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最悪だけどサイコーな映画(1 )

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あまりに低俗、下品過ぎて笑っちゃう映画を観ました。'95年、ハリウッドのラジー賞(最低映画賞)の各部門を総ナメにした『ショーガール』です。(コメディーではありません)

監督は『ロボコップ』や『トータル・リコール』での残酷描写で観客のド肝を抜き、『氷の微笑』でシャロン・ストーンをノーパンにして大ヒットさせた、あのポール・ウ゛ァーホーウ゛ェン。(←ウ゛が2つも入ってるw)

戦火のオランダで生まれた監督は、幼い頃から間近で暴力や死体を見て育った上、宗教家に騙されたトラウマがある事から、人間の醜悪な部分を露骨に描き、神を冒涜する反モラルな映画ばっかり撮って、オランダ映画界から干されてました。

そんなエログロ監督をハリウッドに呼び寄せたのは誰あろう、スティーウ゛ン・スピルバーグ御大です。エロ要素は皆無と言って良いスピルバーグさんだけど、残酷描写においてはハリウッドの最先端を走って来た人ですから、ビビッと感じるものがあったんでしょう。

田舎町からラスベガスに上京したダンサー志望の女の子が、根性でショウビジネス界をのし上がり、一流トップダンサーの座を勝ち取るサクセス・ストーリーが『ショーガール』です。

ただし、一流と言ってもストリップ劇場なんでw、喜んで良いのかどうか分かりません。ヒロインは娼婦扱いされると激しく怒るんだけど、やってる事がストリップ(別料金でヌキも有り)だからw、逆ギレしてるだけにしか見えないし。

とにかく百人単位で出てくるダンサーがみんな裸になりますから、すぐに飽食しちゃってエロくも何とも感じないw テレビで観たんでボカシが入ってましたが、ヘアも丸出しです。

それはいいとして、とにかく登場人物がどいつもこいつも根性悪くて、誰にも感情移入出来ない。ヒロインですら、ライバルの背中を蹴って階段から突き落とし、重傷を負わせてもトボケちゃう女ですからね!

でも、それすら普通の事に感じる位に、全員がまさに生き馬の眼を抜くハイエナ乳首チョメチョメ人間ばっかりなんで、不快感も麻痺して来ちゃうw 裸、セックス、暴力、ファック、罵詈雑言、チョメチョメ、裏切り、乳首のオンパレードですからね。

ミュージカルの『シカゴ』なんかも大筋は似たようなもんなのに、あれは登場人物がみんなチャーミングに見えて爽快感すらありました。それで確かアカデミー賞でしたからね。

対してこちらは最低映画賞総ナメw 話の筋は似てても、表現の仕方で観客の印象は180度変わっちゃうという見本です。信仰心の強い国ほどそうでしょうね。

その上、巨額の予算をかけてこの内容ですからねw 脚本料が史上最高額100億円とかですよ、確か。「売れたいならサッサと俺のチンコをしゃぶりやがれ!」とか「今すぐ脱いで乳首を立たせて見せろ!」みたいな台詞しか出て来ない脚本にですよ?(マジです)w

『氷の微笑』の大ヒットで調子に乗ってたカロルコ・プロが、本作の大コケで倒産しちゃったんですよね、確か。なぜこんな映画に社運を賭ける?w

でも、この映画がつまらないかと言えば、決してそんな事は無いんですよね。作者の人間性がビンビン(ウ゛ィンウ゛ィン)伝わって来る作品って、やっぱり面白いですよ。

人間、特に芸能界で成功するヤツなんて、どいつもこいつも一皮剥けばこんなもんだぜ!っていう、監督のメッセージがよく伝わって来ます。

その考え方を肯定するか否定するかは別にして、作品を鑑賞すること=作者とのコミュニケーションだと私は思ってますから、これだけハッキリ言われたらかえって気持ちが良いです。

実際、監督はラジー賞の授賞式に堂々と出席されたそうですからw 普通はしませんよ。こりゃもう、確信犯ですね。反感、総スカンは承知の上で創ってる。

だから私はこの映画、嫌いじゃないです。面白いと思います。本当につまらなくて、本当に軽蔑すべき映画は、こういうのじゃない。

私にとって本当に最悪な映画とは、作者とのコミュニケーションが成立しない作品です。それは人間関係でも同じこと。つまり、何が言いたいのかサッパリ解んないようなヤツが一番嫌い。

一生懸命に伝えようとするんだけど、口下手でうまく伝わらない。そういうのは良いんです。その気持ちさえ伝われば。

真の最低映画とは、例えば実写版『デビルマン』です。何かを伝える気が無い、伝える努力を放棄しちゃったような作品(人間)が一番嫌いです。

例えばアホの亀山が製作した『少林少女』。あれは言ってる事が支離滅裂で、なのに本人は面白いと思ってる本当の意味でのバカ映画。バカが創ってんだから仕方がないけどw

どちらも、複数のスポンサーからの勝手な注文を、全部言いなりに受け入れた挙げ句シッチャカメッチャカになっちゃう、現在のメジャー邦画(テレビも)を象徴する、ウルトラ駄作の代表例です。

特に『デビルマン』は、ウ゛ァーホーウ゛ェン作品にも通じる反モラルな主張と過激描写こそが原作の肝なのに、リスクをことごとく排除したがる会議室の連中に肝をすっかり抜き取られ、現場の人たちが完全にモチベーションを失った、世にも不幸な大作映画です。

↑上記のいきさつは私の推測でしかないんだけど、実際に観て頂ければ納得してもらえると思います。尋常じゃない無気力感がヒシヒシ伝わって来ますから!

同じ「サイテー映画」でも、そのサイテーさに自信を持って、全精力を注ぎ込んで創ったであろう『ショーガール』みたいな作品と、ただ「やっつけ」で形にしただけにしか見えない『デビルマン』や『少林少女』とでは、全く違います。

どんなに偏った主張でも情熱的に語られると耳を傾けるし、正しかろうが美しかろうが、ただ言わされてるだけのヤツの話なんか聞きたくもない。それも支離滅裂と来たらもう、ひたすら不愉快なだけです。

そういう意味じゃ『ショーガール』は観る価値のある作品だと思いますし、邦画メジャーの腐敗ぶりをかなり具体的に体感できる『デビルマン』『少林少女』も、このブログの読者さんには是非とも観て頂きたいです。

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