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『ジウ』メイキング抜粋その1

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『ジウ』のメイキングはDVD-BOXの特典ディスクに収録されてますので、レンタル版では観られないと思われます。そもそも、レンタル版が出るのかどうかも微妙…

なので、お裾分けします。

☆美咲を演じて

多部ちゃん「楽しかったですよ。一番、登場人物の中で、精神的にも体力的にも、強い女… 鉄のようなw そういう女性だから」

「すごく大変な事件を背負ってるにも関わらず、伊崎さんに対する愛だったりとか、東主任に対する恋愛感情だったりとか、そういう所にも重きを置いている美咲ちゃんというのがですねー、非常に…難解だったなぁって感じですね」

※トリビアその1
多部ちゃんの撮影初日は、両親との食事シーン。メイサは、美咲を脱がせた立てこもり犯との格闘シーンからイン。

☆基子を演じて

メイサ「撮影に入る前から原作を読ませて頂いて、すごい楽しみにしていたので、かなり気合い入れてやって来たつもりでいるんですけど(中略)精神的にも強くいなきゃいけないんだけど、私はどこかで基子って、弱さを抱えてる人なのかなと思ってたので… 人に付け入れられたくない所があるから周りを全部敵にして、自分が裏切られるのが嫌だから信頼する人も作らなくて、結局は自分を守ってる人なんだと思うんですよね」

「だから美咲のことも、嫌いとかじゃなくて、どっかでこう… 誰にでも素直に、真っすぐ生きられる、ああいう女性を、羨ましいというか、素敵なんだと思ってる部分があって、それを認められないだけ、なのかなと思いました」

メイサは、そんな基子は自分に似てる、とも語ってます。

☆多部ちゃんから見た、基子と美咲

多部ちゃん「すごい極端だなと思いますねホントに。基子のキャラクターも、美咲ちゃんのキャラクターも。どっちも無いかも。どっちも有る? どっちも無いかな、どっちも無いですね」

「でも、基子が美咲に対して、けっこうキツイこと言うじゃないですか。そういうのは解る。すごい解る(笑)」

☆メイサと多部ちゃんの距離感

メイサ「最初にお会いした時から、何となくどこかしら基子と美咲っていう感覚でお会いしてるんで、多部さんに。なんかこう、別に私も多部さんのプライベートとか、空き時間に何やってるかとか知りたいとは思わないし、多部さんもそれを知ろうとは思わないみたいな話を、撮影に入る前に何となく話せたので、もうそっから気楽に、別に現場で二人っきりで隣どうしで座りました、ちょっと待ち時間ですってなっても、普段だったらたぶん気を使って、何か話してみなきゃとか思うところを、それすら思う必要が無かったと言うか、だから私はすごく、多部さんにそういう空気を作ってもらえたのは、有難かったですね」

多部ちゃん「黒木さんは、現場で会うことは少なかったし、プライベートな話をワーワーしたワケじゃないんですけど、初めからすごく… きっと似てるんだろなと言うか、同じ匂いを感じるなっていうのは、ずっと思ってたんですけど、そこに入り込もうともしないし、私もマイペースだから(中略)お互い何かを主張し合わなくても、何とかなる人…って感じかな」

※トリビアその2
メイサのアクションは、思った以上にご本人が自分でこなしておられます。おそらく90%以上、吹替え無し。ロープ1本で廃ビルを登る場面もご自分でやられてます。ブラボー!

☆城田優くんのメイサ評

「(前略)僕は人間観察が趣味だったりするんですけど、本当にいつ見てても、スキが無いw 基子に似てる感じが… そういう人だからこそ、たまに笑顔を見せたりすると、ちょっとホッとするというか… すごい可愛く見えますね。あっ、黒木メイサが笑った!みたいなw感じでしたね」

※トリビアその3
旧知の仲である多部ちゃんと城田くんの会話も見たかったですが、残念ながら収録されてませんでした。

ただし、城田くん殉職=オールアップの現場に多部ちゃんもいて、共演者みんなが城田くんと握手する中、多部ちゃんだけは(城田くんの手が血糊で汚れてるから)人差し指だけで握手するというw、仲良しでなければ出来ない冗談をかましてました。贈る言葉も「お疲れぇー」でしたからw、ほんとに友達感覚なんですね。羨ましいにも程があるw

☆美咲という女性

多部ちゃん「撮影が始まる前の方が、女性らしい女性らしいって思ってたけど、最後の方になって来ると、あんまり意識しなかったですかね… やっぱり刑事だし(中略)慣れて来てっていうか、役を3カ月やって来て、溶け込んで来たのかも分からないですけど、最初は色々考えてたのが無くなって、美咲ちゃんをやってたっていう変化はありましたね」(つづく)

PS. ちなみに画像は、美咲が犯人に殴られ、切りつけられる場面のメイクアップ風景です。

「本当かわいそう」とは多部ちゃんの弁で、自分で演じてる美咲に対して「ちゃん」付けで呼んでたり、すごく客観視してるのが面白いですね。普通の役者さんは、もっと自分自身と混同しがちだと思うのですが。

この後、メイクさんが「台詞は『…伊崎さん』だけだしね」って言ったら多部ちゃん大笑いして、「今日なに言うんだろって台本見たら、『…伊崎さん』しか言わないの」だって。萌えーw いやホント、めちゃ可愛いですから、タベリストはこれ買うべきですよ、やっぱw

『ジウ』メイキング抜粋その2

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※トリビアその4
「なぜか多部さんには優しい、アクション・コーディネーターの田渕さん」…さもありなんw

☆メイサから見た多部未華子

メイサ「多部さんは、実際は基子寄りな部分があるんではないかと、私は思ってるんですけどw なんかこう、割りとサバサバしてる印象を、今回実際お会いして受けたので、意外でしたね。お会いする前はどっちかと言うと美咲寄りと言うか、白と黒で言うんだったらもちろん白のイメージがあったので、実際お会いしてちょっと… 一緒にお酒呑みに行きたいなと思いました(笑)」

☆多部ちゃんから見た黒木メイサ

多部ちゃん「メイサちゃんの方が女性らしいと思います、はい(笑)。なんだろ? なんか、動きが。雰囲気が。メイサちゃんは、あれですよ、きっと。ああいう風に見せてるだけで、絶対違うと… ちょっとこう、カッコイイしクールで、みたいなイメージを誰もが持ってると思うんだけど、もっと付き合っていって、砕けていくと、全然違うんじゃないかと思ってますけど勝手にw」

☆北村有起哉×多部未華子その1

多部「メイキングインタビューで、北村さんどうでしたか?って言われたら、東のキャラを崩壊するような事を言おうと思って(笑)」

北村「(笑)分裂しそうだもんね」

多部「ずっと喋ってます、ってw」

☆多部ちゃんから見た北村有起哉

多部ちゃん「北村さんは面白いですね、なんか。よく動くんですよ、北村さんって。1つのシーンに色んなこと詰め込むんですよ。キャラクターそのものになるタイプなのかな?って初めの方は思ってたんですけど、全く逆でしたね。びっくりしました。お芝居に対してすごく細かくて、だから芝居バカなんだろなぁって、印象です」

☆北村さんから見た多部未華子

北村さん「僕と多部ちゃんともう一人で話してる時に監督が来て、そのもう一人の方に色々指示を出してて、それでごく自然に会話が止まって、僕らもその指示を聞いてるというか、関係無いからこっちで話を続けるっていうんじゃなくて、それはやっぱり関係あるんで、ちゃんと彼女もスッと聞く耳を持って… そういうパートナーであったというのは、恵まれてるというか、嬉しい事ですね。ちゃんと繋がりとか考えて、全体の事が見えてるんだなって」

☆北村有起哉×多部未華子その2

北村「今日、取材で多部さんはどうでしたか?って」

多部「おっ、なんて言ってくれたんですか?」

北村「色々言ったよ」

多部「なんて?」

(中略)

多部「すごい、いい女だと」

北村「いい女?(笑) それって、もう熟してる感じじゃない。熟してるの?」

多部「美咲としてよ、美咲として(笑)。なんて言ってくれたのか気になる!」

(中略)

多部「じゃあ私もインタビューでなんて答えよう? 北村さん、どういう人かなぁ…(じーっと北村の顔を見つめる)」

北村「(渋い顔を作って)温かみのある…」

多部「(笑)温かみがあって、後は?」

北村「非常に、紳士的で…」

多部「紳士的で」

北村「ユーモアもあり、非常に理知的で… ウィットに富んで」

(一同爆笑)

多部「褒め讃えすぎじゃないですか!」

いいなぁ… 有起哉めっ!w

☆多部ちゃんから見たL君(出た!w)

多部ちゃん「ジウっていう役はすごく、難しいと思うんですよね。心に傷があるっていうか…(中略)むしろ、どういう風に思って演じてたのかなって、気になりますよね… なんか、画面では綺麗な、美しい… 殺人鬼って感じでもないから、それもまた難しかったんじゃないかなって思う… 普段ああいう可愛らしい感じだし…うん」

↑慎重に言葉を選びながらも、要は全然なってなかったぞハナクソ!ってw、言ってるようなものでは?(笑)

ちなみにメイサは、素のL君を見てるとジウにもこういう純な子供の部分があるんじゃないかと想像を掻き立てられる、などと語っており、演技についてはあえて触れてませんでしたw

※トリビアその5
最終回放映時に流れたDVD-BOXの告知CMに「私、この日のために、今まで夏をやって来た…ぐらいな気持ちですからね」っていう多部ちゃんのコメントが入ってましたが、あれは最後に東主任が叫ぶ「美咲ーっ!」の声を聞く為に、という意味でした。

多部ちゃん「そうじゃないと、ずーっと東主任のこと想い続けて来て、すごい空回りして、怒ったりとかスネたりとか泣いたりしてるのにw、あれが無いとホント救われないよなーって、思ってたので…」

☆撮影を終えて…

メイサ「連ドラで、こう… 同い年の多部さんと、主演という形でやらせてもらうのが、初めてだったので… どこの現場に行ってもやっぱり、現場の空気って、中心にいる人(主役)が作っていくんだなって、そういう人になれればいいなと思いながら過ごして来たんですけど、簡単な事じゃないなと(笑)。やっぱりまだまだ自分の事でいっぱいいっぱいになるし…(中略)最終的には、大変な事もいっぱいあったけど楽しかったな、いっぱい勉強になったな今回っていう、思いでいっぱいですね」

多部ちゃん「最初から最後まで難しい…作品、でした。突破口がなかなか、見つけられなくて、すごく悩んだ作品ではあったんですが、終わってから色々と気づくんだろうけど… 何とも言えない、すごい難しいなぁっていう印象しか、まだ無いかな。(中略)『ジウ』っていう作品を一言でというよりは、美咲ちゃんを一言で、になっちゃうかも知れないけど… 愛をとことん貫く…っていう感じかな(照)」

ご本人たちが認めてる通り、メイサの方がシャイで気を張ってて、多部ちゃんの方が自然体というか、上記の北村さんとの掛け合いみたいなリラックス・ムードで、キャリアの違いも大きいでしょうけど、多部ちゃんの方が内面の強さを感じさせます。

だから創り手から見ても、多部ちゃんには安定感があるから頼りにしたくなる。ゆえに引く手あまたな現状も納得出来ますよね。

でも、メイサの頑張りがもっと報われて欲しい!とも思います。世間的にはメイサの方が人気女優なイメージでしょうけど、多部ちゃんに比べるとまだまだ不安定な感じがします。

それはともかく、二人とも正直なのが良いですね、ホントに。コメントに嘘や虚飾が無い。このメイキングが面白いのは、そんな二人のキャラあればこそだと思います。

充実の二本立て

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先日、久々に映画館をハシゴしました。田舎にいると、マトモな劇場で観る為には都会(私の場合は大阪)まで出掛けなければならず、往復の運賃だけで3千円近くの出費になるから、観たいのが複数ある場合はまとめて観るに限るワケです。

これまでのパターンだと、メインの1本は良かったけどオマケの1本はイマイチ…まぁオマケはやっぱオマケだなって結果になりがちでしたが、今回は2本とも大当たりでした。しかも両方、最近は低調な印象だったハリウッドのアクション大作です。

☆『リアル・スティール』

こちらは一緒に観に行った友人の薦め(彼は二度目)で観ました。ロボットにボクシングをさせる近未来物と聞くと『トランスフォーマー』みたいな空疎なCG映画を連想しちゃいますから、薦めが無ければ観る機会は無かったと思います。

「○○版『ロッキー』」みたいな例えをされる作品は多いですが、これはまさにロボット版『ロッキー』そのものです。創り手が明らかに、そう意識して作ってます。

ストーリーの構成、登場人物の配置、撮影や編集に至るまで、笑っちゃうぐらいスタローン先生の『ロッキー』シリーズそっくりでしたw

既製の作品をロボットに置き換えただけじゃつまらんだろ、って思われて当然なんですけど、それが驚くべき事に、面白かったんです!w

主人公は、ますますイーストウッド御大に似てきたヒュー・ジャックマン扮する、元ボクサー。選手としては年齢も肉体も限界をとうに越え、ショウビジネスとして定着したロボット・ボクシングの試合にロボットを送り出す、オーナー兼セコンドで生計を立て…ようとしてるけど、うまくいかずに借金まみれの落ちぶれ状態。

妻子はとっくに愛想を尽かして出てったきりだったのが、奥さんが亡くなり、残された11歳の息子は里親に引き取られる事になるんだけど、その里親が海外から戻るまでの数日間だけ、ヒューちゃんが面倒を見る事になる。

負け犬根性が染みつき、愛情なんかどこかに置き忘れて来ちゃった家政婦のミタさんみたいなヒューちゃんが、ロボット・ボクシングを通じて息子との絆と愛情を取り戻して行く展開も、まぁ王道です。

大型トラックでロボットを運びながらの巡業=ロードムービー的な趣は、同じくスタローン先生の『オーバー・ザ・トップ』にも酷似してます。

何から何まで王道であっても、デティールに手を抜かず、見せ方に工夫を凝らし、人物の感情をしっかり描けば、ちゃんと面白い作品に仕上がるんだという、これは本当にお手本みたいな映画だと思います。

父と子、トラック、ロボット、ボクシング… 実に爽快なほど、あからさまに男子向けの映画ですから、女子に媚びなければ商売出来ない日本映画界では、絶対に見られない種類の作品ですね。

でも主役はロボットじゃなくて、それを動かす人間です。その父子を支える女性の存在もありますから、女性客にもぐっと来るであろう場面も少なくないし、老若男女が楽しめる娯楽作品である事は保障出来ます。

☆『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

このシリーズの、間違いなく最高傑作だと思います。ブライアン・デ・パルマ監督による第1作は映像技巧に凝りすぎてドラマが乏しく、ジョン・ウー監督による第2作はジョン・ウーし過ぎてwジョン・ウー以外の要素が乏しく、J.J.エイブラムス監督による第3作はその反動からかロマンスに重きを置き過ぎて、私としては不満でした。

それぞれテイストが違ってて面白いんだけど、毎回何かが過剰、ゆえに何かが足りない印象だったのが、今回はアクション、サスペンス、ユーモア、ドラマの要素が絶妙なバランスでブレンドされてて「これは面白かった!」と、初めて100%満足出来ました。

さらに『ジェイソン・ボーン』シリーズや『この愛のために撃て』等の作品が進化させた、リアリズムとノン・ストップ感も加わって、最初から最後まで緊張感が途切れません。

敵の目的がまた「世界を破滅させる」という単純明快さでw、自分も死ぬ気満々だから相当に手強いです。私がもっとストイックな人間で、天才的な頭脳を持ってたら、ああなるのかも知れませんw

今回の監督は『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』等で知られる、アニメ界の巨匠ブラッド・バード氏で、初めての実写作品だそうです。

そう聞くといかにもCG満載のアニメ的映画を思い浮べるかも知れませんが、全然そんな事はなかったです。

特に、世界一高いとされるドバイのビル上でのスタントは、スリル・ジャンキーとしか思えない(危険であればあるほど嬉々として自分でやっちゃう)トムの面目躍如で、実写でしか味わえない臨場感がありました。

まぁ、私があれこれ書くよりも、IMFメンバーの一人を演じたサイモン・ペッグ氏のコメントが、本作の魅力を的確に表現してると思いますので、以下、パンフから抜粋します。

まずは製作・主演のトム・クルーズ氏について…「彼が偉大な映画スターなのは、偶然ではない。全人生をこの仕事に賭け、徹底して取り組むから、彼の仕事ぶりは人に畏敬の念を抱かせる。彼と一緒にいると、自分も相応しくなりたいと思ってしまうんだよ。『よし、それだけ入れ込むなら、僕もそうしよう。そうでないと遅れを取ってしまう』という感じでね」

『ジウ』メイキングで「主役が現場の雰囲気を作っていく」ってメイサが語ってたのは、そういう事なんだろうと思います。口であれこれ言うより、自分自身の姿勢で示すって事ですね。

そして、作品そのものについて…「皮肉な考え方がはびこって、関わり合いも欠如して来て、ハリウッドはシネマというアートや良い映画作品を作る事よりも、人々が買いたがるものを割り出そうとするマーケティングの人間によって、少しばかり侵略されて来た」

今の日本のメジャーは、まさにそういう状態に陥ってる事が自分達で分かってても抜け出せない、どん底の泥沼状態だと私は思います。もちろん、例外はありますが…

「今回の映画の楽しさは、心と頭がある事じゃないかな。頭の切れるストーリーと、昔ながらの心地よい感覚を持ち合わせてる。テクノロジーの使い方やアクションの使い方は途方もなくモダンなんだ。観る者の頭を吹っ飛ばす、賢い映画だよ(笑)」

アイデアだけじゃなく、ちゃんとハートがこもった映画って事ですね。なので、皆さんにも自信を持ってオススメします。どちらも公開中です。

今回は2本とも、王道ならではの良さを存分に味わえる娯楽作品ですが、個人的にはやっぱり、ロボットじゃなくて人間が、人間を殴ったり蹴ったり撃ち殺したりするトム映画の方を、こよなく愛してます(笑)。

『ラッキーセブン』#01

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ああ、つまんない。ハイパーつまんないw これってフジの「月9ドラマ」だったんですよね。月9なんぞに少しでも期待しちゃった私が馬鹿でした。この枠は本当にもう、腐りきってますね。

何が腐ってるかと言えば、いわゆるクリエイティビティーってやつでしょうか。新しい何かを生み出したいとか、視聴者に何かを伝えたいとかいうスピリットが完全に抜け落ちてて、マーケティングの事しか頭に無い。

誰を出演させ、何をやらせたら若い子が食い付き、流行を生み出せるか? それを重要視すること自体は否定しませんけど、それしか頭に無いのではクリエイターじゃない、ただの商売人です。

最初にそれありきでも構わないけど、そこ(企画成立)で思考がストップしちゃって、後の創作過程が本当に工場の流れ作業みたいになってるのが、画面からヒシヒシ伝わって来ます。

たぶん、松本潤とかいうつまらないルックスの男で何か作れ、とジャニーズから圧力がかかり、とりあえず前からスケジュールを押さえといた瑛太くんを準主演に据えた時点で、スポンサーは安心してGOサインでしょう。

瑛太くんと言えば映画『ワイルド7』に主演したばかりだから、タイトルは『なんとかセブン』で行こう、まぁとりあえず『ラッキーセブン』にしとこうか、って適当につけた仮題が、なし崩しにそのまま本採用w

さて7人でやるとしたら、やっぱ刑事物かな? でも月9の視聴者には向いてない。え? 大泉洋のスケジュール押さえた? じゃあ探偵だな。彼、なんか探偵物の映画やってたじゃん、観てないけど。話題になったんでしょ?

なに?『家政婦のミタ』がえらい視聴率稼いでるって? よっしゃ、松嶋菜々子をすぐに押さえろ! え? 本人は休みたがってる? ちっ、天下の月9も軽く見られたもんだぜ。

じゃあ、出番少なくすりゃいいじゃん。そう、ボスを彼女にしちゃいなよ、You、しちゃいなよ。ボス役なら2週間に1回だけ来てもらって、まとめ撮り出来ちゃうからね。You、しちゃいなよ。

ボスのキャラは、ミタさんみたいにミステリアスな女で行こう。瑛太は『ワイルド7』の流れでワイルドな肉体派。あとは誰を押さえてあるの? 仲里依紗? じゃあお色気担当に決まってるじゃん。

あん? 松本潤をどうするかって? アホか、お前。乳首かお前は!? 乳毛!! ニヒルな遊び人だけど根は優しい、みたいなキャラ以外、マツジュンに何が出来るのよ?

マツジュンには難しい事やらせるなって、ジャニーズからお触れが来てんだよ。余計なこと考えるな。視聴者だってそういうマツジュンを見たがってんだから、それでいいんだよ。

いいか? ええか? ええのんか? 新しいドラマも良い作品もいらない。売れる商品を作れ! You、しちゃいなよ!

…真面目な話、本当にこんな姿勢でドラマ作りしてるとしか思えません。いや、こんな姿勢でドラマ作りしてたって、別に構いません、面白ければ。でも、やっぱりそれじゃ面白くならないですよ、当然ながら。

何が流行ってるか、何が流行りそうか。マツジュンや瑛太くんがどんなシチュエーションで、どんな台詞を言えば若者が喜ぶか。それを箇条書きにして、適当に並べただけ…としか思えない脚本。面白くなるワケがない。面白くする気も無い。

で、若い視聴者も別に面白さなんか求めてない。「マツジュン、かっけー」とか「瑛太、つえー」とか、話題にさえ出来ればどーでもいい。需要と供給が、それで成立してるんでしょう、きっと。

破滅ですね(笑)。少なくとも、月9ドラマの作り手と月9ドラマの視聴者は、破滅です。さようなら。

それにしても、松本潤とかいうつまらないルックスの男、本当につまらないですね!w 顔もつまらない、髪型もつまらない、体型もつまらない、服装もつまらない、演技もホントつまらない。

過去、リメイク版『隠し砦の三悪人』でしか彼の芝居は見てないですけど、全く同じキャラと演技だし、作品自体どうしょうもなく、つまんなかったです。さんま師匠風に言えば、つまらない教の教祖か! でんがなまんがな!

ついでに言えば松嶋菜々子さんも、『家政婦のミタ』がまるで幻だったかのように、全く魅力が感じられませんでした。

いや、全てのキャラクターが一面的なステレオタイプで、そうそうたる豪華キャスト全員が、見事にその魅力を封じられてるように私は感じました。全員がつまらない。ある意味、すごい…

そんなワケで、このドラマは二度と観ません。なぜなら、つまらないからです。

最近、阿部ちゃん並みに引っ張りだこの多部ちゃんですが、どうか月9ドラマにだけは出ないで下さいm(__)m

なぜなら、つまらないからです。

『ダーティ・ママ!』#01#02

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なんとかセブンみたいに、つまんなくはないですw 面白い人が主役だし、伝えたいテーマもちゃんと見えてます。でもこれは、100%女性向けのドラマですね。

ろくでなしの旦那に見切りをつけ、子連れ狼スタイルで捜査する中堅刑事・永作博美さん。交番勤務の恋人との格差婚に踏み切るか否か、迷う新米刑事・香里奈さん。

そして第1〜2話のゲスト・西田尚美さんは、男に依存しないと生きて行けない女性で、究極の自立型である永作さんと対比して描かれてました。

要するに、女性の生き方、仕事への取り組み方っていうのは結局、男とどう関わって行くか?が何より重要というか、それが全てと言っても過言じゃないのかなぁって、このドラマを観て私は思いました。

男に媚びないで自立するのか、あるいは男に寄り掛かるか利用するかして生きるのか… 番組としては前者を圧倒的に支持してる感じですけど、そんなの人それぞれ、好きにすりゃええやん!ってのが、正直な私の感想です。男なら大抵、そう思うんじゃないでしょうか?

でも女性にとっては、身につまされたり指針を発見したりする、興味深い内容であるのかも知れません。だから、これは100%女性向け。

刑事ドラマとしてはハッキリ言って、かなり食い足りないです。ダーティ・ママと言う割りにはダーティーさが中途半端。

ベビーカーに色んなギミックが仕込んであったり、自分の子供をダシに使って容疑者に探りを入れたり、拷問は自分の手を汚さず後輩の香里奈にやらせたり、盗聴、盗撮と、確かにダーティー刑事なんだけど、この程度の事なら過去の刑事物でもやってました。手ぬるい!w

それを誤魔化す為なのか、腐った卵を武器に使ったり、そのせいで悪臭がまとわりつくのをネタに延々引っ張ったり、そっちのダーティーかよ!っていうギャグにしてましたけど、腐った卵程度じゃ手ぬるいですw 視聴者から苦情が殺到する位のことをやらないと、ギャグにはならないでしょう。

特製ベビーカーを押して出勤し、子連れで捜査する女刑事って設定に対して「あり得ない」みたいな声も出てるでしょうけど、その点に関しては「あり」だと私は思います。

『デカワンコ』のロリータファッションと同じで、主人公の生きざまを象徴するアイテムだと思うし、絶対にあり得ないとは言い切れないですよねw

でも、あのベビーカー、装備がやっぱり手ぬるいですw 子連れ狼を意識するなら、マシンガンは必須でしょう? 防弾仕様にはなってるみたいだけど、攻撃力が無い。ダーティ・ママを名乗るなら、ロケット・ランチャー位は仕込まなきゃ駄目ですよw

何ならロケット・パンチが撃てるとか、それ位はっちゃけないと、この手の話は面白くならない、と私は思いますけど… まぁ女性向け番組ですから、そういう部分は淡泊ですよね。

キャストですが、永作博美さんは確かに面白い芝居をされる方で、見てて飽きないけれど、ずっと見ていたくなるような吸引力は感じないです、私は。ルックスも好みじゃないしw

香里奈さんに関しては更に、全く魅力を感じません。これはあくまで好みの問題ですから、女優としてどうって話ではないです。お芝居はまぁ、普通じゃないでしょうか?

ただ、彼女が永作さんにさんざん振り回された挙げ句、最後にプッツンして丁丁発止の口喧嘩になるのが、どうやら毎回のお約束、かつ見せ場にもなってるみたいだけど、これがイマイチ面白くないんですよね。

不毛な話だけど、これがもし多部ちゃんだったら、あるいは多部ちゃんに匹敵する位の才能を持った女優さんだったら、その場面見たさに毎回チャンネルを合わせる事になったかもなぁ…とは思います。チャンネルを合わせるなんて、今どき言いませんか?w

そんなワケで、本作もこれにてリタイアかな… いや、もう1回ぐらい観てみようかしら? 迷うところです。

『デカ黒川鈴木』は第2話の途中で寝ちゃったままリタイアw 今期の連ドラは私にとって(大河と朝ドラは別にして)全滅になりそうな気配です。

『つばさ』22 (前)

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半月ほどのブランクがありましたm(__)m どっぷり浸かってる間は麻痺してましたが、久々に帰って来ると、『つばさ』っていうのはつくづく、辛口なドラマだなぁとw、あらためて実感しますねホントに。

そんな部分にまでメスを入れるか!ってw、普通ならあえて触れない部分にまで触れてくれるから、もうヒリヒリしますよね、心が。今回も、色々と考えさせられました。

☆新しい朝
大黒柱・竹雄さんが戻って来て、部屋割りも新たに心機一転の玉木家。サッカー雑誌に、つばさの親友で出版社に勤める万里(吉田桂子)の書いた記事が初めて掲載され、話が弾みます。

もちろん、万里の両親である宇津木夫妻も大はしゃぎ。「20冊も買っちゃったから。ウヒヒ!」っていう頭の台詞は、皆のリアクションから見てアドリブっぽいですねw

当の万里本人も、充実して元気いっぱい…に見えるのですが…

お陰で自分も元気を貰ったと言うつばさは、ラジオぽてとの新企画として、何かにチャレンジする人を応援する 「川越チャレンジ」のコーナーを提案し、真瀬らの賛同を得ます。

そんな折り、秀樹が甘玉堂を訪ねて来ます。竹雄に言いたい事があるみたいです。

「あんたの覚悟を聞きに来た。誓えるか? 二度とカノン(加乃子)に悲しい思いはさせないと」

ビバマリアやつばさ、麻子にまで目をかける秀樹ではありますが、それもこれも全て、加乃子への想いの代替行為と言えましょう。冷める前に引き裂かれた愛だから、いつまで経っても消えないんですね。

竹雄は何も言わず、加乃子と二人で今取り組んでる菓子「鹿の子」の新バージョンを差し出します。鹿の子は、竹雄が加乃子との結婚を先代に許してもらう、きっかけになった和菓子なのです。

「思い出の菓子で、再出発ってワケか…」

それを食べて、何かを確信すると同時に、切ない目をする秀樹に、また泣かされます。何も言わずに立ち上がった秀樹は、加乃子に「良かったな」とだけ言い残し、出ていきます。

表で頭皮を鍛えながら待っていた翔太(タニオ・チクビッティー)に「こっちの方はもう安心だ。後は、広場だ」と秀樹は言います。広場とはラジオぽてとの事ですが、秀樹は安心を確認して、一体どうしようと言うのでしょうか…

☆チャレンジ
つばさからチャレンジしたい事は何か?と聞かれても、特に無い、としか言えない弟・知秋。

「無かったら駄目? チャレンジって言葉はプレッシャーだよね。持ってないのが悪い事みたい」

私自身、一緒に仕事する若い子らに、会話のきっかけとして将来の夢とか尋ねるんですけど、大抵は「別に無いです」で話が終わっちゃう。

オッサンと会話するのが面倒臭いんだなと最初は思ってましたが、どうやらそうじゃなくて、みんな本当に何も、やりたい事が思い浮かばないみたいです。

特に今は、夢を持ちづらい時代。高校生の内に映画監督という目標を見つけられた私は、たまたまラッキーだっただけかも知れません。

実際、今の私には何の目標もありません。そう、夢も希望も無い。無かったら駄目? 気持ちが解るぞ、知秋! 見られて恥ずかしい体はしてねーぞっとw

「こんなの、私の記事じゃない」

万里は、両親には聞かせられない本音を、つばさと知秋にだけ洩らします。万里の書いた原稿は、実際には上司による添削だらけで、ほとんど先輩記者が書き直した物だったんです。

万里が独自で取材してるネタについても、上司からは「時間の無駄」と吐き捨てられる。それでも万里は、無理して笑顔を振りまいてしまう。彼女は、そういう人なんです。

☆大輝くん
川越チャレンジのコーナーに「川越ジュニアサッカーチームのレギュラーになりたい」という投書FAXが寄せられ、つばさが取材に向かいます。川越ジュニアは昔、つばさと翔太が所属してたチームです。

投書したのは大輝くんっていう少年ですが、小学6年生にして万年補欠、見るからにサッカー選手の素質は無さそうな子です。

チームメイト達から投書を冷やかされ、「レギュラーっていうのは応援団のレギュラーって意味だよ、HO! HO!」と独自のノリでwおどけて見せる大輝くんは、あの人に似た性格なのかも知れません。

万里が独自で取材してたのも、実はこの大輝くんでした。

「まぁ(レギュラーは)無理かも知れないけど、だから応援のし甲斐があるんじゃない」

つばさが軽い気持ちで言った言葉に、万里の表情がふと曇ります。万里はどうやら、才能が無いのを自分でも分かっていながら諦めない大輝くんに、万里自身を重ねて見てるみたいです。

川越チャレンジに数々寄せられる投書の中には「甘玉堂の職人になりたい」という、知秋からの物もありました。彼は今までそんな発言をした事が無かったので、玉木家の面々は戸惑います。

「冗談だよ、忘れて」

知秋は、家族のみんながどう反応するのかを、見てみたかっただけだと言います。誰も知秋には将来の事を言わないで来たのが、いつまでも子供扱いされてるようにも感じてたみたいです。

☆万里の怒り
大輝くんの事を「もし番組が励みになってレギュラーになれたら、面白いよね」と言ったつばさに、「面白い?」と怒りを露にする万里。

「私の仕事の邪魔しないで。これ以上、大輝くんに関わらないで!」

つばさには、万里がなぜ急に怒り出したのか、理解出来ません。正直、私も最初は解りませんでしたw 彼女が大輝くんに自己投影してるのは分かるんだけど、つばさの言葉の、どの部分が彼女の怒りに火を点けたのかが、いまいち分からない。

色々と考えてみて私が出した答えは、これは万里の、つばさに対するコンプレックスの顕れなのかな?と。万里は運動音痴みたいだから、サッカーが上手かったつばさに負け、モミアゲを巡る恋のバトルにも負け…

大人になって就職すれば、みるみるラジオぽてとの中心を担う存在になり、皆から愛されてるつばさ。今のところ会社のお荷物扱いされてる万里から見れば、つばさは眩しい存在というより、嫉ましい存在である方が、人間として自然だと私は思います。

だから、万里が思い入れタップリに取材して来た大輝を、軽い気持ちで取材してるつばさが許せなかった。しかも、万里の取材は「時間の無駄」とまで上司に言われて、またもや味わう敗北感…

後に万里はさらに怒りを爆発させますが、その背景には積もり積もった嫉みの感情があった…と解釈すれば、辻褄が合っちゃいます。

そんな万里のダークサイドは、ストーリー上ではあえて語られてないけど、『つばさ』スタッフの事だからw、それ位にどす黒い事は考えてても不思議じゃないですよね?

それを踏まえて観ると、この後の展開に対する感じ方が、踏まえないで観るのとはまるっきり違って来ちゃいます。そこが『つばさ』の恐ろしさですねw

☆ラジオぽてとの運命
町の実力者・城ノ内房子様が、秀樹の斎藤興業を訪ねて来ます。

「経営が火の車の割りには、落ち着いてるじゃないの」

実は資金繰りに苦労し、銀行への返済が滞ってるらしい秀樹。そんな状態なのに彼は、甘玉堂の借金や川越キネマの家賃を待ってくれてたワケですね。

房子様は、川越キネマの土地を売らないか?と秀樹に持ちかけます。再開発計画に本来使われる筈の土地であったと同時に、つばさが働くラジオぽてと、引いては千代さんへの遺恨がその動機みたいです。

もちろん秀樹は「あそこは、私の最後の夢です」と言って断りますが…

「夢ねぇ… 一人で見る夢は、淋しいものよ」

房子様もまた、ああいう人だから孤独なのでしょう。秀樹と組んでビジネスがしたい思惑もある様で、簡単には諦めそうにない気配です。ラジオぽてとの運命やいかに!?

☆万里、爆発!
大輝くんがラジオぽてとを訪れ、投書FAXを返して欲しいと言い出します。それはすなわち、サッカーチームのレギュラーを諦める事を意味します。

「応援されるより、する方が性に合ってる。だから応援団で最後まで頑張る」

最初は引き止めようとしたつばさですが、本人がそうして腹を決めたなら、外野からとやかく言うワケにもいきません。

「ピッチで戦うのだけが、レギュラーじゃない。私は、応援団の大輝くんを応援する」

つばさはそう言って、夢を諦めた大輝くんを受け入れます。その判断は、決して間違ってない…ですよね? 私がつばさの立場だったら、全く同じ事を言うと思います。ところが…

「大輝くんに何をしたの? 何が応援よ! 夢を諦めさせる事が応援だって言うの!?」

万里が、親友・つばさに対して怒りを爆発させます。

「レギュラーになれなくても、健気に頑張ってる大輝くんがウケると思ったんでしょ? 番組が盛り上がって、リスナーが喜べばそれでいいんでしょう!?」

傍で聞いてる真瀬にも、痛すぎる言葉です。それを言っちゃ、おしまいよw いやホント、ここまで怒るのは尋常じゃない。

万里は大輝くんを取材し続ける事に関して、会社の上司からこう言われました。

「取材対象は、お前の分身じゃない。努力は報われるって事を証明したいなら、その子をアテにするな。自分でやれ!」

アイデンティティーを見失いかけてる万里にとって、大輝くんは心の拠り所だった。かつては翔太の存在も、そうだったのかも知れません。それをまたしても、勝ち組のつばさに奪われた…

この解釈が当たってるとしたら、私は今回もやっぱり、つばさよりも万里に共感しちゃいます。しかもつばさは、何でも出来ちゃう事を鼻にかけない純真さまで備えてる。どうあがいても勝ち目が無いですよね、ホントに。

…今回のレビューは一回で済むと思ってたのでw、後半の場面しか画像が用意出来てない事をお許しくださいm(__)m

心の拠り所を、アイデンティティーを取り戻すために、そして(これは私の独自解釈ですが)親友・つばさへの嫉みの気持ちを解消するために、万里がとった行動とは?

(またもや、つづくw)

『つばさ』22 (後)

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そもそも、自分の限界を悟って夢を諦める事が、そんなにいけない事なのか? 何もしない内から諦めたんじゃ、そりゃ話にならないけど、ある程度やれば見えて来るものもあります。

私の場合、やるだけやったから未練は無いって思ってる反面、やろうと思えばまだまだやれたよな…っていう思いもあったりはします。

でも、創りたいものが無くなったんだから、やり続けてもしょうがない。←そう考える事は逃げなのかな?とも思うし、まだやれたと思う事こそが逃げ、なのかも知れないし…

どっちにしても、自分で考えて出した結論ですから、悔いはありません。でも、私の周囲にいる人達からすれば、やっぱ「勿体ない!」としか言いよう無いのかも知れないですね。

『つばさ』はセラピーに似てる… 何度かそう書きましたが、「癒し」の世界って基本的に、「どんな自分でも受け入れる」「そのままのアナタでいい」「頑張らなくてもいいんだよ」みたいな事だと思います。「頑張れ」は禁句なんです。

ところがこの第22週は、真逆の考え方を提唱してるんですよね! 何を言ってるんだ、本当にやるだけの事をやり切ったのか? 簡単に諦めないで、もっと頑張れよ!って。

それでも、『つばさ』の作劇がセラピーを意識してるって解釈は、決して見当違いじゃないと私は思います。意識してるからこそ、自分達は全面的に「癒し」を支持するワケじゃないからね、誤解しないでねっていう、創り手のエクスキューズだったんじゃないでしょうか?

だって、この週の最終日、「頑張れ」って言葉が一体、何回使われた事か?w あそこまで執拗に「頑張れ」を連呼するのは、普通じゃないですよね。普通じゃない事には、必ず何かの意味が込められてる。

そんな事まで想像させられた第22週は、本当に味わい深いエピソードだったと思います。

↑と、ここまで書いた所で皆さんのコメントを読んだら、やっぱセラピーは全然関係無いような気がして来ましたw

「頑張れ」の連呼は「頑張れ円谷」へのオマージュみたいだし、『走れメロス』とのリンクとか、女性ライターさんの「脚本協力」が通常の『つばさ』と違う空気を生んだとしたら、アンチ「癒し」とかっていう意識は別に無いですよね、きっと。

ま、どっちでもいいじゃないですかw 我々が勝手に解釈したり推理したりして書いてる事の、大半は「別にそこまで考えて創ってないよ」って作者さんに言われちゃうような事かも知れないし。それを言っちゃミもフタもないですがw

☆信じる力
ボインボイ〜ン麻子さんの店に、竹雄、鳶の頭、鈴本社長の三馬鹿トリオが久々に揃います。そこに秀樹がやって来た途端、オンナの顔になる判り易い麻子さんw

「信じて見守る。それも愛ですよ」

壁にぶつかり、もがいてる娘や息子達を心配する三人に、秀樹はそう言いました。

この週のサブタイトルは「信じる力」で、自分を信じるって意味もあるでしょうけど、どちらかと言えば見守る側の信じる力を指してる感じです。

当初は「元気をあげる」ってサブタイトルだったとの事で、それは万里の視点に立ってる感じなので、この変更はけっこう大きいなぁと思うのですが、どういういきさつだったんでしょうね。

「川越チャレンジ」に甘玉堂の職人になりたいって投書を出して、家族の反応を試した知秋ですが、「誰かに決めてもらうんじゃなくて、自分の中で答えを出さないと」と思い直した模様です。

「急がなくていいよ、知秋の人生なんだから。知秋の決めた道なら、お父さん応援するから」

秀樹にヒントを貰った竹雄は、知秋の事も信じて待つことにしました。まぁそれにしても、つくづく、つばさにしろ知秋にしろ、信じるに値するしっかり者によく育ったもんです。

☆無謀な挑戦
つばさは、軽率な発言で万里のプライドを傷つけた事を謝りますが、万里はもはや、自分自身に対して諦めムードです。

「無理だって、誰が決めるの? 万里自身が勝手に、自分の限界作ってるだけじゃない」

つばさは、いつになく厳しい言葉で、万里にゲキを飛ばします。反論されると考え込んじゃう事が多かったつばさですが、今回に限っては引きません。

「自分の限界だと思ってたのは、限界じゃなかった。飛べなかったんじゃなくて、飛ぼうとしなかっただけ」

自分自身の経験で得た実感を語るつばさですが、ますます火に油を注ぐ結果になり、万里の怒りはMAXに達します。つばさは万里を発奮させる為に、わざと痛い所を突いたのでしょうか?

つばさの言った事は、まさに正論だと思います。壁を乗り越えた人だからこそ言える事です。

でも、誰もが同じように乗り越えられるのか? あんたは出来る人だから、出来ない人間の気持ちが解らないんだよ!…って、私ならイジケて、それで終わっちゃうかも知れませんw

でも、万里は違いました。つばさへの怒りをバネにして、次の朝、万里は無謀な挑戦状を「川越チャレンジ」に叩きつけます。

それは、42.195kmのフルマラソンを完走すること。つばさは驚きます。万里は学校の5kmマラソンでも完走するのがやっとだった位、運動音痴の虚弱体質。下手をすりゃ、命の危険にも繋がりかねません。

「私の限界は、私が決める。奇跡が起こるかどうか、やってみなくちゃ分からないじゃない」

万里にそう言われては、つばさに返す言葉はありません。そのまんまの事を昨夜、つばさ自身が言ったんだから。

もちろん万里は、つばさへの対抗心だけで、こんな無茶を言い出したワケじゃないでしょう。

自分にだって、壁を乗り越えられるパワーがあると信じたい。それを確かめたい。仕事を続ける為に、これからの人生を恐れずに進んで行く為に。そして…

「人はさ、誰かのために強くなれるんじゃないか?」

ラジオの男がつばさに言った通り、大輝くんや、やる前に諦めてしまう全ての人のために、万里はチャレンジする。

それと、前回書かせて頂いたように、親友・つばさに対して抱いて来たコンプレックス、嫉みの感情をクリーンにするには、つばさでも簡単には出来ない事をやり遂げて、精神的に対等な位置まで自分を向上させるしかない。

勿論それは、これからもつばさと親友でいたい気持ちがあるから、なんでしょうけど、私はふと思いました。万里はつばさに対して実は、また違った感情を持ってるのではあるまいか?と。

私が何を思いついたのか、鋭い読者さんなら既にお見通しかも知れませんが、これについてはまた後ほど書かせて頂きますw

☆万里、頑張れ!
万里のチャレンジが決行される当日、現場の実況を浪岡に任せたつばさは、ラジオぽてとのDJブースから、万里の様子をリスナーに届ける役目を担います。

「離れていても伝わる。それがラジオですから」

まさに、秀樹が言った「信じて見守る」…つばさの愛ですね。そう、愛なんです。愛…

万里は走ります。汗を流して必死に走る姿、その映像から伝わるエモーションを、文字で表現するのは不可能です。ここはもう、想像にお任せしますm(__)m

ラジオぽてとに続々と届く応援メッセージ、足を運んで集まって来る市民達、信じて見守る万里の両親… 『つばさ』としては珍しい、王道の展開ではありますが、今回のエピソードに捻りやどんでん返しは不要でしょう。

万里を演じる吉田桂子さんは、本当にかなりの距離を走られたみたいですね。表情や身体の動きから、その苦しみと痛みが伝わって来ます。この説得力もまた、映像作品ならではですね。

とうに限界を越えて、精神力だけで前進する万里ですが、ついに倒れちゃいます。みんなの応援する声に混ざって、大輝くんの叫びも聞こえて来ます。

「お姉ちゃん、奇跡見せてよ! 僕に奇跡を見せてよ!」

だけども、起き上がる力すら残ってない万里。DJブースのつばさは、万里にはラジオの音が聞こえない事を分かっていながら、声援を送ります。

「万里、がんばれ。万里、がんばれ。万里、がんばれ。万里、がんばれ… 万里、がんばれ! がんばれ! がんばれ! がんばれ!」

知秋の機転により、イヤホンでその声を聞いた万里が、奇跡を起こします。僅かな力で立ち上がった万里は、ゴール地点であるラジオぽてとに向かって…

☆ふたりの絆

「うつーぎまーり! うつーぎまーり! うつーぎまーり!」

フルネームを連呼する応援コールは、いつぞや落ち込んだつばさを励ます為に、万里が始めたものです。それが真瀬を励まし、やがて万里自身に返って来たワケですね(涙)。

万里はついに、ゴールします。奇跡を起こしたんです。自分の為に、大輝くんの為に、やる前に諦めちゃう全ての人の為に、そして…

「ちっぽけなチャレンジだこと」

『ロッキー』で言えば「エイドリア〜ン!!」なこの場面に、房子様の吐き捨てるようなつぶやきを挿入しちゃう『つばさ』はやっぱ、普通じゃない(笑)。にしても房子様、しっかりラジオ聞いてらしたのねw

声援をくれた皆に、泣きながら感謝を述べる万里の姿には、演技を超えたものがありましたね。本気の涙だと思います。

この第22週は、女優・吉田桂子にとっても一世一代の晴れ舞台。全身全霊で演技した充実感と、支えてくれたスタッフ・キャスト全員への感謝の気持ちが溢れてるように見えました。

現在、たまに脇役で姿をお見かけするものの、つばさ=多部ちゃんとの格差は広がる一方である吉田さんの現状を思いながら観ると、この場面の万里がいっそう輝いて見えます。

「諦めるのは、やり切ってからでいいよね」

万里の想いは、大輝くんにも100%伝わりました。

「いい広場になったな。もう、思い残す事はない…」

秀樹、何を考えてる?

「俺も、チャレンジしたくなった」

なにを言う、君はもう立派なチャンピオンじゃないか、チクビッティー。主演男優賞だしw

…さて、わだかまりを払拭したつばさと万里は、また一段と絆を深めました。ただ、二人の間にある格差みたいなものが全部消えて無くなったワケじゃないから、今後もまた衝突する事はあるでしょう。

普通なら親友じゃいられなくなりそうなもんだけど、この二人なら大丈夫でしょうね。

嫌われるのを覚悟の上で、あえて万里に厳しい言葉をぶつけたつばさ。そんなつばさに怒りをさらけ出し、だけど背中を向けず、挑み、倒れて、つばさの声で立ち上がった万里…

そう、あの時。万里は両親を含む皆の声援や、大輝くんの叫びを聞いても立ち上がれなかったのに、つばさの声を聞いて、奇跡を起こしました。

それは何故でしょう? 単につばさが主役だから? いや、違う。私はふと思いました。これは、ありきたりな友情じゃないとw そう。愛です、愛。つばさと万里は、百合なんです!(笑)

今回、万里がつばさに激しくぶつけた怒り。大輝くんへの想いが共有出来ない、温度差があるからって、あんなに激しく怒るのは尋常じゃない。愛してるから怒るんですw

不可能と思える事に挑戦し、自分自身を向上させようとしたのは、つばさと精神的に対等な位置に立ちたかったから。

それは嫉みの感情を解消する為と言うより、例えば学校で成績の悪い子が、愛する異性(優等生)と同じ大学に合格する為に猛勉強する、みたいな事だったのかも知れません。いや、そうに決まってますw

万里はなぜ、マスコミの仕事を選んだのか? つばさがラジオ局に就職したからではなかったか? 万里がなぜ、あんなモミアゲを好きになっちゃったのか?w 愛する人が好きな相手は、自分も好きになっちゃうからじゃないですか? て言うか単に、カモフラージュでしょうw

そう思い込んで第22週を観直してみて下さい。きっとドキドキしちゃいますよw

剛力ちゃんetc

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☆『ティーンコート』

初回は見逃したのですが、第2話を観てみました。ティーンコートってのは、少年犯罪を未成年の裁判員に審議させる制度で、アメリカでは実際に施行されてる地区があるそうです。

とは言っても若者向けTVドラマですから、捜査物のティーン版、古くは『少年探偵団』とそれほど変わらないであろう事は、予想してました。だから内容に関して新鮮味はありません。

観てみようと思った動機は、ひとえに主演の剛力彩芽ちゃんです。

yamarineさんがブログで推しておられたのと、この若さで深夜ドラマとは言え主役を張るからには、そりゃあ何か持ってる子なのは間違いなかろうと。

他の何かでブレイクして、その人気にあやかって…みたいな起用じゃなさそうですから。それと、一度聞いたら忘れない、剛力彩芽っていう名前の響きが、どんな子だろうって興味を沸かせました。名前って大事ですよねホントに。

でも実は、NHKのコント番組『祝女』で先に目撃しちゃいました。可愛いし清涼感もあり、しかも堂々たる存在感で、企画さえ合えば朝ドラのヒロインも時間の問題かな?と思わせるオーラが、確かにありました。

元来、ショートカットが似合う中性的な女子が好きでして、それで演技力もあるとなれば、そりゃ目を奪われちゃいますよね。画像のとおり、実に良い面構えをされてます。

とは言え、今は多部ちゃんを追いかけるのに忙しいですからw、どこかの番組でまたお見かけ出来たら良いですね、って感じでしょうか。少なくとも大河には出るでしょうし、朝ドラは巡り合わせ次第だけど、土曜ドラマで主演ぐらいは、遠からず実現しそうな気がします。

あ、『ティーンコート』も悪くなかったですw 相手役の男子にも好感持てますし、笑いのセンスもまずまずでした(何様やw)。でも、新しくはないですよね、やっぱり。

だから、多部ちゃんを出すか、剛力ちゃんが毎回脱ぐかしない限りは、吸い寄せられる事は無さそうです。

☆『最高の人生の終わり方』

山下智久とかいう、つまらないルックスの男が主演だけど、葬儀屋さんと警察が絡んで行くドラマって事で、ちょっと面白そうなんで観てみました。

まず、主役の山下智久とかいうつまらないルックスの俳優が、つまらないです。松本潤とかいうつまらないルックスの男と、2012年度カワデミー賞・最優秀つまらないで賞を争うこと必至ですね。

こんなつまらない人が、本当に矢吹ジョーを演じたんですか? でも、そのボクシング映画は評判悪くなかったですから、このドラマが彼の面白みを封殺してるのかも知れません。

だって、あの山崎努さんですら、このドラマでは全然面白くないんですから。面白いっていうのは別に、タニオ・チクビッティーみたいに笑わせてくれる事だけじゃないですよ、念のためw

切なかったり恐かったり、何らかの感情を引き起こしてくれる芝居が面白いって事なんですけど、山崎さんがいくら味のある台詞回しを披露してくれても、何の感情も沸きませんでした。

主役のつまらない人が、仕事上で精神的に追い詰めた相手が自殺したと知り、「人生最悪の日だ」って落ち込む場面には、さすがに心が動きましたけど、そんなシチュエーションなら例え小島よしおが演じたとしても、ぐっと来ますよ、そりゃ。…いや、さすがにそれは無いかw

でもねぇ、その自殺したと思われた人が、実は事故死だったと最後の最後に判明して、ハートフルな展開に持って行く手口が、『ティーンコート』の第2話と丸かぶりなんですよね(笑)。

つまり、よく使われるパターンなんです。もちろん『太陽にほえろ!』にもそんなエピソードはありました。各刑事ドラマで一度は必ず使う手じゃないですか?

いや、手垢の付いたパターンを使うこと自体は、別にいいと思うんです。捜査物のパターンなんて限られてますから、それをどうアレンジして、そこから何を伝えるかによって、作品の個性が生まれて来る筈です。

だけど、このドラマを観てると、みんなで持ち寄った「泣ける話」のパターンを書いたカードを、適当に1枚選んで使っただけ、としか感じられないんですよね。

主役のつまらない人の、父親との関わりとかも、葬儀屋さんという職業の捉え方も、自殺したと思われた人の幼い息子の扱いも、前田敦子ちゃんの足の障害も、家族写真やアメ玉に代表される小道具の使い方にしても、全部そういうカードを羅列しただけにしか見えなくて、ちっとも泣けやしません。

『南極大陸』や『ラッキーセブン』と同じ作り方です。人物設定もストーリーも、何もかも「記号」でしかない。葬儀屋という職業を題材にしたのも、『おくりびと』みたいに泣ける話が作れそうだから選んだだけ、にしか見えないです。

でも『おくりびと』って、このドラマみたいに「泣かせる事ありき」で作られた作品とは全然違う、と私は思います。ただ、人が死ぬという事がどういう事なのかを、客観的に描こうとしただけ。

だけど観客は、勝手に自分の身内の死を想像したり回想したりして、その結果、泣いただけなんです。演出はむしろ淡々と、コミカルだったりする。だからこそ泣けるんです。

さぁ、泣ける話をズラッと並べましたよ、いつでも泣いて下さい、今すぐ泣いて下さい、どうしたんですか泣けないんですか、あなたそれでも人間ですか?みたいなドラマを観せられても、泣けるかい!!(笑)

いやぁー、前クールの盛り上がりや『それでも、生きてゆく』の感動が嘘みたいに、今期の連ドラはちょっと酷くないですか? 『南極大陸』の惨敗から何も学んでないのでは? 困った困った、こまどり姉妹。

『つばさ』23 (前)

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『太陽にほえろ!』が放映開始10周年だった1982年(て事はもう、30年前の話ですねw)、それはまさに激動の1年でした。

スコッチ(沖雅也)、ロッキー(木之元亮)、長さん(下川辰平)、そしてゴリさん(竜雷太)と、長年に渡って番組を支えて来たレギュラーメンバーが、殉職や転勤という形で相次いで降板されたんです。

そのつど、入れ代わりに新しいメンバーが投入されましたから、結果的には視聴者層も含めて若返り=活性化を果たし、それが無ければ更に5年も番組を継続する事は出来なかったって、今だから思えるけど、当時はかなりショックを受けたものでした。

特にゴリさんは番組を象徴するキャラクターで、『つばさ』で言えば秀樹の退場に匹敵する喪失感がありました。私はそれを機会に番組のファンを辞めるつもりだったし、実際にそれで卒業したファンも多かったみたいです。でも、その少し前に加入したボギー刑事(世良公則)があまりに魅力的で、私は卒業し損ないましたw

なんでこんなこと書いてるかと言えば、まず『つばさ』第23週で愛すべきキャラ達が次々と去っていく、この衝撃と喪失感が、『太陽』10周年の時に味わった思いを彷彿させてくれた事。

それともう一つ、去っていく面々の心情です。『太陽』の場合、ドラマ上では無念の死だったり、未練たっぷりな転出だったりしましたけど、演じる役者さんにとっては「卒業」であり、ステップアップに繋がる「巣立ち」だったんですよね。

後年になって明かされた事ですが、番組スタート時からずっと出演されてたレギュラー俳優さん達は、5年を過ぎた頃からプロデューサー氏に「今年こそ殉職させて下さい!」って、毎年のように(たぶん契約更新の会合で)懇願されてたそうです。泣く泣く降ろされたんじゃなくて、もう降りたくて降りたくて仕方が無かったワケですねw

何年も続く人気番組にレギュラー出演していれば、生活は安定するしギャラも上がって行くし、現場の勝手も知り尽くして、チームの雰囲気も本当に良かったみたいですから、ずっと続けた方がラクで居心地良いに決まってます。

そこが役者と、バラエティー番組の司会者との大きな違いですね。役者の場合、一つのイメージが定着し過ぎるのはデメリットになるし、何より自分が向上出来なくなるのが、本当に辛いんだろうと思います。新しい役にチャレンジしなければ、向上はあり得ません。

とは言え、10カ月間の撮影だった『つばさ』のレギュラー陣が、終わって胸にポッカリ穴が開いたような淋しさから、永らくぬけ出せなかったと語られてるのに、ゴリさんや長さんは10年間ですからね! 家族といるよりもずっと長い時間を過ごした現場を去るワケですから、その喪失感たるや想像を絶するものがあった事でしょう。

でも、そのまま居座れば、自分が駄目になってしまう。どうしても「必要なお別れ」であり、しごく前向きな決断だったに違いありません。辛いけど、晴れやかなお別れ。

またまた前置きが長くなっちゃいましたがw、第23週はまさに、それを描いたエピソードでした。

☆見るべき程のことは、見つ。
「川越チャレンジ」の成功により、ラジオぽてとが再び脚光を浴び、市民パーソナリティーの応募も激増、これで安泰かと思われたのですが…

局長の真瀬(宅間孝行)を筆頭に、経理の伸子(松本明子)、元芸人のレポーター・ロナウ二郎(脇知弘)、音楽担当の浪岡正太郎(ROLLY)、そしてつばさ。開局から共に頑張って来た、この5人の力があってこそのラジオぽてと、なのですが…

波乱は、伸子の「給料を上げて欲しい」ってな要望から幕を開けます。真瀬としては「お金がない」の一言で却下するほか無いのですが、息子の隼人くんが中学受験を控えてる伸子にとっては切実な問題です。

その上、実は伸子に転職の話が来てると知り、つばさは動揺します。給料面でずっと条件が良いらしく、伸子は明らかに迷ってる様子。

一方、斎藤興業においても、秀樹(不在中)の部下コンビが情報誌片手に職探し中で、「あからさま過ぎますよ」と翔太(タニオ・チクビッティー)が頭皮と乳首を交互に動かしながら、たしなめます。

でもそれは、ここんとこ元気のない秀樹を、奮起させたい思いがあっての事だと聞いて、頭皮のみ一時停止させる翔太。そんな器用なチクビッティーから、町の実力者・城之内房子が川越キネマの土地を狙ってる事実を聞かされ、つばさの胸もザワつきます。

そして、悪い予感は的中します。伸子が退職願いを真瀬に提出するのですが、その転職先はなんと、城之内エンタープライズ。房子様の会社だったのです。房子様が直々に声を掛けて来たらしく、これには何か、良からぬ策略があるのでしょう。

メンバー全員が大ショックのラジオぽてとに、秀樹がチクビッティーを連れて現れ、さらに追い打ちをかけます。

「この町を出ていく事にした」

せっかくラジオぽてとが「皆が集まる広場」になったのに それは秀樹の夢だった筈なのに!と、つばさは抗議しますが…

「見るべき程のことは、見つ」

『平家物語』に出てくるフレーズなんだそうで、この世のことは全て見た、もう心残りは無いって、秀樹は言ってるのです。

ラジオぽてとが理想的な広場になったからこそ、出ていく。目的を果たした今、秀樹には川越にいる意味が無くなってしまった。

あるいは、竹雄との愛を確固たるものにした加乃子を心から祝福しながら、一方じゃ傍で見てるのが辛いのかも知れません。

かと言って、あきらかに秀樹のアプローチを待ち望んでる、しかも和製マリリン・モンローなボインボイイ〜ン麻子さんの想いにも、あえて背を向けちゃう秀樹って、誰よりも寅さんに近いキャラですよね?

惚れっぽいけど、一度惚れた相手には一途。人を幸せにするのが大好きで、だけど自分自身には幸せになる資格が無い、と思ってる節がある。「ま、ブラジルにでも行くさ」なんて言う姿も、まさに寅さんを彷彿させます。

☆心残り
秀樹の旅立ちが近づいても、加乃子は意に介さない…ふりをしてます。この人もまた、一貫してそういうキャラですよね。

知秋が送別会を提案しても「いいわよ、そういうの。かえって恐縮しちゃうタイプだから」なんて言ってる加乃子が、夫・竹雄は気になる様子。

一方、城之内エンタープライズ。バリバリと秘書の仕事をこなす伸子を、気に入ったご様子の房子様…に見えますが、「ま、本当に役に立ってもらうのは、これからだけど」なんて言って、怪しいにも程があるw

この城之内房子という人には、凄味があります。どんな非道な事でもやっちゃいそうだし、それによって恨みを買う事に対しても、平気と言うより、覚悟を持ってる感じがします。

この人と秀樹が対峙する場面は、本物のワルどうし、さながら頂上対決みたいな迫力と緊張感がありました。どんな生い立ちを歩んで来られたのか、興味深いです。

その頃、ラジオぽてとでは… ロナウ二郎の元相方・ベッカム一郎が傷害容疑で身柄拘束されたとのニュースが舞い込み、波乱がまた波乱を呼ぶ予感…

一郎はしつこく付きまとうパパラッチを殴ったらしく、芸能活動を無期限謹慎になった模様で、二郎は動揺を隠せません。

竹雄は、麻子さんの店に秀樹を呼び出します。出ていく前に加乃子と一度会って欲しい、と伝える為に。

「何か想いを残すような事は、して欲しくないんです」

そう言う竹雄の気持ちは、よく解ります。加乃子と秀樹の間に未練が少しでも残ったら、誰よりも竹雄自身の胸に、しこりが残ってしまう事でしょう。

でも秀樹は「気遣いは無用だ」と、素直には受けません。「見るべき程のことは見つ」…またそんな事を言う秀樹ですが、本当にそうなのか?

秀樹にも何か心残りがある筈だ、と言う竹雄の言葉を聞いて、つばさが思い出します。秀樹がラジオぽてとに肩入れしたのは、かつて加乃子がDJになりたがってたから、だという事を。

「いつか、その夢を叶えてやる」と秀樹は言ってたけど、加乃子は甘玉堂の女将になる決意を表明しており、DJの夢はとっくに諦めた…って言うか、忘れてる。

はげちゃびーん!! 竹雄は閃きます。

☆さらなる別れの予感
浪岡正太郎が、甘玉堂の千代さんを訪ねて来ます。父・葛城から手紙が届いたと言うのです。

「お前はお前の道を行け」

その一言しか書かれてない文面から、いよいよ葛城の人生が終わりに近づいてる事が伺えます。

今でも葛城を愛してる千代さんは、父の元に戻ってあげて欲しいと正太郎に懇願します。それは単なる里帰りではなく、正太郎が家業を継ぐ=ラジオぽてとを去ってしまう事を意味します。

一度は実家を捨てた正太郎ですが、今は迷ってる様子。まさか、伸子に続いて正太郎まで…!?

一方、ラジオぽてとでは、伸子の後釜にベッカム一郎はどうか?と、二郎が提案します。警察沙汰を起こした一郎を受け入れる事には、少なからずリスクが伴う。簡単に承諾は出来ない真瀬ですが…

「今、あいつを守ってやれるのは、此処しか無いから…」

そんな二郎の熱き想いに、真瀬も首を縦に振るしかありません。…が、そんな彼らの優しさが、ラジオぽてとを更なる窮地に追い込んでしまう事を、つばさは予測出来なかったのでした。(つづく)

『つばさ』23 (中)

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☆'70年代風ディスクジョッキー
竹雄が思いついたアイデアは、加乃子のDJにより、ラジオの深夜放送を再現させる事でした。

'70年代風と限定されてるのは、加乃子と秀樹がラブラブだった時代だから…のみならず、『つばさ』スタッフの趣味なんでしょうね、きっとw

私も、深夜ラジオには思い出があります。まず、小学5〜6年生の頃にTVバラエティーの『欽ドン』が大ヒットし、私もハマったのですが、これはラジオ番組をTV化したものでした。

竹雄さんが練習で再現した「普通の○○、悪い○○、良い○○」や「とんちクイズ」等は、『欽ドン』だけじゃないでしょうけど、その種の番組でやってたコーナーだろうと思います。

でも私が深夜ラジオにハマったのは、中学〜高校時代だから'70年代末から'80年代前半にかけてです。深夜ラジオがちょっとしたブームになってた頃だと思います。

毎日放送の『ヤングタウン』を夜10時から聴くのが私の日課で、原田伸郎さんの水曜日、谷村新司さんの金曜日が特に好きでした。投書を伸郎さんに読んでもらった事もありますw

それと、鶴光師匠の『オールナイト・ニッポン』と、鶴瓶師匠の『ぬかるみの世界』等を毎週楽しみに聴いてました。公開中の映画を結末までレビューしちゃうw浜村淳さんの番組も好きでしたね。関西圏以外の方には共感しづらいかと思いますがw

『ぬかるみの世界』は放送作家・新野新さんと鶴瓶師匠の対談形式でしたが、二人が毎回のように本気の大喧嘩になるwのが実にスリリングで、メチャクチャ面白かったです。本来、鶴瓶師匠は短気で過激な人で、テレビでイチモツを出す程度は序の口もいいところ。あの頃に比べたら別人みたいに丸くなられたもんです、ホントにw

今でもテレビよりラジオの方がずっと自由で、DJを務めるタレントさんも本音を出し易いメディアみたいですから、多部ちゃんにはホント、是非ともラジオのレギュラー番組を持って頂き、素の面白さを存分に発揮して頂きたいですよね。まぁ、しばらくは忙し過ぎて無理でしょうけどw

☆カノンのワン・ナイトDJ
竹雄は、加乃子をラジオぽてとに連れて行きます。

「加乃子さんと斎藤さんと、そして僕のために、必要な事だから」

秀樹には、直接つばさが招待状を届けました。画像はその時のワンショットですが、多部ちゃんがやけに可愛くてアップしちゃいましたw

この週の多部ちゃんは、普段にも増して可愛い気がします。この辺りの撮影で一番、番組終了の淋しさを実感してたそうですから、その気持ちが表れてるせいなのか、単に私の『つばさ』視聴が半月ぶりだからなのか?w

夜、ラジオぽてとを借り切っての、秀樹ただ一人のための放送。もちろん、DJは加乃子です。つばさが用意した台本があるとは言え、ぶっつけ本番で見事なDJぶりを披露する加乃子は、やっぱエンターテイナーに向いてますよねw

DJブースの正面に設けた特別席に、秀樹ただ一人。これはラジオと言うよりも、大事な人をサプライズで喜ばせる為に、その人が大好きなアーティストを呼んで唄ってもらう、スペシャル・ステージみたいな感じですね。

でも、どんなシチュエーションであれ、これで秀樹と加乃子がお別れかと思うと、そりゃもう観てるこっちは涙が止まりませんw 決して永遠の別れじゃない…からこそ、我々自身が過去に経験して来た、幾多の平凡な別れとリンクするんですよね、自然と。

「今の想いを全て伝えて下さい。想い残しの無いように」

↑台本の最後のページに印された、つばさから加乃子へのメッセージです。建物の外から、竹雄も見守ります。

加乃子が語り出して、まず驚いたのは「カノン」という呼び名の由来です。まさか音楽用語だったとは! 一つの旋律を、音の高低やテンポを変え、重ねて繰り返す曲が、カノンなんだそうです。

「あの頃の私は、家に縛られ、悩み、憤り、悲しみ、たくさんの感情が心の底に重なって、溢れ出しそうだった。そしてあなたは、溢れ出た私の感情を全て、受け取ってくれた。ありがとう、ヒロリン。あなたがいなければ、今の私にはなれなかった」

今の加乃子は、愛する竹雄と家族がいる甘玉堂を、本気で守って行きたいと思ってる。だからこそ、秀樹も安心して川越を去れるんです。

「ブラジルでも地の果てでも、さっさと行っちゃいなさい。死にそうなピンチの時は、何を置いても駆けつけてあげるから!」

もう会えなくなるワケじゃない。永遠の同志として、加乃子は笑顔で秀樹を送り出します。

「いい笑顔だ。これからはそれをずっと、彼に見せてやってくれ」

最後まで徹底して二枚目な秀樹は、ハンフリー・ボガードみたいなハードボイルド・スターを彷彿させます。アイコンタクトのみで想いを伝える、竹雄とのやり取りも最高でした。

前回のコメント欄でも触れられてましたが、加乃子を励まし、秀樹に花道を提供する竹雄が、今回はとても頼もしくて、格好良かったですね。どん底から這い上がり、ひと皮もふた皮も剥けて、輝いてます。はげちゃびーん!!

つばさを、加乃子を、竹雄を、真瀬を、そして乳首までをも救い、男優賞までもたらしてくれた秀樹… ありがとう、秀樹! さようなら、秀樹!

…って、ホントにこれで最後なんでしょうか? 麻子さんには手を出さず? ボインボイィィ〜ンなのに? 残されたチクビッティーはどうなるんでしょう?

(さらに、つづくw)

『つばさ』23 (後)

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☆時には、別れも必要
秀樹を送り出した加乃子は、今度は母・千代の番だと言います。自分とは違い、ずっと玉木家=甘玉堂に縛られ続けて来た母にも、同じように自由になって欲しい。前からずっと、加乃子はその方法を模索してたようです。

そして見つかった結論が、死期の近い葛城に千代が会いに行くこと。たかがお見舞い?とも思いますが、店を空けてかつての恋人に会いに行くって行為は、千代にとっては背徳というか、冒険なのでしょう。

それとも、それ以上の事を加乃子は考えてるんでしょうか? いずれにせよ千代さんには、自らの殻を破る覚悟は、まだ無さそうです。

「私より先に、会いに行くべき人がいらっしゃいます」

千代さんの言う「あの人」とは、葛城の息子・浪岡正太郎の事です。加乃子と秀樹の別れを、彼も見ていました。

「人と人には、時には別れも必要だという事を、あらためて教わりました」

ラジオぽてとのメンバーにそう言った正太郎は、ずっと考え、迷っていたある決断を、ここで発表しようとするのですが…

「僕、ぽてとを離れる事にしました!」

そう言ったのは正太郎ではなく、ロナウ二郎でした。観てる我々には正太郎の動向に注目させといて、よもやのタイミングで二郎にそれを言わせちゃう、『つばさ』スタッフのあざとさよ(笑)。またもや見事に、意表を突かれました。

つばさと真瀬も不意を突かれ、正太郎は先手を打たれて、みんな言葉を失います。

二郎は、ベッカムともう一度漫才を始める事にしたのだと言います。所属してた事務所が、コンビ復活を大々的にバックアップしてくれる…らしいのですが…

唖然となるつばさに、二郎は「今がチャンスなんだよ」と、突き放すような言い方をする。ずっと『つばさ』を観て来た我々には、それが二郎の真意ではない事が、まぁ察しはつくのですが、それにしてもショッキングな展開です。

転職した伸子は、息子の隼人に「私も次のステップ、考える時期かもね。ここ居心地いいからさ、ついつい甘えちゃうのよね」と言ってました。

人物の心情を違った形でリンクさせる… つまり、一つの旋律を音の高低やテンポを変え、重ねて繰り返し奏でる「カノン」のドラマ『つばさ』ですから、二郎も正太郎もきっと、伸子と同じような事を考えてるのでしょう。

☆ちっとも面白くないw
案の定、二郎は嘘をついてました。漫才コンビ復活を事務所が全面的にバックアップするどころか、ベッカム一郎は解雇されてたのです。

一郎がまた芸能界で生きてゆく為には、芸人として一からやり直すしかない。今の彼を救えるのは、自分しかいない!…と、そう思った二郎はぽてとの仲間に引き止められないよう、わざと裏切り者を演じてたのでした。

「ナメられたもんだな」

聞き覚えのある、無駄に渋い声(笑)。ベッカム一郎(川島明 @麒麟)が久々に登場!

「お前から大事な仲間や大事な居場所を奪って、そうまでして助けれくれって、誰が頼んだよ!?」

やり場のない、激しい怒りを二郎にぶつける一郎ですが…

「違うよ。僕はお前に同情なんかしてない」

二郎は、どれだけ落ち込んでも漫才への情熱を捨ててない一郎を見て、自分が恥ずかしくなった、ラジオぽてとの事が好きだからこそ、自分は出て行かなくちゃいけない、と言うのです。

「此処にいるとラクだし、甘えちゃうし… これ以上ここにいたら、駄目だって気づいたから」

つまり伸子と同じ考え方であり、二郎が本来やりたかった事、やるべき事でもあるのでしょう。

若者よ、少しでも可能性があるなら、簡単に諦めず、死力を尽くして頑張れ! 前週の万里に続いて、創り手からの熱いメッセージが伝わって来ます。

「今度こそ… 今度こそお前に追いつきたいんだ!」

万里につばさという目標、愛すべきライバルがいるように、二郎には一郎がいる。そう、二郎と一郎は、薔薇だったのです!(うそw)

かつては、ひがむばかりで「羨まし過ぎてヘドが出そうだよ」とまで言ってた二郎が、ここまで成長したって事ですよね。それはつばさや真瀬にとっても、嬉しい事でしょう。

「私も、二郎さんにぽてとから羽ばたいて行って欲しい」

「お願いします。こんなヤツ拾ってくれるの、あなたしかいません!」

今、二郎にまで辞められたら大変な苦労を背負う事になるのが分かっていながら、彼の未来を優先して一郎に頭を下げる、つばさと真瀬。あんたら、どこまで優しいんだ(涙)。

涙を流す二郎に一郎がツッコミを入れ、口論になった二人がいつの間にやら息ピッタリの漫才を繰り広げる、いつか見た光景が今、再び。そして、イッセー尾形さんのナレーションが入ります。

「ベッカムと二郎の漫才は、ちっとも面白くありませんでした」

もう、爆笑ですねw このドラマ、普通にしんみり泣かせたまま終わった試しが無いw その漫才も絶妙に笑えないよう描かれてるし、そんな二人を見守るつばさや真瀬がまた、「あいたたた…」と心中で呟いてそうな表情をしてるのが、もう最高ですw

☆そして、正太郎
ベッカム一郎との愛を成就させる為にw、ロナウ二郎はラジオぽてとから巣立って行きました。さすがに淋しさを隠せないつばさなのですが…

「浪岡さんを、お父様の所に帰してあげて」

祖母である千代さんからそう言われて、初めて葛城の死期が近い事を、そして正太郎がそれを言いたくても言い出せなかった事に、つばさは気づきます。

「陽気な浪岡ってのは、かえって不気味だな」

↑無理して明るく振る舞う正太郎を見て、真瀬が言ったこの台詞にも笑いましたw 正太郎に本音を言わせようとするつばさを、最初は止めようとしたのに、結局は一緒になって「無理すんなよ」と言っちゃう真瀬も素敵ですね。

「ぽてとを去る気はございません。これ以上、私を迷わせないで下さい」

正太郎もぽてとを愛するがゆえに、また控えめな性格ゆえに、いま辞めるとは絶対に言いたくないだろうし、つばさと真瀬もそんな彼の性格を解ってるだけに、辞めろとも辞めるなとも言えない微妙な状況。

正太郎のモノマネも抜群なラジオの男と話しながら、つばさは「迷ってるって事は、本心じゃ帰りたいと思ってる筈なの」と正太郎の心理を分析します。

つばさにお株を奪われた形のラジオの男は、さらに正太郎が迷ってる理由を「ラジオぽてとが、もう一つの家族だから、捨てるのが怖いんだな」と分析。

「弾みじゃないの? 家を出たのも弾みなら、家に戻るのも、弾み」

弾みと言えば、正太郎がラジオぽてとにやって来たきっかけも、勘違いによる弾みでした。試験放送でつばさが翔太に語りかけた言葉「あなたが好きです」「夢を叶えて! 翔太」の、翔太を正太郎と勝手に脳内変換した、そもそも痛い男なんですw

「家族なら、離れても大丈夫だし、いつか帰って来られる場所として、残った人で頑張ればいいんだ…」

正太郎とも「必要な別れ」をする覚悟を決めたつばさは、また何か秘策を思いついた模様です。

それにしてもラジオの男=イッセー尾形さんと多部ちゃんの掛け合いは、ホント最高ですねw 今回はまた、輪をかけて笑わせて頂きました。この掛け合いが見られるのも、あと僅か…

☆あなたが好きです
つばさの秘策とは、あの試験放送を再現して正太郎に聴かせる事でした。勘違いではない、正太郎その人への想いを、つばさはDJブースからマイクを通して、彼に伝えます。

「実は誰よりも、他の人を大切に気遣う、優しい気持ちに溢れてる人… それが、私の見た浪岡さんです」

正太郎は、ラジオぽてとになくてはならない、大切な人。だからこそ今、羽ばたいて欲しい…

「もし浪岡さんが今、ほんの少しの勇気を持って、ぽてとから羽ばたいてくれたら、私は胸を張って言える気がします。…あなたが好きです」

「気がついたら、あなたの事が大好きになっていました。人を労ることを教えてくれた、あなたが好き」

「ありがとう。私は忘れない。あなたが私にしてくれたこと。ありがとう… きっと、また会えるよね。絶対、会えるよね… 正太郎」

ほとんど、あのとき翔太に贈った言葉を正太郎に置き換えただけなんだけど、全て、今のつばさが正太郎に対して思ってる事そのもの、だろうと思います。

つまり、第5週で描かれた試験放送における、つばさの台詞は全て、半年後に描かれる、この場面を想定した上で書かれていた!

あの台詞にメロディーをつけた歌を唄って、正太郎は初登場したんだから、決して後付けのアイデアじゃないんです。なんちゅうドラマなんすか、ホントに!w

それにしても、多部ちゃんに「あなたが好きです」って言われて、あなたは旅立てますか?(笑) もし私だったら、異性としての「好き」とは違うと分かってても「やっぱ羽ばたくの、やめたぴょーん!」って、言いますねw

もっとも、心底から羽ばたいて欲しいからこそ、つばさはあそこまで言ってくれたワケですから、これで羽ばたかなかったら、明日から口を聞いて貰えないかも知れませんw

此処でいろんな人とふれ合い、成長した正太郎は、勘違いする事なくつばさの想いを受けとめ、旅立ちを決意しました。つばさのリクエストに応えて、いつぞやと同じようにラジオぽてとのベランダ(屋上?)で、あの曲を弾き語りする正太郎。

あの時、つばさは曲に乗せてバレエを踊りましたが、今回は正太郎と見つめ合いながらのデュエットです。生きてて良かったな、正太郎!w 二郎とは随分、待遇が違うじゃないか!(笑)

二郎はベッカム一郎との即興漫才、正太郎はベランダでの弾き語りと、それぞれのベスト・シーンを再現したような、それぞれのお別れシーン。これもまた、「カノン」ですよね。

『つばさ』の登場人物はみんな好きですけど、二郎と正太郎は特に、現実にいたら友達になれそうな、いや、友達に是非なりたい二人でしたから、前向きなお別れとは言え、これは切ないです。

「面白いものね。会社でも仲間でも、結束が固ければ固いほど、何かが一つ欠けるとバランスが崩れたりするのよね」

今のところ唯一、絶対お近づきになりたくない登場人物w、城之内房子様が、伸子をラジオぽてとから引き抜いたのは、どうやらこうなる事を狙っての策略だった模様です。

その手には、斎藤興業から譲り受けた、川越キネマ=ラジオぽてとの土地権利書が…

いよいよ、クライマックスです!
嵐はすぐそこまで来ている

「カルト」について

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ジリ貧につき、毎月買ってた雑誌「映画秘宝」も最近は買ってません。でもムック本「別冊映画秘宝」には、つい手が出ちゃいます。

画像に写ってるのは、最近刊行された2冊『仰天カルト・ムービー100』『80年代ガキTV&シネマ』です。もう、タイトルだけでワクワクさせられちゃいますw

前者は、映画創成期から現在に至る全映画から「映画秘宝」が選んだカルト・ムービー100選、後者は『宇宙刑事』シリーズやロボット・アニメ、『スケバン刑事』『西部警察』等の少年向けTV番組や、ジャッキー、シュワちゃん、スタローン先生ら全盛期の筋肉アクションスター映画、アイドル映画等を、80年代に限定して特集したムック本です。

私にとってのストライクど真ん中は70年代なワケですが、80年代、ええ歳になっても結構それらのドラマや映画は楽しんで観てましたから、この本もすごく面白いです。

ちなみに70年代の番組については、10年以上前に『男泣きTVランド』『夕焼けTV番長』の2冊で特集されており、もちろん私の本棚に並んでおりますw

そりゃあやっぱり、テレビ番組は70年代が一番熱かったし面白かったと思います。創り手も熱かったし、視聴者も熱かった。後で「カルト映画」の定義をご紹介しますが、70年代のTVドラマはまさに、カルトでした。

けど、80年代もこうして振り返ると、決して捨てたもんでもないです。確かに、軽いけどw 必要以上に軽いけどw 時代の急激な変化にうろたえた創り手達が、無理して軽さを演出してた感じがありました。

だから私も、70年代の作品みたいに真剣には観てなかったと思います。もう子供とは言えない年齢になってた事もあるし、『西部警察』にしろ『スケバン刑事』にしろシュワちゃんにしろ、「んなアホなw」ってツッコミながら観てましたよね。

でも、そこが面白い。今観ても同じように、いや当時以上にツッコミながら楽しめるんじゃないかと思います。80年代は試行錯誤しながらも、創り手はまだ熱かった。

本当の意味でテレビがつまらなくなったのは、90年代以降だと私は思います。その理由を語り出すとまた長くなるので、今回はやめときますが…

で、『仰天カルト・ムービー100』の方ですが、そもそも「映画秘宝」を立ち上げたのが町山智浩さんですから、基本的なセンスは『トラウマ映画館』と同じです。

ただ、こちらは今でも鑑賞可能な作品が中心で、しかも100本ですから、『トラウマ〜』ほどディープな内容ではないです。でも、やっぱり面白いし、全部観たくなるんですよね。

有名作品をピックアップしますと、『アンダルシアの犬』『続・荒野の用心棒』『バーバレラ』『冒険者たち』『時計じかけのオレンジ』『悪魔のいけにえ』『ファントム・オブ・パラダイス』『ロッキー・ホラー・ショー』『ゾンビ』『ブルース・ブラザース』『マッドマックス2』『ブレードランナー』『ビデオドローム』『遊星からの物体X』『スカーフェイス』… と、キリが無いのでやめときますが、「これってメジャーじゃないの?」って思われる作品も、少なくないかも知れません。

そもそも、カルト映画の定義自体が曖昧で、よく分からないですよね。なので、本書の前書き・冒頭部分を以下に紹介させて頂きます。

この定義で考えれば、『つばさ』や『デカワンコ』はメジャーでありつつも、明らかにカルト作品じゃないかと思います。『真夜中からとびうつれ』なんかは最初からカルトだけど、『ジウ』にしても、多部ちゃんはもしかすると、カルト作品のミューズではないか?って気がして来ましたよw


「カルト映画とは、特定のジャンルに関係なく、万人受けはしなくても、一部の熱狂的な信者に支持されている作品を言う。なかには興行的な成功を同時に得ている作品もあるものの、その多くは初公開時に惨敗し、ほとんどの映画評論家や映画雑誌からは酷評され、あるいは無視され、映画史から葬られようとした時、心あるファンの愛と熱狂によって再評価が始まり、やがて神格化されて、圧倒的な知名度を確立したものだ」

「それを成し得るのは、映画業界の計算高い商業的論理とも政治的意図とも無関係の、純粋な映画の力だ。ただその作品が、秘めていた魅力を発揮し、映画を愛するファン達を居ても立ってもいられなくする事によって映画は、単なる娯楽から永遠の信仰の対象へと更なる進化を遂げたのである」

「それらの映画には、万人受けを狙ったウェルメイドな口当たりの良さも、歯に衣を着せた中途半端な表現もない。そこにあるのは、タブーを無視した強烈な刺激や、映画的な欲望に忠実な直球の剛速球、だからそう簡単にはTV放映など出来ないし、時にはその存在さえ否定される事も覚悟しなければならない」

「だが、何よりそこには、創り手が創りたいものを正直に創ったという崇高なる自由と達成感がある。カルト映画こそ、本当の映画的魅力を持った人気作であり、傑作であり、名作であり、真の意味で映画遺産と呼べる、観るべき映画なのである」

『つばさ』24 (前)

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いやー、泣きましたねw この週はつばさの祖母であり加乃子の母である、玉木千代(吉行和子)の旅立ちが描かれました。

私は千代さんにそれほど思い入れが無いと思ってたのに、そんな事はなかったですね。73歳にして初めて殻を破り、外の世界へ羽ばたこうとする千代さんの姿に、理屈抜きに涙が止まりませんでした。

千代さんの背中を押したのが、意外やあの人であった事も、ずっと傍で見守ってたあの人の存在にも、そして娘・加乃子との確執がついに解かれた瞬間にも、やれ第何話の伏線がどうとか語る気持ちにならない位、魂を揺さ振られました。

これは、やっぱり年輪ですよね。積み重ねて来た歴史、苦しんだ時間の長さ、そして残された時間の短さ… つばさに「お婆ちゃん、まだ若いじゃない」って言われた時に、千代さんが返すあの台詞が、この理屈抜きの感動を裏付けてるんじゃないかと思います。

☆魔女のお婆さん
仲間達が次々と去ってしまったラジオぽてとは今や、つばさと真瀬の二人っきり。それでも放送に穴を空けるワケには行かず、頼るはボランティアの市民パーソナリティー達だけなのですが…

ラジオぽてとが川越キネマに居座ってるせいで、川越市の再開発計画が進まないんだという悪評が広まったお陰で、市民達はまたもやラジオぽてとから離れてしまいます。

どうやらその噂は、川越キネマの土地を狙う城之内房子様が故意に流した模様。秀樹の部下コンビも房子様の配下となり、川越キネマの土地は既に、房子様の手中にあるのでした。

川越キネマを取り壊し、その跡地に観光物産館を建設するのが、房子様の最終目的であり、その為にはラジオぽてとが邪魔になる。

てなワケで立ち退きを迫る房子様ですが、真瀬とつばさは断固拒否します。秀樹の、千波の、去って行った仲間達の、そしてリスナー達の想いが詰まったあの場所に、ラジオぽてとは存在し続けなければならないのです。

「つばさは、いなくならないよね? みんなみたいに」

いつも、人をハッとさせることを言う優花ちゃん。立ち退きを催促しに来た房子様を見るや一言↓

「わっ! 魔女のお婆さんだ!」

言いっぱなしでサッサと二階に逃げちゃうのも、優花の得意技です(笑)。

それにしても、それを聞いた房子様のショックの受け方が、ちょっと普通じゃなかったですね。魔女という呼び方に何かトラウマがあるようにも見えますが、そういう事じゃなくて、彼女の心にも罪の意識がどこかにある事を、なにげに示唆してるのかも知れません。

でも、房子様には房子様の、どうしても譲れない信念がある。この程度の事では追求の手は緩めません。

「社員を引き抜き、立ち退きを迫り、風評で追い詰める… どこまでやれば気が済むんだ!」

いつも冷静でナルシーな真瀬wが、珍しく声を荒げます。さすがの彼も追い詰められてるんでしょう。

そんな真瀬&つばさvs房子様の殺伐としたやり取りを、ずっと何かに耐えながら傍で聞いてる、伸子の姿も痛々しいです。

☆残された時間
まさに四面楚歌で、八方塞がりのラジオぽてと。たった二人で乗り越える自信を失いかけてるつばさに、真瀬は言います。

「たった二人じゃない。ラジオの向こうにいる人間を忘れるな。リスナーを味方につければ、風向きが変わるかも知れない。逆風だって風向きが変われば追い風だ」

理想論だけじゃなくて具体案も出し、すぐさま行動に移す真瀬のたくましさ。そんな真瀬を見るつばさの眼差しが、なんだか熱い。

二人きりでぽてとに泊まり込み、徹夜で録音作業をし、寝不足でフラフラになってるのを互いに支え合う日々。ママを恋しがる優花の描写もあり、いかにも再び恋のフラグが立ったように見えます。

私は総集編を先に観てますから、この二人が結ばれる事は無いのを知ってるワケですが、リアルタイムで観られてた方は皆さん、ここで二人の結婚を予想されたのでは?

それとも、常に予想の斜め上を行く『つばさ』作劇に慣らされてしまい、「その手は食わねぇぞ、見られて恥ずかしい体はしてねぇーぞと」思いながら観られてたのでしょうか?w

ぽてとのピンチを知った千代さんは房子様を訪れ、自分に恨みがあるなら直接来やがれこの卑怯者!といった意味の事を丁寧な日本語で伝えますが、房子様はそうではないと言います。

川越の人達に受け継がれる、宝を残したい… 房子様の目的は、あくまでそんな純粋なもの。ただ、やり方が汚いだけw

「それがこの町でしか生きられない私の、最後の夢…」

千代さんと違って、自分の想いを受け継いでくれる家族が、房子様にはいない。死んだら、何も残らない。だから何としても、自分が生きて来た証を、形としてこの町に残したい…

これはもしかして、黒澤明監督の『生きる』からインスパイヤされた設定なのでしょうか? 房子様は不治の病ってワケじゃないとしても、千代さんと同級生ならば、もう73歳…

人生のゴールが近づいて、自分がこの世に何も残してない事に気づいたとしたら… まぁ、私なら「別に、跡形なく消えるまでだぴょーん!」で済みそうだけどw、房子様みたいに地位や財産を築いた人にとっては、これまでの人生が全く無駄に思えちゃうのかも知れません。

「残された時間を考えたら、ボヤボヤしてる暇は無いのよ!」

房子様も葛城さんも、人生の最後を充実したものにしたくて、その為に動いてる。なのに、自分はどうなんだ?って、このとき千代さんは思ったに違いありません。

「斎藤さんが戻るまで、此処を守ります。川越キネマは俺が取り戻します」

↑房子様側に寝返った、秀樹の部下コンビから仲間入りを勧められた翔太(タニオ・チクビッティー)は、毅然とそれをはね退けました。

なんだか秀樹に似てきた頼もしいチクビッティーは、加乃子にもこんな事を言いました。

「社長がこの川越に残した夢を守るのが、俺の仕事だと思ってます」

どうしたんだ翔太、そんなに格好良くなったら乳首呼ばわりしづらいじゃないか! まぁでも、川越キネマの土地権利書はアッサリ房子様に奪われたワケですから、やっぱチクビッティーはチクビッティー以上でも以下でもありませんw

そんな乳首なチクビッティーからの情報により、甘玉堂が借金返済の為に手放した蔵造り通りの店が今、売りに出されてる事実を知って、加乃子や竹雄が色めき立ちます。

いつかきっと、蔵造り通りの店を取り戻す… それが、玉木家一同の悲願なのでした。ところが、その悲願までもが、房子様の悪企み?に利用されてしまうのです。

もう本当、徹底して容赦なし。げに恐ろしや、魔女のお婆さんw (つづく)

『つばさ』24 (中)

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ちょっと更新がペースダウンしてますが、単純に、忙しいからであります。今年は何かと出費がかさむ予定なので、休日出勤などして何とか収入を増やそうと頑張っております。

そうすると執筆時間も減るし、疲れて書く気になれなかったり、テレビを観る時間が減る分、書くネタも無かったりするワケであります。

なので、当分はこんなペースになるかと思いますが、なにとぞ気長にお付き合いくださいませm(__)m

☆千日草の君
残された時間を思えば、ボヤボヤしてる暇は無い… 同級生である房子様の言葉に触発された千代さんは、ついに葛城さんに電話をし、再会を果たします。

加乃子&秀樹と同じく、熱い内に引き裂かれた二人ゆえか、今でも互いに恋をしてる感じの千代さん&葛城さん。なんだか可愛らしいですよねw

葛城さんは、家業を正太郎に委ね、家を出て地方のどこかで最後の時を過ごす決意をしたようです。

窓の外、一面に千日草が見られる家を見つけたと言う葛城さんは、明らかに千代さんと一緒に行く事を望んでる様ですが、言い出せないでいます。千日草は、二人の思い出の映画でラストシーンを飾った、愛の象徴なんです。

その頃、出張中で真瀬が不在のラジオぽてと。臨時の市民パーソナリティーとして、翔太(ウォーレン・チクビーティー)の母・佐知江(手塚理美)が久々に登場! 手塚さんは昭和を彩ったアイドル女優の一人ですから、我々もテンション上がりますw

それはともかく、ぽてとに寄せられた批判FAXの束。多部ちゃんの芝居を「学芸会並み」などと根拠も述べずに一言でこき下ろす、馬鹿の批判書き込みと同レベルで、単に批判の為の批判。『つばさ』に寄せられたFAXをそのまま流用した?w

それが象徴してるように、今のラジオぽてとは完全に四面楚歌。こうして精神的につばさと真瀬を追い詰めるのが、魔女・房子様の狙いである事は分かってても、「みんなの広場」を目指すつばさにとっては、あまりにつらい状況です。

一人、DJブースで過去の放送テープを聴いて、再放送候補の物色をするつばさ。伸子の、二郎の、正太郎の声と共に、楽しかった日々の記憶が甦り、つばさは涙が止まらなくなります。真瀬も不在である今、淋しさと心細さが一気に襲って来たのでしょう。

家に泊まりがけで遊びに来てた友達が自宅に帰っただけでも、泣きたくなるぐらい淋しくなった経験は、誰にでもあるかと思います。まして1年間、苦楽を共にしてラジオ番組を創り上げて来た仲間が一斉にいなくなったんだから、観てるだけの我々ですら、胸が張り裂けそうになります。

☆幽霊
連日ぽてとに泊まり込んでるつばさを心配してか、千代さんが訪ねて来ます。葛城さんとの話を聞いたつばさは「一緒に行かないの?」と問いますが、「もう、そんな歳じゃありません」と、相変わらず自分の殻を破れない千代さんです。

「お婆ちゃん、まだ若いじゃない」

「…そういうこと若い人が言うのは、残酷ですよ」

ドキッとする台詞ですね。気を遣ったつもりで言った事が、逆に相手を傷つけてしまったような経験も、誰しも苦い思い出として持ってる筈です。

千代さんの場合、人生の残り時間を否応なく考えさせられてる今、まだまだ先が長いつばさから「若い」だなんて言われたら、悪気は無いと分かってても、皮肉と受け止めざるを得ない、って事ですよね?

「千日草の君の所へ行くがいいや、なぁ。生きてる内が花なんだぜ?」

そう言って千代さんの背中を押したのはなんと、亡き夫・梅吉(小松政夫)の幽霊(?)でした。

千代さんのリアクションからすると、梅吉さんは以前からちょくちょく、こうして千代さんと会話をしてたみたいですね。つばさとラジオの男みたいに。

遺影の表情が変わるのも、単なるギャグと見せかけて、実は梅吉さんの存在が其処にあって、ずっと家族を見守ってる事を暗示…じゃなくてストレートに見せてたワケですねw

ところでこの後、ラジオの男と梅吉さんが廊下で出くわして「あんた、幽霊だろ」「あんたに言われたくないよ!」ってなやり取りがありますけど、ラジオの男って、幽霊でしたっけ? つばさの内面が形になった人の筈では?

いや、いいんですいいんですw 答えは多分、嗚咽しながら観る羽目になるであろう、別れの場面で明かされる筈ですから、今は疑問のままにしておきましょうw

☆嫉妬
事情を聞いて、巣立ちを促す加乃子に、それだけは出来ないと言う千代さん。

「家族を捨て、店を放り出したあなたを、私は絶対に許せなかった」

そんな自分が、同じ過ちを繰り返すワケには行かないと言うのです。

「私は、ずっとあなたに嫉妬していたのです」

葛城さんも家業に縛られ続けて来た人で、音楽の道に走った息子・正太郎への「嫉妬」が勘当という仕打ちに繋がった事を、かなり前のエピソードで認めてたと記憶します。

『つばさ』最大のテーマである「愛」を阻むもの、壊すものとして、この「嫉妬」ってのも大きなテーマになってますよね。

竹雄さん→秀樹への嫉妬、翔太→真瀬への嫉妬、ロナウ二郎→ベッカム一郎への嫉妬、万里→つばさへの嫉妬、そして房子様→千代さんへの嫉妬と、枚挙に暇なしです。

人の心に必ず愛があるように、誰もが嫉妬という名の暗黒面を備えてる。

自分の中に芽生える嫉妬心にもがき、苦しみ、それを自分で認め、克服した時にこそ、本当の愛を獲得する、あるいは大きな成長を遂げる。

千代さんと加乃子はとっくに和解したように見えたけど、実はその作業が完遂されないままだった。千代さんは、いよいよ自分の殻を破って羽ばたく為に、覚悟を決めたんだと思います。

20年? いや、30年? 千代さんは、とてつもなく長い年月、自分の中にある嫉妬心に苦しみ続けて来た。

それは恐らく、千代さんの親から、そのまた親から、代々受け継がれて来たものじゃないでしょうか? この週の千代さんを見てると涙が止まらなくなっちゃうのは、あらがいようの無い「血の呪縛」を、その背景に感じるから…かも知れません。

「自分が奪われて来たものを、あなたからも奪う事で、恨みを晴らしていました。あなたが出て行ってから2年後に、一度帰って来た時も、幸せそうな顔をしてるあなたが許せなくて、敷居を跨がせなかった」

そんな母を、加乃子は憎んでた。それは事実でしょうけど、憎んでも憎んでも、どこかで互いを求め合わずにいられないのが、良くも悪くも親子… これも言わば、血の呪縛でしょうか。

つばさと知秋に『魔女の涙』の絵本を読み聞かせる時、魔女の台詞を千代さんの口調を真似て読んでいた加乃子。でも、物語のラストを魔女と仲良しになるハッピーエンドに書き換えたのも、加乃子でした。

魔女は千代さんであり、房子様でもある。本当はみんなと仲良くなりたいのに、不器用過ぎて嫌がらせしちゃう孤独な魔女は、今の房子様と完全にリンクしてます。ちなみにこの絵本が登場したのは、15週前のエピソードですw

つばさ、知秋、竹雄もやって来て、家族が揃ったところで、家を出た10年間の事を話し始める、旅人・加乃子。

放浪中、とあるバス停で見かけた千住観音。その観音様の手が、家族みんなの手に見えた。家族を捨てた罪を一生背負う覚悟を決めて、加乃子は「らくらくお掃除・せんじゅ君」を作った。その8本のほうきやモップは、家族全員が両手を広げた姿… そそ、そんな意味があったとは!!w

「私にとって、せんじゅ君を売り歩く旅は、生まれ変わる為の巡礼みたいなものだった。私が掃除したかったのは、この中にある憎しみや苦しみだった」

加乃子にも、受け継いだ血の呪縛がある。もし、千代さんと同じように優等生を続けて家に居続けたなら、彼女も娘・つばさに対して、きっと千代さんと同じ仕打ちをした事でしょう。

「家を出て初めて解ったの。私の人生がうまく行かないのは、母さんのせいなんかじゃなかった。母さんのせいにしてる私自身が問題だったって事」

加乃子は、家を飛び出した事で、どん底まで墜ちて這い上がった事で、母よりも先に大事なことに気づけた。彼女にそうさせたのは誰あろう、秀樹です。秀樹は加乃子を救い、そして今、千代さんをも救おうとしてる。

「母さん、今から人生取り戻そう! いま母さんが家を出る事は、誰にも迷惑かけないんだから!」

「そんな事したら、私のこれまでの生き方を否定する事になります」

なおも破れない千代さんの殻を、最後に駄目押しで破ったのは、竹雄でした。

「じゃあ、あの話は嘘なんですか?」

竹雄がどん底に墜ちた時、彼を救ってくれた千代さんの手紙。…過去に選ばなかった道や、出来なかった事には、なんの価値も無い。大事なのは、いま誰かと会えること、誰かと繋がっていられること…

「引き返すんじゃなくて、二つに岐れたお婆ちゃんと葛城さんの道が、今から一つに合わさればいいんじゃないの? 人生の元、取ってよ」

竹雄から、つばさに受け継がれた言葉… 家族全員の激励を受けて、千代さんはついに殻を破り、此処ではない何処かに行く為のトロッコに乗り込みます。

「認める… 私が忘れて来たのは、その事です。私はひどい母親でした。あなたを褒める代わりに、けなして、押さえつけて… 苦しい思いばかりさせて… 許して下さい」

「どこまで逃げても、やっぱり私は母さんの子供なの。母さんも、どこまで行っても私の母さんなんだから… 許すも許さないも無い」

恐らく幼少時以来、初めて娘を強く抱き締める千代さん。

「加乃子、お帰りなさい。よく出来ました。頑張りましたね」

誰もがみんな、親からそんな言葉をかけて貰いたくて、生きて来たんじゃないですか? 私は一生、親からそんな言葉は聞けなさそうですがw

千代さんもきっと、こうして親から抱き締められたかった筈です。でも多分、その望みは叶わなかった。だから、自分の娘を抱き締めてあげる事が、今の今まで出来なかったのだと思います。

血の呪縛、負の連鎖を、加乃子が先頭に立って、家族全員の力で断ち切った。とても、とても難しい事だけど、勇気と覚悟があれば、それは決して不可能じゃないんだって事を、創り手は我々に伝えたかったんじゃないでしょうか?

繰り返しますが、もし加乃子が家を出て行かなかったら、呪縛を断ち切る事は出来なかった。彼女にその勇気と覚悟を与えたのは、秀樹でした。

『つばさ』はやっぱり、根幹は加乃子と秀樹の物語だったんだと思います。それは、以前にも書いた気がしますが、終わってみれば実はダース・ベイダーの大河ドラマだった事が分かる『スター・ウォーズ』サーガに、よく似てますよね?

暗黒面から帰還したアナキン=ダース・ベイダーが加乃子、アミダラ姫が竹雄w、新たなる希望となるルーク・スカイウォーカーがつばさ、レイア姫が知秋、オビワン・ケノービが秀樹、ヨーダが千代さんで、皇帝が房子様。千代さんが皇帝とも言えますから、両者は表裏一体ですね。

後はさしずめ、真瀬がハン・ソロで、翔太はC-3POってとこでしょうか?w イメージ的にはC-3POは浪岡正太郎でR2-D2がロナウ二郎って感じですけどw じゃあ翔太はジャージャー・ビンクスあたりでw 『スター・ウォーズ』を観てない方には全く意味不明で、スミマセンw (つづく)

『つばさ』24 (後)

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私のホームグラウンドと言えば'70年代から'80年代の刑事ドラマなワケですが、吉行和子さんはその世界でもお馴染みの女優さんでした。

先日もCSでやってた『俺たちの勲章』を観てたら、肌も露わなホステス=ヤクザの情婦役で、あばずれのズベ公(死語?)を見事に演じられてました。

その世界じゃ水商売のイメージが強かったのか、『西部警察』のパート2〜3では、裕次郎さん行きつけのスナックのママ役でレギュラー出演されてます。

清楚で知的な役も似合えば、アバズレも難なくこなせるカメレオン女優。多部ちゃんの祖母役として申し分のないキャスティングですよね。多部ちゃんには更に主役としての華が加わるワケですから、将来がホント楽しみです。

余談ついでに、ウチの母から譲り受けた本が今、手元にあります。『わたしはだれ?〜櫻となって踊りけり〜』というタイトルで、著者は岸田今日子さん、吉行和子さん、冨士眞奈美さん。

この御三方が大の仲良しであられたのは周知の事ですが(岸田さんは亡くなられました。合掌)、俳句という共通の趣味もあったようで、お三方が句を詠み合う対談記事や、同じテーマを各自リレー形式で語るエッセイ、一人を抜きにして残り二人がその人について語る欠席裁判的な対談もあり、実に楽しい内容の本です。

それについては又の機会に詳しく書かせて頂くとして… 記述によれば吉行さんは本来、劇団の衣裳係になりたくて、女優になる気はサラサラ無く、「民芸」で『アンネの日記』の主役に選ばれても断るような人だったのに、いやいや出たその舞台が2年間のロングランになってしまい、済し崩しに女優になっちゃった… って、そういう所がまた、多部ちゃんっぽくないですか?w

さて、並みの番組ならば最終回であってもおかしくない、千代さんと加乃子の感動的な和解シーンでしたが、まだこの週の半ばなんですw

☆我が子を守りたい
ラジオぽてとの窮地を救うべく、玉木ファミリー一同が市民パーソナリティーを交代で務め、千代さんは川越キネマの思い出を語ります。

「この町を去る前に…」という千代さんの言葉に、ラジオを聴いてた宿敵・房子様が、激しく動揺します。

房子様は、千代さんがいなくなると淋しいのか? そもそも、なんで毎日ぽてとの放送を聴いてるのか? 表向きは敵の動きを偵察する為みたいですが…

「私にとって再開発の計画は、我が子よ。自分の子供を守る為なら何だってするわ」

引き抜かれて以来、傍でずっと房子様を見て来た伸子は、その裏側に「魔女の涙」を感じてる様子です。

子供も夢も、力をくれるもの。伸子の夫も、無謀な夢を実に楽しそうに追ってる…

「なのに会長は、苦しそうに見えます」

確かに、自分自身にもよく分からない、何かモヤモヤしたものが胸にありそうな房子様です。が、それをあえて吹き消すかのように、房子様の攻撃はエスカレートするのでした。

千代さんの送別会で盛り上がる玉木家に、ズカズカと乗り込んだ房子様は、蔵造り通りの(かつて甘玉堂があった)店を買い取ったと言い出します。

千代さんが甘玉堂に残って女将を続ける事、もしくは、つばさがラジオぽてとを辞める事を条件に、店を安価で貸してあげてもいい…

蔵造り通りの店にいつか戻りたい!っていう玉木ファミリーの悲願を利用し、徹底的に弱みを突いて来る。やっぱ魔女ですな、この人w

☆社長の夢を守りたい
元気が無いつばさの様子が気になった真瀬は、斎藤興業を一人で守ってる翔太(ジョン・マルコチクビッチ)を訪ねます。マルコチクビッチは既に、房子様の交換条件を予測してました。気のせいか、口の締まりも良くなった模様です。

そこに、つばさもやって来る。彼女は真瀬にではなく、マルコチクビッチに相談を? いくら口の締まりが良くなったとは言え、頭皮はグラグラのままなのに? まぁ、真瀬に相談したら、天玉堂を優先しろと言うに決まってますもんね。

「つばさの事、頼みます」

出て行こうとする真瀬に、マルコチクビッチはそう言いました。まるで、真瀬とつばさが結ばれる覚悟を決めたかのように見える、マルコチクビッチ。

「川越キネマは、何があっても守り抜く」

秀樹の夢、そしてつばさの夢を、マルコチクビッチは全てを賭けて守ろうとしてる。格好良くなって来ましたね、マルコチクビッチ。

ちなみに、この第24週のサブタイトルは「あなたを守りたい」。今週の朝ドラ『カーネーション』のサブタイトルも「あなたを守りたい」でしたw

☆甘玉堂の味を守りたい
ラジオぽてとが「みんなの広場」になるのも、千代さんが川越から旅立つのも、自分には出来ない事だから、房子様は嫉妬してるのではないか?とラジオの男は言います。

「その気持ちを汲んでやれれば、解り合えるかも知れないねぇ。お婆ちゃんとおふくろさんみたいに」

つまり千代さんと加乃子の和解は、番組初期より張られて来た数々の伏線を回収しただけじゃなく、房子様とラジオぽてとの和解という、未来への伏線を新たに張ってた、って事ですか? マ、マルコチクビィーッチ!!

傍目からは見えない相手と喋ってるつばさを見て、ついに気が触れた!?と勘違いした真瀬はw、慌ててこう言います。

「もう悩む事はない。此処を、空け渡す」

つまり、つばさを辞めさせない為に、川越キネマの土地を諦める、と。

「お前かキネマか、どちらかを諦めろと言われれば、俺はキネマを手放す」

それはつばさの為ではなく、自分の為だと言う真瀬は、ほとんど愛を告白してるようなもんです。マルコチクビッチにあんなこと言われて、すっかりその気になってる?w

後のシーンでは優花が見計らったかのように(実際、見計らってますよね、あの小悪魔w)「ママがいたら、優花もパパも嬉しい!」なんて言い出すし、ここらで視聴者も完全に、二人が結ばれるのを確信した事でしょう。

もしくは、あまりに分かりやすいフラグが立ち過ぎて、ドラマを見慣れてる人なんかはミスリードを察知して、真逆の結末を予想されたかも知れないですね。マルコチクビィーッチ!!

甘玉堂では、知秋が父・竹雄の指導を受けて、菓子職人の修業を開始。梅吉から竹雄に託されたバトンが、今度は知秋の手に渡ろうとしています。

「家族も駅伝のチームみたいなもんだね。誰かが困ったら、誰かが助けて、タスキが行ったり来たりしながら、ずっと走り続けてる感じ? 姉ちゃんが困ったら、僕の出番かな」

そんな弟の言葉を、もはや日課の一つになってる「立ち聞き」でw、耳にするつばさ。さらに「この味を、僕が守って行きたい」ってな頼もしい言葉も聞いて、つばさは迷いを吹っ切ります。

「私がどうしたいのか、答えが出た」

つばさはラジオぽてとを辞めないし、千代さんは川越を出ていく事をやめない。すなわち、房子様の提案は拒否。だけど、蔵造り通りの店にいつか戻る目標は諦めない。それが、つばさの出した結論でした。

「それって、今と同じだよね」

そんなオチをつけるのが上手な、知秋。見られて恥ずかしい体はしてねーぞとw

☆希望への一本道
全員揃って、写真館で家族写真を撮る、玉木ファミリーの面々。もしかしたら、全員がこうして元気に揃うのは、これが最後になるかも知れません…

つばさがラジオを、知秋が母の縫った手袋を、竹雄が「甘玉くん」を、加乃子が「せんじゅ君」を、そして千代さんがシュッの看板を、それぞれ手に持ったり背負ったり… それらの小道具は、玉木家の歴史、家族の絆を象徴する物ばかりです。

特に、シュッの看板=加乃子が家出してから出演した殺虫剤のCMは、千代さんがこれまで忌み嫌って来た、母娘断絶の象徴でした。それを今、千代さんが笑顔で両手に抱えて…(涙)

そして、旅立ちの朝。千代さんは、かつて加乃子が、そしてつばさが旅立つ時に通った、あの一本道を歩いて行きます。一度は別れを済ませた加乃子とつばさが、千代さんを追って見送りに来ました。

「私ね、母さんの子供だから。ずっとずっと母さんの子供だから」

幼い娘に戻ったかのような加乃子を、再び抱擁する千代さん。

「あなたは、出来すぎた娘ですよ。73年間、飛べなかった私を、飛び発たせたのですから」

そんな母娘の姿を、つばさはどんな想いで見つめていたのでしょう? きっと、残りの2週でそれが描かれるんだろうと思います。

11年前、絶望した加乃子が家を出ていった道を、千代は希望と共に、旅立っていきました。(ナレーションまんまw)

PS. さて、この週がなぜ、こんなに泣けたのか? 理屈では説明し切れない、他の週とはまた違った感動があったのは、何故なのか? 私は、その謎の答えを見つけました!

どんな名優でも勝てない位に、人は動物と赤ちゃんに弱いと言われてますが、それ以上に、人は「お婆ちゃん」に弱いんじゃないでしょうか!?w

思いませんか? 私だけですか? 千代さんが一本道をトコトコ歩く姿を見ただけで、私は胸がキュンとなって、涙腺がどんどん緩くなっちゃう。別に、変な性癖とかじゃないですよw

演じてるのが吉行和子さんである事も大きいかも知れないけど、少なくともこれがお爺ちゃんだったら、こんなには泣けなかった気がします。マルコチクビィーッチ!!

『ライアーゲーム』#01#02

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新作映画『ライアーゲーム -再生-』の公開記念って事で、最初のTVシリーズが再放送されてました。まず、その合間に流れる映画のスポットCMが気に食わないです。

まぁ、完全に予想通りなんだけど、まるで芦田愛菜のプロモーション映画みたいに宣伝されてまっせ、皆さんええんでっか? しょせんマスメディアのやる事だからってんで、達観されてるんでしょうか?

確かに、あまりにバカバカしくて、怒るというより溜め息しか出ない感じですけれど… まさに、宣伝利用の為だけに愛菜ちゃんがキャスティングされた事は、最初からミエミエでしたもんね… 全面的に芦田様様だぜ! マルコチクビィーッチ!!

で、TVドラマの方ですが、私はやっぱり駄目でしたねぇ… 観てみたらそうでもないのかな?って思ってたのに、実際に観たら全くイメージ通りで、偏見でも何でも無かった事にかえってビックリです。

でも、否定はしません。ゲーム世代の若い子らが観れば楽しいんだろうなってのは、なんとなく解ります。

私は、密室に閉じ込められた人達がクイズに正解しないと陰惨な殺され方しちゃう、みたいな類の映画の一体なにがオモロイのかさっぱり解らんのですが、それが若い子らに支持されてる現実は受け止めるしかないワケで…

簡単に解説しますと、ライアーゲーム事務局とかいう謎の組織から、ある日突然1億円が送られて来て、同じようにゲーム参加者に選ばれた他の人を騙して、その人の1億円を奪わないと、なんか知らんけど自分が受け取った1億円が自分の借金になっちゃう。なんでやねんw なんの為にやねん?

要するに自分が損しない為には他の参加者達を騙してお金を奪い、そういう事を繰り返さないと勝ち抜いて行けない、勝ち抜かないと自分の人生を棒に振るシステムになってる。もう一回言うけど、なんの為にやねん?w

けったくそ悪いわっ!! 人が半狂乱になって大金を奪い合う様を見て、いったい何が面白いねん!? マルコチクビィーッチ!!

まぁ、要はクイズ・バラエティー番組と同じで、誰がどうやって勝つのか予想して楽しむもんなのでしょうけど、私は映画やドラマにそういう要素を求めてないから、それだけを延々と描かれても、まったく乗って行けないです。

なんだかスタイリッシュを気取った映像といい、大袈裟なBGMやSEといい、思わせぶりな脚本・演出といい、何から何まで私の苦手な手法で固められてますから、そりゃ好きになりようが無いです。

…これに、多部ちゃんが出るのか… 実に困った困ったコマドリ姉妹。もし、映画を観て私が感動出来たら、それこそ多部ちゃんの凄さだし、私の愛の力ですよホントにw それが試される踏絵ですね、これは。

何年前のドラマなのか知らないけど、ヒロインの戸田恵梨香ちゃんが初々しかったですね(画像)。でも、ピュアでバカがつくほど正直で、人に優し過ぎる女の子って、見ててイライラしちゃいますw

あかん、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」になってますねw でも、多部ちゃんの力、私の愛の力で、アバタもエクボになる可能性はある。

そんな奇跡が起こったら、それはそれで面白い。中途半端に期待するよりも、こうして絶望したまま映画に臨む方が、何と言うかその、スリリングかなとw

いやぁホント、楽しみだなぁ! マルコチクビィーッチ!!

『つばさ』25 (前)

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☆真瀬の苦悩
蔵造り通りの店よりも川越キネマを優先した以上、何としても守り抜かねば!という使命感を背負ったつばさですが、状況は芳しくないまま硬直してる感じです。

それでも、つばさは前向きに力強く進もうとするのですが、リーダーの真瀬は焦りを募らせてる様子。

そこに又、城之内房子様(冨士眞奈美)が伸子を連れて乗り込んで来ます。川越キネマとは違う、新ラジオぽてとの候補地を提示するのですが、それは決して悪くない物件です。

12月31日までに川越キネマから立ち退けば、今と同じ家賃で貸してあげる、との好条件で揺さぶりをかける、ほんと抜け目ない人ですw

この12月31日に何か意味があるのかな?とも思ったんですが、明確な期限を設定する事で焦りを誘い、プレッシャーをかける交渉術みたいですね。勉強になりますw

その期限まで、あと3週間弱しかありません。房子様がこの土地に観光物産館を建てる意志には、揺るぎないもの、命懸けの信念があり、どうせ空け渡す結果になるなら、そのタイミングは今しか無い。

「これ以上戦えば、俺達の傷が深くなる…」

下手に深追いすると、かえってラジオぽてとの立場を悪くするだけで、全てを失う結果を招きかねません。つばさには迷いが無いけど、そのつばさや、愛娘・優花(畠山彩奈)を守らなきゃいけない責任を背負う真瀬は、苦悩します。

「おとうさん、がんばって」

優花が洩らした寝言に、真瀬の目にも涙。父が苦しんでる事も、みんなの為に身を粉にして頑張ってる事も、優花にはちゃんと解ってるんですね。

☆黒づくめの乳首
つばさは、川越キネマ温存の署名を集める事を提案します。人一倍、世間の目を気にする房子様を動かすには、世間を味方につけるのが最も効果的ってワケです。

でも、真瀬は難色を示します。それをすれば逆に、ラジオぽてとが居座ってる(=川越の再開発を邪魔してる)のを世間にアピールする事になる。それこそが、房子様の狙いだと言うのです。ほんと勉強になりますw

「キネマを守るために、ラジオぽてとを傷つけるのは本末転倒だ」

確かにその通り。そもそも、この土地にこだわる理由が漠然としたものだけに、視聴者にも「もうええやん」って空気が漂ってたんじゃないでしょうか?

「待ってください!」

すごい離れた場所で立ち聞きwしてた翔太(ミラ・ジョボチクビッチ)が、頭皮の駆動エネルギーを利用して歩み寄ります。

「川越キネマは斎藤社長(秀樹)の夢です。俺にはキネマを取り戻す使命があります!」

「無責任なこと言うな! キネマを守るために、ぽてとがどれ位の犠牲を払う事になるのか分かってんのか!?」

以前のジョボチクビッチなら、乳首を震わせながら「俺なんか…」ってイジケそうな所ですが、今の彼は口の締まりが全然違います。

「お願いです、俺にも一緒に戦わせてください。諦めたくないんです、今度こそ!」

ジョボチクビッチが諦めた事を悔やんでいるのは、サッカーの夢の事なのか、それとも…

「無謀な戦いだって事くらい、私にも分かってます。だけど何もしないで見捨てる事は出来ません!」

つばさの意志も揺らぎません。なぜ、ラジオぽてとがこの土地になければならないのか、ここで彼女が語る事は、我々視聴者への再確認かも知れません。

「此処には、映画館だった頃の思い出とか、思い入れとか、目には見えない、値段もつけられないようなものが、息づいてる気がするんです。私がラジオを通して人と人を繋いで来れたのも、この川越キネマっていう場所の力に、助けられてたんじゃないかなって…」

完全に断絶されたと思われた真瀬と優花の父娘を、つばさがラジオの力で繋いで見せた事を思い出す真瀬。

この時、第8週の「まーなせまさひこ!」の場面が回想として登場しますが、断片的に観てもグッと来ますよね。サントラさんが道を歩きながらこの場面をふと思い出し、涙が止まらなくなったってエピソードにも頷けます。

「普通に考えたら、勝ち目は無いかも知れません。でもつばさとなら、勝てる気がするんです」

こら、乳首っ! 「そんなつばさが重くなったんだ」とか言いやがった、その締まりの無い口で、よくもそんな事が言えたもんだな!?って、怒ってもいいと思うよ、つばさw

「賭けてみるか」

つばさなら、また奇跡を起こすかも知れない。真瀬は、リスクを覚悟して彼女に賭ける決心をします。ジョボチクビッチが口出ししなければ、話はもっと早かったかも知れませんw

そんなワケで、つばさとジョボチクビッチが路上で署名運動を開始します。しかしジョボチクビッチよ、その怪しげな服装じゃ逆効果にならないか?w

とりあえず、そろそろその中途半端なモミアゲを剃ったらどうなんだい、ジョボチクビッチよ。ちょっと口の締まりが良くなって、カッコイイこと言うようになったからって、君がイケメンである限り容赦はしないからね、ジョボチクビッチw

☆再登場に涙
さて、そこに心強い味方として、横矢みちる(山本未來)が久々に見事な蹴つまずきを見せながら登場! 本当に見事で、未來さんはそうとう練習されたのでは?

みちるは真瀬の亡き妻・千波の親友で、TVの人気キャスターです。ラジオよりも格段に大きな影響力を持つTV放送でぽてとを取り上げ、援護射撃しようってワケです。

「なるほど、これで一気に反撃出来るかも知れないな」

真瀬が口にした「反撃」という言葉が、つばさの心に引っ掛かります。

「城之内さんを倒す事が目的なんですか?」

あまりに房子様のやり方が狡猾で容赦無しなもんだから、観てる我々も房子様を悪役と捉えがちですが、彼女も観光物産館という「広場」を作ろうとする、言わば同志なんですよね。

でも、絵本『魔女の涙』の魔女と同じで、天涯孤独の身ゆえか、他者と協調するすべを知らず、臆病だからこそ鎧を身にまとっちゃう。

ずっとエリートの道を歩んで来た真瀬もまた、すぐに理論武装して相手を言い負かそうとする傾向があり、もしかしたら房子様とは似た者どうしかも知れません。

「攻撃をかわすには反撃しか無いだろ?」

まぁ性格や生い立ちを抜きにしても、売られた喧嘩は買わずにいられないのが男って生きものですから、一人相撲を卒業したジョボチクビッチも戦う気まんまんですねw

そこに人間スピーカー・宇津木ママが、火に油を注ぐような情報を持ち込んで来ます。城之内エンタープライズ内部にも強引な再開発を疑問視する声が少なからず挙がっており、房子様は反対する社員を片っ端から左遷するという恐怖政治を行ってる、らしいと言うのです。

実は内部告発の文書もぽてとに届いており、真瀬はこれを利用して、ぽてとの悪い噂を流した房子様への「目には目を」の反撃を画策します。

つまり、このネタを利用してネガティブ・キャンペーン攻撃を仕掛け、観光物産館の計画そのものを潰す事で、川越キネマの土地を守ろうと言うのです。

つばさのいない所で「決定打になる追い風を起こしたい」と言う真瀬に、報道に携わる人間として反則行為だ、と諫めるみちる。

「そこまでして守りたいの? 彼女のため?」

みちるは、真瀬がつばさを愛してる事を知ってます。そしてみちるは、真瀬を愛してる。

だからって惚れた腫れたの話がメインにならないのが『つばさ』の素晴らしさで、恋愛感情はあくまで人間の持つ多面性の一片に過ぎない。恋愛が人生の全て、みたいなドラマは願い下げだぜジョボチクビィーッチ!!

「千波の幼馴染みとしてお願いするわ。此処を守るために、ラジオを傷つけるような真似はしないで。つばさちゃんの為にもね」

ここで思いがけず千波の名前が出て、私は泣きそうになりました。そもそも真瀬がラジオの仕事を始めたのは、千波の夢を叶えてあげたかったから、なんですよね。

前週の佐知江さんといい、最終回を間近にして、ちょっと懐かしいキャラクター達が続々と再登場してますけど、どなたが出て来ても嬉しくなるんですよね、涙が出そうになる位に。

退場してたった1週間しか経ってない、あの二人が登場した時は実際に涙が出ました。これはちょっと、なかなか経験出来ない事だと思います。

さすがに登場しないだろうと思うけど、斎藤由貴さんや山下真司さん、長島敏行さん、石橋蓮司さんすら、登場したら泣いちゃうかも知れません。

未確認ですが、週のラストであの女性達が登場した時、あの人の掛け声が聞こえた気がしました。画面をよく見たら、どこかに紛れ込んでるのかも知れません。もしそうなら、号泣ですねw

それだけ我々にとって、登場人物全員が、いとおしい存在になってる。1週限りのゲストですら! これは本当に凄い事だと思います。

☆優花のラブレター
ぽてとから引き抜かれて房子様の秘書になった伸子が、一人でつばさを訪ねて来ます。私なら冷たくあしらっちゃいそうだけど、つばさは伸子のつらい立場もよく理解してるみたいです。

「伸子さんのカップ、まだありますから」

そう言ってお茶を入れてあげるつばさに、また涙w 伸子はぽてとを去って以降もずっと画面に出てるのに、こうして秘書の仕事を抜きにして帰って来ると、懐かしく感じちゃいます。

房子様は絶対に諦めない、観光物産館には命を懸けてるから、傷口が広がらない内に諦めて欲しいと、伸子は仲間として…いや、もう一つの家族の一員として、忠告しに来たのでした。

「残して来た家族が苦しむのは、見てられない。お願い、キネマのことは諦めて!」

この週の描かれ方が凄いと思うのは、つばさ側が全面的に正しいワケではないゆえ、房子様側の勝利に終わる結末が充分にあり得るところだと思います。

その方が正しいとさえ思えるから、最後の最後までどっちに転ぶか予想出来ない。だからこそ、ラストの感動がありきたりな大団円に収まらない、深いものになってるんですよね。

そう、夜中に怪しげな文書を作成する真瀬の姿は、下手すると房子様よりずっと卑怯な悪役に見えかねません。沸き上がる自己嫌悪の感情を振り切り、真瀬は鬼になろうとしています。

そんな恐ろしげな真瀬を目撃した優花は、不安な気持ちをつばさに打ち明けます。

「城之内さんって悪い人? 悪い人だからやっつけるの?」

母・千波が創作した絵本の魔女は、本当は悪い人じゃなかった。房子様と仲良しになるのを一番望んでるのは、優花なのかも知れません。顔を見ただけで逃げたくせにw

真瀬は、床に落ちてた優花のラブレターを見つけます。「おとうさん、がんばって」…そのメッセージはもしかすると、今の真瀬にとっては逆に、悪魔の囁きになったんじゃないでしょうか?

そして、生放送当日。真瀬が作った告発文書を見つけたつばさが、猛抗議します。

「キネマを守る為だったら、何をやってもいいんですか!? 優花ちゃんに言えますか? これから真瀬さんがやろうとしてる事」

人間、切羽詰まると冷静な判断が出来なくなります。それに、真瀬は別に嘘を言おうとしてるワケじゃない。

果たして真瀬は、このまま反則行為を犯してしまうのか? どっちに転ぶか予想出来ないまま、真瀬がマイクに向かった所で、つづくw

『ケータイ小説家の愛』

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『つばさ』第25週レビューの途中ではありますが、ちょっとCMタイムって事で、久々に手前味噌なレビューを書かせて頂きますm(__)m

タベリストという新たな仲間が出来たお陰で、自作を観て頂く機会が増えました。先日もgonbeさんが『KILLERS』をブログでレビューして下さり、続いて『ケータイ小説家の愛』を観て頂く予定との事なので、レビューと言うよりは弁明、言い訳を書きたくなりましたw

『KILLERS』の場合は自分で脚本、監督、編集、さらに主演までしちゃってますから、100%自己責任ゆえ弁明のしようがありません。(と言いつつ、去年の7/23に『手前味噌ですが…』というタイトルでレビューしてますので、よろしければご参照ください)

そういう意味じゃ、商品化されたもう1本の監督作『亜弥のDNA』を先に観て頂きたいのですが、残念ながらレンタル化はされてないようです。

(↑ただしアマゾンやブックオフ等でかなりの安値で出回ってるみたいなので、よろしければw 数百円で入手可能な筈です。一応TVドラマですが、もしかすると音楽DVDやアイドルDVDのカテゴリーに入ってるかも知れません)

で、『ケータイ小説家の愛』は脚本のみの参加です。あ、「シュウ」って名前の原作者としても参加してますが、実はその原作(ケータイ小説)は脚本を書き上げた後に、宣伝活動の一環として書いた、言わばノベライズだったりします。

つまりそんなワケで、他の監督さんに撮って頂いた映画ゆえ、純粋に自分の作品とは言えない。私は具材とレシピを提供し、調理と味付けは人任せにしたようなもので…

そう言うと責任転嫁してるみたいに聞こえそうですが、そういう意味での言い訳は致しません。そもそも、私はこの作品を愛してますし…

でも、この映画でやろうとしてた本当の狙いが、完成した作品を観るとかなりボヤケちゃった(私自身にも大いに責任あり)実感がありまして、その狙いが伝わるのと伝わらないのとでは、かなり評価の仕方が違って来ると思うワケです。

たぶん、このブログの読者さんなら解説せずとも伝わるような気はするのですが、いちおう念のためにw、書かせて頂きます。その上で観ても面白くなければ、それはやっぱ監督さんのせいと言う事で(うそw)。

企画の発端は、『KILLERS』でお世話になったプロデューサーからの「恋愛物の脚本、書いてみない? ケータイ小説風のやつ」っていう、アバウトな注文でしたw

恋愛物!? ついに来たか!って感じでした。そんな依頼が来たらどうしよう、たぶん無理やで…って、私はそれを恐れてました。でも「とりあえず企画案を出してみて」って事だったんで、ダメもとで考えてみる事にしました。

まともな恋愛物なら、やっぱり私には無理だったと思います。でも「ケータイ小説風の」っていう部分に、僅かな光明を感じたんです。

ケータイ小説と言えば、例えば「YOSHIKI」みたいな名前のチャラチャラした男が、いかにも今の若い女子にウケそうな恋愛ネタ、過激描写を羅列して、金儲けの為だけにデッチ上げた空疎な「商品」…っていうイメージを、私は抱いてました。

つまり当時の私は、ケータイ小説を全面否定してたんです。それなら、この嫌悪感をそのまま映画にしちゃおう!と、私は思い立ちました。

ケータイ小説ならびに、惚れた腫れただけの恋愛映画、引いては若者に媚びたマーケティング命の「商品」全てに対する、怒りと皮肉をこめた、風刺パロディーなら私にだって書けるぞ!と。

で、ここから先はネタバレを含みますので、観て頂くご予定の方は、鑑賞後に読んで頂ければと思いますm(__)m

主人公・愛は、クラスに馴染めない内気な女の子。「HIDEKI」という名のwイケメン作家が発信する、ちょっと過激なケータイ小説が大好きで、その世界に現実逃避してるような毎日を過ごしてる。

ブログと同じで、携帯電話かPCさえあれば誰だってケータイ小説家になれる。愛は自分もHIDEKIみたいなケータイ小説を書いてみようと思い立つんだけど、何しろ恋愛経験も無ければ、ケータイ小説でよく描かれるセックスやドラッグ等の経験も当然ないから、何を書けばいいのか分からない。ケータイ小説みたいな激しい恋愛を経験しなければ!

愛は、よくケータイ小説でヒロインの相手役になるような不良イケメンを見つけ、アタックを開始。そいつとつき合うようになると、即座にファースト・キスからセックスへとひとっ飛び、あれよあれよとドラッグ、レイプ、DV、妊娠、中絶、家庭崩壊、自殺未遂、恋人の死etc…と、ケータイ小説さながらのトラブルが、次から次と愛に襲い掛かる。

小説で読む分には面白いトラブルも、実際に経験しちゃうとただ悲惨なだけ。不幸のどん底に墜ちた愛は、実体験を元に書かれた筈のHIDEKIの小説が、実は若者の嗜好に合わせて練られた全くのフィクションである事を知ってしまい、逆恨みw

復讐の鬼となった愛は、HIDEKIを捜し出し、ケータイ小説さながらの劇的なシチュエーションで殺害して、ジ・エンド(笑)。どうですか、これなら前述の企画意図が100%伝わるでしょう?w

ここから先の顛末を、順を追って書くとまた長くなるので、結果から先に言います。この毒の塊みたいなプロットから、様々な事情でどんどん毒が抜き取られ、すっかりソフトな作品に生まれ変わったのが、完成した映画『ケータイ小説家の愛』なんです。

ケータイ小説を徹底的に茶化したパロディーから、毒を抜いたら一体どうなるか? それは、普通のありきたりなケータイ小説になっちゃう! わざと陳腐な展開にして笑いを取るつもりだったものが、毒を抜いたら普通に陳腐な作品になっちゃうワケですw

「商品」しか創ろうとしないクリエイター達を風刺するつもりの本作も、プロの世界で創る以上は商品の一つにならざるを得ない、という皮肉。商品にするからには、数々の注文や制約をクリアしなくちゃいけないワケです。

まず結末をハッピーエンドに変更する事から始まり、私がノリノリで書いた数々のエロ描写がカットされw、これもノリノリで書いたレズや近親相姦のネタも、尺の都合で泣く泣くカットw

監督さんがまた生真面目な方だったみたいで、とても生真面目な演出をされた事も、最初に意図した「パロディー」からは良くも悪くもかけ離れちゃう結果を生んだように思います。

でも、一番の戦犯は多分、私ですw 脚本を書くにあたって私は、それまで読んだ事もなかったケータイ小説ってヤツを、勉強の為にいくつか読んでみました。で、これが意外と面白かったんですよねw

面白いと感じた時点で、企画発想の原点である「嫌悪感」が、まず薄れちゃいますw

でも、それ以上に問題だったのは、脚本を書き進めるにつれて、私自身がすっかり主人公に感情移入してしまい、気がつけば真剣にこの物語に没頭しちゃってた事ですね。

主人公・愛は性別こそ女性だけど、完全に私自身の投影であり、私にとって理想のクリエイター像でもあるんです。それは多分、解説するまでもなく、観て頂ければ一目瞭然かと思います。

だから、私は本当に、泣きながらこの物語を書いてました。馬鹿にして茶化して笑ってやろうと思って書き始めた筈なのに!

実際に本作を観られた方は、キャスト陣の演技にも言いたい事がおありかと思いますがw、キャスティングに関して私は一切ノータッチでしたので、そこはノーコメントとさせて頂きますw とにかく、多部ちゃんとは全然違うって事ですねw

でも本作に限っては、キャストの芝居が作品の良し悪しを左右するような事は、さほど無かったように思います。

私の責任だと言えば、それはそれでおこがましい発言になっちゃいますので、やっぱ監督さんを中心にw、スタッフ一同の責任が大きいです。良くも悪くもですよ? 失敗作と決まったワケじゃありませんw

褒めてるのかケナしてるのか分からなくなって来ましたけど、とにかく私は、この作品が好きです。一生懸命やってるつもりなのに、うまく伝わらない… まるっきり私そのものですw

皆さんがこの作品を観られて、どんな感想を持たれるのか、まったく予想がつきませんw 『KILLERS』なんかはある程度、反応が予測出来るんです。ほぼ狙い通りに表現出来た作品だと思うから、観られる方の好みに合うか合わないか次第なので…

ところがこの『ケータイ小説家の愛』だけは、観られる方にどう伝わるのか、サッパリ予測出来ないw

いや、「展開が陳腐だ」とか「テンポ速過ぎだろ」とか「演技が○○だ」とかはw、まぁ皆さん思われる事でしょうけど、そこから先、何かメッセージを感じてもらえるのか、その解釈がこちらの意図とリンクしてるのか、あるいは何も伝わらないのか?

それを是非知りたいと思いますので、皆さん、良かったら観てみて下さいませm(__)m これは多分、大抵のレンタル屋さんに置かれてると思います。

いま、会いにゆきます

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とりあえず前回の補足から。ケータイ小説というメディアに対して私が抱いてた嫌悪感は、脚本執筆に際して勉強してみたら、全くの誤解であった事が判りました。

大ヒットした作品の中には、最初からそれを狙った計算づくの「商品」も中にはあるだろうけど、大部分はこのブログと同じで、ただ何かを表現したい、何かを伝えたい、世間と繋がってたい…ってな衝動か、あるいは単なる自己満足で綴られてる個人的なものなんですよね。

ブログが一番それに近いツールだと思いますが、それ以前に私が長年やって来た、自主製作映画ともよく似た存在なんです。だから『ケータイ小説家の愛』は、まったくもって私自身の物語なワケです。

まぁ歳が歳ですから、恋愛経験や性体験が無いワケじゃなかったけど、脚本家になって痛感したのは、自分の視野がいかに狭かったか、いかに物を知らないかっていう、要は色んな経験に基づく知識が求められる職業に、自分が追いつけてないっていう現実でした。

だから、それでメシを食ってた頃は、気が進まない事でも嫌いな事でも、避けて通らずに一度だけでも経験しておこう!って心がけてました。

風俗遊びもその一つですw いやホントに、そういう裏付けというか言い訳というかwが無ければ、行く勇気は持てなかったです。

だから、主人公・愛がケータイ小説を書く為に処女を捨てるのは、私にとって不自然な行為でも何でも無い。もし現実にドラッグを勧められたら、あの頃の私なら試してたと思います。

何かトラブルに巻き込まれたとしても「しめしめ、ネタの引き出しが増えるぞ」って思っちゃう。いちいち悲観してたらクリエイターは勤まらないです、きっと。

今でもそうかも知れません。ブログをやってる方は皆さん同じじゃないかと思いますが、何かトラブルがあった時、真っ先に「これはブログのネタになるかな?」って発想に繋がっちゃうw

それってある意味、たくましいですよね? 内気で一人じゃ何も出来なかった女の子が、ケータイ小説と出会う事によって、自立した強い女性に成長していく… 『ケータイ小説家の愛』は、そんな物語でもあります。

さて、本題です。私は今、三重県の名張市に住んでますが、生まれは東大阪市の、布施という町です。

小学一年生まで布施で育ち、それから名張に引っ越して高校卒業まで暮らしましたが、21歳から再び布施で一人暮らしを始めて、監督デビューして上京するまでの約15年、つまり幼少時と合わせて20年以上、私は布施の住民だったワケです。

今日の夜、その布施でTVドラマのロケがあるとの情報が、昨夜ネットに流れてました。ドラマのタイトルは『浪速少年探偵団』。

主演は、多部未華子さんです。その主演の方も、ロケに参加される模様です。

今日は水曜、私の定休日です。布施には土地勘があります。そして実を申しますと、私はタベリストでありますw 取るべき行動は、一つしかありません!

多部ちゃんと一緒に仕事したいなんて願望は無いって、いつぞや書きましたけど、一ファンとしては、そりゃ会いたいに決まってます。

行ってきますw フォースと共にあらん事を…

やっぱり!? in 布施

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こんなに緊張するとは思ってませんでした。いま早めの夕食を吉野屋で食べてますが、吐いちゃいそうですw 手が震えてます。本当に好きみたいですね、多部ちゃんがw

久本雅美さんしか来なかったらどうしようw 別にそれでも嬉しいけど、もし小池徹平だけなら暴れますw

ああ、食が進まない… 早く食べないと!

生意気ながら、撮影や芸能人には免疫がある筈なんですよね。ブランクがあるとは言え、何でしょうか、この有様はw 愛ですよね、愛!

遭遇予定時間まで、あと約1時間!

☆☆☆☆☆☆☆

今、トイレの個室ですw 胃腸がおかしいw この歳になると、こんなに緊張する機会ってなかなか無いんですよね。別に会ってお話が出来るワケでもないのに、何を興奮してるんだ?

あと約50分!

☆☆☆☆☆☆☆

そんなワケで布施駅の改札付近で待機中ですか、変わった様子が何も無いですね… 撮影関係者らしき人や警備員、私みたいな追っかけ野郎らしき人も、周辺にロケバスも見当たりません。

本当にあるんだろうか… あと約40分!

☆☆☆☆☆☆☆

とりあえず、信じて待つしかないですね。撮影は押して当たり前だし、目立たないよう準備するだろうし…

ちょっとオタクっぼい青年がチラホラ、携帯と睨めっこしながら誰かを待ってるんで、もしかしたらお仲間かも知れません。声は掛けませんけどw

あと約30分!
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