの価値も無い。大事なのは、いま誰かと会えること、誰かと繋がっていられること…

「引き返すんじゃなくて、二つに岐れたお婆ちゃんと葛城さんの道が、今から一つに合わさればいいんじゃないの? 人生の元、取ってよ」

竹雄から、つばさに受け継がれた言葉… 家族全員の激励を受けて、千代さんはついに殻を破り、此処ではない何処かに行く為のトロッコに乗り込みます。

「認める… 私が忘れて来たのは、その事です。私はひどい母親でした。あなたを褒める代わりに、けなして、押さえつけて… 苦しい思いばかりさせて… 許して下さい」

「どこまで逃げても、やっぱり私は母さんの子供なの。母さんも、どこまで行っても私の母さんなんだから… 許すも許さないも無い」

恐らく幼少時以来、初めて娘を強く抱き締める千代さん。

「加乃子、お帰りなさい。よく出来ました。頑張りましたね」

誰もがみんな、親からそんな言葉をかけて貰いたくて、生きて来たんじゃないですか? 私は一生、親からそんな言葉は聞けなさそうですがw

千代さんもきっと、こうして親から抱き締められたかった筈です。でも多分、その望みは叶わなかった。だから、自分の娘を抱き締めてあげる事が、今の今まで出来なかったのだと思います。

血の呪縛、負の連鎖を、加乃子が先頭に立って、家族全員の力で断ち切った。とても、とても難しい事だけど、勇気と覚悟があれば、それは決して不可能じゃないんだって事を、創り手は我々に伝えたかったんじゃないでしょうか?

繰り返しますが、もし加乃子が家を出て行かなかったら、呪縛を断ち切る事は出来なかった。彼女にその勇気と覚悟を与えたのは、秀樹でした。

『つばさ』はやっぱり、根幹は加乃子と秀樹の物語だったんだと思います。それは、以前にも書いた気がしますが、終わってみれば実はダース・ベイダーの大河ドラマだった事が分かる『スター・ウォーズ』サーガに、よく似てますよね?

暗黒面から帰還したアナキン=ダース・ベイダーが加乃子、アミダラ姫が竹雄w、新たなる希望となるルーク・スカイウォーカーがつばさ、レイア姫が知秋、オビワン・ケノービが秀樹、ヨーダが千代さんで、皇帝が房子様。千代さんが皇帝とも言えますから、両者は表裏一体ですね。

後はさしずめ、真瀬がハン・ソロで、翔太はC-3POってとこでしょうか?w イメージ的にはC-3POは浪岡正太郎でR2-D2がロナウ二郎って感じですけどw じゃあ翔太はジャージャー・ビンクスあたりでw 『スター・ウォーズ』を観てない方には全く意味不明で、スミマセンw (つづく)

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