この週、山下真司さんが『つばさ』に登場します。総集編にも長瀞のエピソードはありましたけど、山下さんの出番はカットされてましたよね? 私が山下さんに気づかない筈は無いと思うんですが…
念の為に説明しますと、私は刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のマニアで、サントラさんやhyoutanさんにとって『つばさ』がそうであるように、私にとって一期一会の作品が『太陽にほえろ!』だったりします。
そもそも多部ちゃんにハマったのは『デカワンコ』がきっかけであり、『デカワンコ』を観たきっかけが『太陽』のテーマ曲が使われてたから、ですから、今こうして『つばさ』のレビューをしてるのも『太陽』があればこそ、なんですよね。
でも多部ちゃんと『太陽』の接点って、『デカワンコ』以外だと『つばさ』に出た石橋蓮司さん位しか見当たらなくて、でも石橋さんだと『太陽』も『つばさ』もゲスト出演だから、繋がりとしては薄い。
それが山下さんとなると、ぐっと濃くなるんですよね。なにしろスニーカー刑事として2年間『太陽』で活躍したバリバリのレギュラーでしたから。しかも『太陽』がデビュー作です。
そんなワケで『つばさ』に山下さんが登場した事は、私にとって格別に嬉しい事なんです。しかも、つばさの親戚にあたるキャラですから、1週限りのゲストとは言え立派な『つばさ』ファミリーの一員と言えましょう。
☆長瀞
弟・知秋と二人旅に出たつばさですが、行き先は加乃子が既に手配してました。川越と同じ埼玉県内で、加乃子の異母姉妹である末永紀菜子(斎藤由貴)が暮らす、長瀞(ながとろ)です。まだまだお子ちゃまですなw
で、その亭主・富司が山下さん。ワイルドに薪割りをする男っぽいキャラですが、自己紹介の言葉が「なこピーの亭主の、富司だ。よろピクな!」ってw なこピー? よろピク?
暑苦しい肉体派でありながら天然キャラってのは山下さんの十八番ですが、乳首を見せびらかすのも肉体派のお約束なんでしょうか?(笑)
実はこの妙なハイテンションにも理由がある事が後に明かされるワケですが、この富司というキャラと、それを演じる山下さんは『つばさ』フリークスの皆さんに、どんな風に受けとめられたのでしょう?
私は『太陽』ファミリーに関しては客観的な眼で見られないので、無条件で好きになっちゃうのですが… 秀樹みたいなキャラが存在する世界ですから、そんなに浮いてもないですよね?w
☆オトコ修業
そんなテンションでイチャイチャぶりを見せつける末永夫妻に「僕の身の回りじゃ見られない愛の形だ!」みたいな事を知秋が言いますが、竹雄&加乃子もなかなかどうして(笑)。
ただ、女性天下の玉木家とは男女のパワーバランスが真逆であるのが、知秋の眼にはカルチャー・ショックだったのかも知れません。
つばさを護る為に付き添って来た知秋は、そんな富司の男らしさや屈強さに憧れを抱き、「僕を鍛えてください! 守りたいんです、姉ちゃんを」と志願します。
「姉ちゃんが一人で背負いきれないなら、僕が半分背負ってやる」
まだまだ元気の無いつばさに、知秋はそう言います。全ての女性にとって、知秋は理想の弟像ではないかと思います。可愛くて健気で明るくて一生懸命で…
☆お捨てケ淵
長瀞名物・川下りの船頭を勤める富司は、つばさと知秋を船に乗せて「お捨てケ淵」へと連れて行きます。
其処は嫌な思い出を捨てる場所で、捨て去りたい想いを大声で叫ぶと消えて無くなる…ってのは、どうやら富司の創り話みたいですが、彼なりの気遣いなんですよね。
それを真に受けたワケでもないでしょうけど、知秋は母・加乃子への想いを叫びます。10年の旅から帰ってきた加乃子を、最初は拒絶しちゃった事がずっとシコリになってたみたいです。
「母さん、ごめん!」
それは、つばさに想いを吐き出させてあげる為の、知秋の気遣いでもあるのですが、まだ気持ちの整理がつかないつばさは「おかんの、どこが悪いの!?」と、乳首怪獣への恨み言めいた事しか口に出せません。
この機会に「もみあげ、キモイ!」とか「まぬけな口!」とか「頭ヒクヒク動かして、ズラかよ!?」とか「ここ一番で台詞、噛みやがって!」とか、もっと本音をぶちまけて欲しかったですねw
☆離婚届け
さて、末永夫妻の妙なテンションには理由がある事が、徐々に見えて来ます。一面しか描かれないキャラが、ただの一人も出て来ない『つばさ』の真骨頂ですね。
知秋が「この家の子になろうかな」みたいな発言をした時、夫妻の間に不穏な空気が流れます。さらに、つばさは夫婦喧嘩の現場を目撃し、知秋は机の引き出しに隠された離婚届けを発見しちゃいます。
「子供」の事に関して、この夫婦にはわだかまりがある模様です。紀菜子は「愛人の隠し子」である自分は子供を産むべきじゃない、と過去に思ってたけど、川越を訪れた時にその呪縛は解けた筈だったのですが…
☆千代さんと房子様
千代さんは、つばさには甘玉堂の女将を継いで欲しいゆえ、ラジオの仕事には反対してた筈なのですが、なぜか足がラジオぽてとに向いちゃいます。
ぽてとには、つばさの復帰を願うリスナー達からのメールやFAXが多数寄せられ、もちろん真瀬らメンバー全員も同じ想いです。
「いなくなって、よく分かったんです。つばさちゃんがこれまでやって来た事、決して間違ってなんかいなかったって」
伸子が言う「つばさがやって来たこと」とは、「人と人とを繋ぐこと」に他ありません。千代さんと紀菜子も、つばさのお陰で繋がる事が出来たんです。千代さんの心が揺れます。
そして、店に戻った千代さんを、房子様が訪ねて来ます。どうやら房子様は千代さんと幼なじみで、何かと因縁のある犬猿の仲みたいです。
千代さんは、房子様がつばさをクビに追い込んだのは「つばさが私の孫だと知ってたからなのね?」と気づきます。どうやら図星のようで、房子様は千代より優位に立ちたいが為に、つばさを人質にとったようなもの。大人げありませんw
演じる吉行さんと冨士眞奈美さんはプライベートで仲良しって事もあり、息の合った対決(?)を見せてくれます。嫌味を言い合っても殺伐とならなくて、どこかコミカルなのが良いですよね。
☆すれ違う愛情
あの時(第10週)、紀菜子が川越の玉木家を訪ねて来たのは、富司から決定的な一言を言われてしまったから。
彼女が子供を作りたくない気持ちを理解して結婚した筈なのに、愛が深まるにつれ、その結晶をどうしても残したくなった富司は、頑なに拒む紀菜子にカッとなって「じゃあ、俺が余所で子供作ってもいいんだな!?」なんて、心にも無い事を言っちゃった。
それは、怪獣がつばさに言った「おかんみたいなつばさが、重くなったんだ」に匹敵するアイデンティティー破壊の言葉であり、つばさが長瀞に来たのと同じような気持ちで、紀菜子は川越に向かったのかも知れません。
でも、そこで千代さんから「あなたは決して、望まれずに生まれて来たワケじゃないのよ」って言葉を掛けられたお陰で、紀菜子は「子供が欲しいって、やっと思えるようになった」のでした。
ところが戻ってみたら、富司の態度が変わってた。急に「なこピー、よろピク!」なキャラになって(笑)、過剰な愛情表現を見せる不自然な人になっちゃった。
そして離婚届けを見つけた紀菜子は、既に余所で子供を作るべく、富司が相手を見つけたものと思い込んじゃった。
でも実際は、酷いことを言った自分を責める富司が、紀菜子から別れを告げられる覚悟を決めて離婚届けを用意したものの、それが実現しちゃうのが怖いあまりに、過剰な態度で誤魔化してただけ、みたいです。
そもそも、富司が子供を欲しくなったのは、それによって紀菜子を出生の呪縛から救えるんじゃないか、と思ったからなんです。それを最初に言えば、こんなすれ違いは起きなかった。
「一番守ってやらなきゃならねぇ奴を、俺が自分で傷つけちまったんだ」
ここにも又、強力な一人相撲レスラーがいたワケですねw お互いを想えばこそ、愛すればこその、とんでもないすれ違い。それに気づいたつばさは、きっと翔太の本心が何となく解って来たんじゃないでしょうか?
でも、夫婦の誤解に気づきながら、つばさは動き出そうとしません。お節介を全否定されたトラウマは、簡単には消えないのでしょう。乳毛めっ!
「僕が何とかする!」と張り切り出した知秋が、「いつもの姉ちゃんだったらどうするだろう?」と頭を絞り、いかにもつばさがやりそうなお節介を焼くんだけど、付け焼き刃じゃ到底、うまく行きません。乳毛めっ!
☆竹ちゃん、破裂寸前?
物凄く久しぶりな夫婦水いらずの食事を、しみじみと喜ぶのは相変わらず竹雄の方だけで、加乃子は違った事を考えてる様子。
子供達から色んなことを学んだと言う加乃子は、なんだか自分の幸せを噛み締めてるみたいな感じで、でもそれは、もしかしたら「慢心」なのかも知れません。しっぺ返しが遠からず、やって来そうな予感…
「巻き込んでごめんね」
千代との確執や店のしきたりで竹雄を振り回し、自由を奪って来た事を加乃子は詫びてるのですが、言われた竹雄にしてみりゃ、どうして夫をお客さんみたいに言うの?って、疎外感を感じた事と思います。
「子供達が自立したら、やりたい事、生きたい人生を選んでくれていいから。そこに私がいなくても、私、全然いいから」
はげちゃびーん!…いや、がびーん! 今回ばかりは本当に、そんなSEが入ったような気がしました。最後の部分、かなり決定的な一言だったんじゃないですか?
つばさも、紀菜子も、かつての加乃子自身も、愛する人からの、愛するがゆえの暴言でどん底に落ちて、旅に出ました。竹雄の旅立ちも、いよいよ目前?
この後、加乃子が千代に初めて「有難う」を言うシーンがあります。つばさの長瀞行きを許してくれた事と、房子様に千代が頭を下げてくれたらしい事に対する感謝なんだけど、それ以上の意味がありそうです。
嬉しさを隠せず、思わず梅吉の顔(写真)を見る千代さんのリアクションが凄く良いなぁと思うのですが、これもまた、悲劇の前振りなんじゃないか?…ってのは、考え過ぎでしょうか? だって『つばさ』はそういうドラマだからw
☆つばさ、復活!
さて、偽おかんの役割を果たそうと懸命な知秋は、末永夫妻を「お捨てケ淵」に連れて行き、互いの本音を叫ばせようとしますが、別離の実現を恐れる二人は、口を割りません。
すると、つばさが立ち上がり、淵と向き合います。そして、夢見ることを忘れた自分に、それを思い出させてくれた翔太への、恨み言じゃなくて感謝の気持ちを叫ぶのでした。
「私は、翔太の夢を応援してただけ。翔太の事が好きな、自分が好きだっただけ。ごめんね… こんな私につき合ってくれてごめんね。これからはちゃんと、自分の夢見つける。翔太に負けない位の夢、自分で見つけてみせる。だから私、頑張る!」
そんなつばさを、じっと見つめる末永夫妻。その夜、お互いの気持ちを素直に吐露した二人は、誤解を解き、熱く抱き合うのでした。
「歳を取ったからって大人になれるとは限らないし、結婚してるからって夫婦になれるとは限らないって、何だか教えて貰ったような気がする」
紀菜子がつばさに言った、この言葉が良いですね! これも又、『つばさ』の
基本精神をよく表した台詞なんじゃないでしょうか?
「ラジオの仕事、もう一度ちゃんとやりたい。人と人を繋ぐこと、私の夢にしたいから」
答えに辿り着いたつばさは、知秋と一緒に川越に帰るや、まっすぐ房子様の所へと直訴に向かいます。ところが房子様は、既に復帰許可のお触れを、ラジオぽてとに通告していたのでした。
「千代に貸しを作る、いい機会ですからね」
とっても秀樹チックなこのキャラ、味わい深いですねw
晴れてラジオぽてとに戻れる事になったつばさは、この日が21歳の誕生日。新しく生まれ変わったつばさが、大空へと羽ばたく助走の、第一歩を踏み出したのでした。
☆次週、退治した筈の怪獣が、再び!? つば吉!? 翔ティー!? ま、まじっスか?
念の為に説明しますと、私は刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のマニアで、サントラさんやhyoutanさんにとって『つばさ』がそうであるように、私にとって一期一会の作品が『太陽にほえろ!』だったりします。
そもそも多部ちゃんにハマったのは『デカワンコ』がきっかけであり、『デカワンコ』を観たきっかけが『太陽』のテーマ曲が使われてたから、ですから、今こうして『つばさ』のレビューをしてるのも『太陽』があればこそ、なんですよね。
でも多部ちゃんと『太陽』の接点って、『デカワンコ』以外だと『つばさ』に出た石橋蓮司さん位しか見当たらなくて、でも石橋さんだと『太陽』も『つばさ』もゲスト出演だから、繋がりとしては薄い。
それが山下さんとなると、ぐっと濃くなるんですよね。なにしろスニーカー刑事として2年間『太陽』で活躍したバリバリのレギュラーでしたから。しかも『太陽』がデビュー作です。
そんなワケで『つばさ』に山下さんが登場した事は、私にとって格別に嬉しい事なんです。しかも、つばさの親戚にあたるキャラですから、1週限りのゲストとは言え立派な『つばさ』ファミリーの一員と言えましょう。
☆長瀞
弟・知秋と二人旅に出たつばさですが、行き先は加乃子が既に手配してました。川越と同じ埼玉県内で、加乃子の異母姉妹である末永紀菜子(斎藤由貴)が暮らす、長瀞(ながとろ)です。まだまだお子ちゃまですなw
で、その亭主・富司が山下さん。ワイルドに薪割りをする男っぽいキャラですが、自己紹介の言葉が「なこピーの亭主の、富司だ。よろピクな!」ってw なこピー? よろピク?
暑苦しい肉体派でありながら天然キャラってのは山下さんの十八番ですが、乳首を見せびらかすのも肉体派のお約束なんでしょうか?(笑)
実はこの妙なハイテンションにも理由がある事が後に明かされるワケですが、この富司というキャラと、それを演じる山下さんは『つばさ』フリークスの皆さんに、どんな風に受けとめられたのでしょう?
私は『太陽』ファミリーに関しては客観的な眼で見られないので、無条件で好きになっちゃうのですが… 秀樹みたいなキャラが存在する世界ですから、そんなに浮いてもないですよね?w
☆オトコ修業
そんなテンションでイチャイチャぶりを見せつける末永夫妻に「僕の身の回りじゃ見られない愛の形だ!」みたいな事を知秋が言いますが、竹雄&加乃子もなかなかどうして(笑)。
ただ、女性天下の玉木家とは男女のパワーバランスが真逆であるのが、知秋の眼にはカルチャー・ショックだったのかも知れません。
つばさを護る為に付き添って来た知秋は、そんな富司の男らしさや屈強さに憧れを抱き、「僕を鍛えてください! 守りたいんです、姉ちゃんを」と志願します。
「姉ちゃんが一人で背負いきれないなら、僕が半分背負ってやる」
まだまだ元気の無いつばさに、知秋はそう言います。全ての女性にとって、知秋は理想の弟像ではないかと思います。可愛くて健気で明るくて一生懸命で…
☆お捨てケ淵
長瀞名物・川下りの船頭を勤める富司は、つばさと知秋を船に乗せて「お捨てケ淵」へと連れて行きます。
其処は嫌な思い出を捨てる場所で、捨て去りたい想いを大声で叫ぶと消えて無くなる…ってのは、どうやら富司の創り話みたいですが、彼なりの気遣いなんですよね。
それを真に受けたワケでもないでしょうけど、知秋は母・加乃子への想いを叫びます。10年の旅から帰ってきた加乃子を、最初は拒絶しちゃった事がずっとシコリになってたみたいです。
「母さん、ごめん!」
それは、つばさに想いを吐き出させてあげる為の、知秋の気遣いでもあるのですが、まだ気持ちの整理がつかないつばさは「おかんの、どこが悪いの!?」と、乳首怪獣への恨み言めいた事しか口に出せません。
この機会に「もみあげ、キモイ!」とか「まぬけな口!」とか「頭ヒクヒク動かして、ズラかよ!?」とか「ここ一番で台詞、噛みやがって!」とか、もっと本音をぶちまけて欲しかったですねw
☆離婚届け
さて、末永夫妻の妙なテンションには理由がある事が、徐々に見えて来ます。一面しか描かれないキャラが、ただの一人も出て来ない『つばさ』の真骨頂ですね。
知秋が「この家の子になろうかな」みたいな発言をした時、夫妻の間に不穏な空気が流れます。さらに、つばさは夫婦喧嘩の現場を目撃し、知秋は机の引き出しに隠された離婚届けを発見しちゃいます。
「子供」の事に関して、この夫婦にはわだかまりがある模様です。紀菜子は「愛人の隠し子」である自分は子供を産むべきじゃない、と過去に思ってたけど、川越を訪れた時にその呪縛は解けた筈だったのですが…
☆千代さんと房子様
千代さんは、つばさには甘玉堂の女将を継いで欲しいゆえ、ラジオの仕事には反対してた筈なのですが、なぜか足がラジオぽてとに向いちゃいます。
ぽてとには、つばさの復帰を願うリスナー達からのメールやFAXが多数寄せられ、もちろん真瀬らメンバー全員も同じ想いです。
「いなくなって、よく分かったんです。つばさちゃんがこれまでやって来た事、決して間違ってなんかいなかったって」
伸子が言う「つばさがやって来たこと」とは、「人と人とを繋ぐこと」に他ありません。千代さんと紀菜子も、つばさのお陰で繋がる事が出来たんです。千代さんの心が揺れます。
そして、店に戻った千代さんを、房子様が訪ねて来ます。どうやら房子様は千代さんと幼なじみで、何かと因縁のある犬猿の仲みたいです。
千代さんは、房子様がつばさをクビに追い込んだのは「つばさが私の孫だと知ってたからなのね?」と気づきます。どうやら図星のようで、房子様は千代より優位に立ちたいが為に、つばさを人質にとったようなもの。大人げありませんw
演じる吉行さんと冨士眞奈美さんはプライベートで仲良しって事もあり、息の合った対決(?)を見せてくれます。嫌味を言い合っても殺伐とならなくて、どこかコミカルなのが良いですよね。
☆すれ違う愛情
あの時(第10週)、紀菜子が川越の玉木家を訪ねて来たのは、富司から決定的な一言を言われてしまったから。
彼女が子供を作りたくない気持ちを理解して結婚した筈なのに、愛が深まるにつれ、その結晶をどうしても残したくなった富司は、頑なに拒む紀菜子にカッとなって「じゃあ、俺が余所で子供作ってもいいんだな!?」なんて、心にも無い事を言っちゃった。
それは、怪獣がつばさに言った「おかんみたいなつばさが、重くなったんだ」に匹敵するアイデンティティー破壊の言葉であり、つばさが長瀞に来たのと同じような気持ちで、紀菜子は川越に向かったのかも知れません。
でも、そこで千代さんから「あなたは決して、望まれずに生まれて来たワケじゃないのよ」って言葉を掛けられたお陰で、紀菜子は「子供が欲しいって、やっと思えるようになった」のでした。
ところが戻ってみたら、富司の態度が変わってた。急に「なこピー、よろピク!」なキャラになって(笑)、過剰な愛情表現を見せる不自然な人になっちゃった。
そして離婚届けを見つけた紀菜子は、既に余所で子供を作るべく、富司が相手を見つけたものと思い込んじゃった。
でも実際は、酷いことを言った自分を責める富司が、紀菜子から別れを告げられる覚悟を決めて離婚届けを用意したものの、それが実現しちゃうのが怖いあまりに、過剰な態度で誤魔化してただけ、みたいです。
そもそも、富司が子供を欲しくなったのは、それによって紀菜子を出生の呪縛から救えるんじゃないか、と思ったからなんです。それを最初に言えば、こんなすれ違いは起きなかった。
「一番守ってやらなきゃならねぇ奴を、俺が自分で傷つけちまったんだ」
ここにも又、強力な一人相撲レスラーがいたワケですねw お互いを想えばこそ、愛すればこその、とんでもないすれ違い。それに気づいたつばさは、きっと翔太の本心が何となく解って来たんじゃないでしょうか?
でも、夫婦の誤解に気づきながら、つばさは動き出そうとしません。お節介を全否定されたトラウマは、簡単には消えないのでしょう。乳毛めっ!
「僕が何とかする!」と張り切り出した知秋が、「いつもの姉ちゃんだったらどうするだろう?」と頭を絞り、いかにもつばさがやりそうなお節介を焼くんだけど、付け焼き刃じゃ到底、うまく行きません。乳毛めっ!
☆竹ちゃん、破裂寸前?
物凄く久しぶりな夫婦水いらずの食事を、しみじみと喜ぶのは相変わらず竹雄の方だけで、加乃子は違った事を考えてる様子。
子供達から色んなことを学んだと言う加乃子は、なんだか自分の幸せを噛み締めてるみたいな感じで、でもそれは、もしかしたら「慢心」なのかも知れません。しっぺ返しが遠からず、やって来そうな予感…
「巻き込んでごめんね」
千代との確執や店のしきたりで竹雄を振り回し、自由を奪って来た事を加乃子は詫びてるのですが、言われた竹雄にしてみりゃ、どうして夫をお客さんみたいに言うの?って、疎外感を感じた事と思います。
「子供達が自立したら、やりたい事、生きたい人生を選んでくれていいから。そこに私がいなくても、私、全然いいから」
はげちゃびーん!…いや、がびーん! 今回ばかりは本当に、そんなSEが入ったような気がしました。最後の部分、かなり決定的な一言だったんじゃないですか?
つばさも、紀菜子も、かつての加乃子自身も、愛する人からの、愛するがゆえの暴言でどん底に落ちて、旅に出ました。竹雄の旅立ちも、いよいよ目前?
この後、加乃子が千代に初めて「有難う」を言うシーンがあります。つばさの長瀞行きを許してくれた事と、房子様に千代が頭を下げてくれたらしい事に対する感謝なんだけど、それ以上の意味がありそうです。
嬉しさを隠せず、思わず梅吉の顔(写真)を見る千代さんのリアクションが凄く良いなぁと思うのですが、これもまた、悲劇の前振りなんじゃないか?…ってのは、考え過ぎでしょうか? だって『つばさ』はそういうドラマだからw
☆つばさ、復活!
さて、偽おかんの役割を果たそうと懸命な知秋は、末永夫妻を「お捨てケ淵」に連れて行き、互いの本音を叫ばせようとしますが、別離の実現を恐れる二人は、口を割りません。
すると、つばさが立ち上がり、淵と向き合います。そして、夢見ることを忘れた自分に、それを思い出させてくれた翔太への、恨み言じゃなくて感謝の気持ちを叫ぶのでした。
「私は、翔太の夢を応援してただけ。翔太の事が好きな、自分が好きだっただけ。ごめんね… こんな私につき合ってくれてごめんね。これからはちゃんと、自分の夢見つける。翔太に負けない位の夢、自分で見つけてみせる。だから私、頑張る!」
そんなつばさを、じっと見つめる末永夫妻。その夜、お互いの気持ちを素直に吐露した二人は、誤解を解き、熱く抱き合うのでした。
「歳を取ったからって大人になれるとは限らないし、結婚してるからって夫婦になれるとは限らないって、何だか教えて貰ったような気がする」
紀菜子がつばさに言った、この言葉が良いですね! これも又、『つばさ』の
基本精神をよく表した台詞なんじゃないでしょうか?
「ラジオの仕事、もう一度ちゃんとやりたい。人と人を繋ぐこと、私の夢にしたいから」
答えに辿り着いたつばさは、知秋と一緒に川越に帰るや、まっすぐ房子様の所へと直訴に向かいます。ところが房子様は、既に復帰許可のお触れを、ラジオぽてとに通告していたのでした。
「千代に貸しを作る、いい機会ですからね」
とっても秀樹チックなこのキャラ、味わい深いですねw
晴れてラジオぽてとに戻れる事になったつばさは、この日が21歳の誕生日。新しく生まれ変わったつばさが、大空へと羽ばたく助走の、第一歩を踏み出したのでした。
☆次週、退治した筈の怪獣が、再び!? つば吉!? 翔ティー!? ま、まじっスか?