Quantcast
Channel: blog@なんて世の中だ!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 518

『つばさ』14

$
0
0
うーん(笑)。面白かったんですけど、やっぱり第9週迄の『つばさ』とは違ってました。レビューしながら、このイマイチ感の原因を探りたいと思います。

☆半開きの乳首
日々、これ見よがしに乳首を出して、一人相撲の特訓に精を出す翔太。その姿を母・佐知江(手塚理美)、そしてつばさが、気持ち悪そうに…じゃなくて(笑)心配そうに見守ります。

誰よりも翔太自身が焦り、苦しんでる。一人相撲の世界チャンピオンならずとも、まともに歩く事すら出来ない状態が続けば、そりゃあ乳首でも出してないとやりきれないでしょう。

そんな翔太が相手でも、恋をする事で輝きを増したつばさを見て、以前なら「なんだイモ、またノロケか?」とか言いそうな真瀬が、なんだか複雑なリアクション。どうやらここらで、恋の「フラグが立った」のでしょうか?

そうとも知らず、一人黙々と乳首を立てている翔太(うそw) こやつが一人で悩み始めると、だいたいロクな事にはならないんです。

☆大衆演劇
ラジオぽてとが舞台演劇のイベントをプロデュースする事になり、つばさは幼い頃に観た「赤毛の女の子が、どんな時も夢と希望を忘れず頑張る話」の舞台を思い出しますが、これは多部ちゃんが芝居を始めるきっかけになった『アニー』の事でしょうか?

「翔太を元気にしてあげたい」っていう想いから、つばさはこの企画に張り切ります。つばさの原動力はいつも「誰かの為に何かしてあげたい」なんですよね。その行動力もハンパじゃない。普通はなかなか出来ない事です。

だから、皆が彼女に惹かれていく展開が、不自然に感じない。同じ朝ドラでも、勝手な「自分探し」で周りに迷惑を掛ける一方のヒロインが、なぜか全ての登場人物達から愛されてた『てっぱん』とは、説得力がまるで違います。

そう言えば『てっぱん』の恋人役もアスリートで、肝心な時に足を痛めてましたよね(笑)。遠距離恋愛になる展開も似てましたけど、彼の場合はモミアゲを生やさず、口の締まりも良くて、乳首も全然見せないから面白くなかったですw

☆婦系図
千代さんの提案で、舞台の演目は『婦系図』に決定。家のしきたりによって引き裂かれる男女の物語で、加乃子と秀樹、そして千代さん自身の悲しい初恋にもリンクするお話です。

例によって、レギュラー・キャスト陣が演じる再現映像が楽しくて、梅雀さんの変顔を間近で見せつけられた翔太が、あわや吹き出す寸前でカットが切り替わったのには笑いました。

☆佐知江さん
翔太の母・佐知江は元演劇部長って事で、この舞台の台本と演出を、まだ参加が決まったワケでもない加乃子からw依頼されます。加乃子はヒロインを演じる気満々なのです。

その佐知江さんによるオーディションで、ヒロインは加乃子とつばさのWキャスト、相手役は真瀬に決まります。他のキャストものど自慢大会と同じメンバーで、もしかすると観客エキストラの都合上、同じ日に撮影されたのではないでしょうか?

先日コメントに書いて頂いた通り、芸達者なキャスト陣が素人芝居をする二重構造が、とても楽しくて見応えあります。あの多部ちゃんが、全く拙い芝居でヒロインを演じるつばさを演じるのですw

タレント経験者の加乃子がお芝居上手なのはいいとして、あの真瀬がそこそこ上手なのは意外でした。やっぱり、ナルシストは役者に向いてるって事ですね(笑)。

☆10年間の意味
佐知江の参加目的はつばさと同じで、翔太を元気づけたいという親心。まったく果報者の乳首です。

一方、加乃子には別の思惑がありました。10年前に自分が子供を捨てて家出した事の意味を、今回の芝居を通して探したいと言うのです。

初恋の相手と引き裂かれたヒロインに、自分自身の過去を投影したワケですね。その心情を自分の中で整理して、芝居を通して家族に聞いてもらいたいって事でしょうか? 回りくどいなぁ(笑)

その辺の事はもう、お互い解ってるんじゃなかったの?と思ったのですが、「頭では解っても、納得出来ない事ってある」「お母さん自身がちゃんと受けとめてくれないと、私達だってこの先、どう向き合って行けばいいのか分からない」っていう、つばさの言葉で何となく解りました。正直、ちょっとクドイような気もしたのですが…

☆フラグ
このお芝居にはヒロインと相手役の抱擁する場面があり、その練習でつばさに抱きつかれた真瀬が動揺します。そんな父の様子を見て、ニヤリと笑う優花(笑)。

つばさのアドリブをうまく受けとめる真瀬を見て、伸子が「意外と相性がいいんじゃない?」って言うのですが、確かにそうなんですよね。

毎回、土壇場で飛び出すつばさの無茶は、ボスが真瀬だからこそ成立してる。「いいだろう、やってみろ」は『太陽にほえろ!』における裕次郎さんの決め台詞ですが、その度量があってこそ、若手は不可能に挑戦し、成長する事が出来るんです。

男と女の関係となると又、話は違って来るのかも知れないけど、常に自分自身の事でいっぱいいっぱいの乳首では役不足だし、うまく行かないのも当たり前かも知れません。

☆初恋の面影
ここで新キャラが登場します。舞台のスポンサーになってくれるという資産家・葛城(山本學)ですが、この人、なんと千代の初恋の相手であり、ROLLY=浪岡正太郎の父親でもある。

千代が正太郎をお気に入りだったのには、初恋の面影という理由が、ちゃんとあったのです! あ、あざとい!(笑)

葛城の家は由緒ある茶道の家元ゆえ、家業の為に「愛するものを捨てろ」と親から言われ、葛城は千代との恋路を断ち切りました。

なのに、息子の正太郎は家を捨てて愛する音楽を選ぼうとした。それが許せなくて、葛城は息子を勘当し、正太郎は浪岡の姓を名乗るようになったのです。

この親子は20年振りの再会だそうで、ROLLYさん、若者だと思ってたら、意外と歳を食ってたんですね(笑)。

「音楽と別れなくて良かった」と正太郎は言いますが、葛城にはそう見えていない。舞台の音楽を担当する正太郎が、現在の自分の充実を証明出来なければ、葛城の実家に引き戻されちゃうって事になり…

翔太を心配するつばさと佐知江の想い、家族と自分の10年間に対する加乃子の想い、葛城に対する千代の想い、そして正太郎の想いと、この舞台には様々な人の、それぞれの想いが込められてるワケなんですが…

この第14週でイマイチ泣けないのは、あまりに色んな想いが詰め込まれ過ぎてるから、かも知れません。テーマは統一されるように練られてるんだけど、ここまで盛り沢山だと視点が定まらなくて、ちょっと「やり過ぎ」感が…w

☆舞台、本番
余談ですが、葛城さんが座席に向かう途中ですれ違った男性が、吉本新喜劇の石田靖さんソックリなんですけど、飛び入り出演されたとかいう情報は無かったでしょうか?

さて、まだ抱擁シーンに抵抗ありそうなつばさに、真瀬は「俺を翔太だと思え」とアドバイス。本番でつばさは、途中から台本を無視して、翔太に対する想いを独白します。

これが、「もし離れ離れになったとしても、今の私なら(二人の絆を信じてるから)大丈夫」という趣旨で、観ていた翔太は乳首を震わせて感動してましたけど、このメッセージがどうして今の翔太を励ます事になるのか、私にはイマイチ解りませんでした。

これもまた後の悲劇を予告する伏線だとしたら、何もここでそれをやらなくてもって私は思うのですが、如何なものでしょう?

つばさの独白に続き、第二幕では加乃子が台本を無視して独白します。家を出て、家族への想いはあっても、自分が変わらなきゃ帰れない。変わる為に10年間、加乃子はもがいて来たのです。

「後悔はしない。どんな人生でも、私が選んだ結果だから」

かつて加乃子と引き裂かれた秀樹が、それを客席でじっと聞いてる姿にはぐっと来ました。

だけど、うーん… 加乃子がそれを言うと、やっぱり言い訳、開き直りじゃないの?って、思っちゃうんですよねぇ… 皆さんは素直にそれを聞き、感動出来ましたでしょうか?

☆千代のメッセージ
そして第三幕、またしてもつばさの「無茶」と「お節介」が炸裂し、千代までも舞台に上がる羽目になっちゃいます。一つのキャラクターを母子三代で演じるという、画期的な舞台ですね。

「どうしてそんな、哀しい顔をするの? 私はこんなに幸せなのに」

「選ばなかったもう一つの人生に嫉妬したり、恨んだり、今の自分と比べようだなんて、決してなさらないで」

千代が台本を無視して(笑)、葛城と正太郎の父子に向けて言った台詞ですが、それは娘・加乃子の独白に対するアンサーでもあるのでしょう。

理屈で考えると言い訳や開き直りに聞こえたかも知れない加乃子の独白も、肉親の心には違って聞こえるのかも知れません。つばさの言う「納得」とは、そんな母の飾らない、心からの叫びを聞きたかった…って事なのでしょうか。

「よっ、日本一!!」

朝ドラでは本来タブーとされてるらしい、死者=梅吉の声援には、いつもながら胸が熱くなりました。

千代を捨て、正太郎を巣立ちさせた事を悔やんでた葛城も、それぞれが充実した人生を送ってる事を知り、「罪滅ぼしが出来た気がするよ」と明るい表情で去って行きます。正太郎はめでたく、残留ですw

罪滅ぼし… 思えば千代も、加乃子と秀樹を引き裂いた自分の行為に後ろめたさを背負ってて、今回の独白でその「罪滅ぼし」を果たした…と解釈出来るかも知れません。その為には、千代への問い掛けとして、加乃子の独白も必要だった、と。

加乃子のドラマとして観るとクドさを感じる週だけど、今回は千代さんの贖罪を描く週であり、加乃子はその前振りだと捉えるべきだったのかも?

いずれにせよ、この週はお話があまりに多重構造になり過ぎて、それが感情移入の妨げになってた気がします。緻密なストーリー創りが楽しいもんだから、調子に乗ってやり過ぎちゃったのでは?(笑)

私としては、もうちょいシンプルなドラマに戻して頂いた方が感情移入し易いのですが、皆さんは如何でしょうか?

乳首。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 518

Trending Articles