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『つばさ』24 (前)

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いやー、泣きましたねw この週はつばさの祖母であり加乃子の母である、玉木千代(吉行和子)の旅立ちが描かれました。

私は千代さんにそれほど思い入れが無いと思ってたのに、そんな事はなかったですね。73歳にして初めて殻を破り、外の世界へ羽ばたこうとする千代さんの姿に、理屈抜きに涙が止まりませんでした。

千代さんの背中を押したのが、意外やあの人であった事も、ずっと傍で見守ってたあの人の存在にも、そして娘・加乃子との確執がついに解かれた瞬間にも、やれ第何話の伏線がどうとか語る気持ちにならない位、魂を揺さ振られました。

これは、やっぱり年輪ですよね。積み重ねて来た歴史、苦しんだ時間の長さ、そして残された時間の短さ… つばさに「お婆ちゃん、まだ若いじゃない」って言われた時に、千代さんが返すあの台詞が、この理屈抜きの感動を裏付けてるんじゃないかと思います。

☆魔女のお婆さん
仲間達が次々と去ってしまったラジオぽてとは今や、つばさと真瀬の二人っきり。それでも放送に穴を空けるワケには行かず、頼るはボランティアの市民パーソナリティー達だけなのですが…

ラジオぽてとが川越キネマに居座ってるせいで、川越市の再開発計画が進まないんだという悪評が広まったお陰で、市民達はまたもやラジオぽてとから離れてしまいます。

どうやらその噂は、川越キネマの土地を狙う城之内房子様が故意に流した模様。秀樹の部下コンビも房子様の配下となり、川越キネマの土地は既に、房子様の手中にあるのでした。

川越キネマを取り壊し、その跡地に観光物産館を建設するのが、房子様の最終目的であり、その為にはラジオぽてとが邪魔になる。

てなワケで立ち退きを迫る房子様ですが、真瀬とつばさは断固拒否します。秀樹の、千波の、去って行った仲間達の、そしてリスナー達の想いが詰まったあの場所に、ラジオぽてとは存在し続けなければならないのです。

「つばさは、いなくならないよね? みんなみたいに」

いつも、人をハッとさせることを言う優花ちゃん。立ち退きを催促しに来た房子様を見るや一言↓

「わっ! 魔女のお婆さんだ!」

言いっぱなしでサッサと二階に逃げちゃうのも、優花の得意技です(笑)。

それにしても、それを聞いた房子様のショックの受け方が、ちょっと普通じゃなかったですね。魔女という呼び方に何かトラウマがあるようにも見えますが、そういう事じゃなくて、彼女の心にも罪の意識がどこかにある事を、なにげに示唆してるのかも知れません。

でも、房子様には房子様の、どうしても譲れない信念がある。この程度の事では追求の手は緩めません。

「社員を引き抜き、立ち退きを迫り、風評で追い詰める… どこまでやれば気が済むんだ!」

いつも冷静でナルシーな真瀬wが、珍しく声を荒げます。さすがの彼も追い詰められてるんでしょう。

そんな真瀬&つばさvs房子様の殺伐としたやり取りを、ずっと何かに耐えながら傍で聞いてる、伸子の姿も痛々しいです。

☆残された時間
まさに四面楚歌で、八方塞がりのラジオぽてと。たった二人で乗り越える自信を失いかけてるつばさに、真瀬は言います。

「たった二人じゃない。ラジオの向こうにいる人間を忘れるな。リスナーを味方につければ、風向きが変わるかも知れない。逆風だって風向きが変われば追い風だ」

理想論だけじゃなくて具体案も出し、すぐさま行動に移す真瀬のたくましさ。そんな真瀬を見るつばさの眼差しが、なんだか熱い。

二人きりでぽてとに泊まり込み、徹夜で録音作業をし、寝不足でフラフラになってるのを互いに支え合う日々。ママを恋しがる優花の描写もあり、いかにも再び恋のフラグが立ったように見えます。

私は総集編を先に観てますから、この二人が結ばれる事は無いのを知ってるワケですが、リアルタイムで観られてた方は皆さん、ここで二人の結婚を予想されたのでは?

それとも、常に予想の斜め上を行く『つばさ』作劇に慣らされてしまい、「その手は食わねぇぞ、見られて恥ずかしい体はしてねぇーぞと」思いながら観られてたのでしょうか?w

ぽてとのピンチを知った千代さんは房子様を訪れ、自分に恨みがあるなら直接来やがれこの卑怯者!といった意味の事を丁寧な日本語で伝えますが、房子様はそうではないと言います。

川越の人達に受け継がれる、宝を残したい… 房子様の目的は、あくまでそんな純粋なもの。ただ、やり方が汚いだけw

「それがこの町でしか生きられない私の、最後の夢…」

千代さんと違って、自分の想いを受け継いでくれる家族が、房子様にはいない。死んだら、何も残らない。だから何としても、自分が生きて来た証を、形としてこの町に残したい…

これはもしかして、黒澤明監督の『生きる』からインスパイヤされた設定なのでしょうか? 房子様は不治の病ってワケじゃないとしても、千代さんと同級生ならば、もう73歳…

人生のゴールが近づいて、自分がこの世に何も残してない事に気づいたとしたら… まぁ、私なら「別に、跡形なく消えるまでだぴょーん!」で済みそうだけどw、房子様みたいに地位や財産を築いた人にとっては、これまでの人生が全く無駄に思えちゃうのかも知れません。

「残された時間を考えたら、ボヤボヤしてる暇は無いのよ!」

房子様も葛城さんも、人生の最後を充実したものにしたくて、その為に動いてる。なのに、自分はどうなんだ?って、このとき千代さんは思ったに違いありません。

「斎藤さんが戻るまで、此処を守ります。川越キネマは俺が取り戻します」

↑房子様側に寝返った、秀樹の部下コンビから仲間入りを勧められた翔太(タニオ・チクビッティー)は、毅然とそれをはね退けました。

なんだか秀樹に似てきた頼もしいチクビッティーは、加乃子にもこんな事を言いました。

「社長がこの川越に残した夢を守るのが、俺の仕事だと思ってます」

どうしたんだ翔太、そんなに格好良くなったら乳首呼ばわりしづらいじゃないか! まぁでも、川越キネマの土地権利書はアッサリ房子様に奪われたワケですから、やっぱチクビッティーはチクビッティー以上でも以下でもありませんw

そんな乳首なチクビッティーからの情報により、甘玉堂が借金返済の為に手放した蔵造り通りの店が今、売りに出されてる事実を知って、加乃子や竹雄が色めき立ちます。

いつかきっと、蔵造り通りの店を取り戻す… それが、玉木家一同の悲願なのでした。ところが、その悲願までもが、房子様の悪企み?に利用されてしまうのです。

もう本当、徹底して容赦なし。げに恐ろしや、魔女のお婆さんw (つづく)

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