メル・ギブソン、久々の主演作です。『サイン』以来だとすると、実に10年ぶりですよ!(途中、監督作はあったけど)
醜聞と言わざるを得ない、数々の問題行動&発言で、出演作が決まっても共演者一同からボイコットされる等、もう映画スターとしては終わっちゃったかと思われてましたが…
かつてはハリソン・フォードやトム・クルーズと肩を並べるトップ中のトップスターで、日本での人気も相当なものだった筈。特に『リーサル・ウェポン』シリーズの大成功と、初監督の『ブレイブハート』がアカデミー賞受賞って事で、もう言うこと無しの映画人生だと思われたのが、まさかの急転落。
以前にも書いた事ですが、頂点に立った人間にしか分からない葛藤、苦しみがあったんでしょうね、きっと。後は落ちて行くしか無いワケですから…
見るからに健全なトム・クルーズだって、一時期はヤバかったですからね。その点、イメージを損ねること無くマイペースを維持してるハリソンは、さすがです。もっと凄いのがイーストウッド御大ですけど。
さて『復讐捜査線』ですが、このベタな邦題がいかにもB級アクションなんで、メルギブもステージを何段階か下げて再出発するのかと勝手に思ってました。(原題はエッジ・オブ・ダークネス)
観たら違ってましたね。製作会社こそマイナーだけど、監督は一流のマーティン・キャンベルで、かなり渋めのサスペンス・ドラマ、しかも感動作でした。良かったですよ!
目の前で愛娘を殺された老刑事が、職務を放棄して復讐に燃える!ってなプロットがまたB級っぽく聞こえるし、家族を殺されたヒーローの復讐アクションってのはメルギブの十八番でしたからね。
だから、泣き叫びながら敵を撃ち殺しまくる、あおきさん命名によるところの「メルギブのキレ芸」が、また相変わらず炸裂するんだろうと想像したのは、私だけじゃないでしょう。
でも、思えばあのメル・ギブソンも、とっくに還暦は越えてる筈です。実際、すっかり頭髪も薄くなって「さすがに老けたなぁ」ってのが第一印象です。
だから、娘が目の前で息絶えても涙は流さず、黙って独り、淡々と捜査を進めて行きます。立ち回りも多少ありますが、途中で心臓麻痺を起こしそうな感じで、別の意味でハラハラしますw(勿論、それも役作りです)
だからリーサル・ウェポンみたいな熱いアクションを期待すると、肩透かしを食らう事になります。だけどその分、敵の急襲を受けても顔色一つ変えずに反撃する、老練者ならではのクールなアクションが堪能出来ます。それはそれでカッコイイ!
事件の内容もC.ブロンソンやS.セガールの映画みたいに単純なものではなく、政府の極秘軍事開発が絡む複雑かつ厄介な事件で、スパイ映画的なスリルも味わえます。
それより何より、死んだ娘に寄せるメルの想いがとても繊細に描かれてて、これはねぇ、ホントに泣けます!
妻がどこにいるのか説明が無かった(私の見落としかも知れません)けど、たぶん早くに亡くなってるのでしょう。歳老いたメルにとって、娘は唯一の生きる希望だった筈です。
つまりこないだ観た『さまよう刃』の寺尾聰さんと境遇は同じなんだけど、さすがはメルギブです。中途半端なヒューマニズムでお茶を濁すような真似は決して致しません。落とし前はキッチリつけてくれますからご安心を。
予想してた内容とは違ってたけど、良い意味で裏切られました。地味だけど、すごく良いですよ、これ! じんわりと余韻が残る上質の作品です。
少なくともメルギブが好きだった人は必見です。晩年のマーチン・リッグス刑事(リーサル・ウェポン)の様でもあり、イーストウッド御大が『グラン・トリノ』で俳優人生にひと区切りつけたのと似たような味わいが、本作の結末にはあります。
メル・ギブソン、まだまだ健在です!
醜聞と言わざるを得ない、数々の問題行動&発言で、出演作が決まっても共演者一同からボイコットされる等、もう映画スターとしては終わっちゃったかと思われてましたが…
かつてはハリソン・フォードやトム・クルーズと肩を並べるトップ中のトップスターで、日本での人気も相当なものだった筈。特に『リーサル・ウェポン』シリーズの大成功と、初監督の『ブレイブハート』がアカデミー賞受賞って事で、もう言うこと無しの映画人生だと思われたのが、まさかの急転落。
以前にも書いた事ですが、頂点に立った人間にしか分からない葛藤、苦しみがあったんでしょうね、きっと。後は落ちて行くしか無いワケですから…
見るからに健全なトム・クルーズだって、一時期はヤバかったですからね。その点、イメージを損ねること無くマイペースを維持してるハリソンは、さすがです。もっと凄いのがイーストウッド御大ですけど。
さて『復讐捜査線』ですが、このベタな邦題がいかにもB級アクションなんで、メルギブもステージを何段階か下げて再出発するのかと勝手に思ってました。(原題はエッジ・オブ・ダークネス)
観たら違ってましたね。製作会社こそマイナーだけど、監督は一流のマーティン・キャンベルで、かなり渋めのサスペンス・ドラマ、しかも感動作でした。良かったですよ!
目の前で愛娘を殺された老刑事が、職務を放棄して復讐に燃える!ってなプロットがまたB級っぽく聞こえるし、家族を殺されたヒーローの復讐アクションってのはメルギブの十八番でしたからね。
だから、泣き叫びながら敵を撃ち殺しまくる、あおきさん命名によるところの「メルギブのキレ芸」が、また相変わらず炸裂するんだろうと想像したのは、私だけじゃないでしょう。
でも、思えばあのメル・ギブソンも、とっくに還暦は越えてる筈です。実際、すっかり頭髪も薄くなって「さすがに老けたなぁ」ってのが第一印象です。
だから、娘が目の前で息絶えても涙は流さず、黙って独り、淡々と捜査を進めて行きます。立ち回りも多少ありますが、途中で心臓麻痺を起こしそうな感じで、別の意味でハラハラしますw(勿論、それも役作りです)
だからリーサル・ウェポンみたいな熱いアクションを期待すると、肩透かしを食らう事になります。だけどその分、敵の急襲を受けても顔色一つ変えずに反撃する、老練者ならではのクールなアクションが堪能出来ます。それはそれでカッコイイ!
事件の内容もC.ブロンソンやS.セガールの映画みたいに単純なものではなく、政府の極秘軍事開発が絡む複雑かつ厄介な事件で、スパイ映画的なスリルも味わえます。
それより何より、死んだ娘に寄せるメルの想いがとても繊細に描かれてて、これはねぇ、ホントに泣けます!
妻がどこにいるのか説明が無かった(私の見落としかも知れません)けど、たぶん早くに亡くなってるのでしょう。歳老いたメルにとって、娘は唯一の生きる希望だった筈です。
つまりこないだ観た『さまよう刃』の寺尾聰さんと境遇は同じなんだけど、さすがはメルギブです。中途半端なヒューマニズムでお茶を濁すような真似は決して致しません。落とし前はキッチリつけてくれますからご安心を。
予想してた内容とは違ってたけど、良い意味で裏切られました。地味だけど、すごく良いですよ、これ! じんわりと余韻が残る上質の作品です。
少なくともメルギブが好きだった人は必見です。晩年のマーチン・リッグス刑事(リーサル・ウェポン)の様でもあり、イーストウッド御大が『グラン・トリノ』で俳優人生にひと区切りつけたのと似たような味わいが、本作の結末にはあります。
メル・ギブソン、まだまだ健在です!