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『つばさ』19 (前)

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この週からタイトルバックが変わりましたね。使われてるスチール写真の7〜8割が差し替えられ、前より明るく華やかになった気がします。

本編中のつばさも、明らかに前より綺麗になって、多部ちゃんの演技も、さりげなく大人っぽい表現に変化したと思われます。つばさはひと皮剥けました。

☆羽ばたきなさい
ラジオぽてと復帰が決まったつばさは、房子様に頭を下げてくれたらしい祖母・千代に礼を言い、長瀞への旅を通じて、自分の夢を見つけるヒントが得られた事を報告します。

でも、それはすなわち、つばさに甘玉堂の女将を継いで欲しいという、千代さんの夢からは遠ざかる事を意味します。

「ありがとう、ごめんなさい」

そう言うつばさに、千代さんは意外な答えを返します。

「羽ばたきなさい、つばさ」

ずっと店に縛られて生きて来た千代さんは、自分の娘にも孫にも、同じ生き方を強要しようとして来ました。でも、つばさの成長が、千代さんはじめ、周囲の人々の心にも変化をもたらした模様です。

真瀬も、その一人です。ラジオぽてとに戻ったつばさに、彼は一つのケジメをつけました。つばさへの想いは恋愛感情ではなく「同志愛」だから、これからも仲間としてよろしく、と。

同志、仲間、そして自分を変えること。それが第19週のテーマになってます。

☆帰って来たチクビィー
秀樹と翔太が、いきなり一緒にいるんで驚きました。「あんな所で何をしてた?」って、何処で何をしてたんでしょうか、翔太は? 前週にそんな場面、ありましたっけ?(あったような気がして来ましたw)

「どん底か。俺は案外、嫌いじゃない」

今週の秀樹は、痺れる台詞のオンパレードです。

「俺は絶望した事が無いヤツは、信じない」

「俺はどん底も好きだが、そこから這い上がるヤツの方が、もっと好きだ」

翔太はどん底を味わって、自分を変えたいと願ってます。同じようにどん底から這い上がった経験のある秀樹は、どん底こそが自分を変えるチャンスだって事を知っている。秀樹は、翔太の脱皮に力を貸す事を決めます。

今回、ふと思いました。『つばさ』って、ほとんど全ての登場人物が、それぞれどん底を味わう事で、脱皮する姿を描いてるドラマなんですよね。

で、私はヒプノセラピーを題材にした作品を創った事があるので、少しだけその世界に詳しいのですが、『つばさ』でやってる事って、実はセラピーと同じなんですよね。

セラピーってのは単なる癒しだけじゃなくて、過去を洗いざらい吐き出させ、自分自身の弱さを認めさせた上で、それでも生きて行くなら自分を変えるしか無いって境地にまで追い込んで行くような、ハードな側面もあるんです。

それを悪用したのが、洗脳だったり悪質商法だったりもするんだけど、とにかくそれ位にとことん追い詰められないと、人は自分を変えられない。

私も自分を変えようと努力した時期があったのですが、それは本当に本当にツライ修行みたいなもんで、それ自体が私にとってのどん底でしたね(笑)。

私の場合は他者から「変わらなきゃ駄目だ」と強く言われた事が、自分を変えようとした理由でしたから、結局は変われませんでした。本気で、自分から心底「変わりたい!」って望まない限りは無理なんです。

実際に私は、ヒプノセラピーを受けてみた事がありまして、あれは自分の過去を吐き出しながら大泣きするのが特徴なんですが、『つばさ』を観ながら自分自身と重ねて滝の涙を流す行為も、それとかなり似てるように思えてなりません。

そう言えばセラピーの先生も、映画やドラマを観る行為はヒプノセラピーの「催眠療法」とよく似てるって仰ってました。特に映画館の暗闇の中、大人数がスクリーンに見入ってる状態は一種のトランスで「集団催眠」そのものだ、と。

大丈夫ですか皆さん、引いてませんか?(笑) 私はそういう世界にちょっと触れただけで、どっぷりハマったワケではないけれど、否定するつもりもありません。それで救われる人もいれば、ドラマで癒される人もいる。ただ方法が違うだけだと私は思ってます。

☆千代さんの同志
浪岡正太郎の父・葛城が入院します。どうやら過去の腫瘍が再発した模様です。加乃子は見舞いを促しますが、千代さんは店を優先しないではいられない性分です。

「つばさは充分に強くなった。だから私は、母さんにも生きたいように生きて欲しい」

加乃子は、自分で自分を縛る母にも、羽ばたいて欲しいと願ってるようです。

☆サンバの謎
何かとラジオぽてとを陰で支援してくれる秀樹に礼を言いに来たつばさですが、「勘違いするな。金の為だ」と、相変わらずブラック・ジャックみたいな秀樹w

「俺が愛してやまないのは、カノンとの美しい思い出と、金と、俺自身と、そしてサンバだけだ。サンバは、俺の生きる証だ」

いきなり何を言いだすんだ、このオッチャンは?と思いましたが(笑)、秀樹にとってサンバは、ただの商売でも趣味でもなかった事が、後に明かされます。

さて、そこに秀樹の子分…じゃなくて斎藤興業の社員が3人やって来ます。ん? 3人? 2人だった筈では? そう言えば一人、見慣れない…けど嫌と言うほど見てきたw気がする若者が、口を半開きにして立っているw

そう、翔太は斎藤興業に就職したのでした。モミアゲはこの時の為に伸ばしてたのでしょうか?(笑)

黒づくめのスーツにグラサン姿で、つばさの事を「玉木さんのお嬢さん」と呼び、敬語で話すチクビィー。それがチクビィーなりの、ケジメのつけ方なのです(?)。

そんな翔太の事は玉木家でも話題沸騰、「前々から勝手に突っ走っちゃうとこ、あったよね」って、高校生の知秋にまで言われちゃうチクビィーw

「気持ち悪いっていうか、面倒臭いっていうか…」って、つばさも実に正しい反応(笑)を示し、加乃子を驚かせます。「ほんっとに吹っ切ったのね。私もそろそろ変わらなきゃ」って、またこれ伏線ですか?w

☆ビバマリア
ブラジルからの手紙が届いて、唐突に秀樹が壊れちゃいますw ビバマリアという名のサンバ・ダンサーが亡くなったと知って、常にダンディーな秀樹がバカボンのパパみたいな服(笑。実際は寅さんですね)を着て、放心状態になってしまう異常事態。

それで社員達から呼び出されたつばさは、なぜ自分が呼ばれたのか解らない。「お嬢さんは、ボスの元気の源なんです」と言われても、私だってピンと来ないのですがw、その理由も後にちゃんと明かされます。

ビバマリアとは、かつて加乃子との恋を引き裂かれ「どん底」だった秀樹に、生きる希望を与えたブラジル…出身の浅草wの踊り子です。ビバマリアの踊るサンバには、生きる事への情熱が溢れてた。

「人生は、踊れば悩みなんて吹き飛ばせる」

彼女に救われた秀樹は「川越にも情熱のサンバを」という新たな生き甲斐を見つけ、どん底から這い上がったのです。サンバダンサーの斡旋は商売じゃなくて、実はボランティアだった。

「励ましたい人がいれば、いつでも何処でも」…それが秀樹なりの、ビバマリアへの恩返しだったんです。

そう、単に奇抜な演出だとばかり思ってたサンバ・ダンサー軍団の登場にも、ちゃんとドラマとしての裏設定があったんです! これには意表を突かれ、またもや涙腺決壊ですよw

「ビバマリアは死んだ。今の俺は、天国への階段を踏み外した、罪人だ」

…って、キザ過ぎるだろ、秀樹!w

(つづく)

『つばさ』19 (後)

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第3週で加乃子が、つばさと知秋を抱いて「一緒にいさせてぇーっ!!」と絶叫した時も、第9週で真瀬がやっと優花の父親になれた時も、サンバ・ダンサー軍団は単なる賑やかしに現れたワケじゃなくて、「励ましたい人がいれば、いつでも何処でも」川越に情熱のサンバを!っていう、ビバマリアへの誓いを果たす為に、秀樹が手配して連れて来てたのでした。

そんな事実が今になって明かされたのにも驚きましたけど、秀樹の行動は全て「加乃子への愛」によるものだと思い込んでた私は、ビバマリアという別の女性の存在が実は原動力になってた事にこそ、何より驚かされました。

じゃあ、秀樹はなぜ、つばさを中心にして、その周囲の人達を助け、励まそうとするのか? 加乃子の愛娘だからじゃなかったのか? そう言えば知秋にはあまり興味が無さそうだしw

…その謎も、この週の後半で明らかにされます。

☆自分を変える
いくら加乃子に葛城の見舞いを促されても、頑なに拒む千代さん。かつて千代さんは、加乃子と秀樹同様、葛城との仲を親に…というか玉木家そのものに引き裂かれました。

そのどん底の後、千代はどう生きたのか? 「案外、私と同じで必死にあがいてたのかしら、自分を変える為に」という加乃子の言葉を、竹雄が聞いてます。

このところ「自分を変える」って言葉にやたら敏感な竹雄は、いよいよ目つきがヤバくなって来ました。自分を変えなきゃ加乃子に見捨てられると思ってるのでしょうか?

いずれにせよ、悩み過ぎて欝病寸前の状態になってるのは確かです。チクビッティーみたいに動かせる頭皮が無いだけに、非常にヤバイ。

☆『永遠の恋』
葛城は病院を抜け出して、かつて千代との最後のデートで観た映画『永遠の恋』を川越キネマでもう一度観られないものか?と、つばさに相談を持ちかけます。

「出来れば、1日も早い方がいいんだが」という葛城の言葉を聞いて、つばさも、そしてその会話を離れた場所で聞いてた息子・正太郎も、葛城の余命が残り僅かである事を察します。

つばさは、千代も同じ願いを抱いてる事を知ってます。人と人を繋げる為に、新生つばさが動きだします。

映画を上映するには、壊れたままの映写機を直さなければなりません。かつて浅草の劇場で映画の上映も手伝ってた秀樹なら、何とかしてくれるかも知れないってんで、つばさは秀樹の「同志」である加乃子を連れて、斎藤興業を訪ねます。

秀樹は相変わらずバカボンのパパ状態で、ブラジルから届いたビバマリアの形見の品にも手をつけようとはしません。

「自分の人生を支えて来てくれたものが無くなった事を、簡単に認められるほど人間っていうのは、強くないからね」と、加乃子。それは加乃子自身をはじめ、あらゆる登場キャラが経験し、加乃子のせいで(?)竹雄がたった今、味わってる苦しみでもあります。

☆やめてくれっ!
ボインボイ〜ン麻子さんの店「こえど」で独り呑む竹雄ですが、今夜は麻子の様子も何やらおかしい。それを察して帰ろうとする竹雄の手を握り「一人にしないでください!」と懇願する、魔性の女w

父親が極道であったせいで別れた、かつての婚約者が別の女性と結婚したとの知らせが入り、まだ想いが残ってる麻子は動揺してるのでした。

同じ頃、つばさは翔太と久々に二人で会話。チャラい髪型を卒業し(ただしモミアゲはキープw)、背筋を伸ばして敬語で話すチクビッティーが、気持ち悪いっていうか面倒臭いっていうかなんだけどw、ちょっと切なくもあり、可愛く感じたりもしちゃいます。今のチクビッティーは、ちょっとだけ好きですw

誰かの為に頑張るって考え方は結局、失敗した時にその誰かのせいにしたいだけ。これからは言い訳を作らず、自分自身の為に何をすべきかを模索したいと語る翔太。

それはこの週の冒頭、つばさが千代に話した事と同じなんですよね。お互い、相手に依存してた自分に気づいて、それぞれが今、自立して前向きに歩き出そうとしてる。でも、二人が同じ結論を出したからって、私は交際を認めたワケじゃないですからねw

「親父みたいな大人にはなりたくないから」

↑この想いだけは終始一貫してるチクビッティーですが、それを意識すればするほど、また一人相撲に走っちゃうような気がするけどなぁ…

麻子もまた「親父の血」の呪縛に苦しんで来た人です。幸せになればなるほど、いつか壊れるんじゃないかと思って怖くなる。破滅的な父親の血を受け継いだからこそ、麻子は婚約者との関係が壊れる前に、逃げてしまった。

「私が幸せになれないのは、父のせいだと諦めました」

尚も、自分自身の中にいる父親への憎しみを語る麻子。聞くに耐えられなくなった竹雄が、いきなり「やめてくれっ!」と激昂します。麻子はもちろん我々視聴者も、こんな竹ちゃんを見るのは初めてです。

麻子の父と同じ、元極道という過去を持つ竹雄は、自分の事を言われてる気がしたのでしょうか? それとも、竹雄の中にも、受け継いだ血の呪縛があったりするのか…?

いずれにせよ、竹雄のアイデンティティーが崩壊した瞬間だったように思います。

☆広場
ビバマリアの遺品には、ブラジルに帰った彼女に宛てた秀樹の手紙が入ってました。その内容から、秀樹が川越キネマ=ラジオぽてとに拘るのは、ビバ・マリアとのある約束があったからだと判ります。

川越キネマは、ビバマリアの故郷にある映画館とよく似ていた。町中の人々が集まって、まるでカーニバルの広場みたいだった映画館を、彼女は愛してた。

嬉しそうに踊る彼女を見て、秀樹は川越キネマをそんな場所に育てると決めたのでした。

「俺の手で必ず、祭りを見せてやる」

それを知ったつばさも、ラジオぽてとを川越の町の人々が集う「広場」にしたい!という、具体的な夢に辿り着きました。

…と、そこまでは実にめでたい話なのですが…

それを聞いた翔太が、頭皮を動かしながら「絶対、復活しよう!」なんて、まぎらわしい言い方をするもんだから、一瞬つばさがドキッとしてたように、見えましたよね!?(笑)

奴は川越キネマを映画館として復活させる意味で言ったんだけど、つばさは一瞬、寄りを戻す話だと勘違い、してましたよね!? こらっ! 乳毛っ!w せっかく… せっかく完全に吹っ切れてたのに、お前という乳首は… 何がチクビッティーじゃ、ふざけんな! この、ち○毛っ!!(笑)

☆アミーゴ・インチモ
夢への第一歩として、つばさは何としても『永遠の恋』上映会を実現させようと、バカボンのパパを再び説得します。

「お願いします。ラジオぽてとを、広場にしたいんです!」

広場という言葉に、パパが反応します。さらに乳毛も説得に加勢します。例え離れ離れになっても、信じ合い、支え合う「同志」がいる事が、どれほど心強いか… 翔太にとってそれはつばさであり、秀樹にとってはビバマリアだった。

「同志か… そう、アミーゴ・インチモだ!」

親友を意味するその言葉は、ビバマリアがブラジルに帰国する別れ際、秀樹に贈った言葉でした。

「地球の裏側に、アミーゴ・インチモの斎藤がいてくれる。そう思えば、ブラジルでも頑張れる。…ここ(ハートの中)に、サンバがある限り」

彼女の言葉を思い出したパパは、ついに秀樹に戻ります。

「祭りを見せてやる。待ってろよ、アミーゴ・インチモ!!」

☆二人だけの試写会
復活した秀樹が見事に映写機を修理して、川越キネマも復活、上映会に先がけて、千代と葛城の為の試写会が開かれます。最後のデートと同じ座席で、同じ映画を観る二人。

「この映画をどうしても、千代さんと観ておきたかったんだよ」

そう言われて千代も、本気で愛した唯一の人=葛城の、限られた時間を察します。

「私は、君に支えられて生きて来たんだなぁ… ありがとう」

別れても、翔太や秀樹は近い場所にいる。でも葛城は… 千代さんの別れが、一番切ない別れかも知れません。

そんな千代の姿を見て、加乃子は同志の大切さが身に染みたのか、秀樹の手を握って言います。

「愛してる。同志として」
秀樹はかつて加乃子を失い、今またビバマリアを失った。そんな秀樹の心を支えてあげる、3人目の天使は現れるのか…?

「今のカノンは、ビバマリアにそっくりだ」

「ううん、私よりつばさの方が似てるかも」

☆太陽がいっぱいだ!
上映会本番の前に、今度は秀樹の為にビバマリアからのビデオ・メッセージがスクリーンに映し出されます。遺品の中にあった物で、ビバマリアが亡くなる数日前に、病を圧してサンバを踊ってる映像です。
「人生は、踊れば悩みなんか吹き飛ばせる。これからはもっと、楽しくラテンで生きなさい!」

ビバマリアと同じ真っ赤な衣裳を着たつばさが、ブラジルから駆けつけたビバマリアの教え子達と一緒に、ステージでサンバを踊ります。

涙を流す秀樹の眼には、踊るつばさがビバマリアに見えた事でしょう。いや、多分、初めてつばさと会った時から、秀樹はビバマリアと重ねてつばさを見てたんですね。

加乃子を失ってどん底に堕ちた秀樹は、ビバマリアの中に加乃子を見て、つばさの中にビバマリアを見た。

秀樹にとって、つばさは希望。ビバマリアが故郷で見上げた、ブラジルの太陽みたいな存在なんです。

「太陽がいっぱいだ!」

見事、秀樹を復活させたつばさは、新しい夢に向かって羽ばたこうとしています。

『つばさ』レビューについて

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とても楽しくやらせて頂いてる『つばさ』レビューですが、物語や登場人物(特に乳首w)への思い入れが強くなるにつれ、御覧の通りですが文章がどんどん長くなってしまいw、なかなかハードな作業になってます。

また、年内に完走してキリ良く新年を迎えようなんて、何となく思ってたもんだから、ちょっと急ぎ過ぎたかも知れません(今のペースで続けても、年内完走は無理っぽいw)。

だから効率良く進むよう最初からメモを取りながら観てたりなんかして、先にレビューありきの鑑賞になってしまい、それでもちゃんと感動して泣いたり笑ったり出来るんだけど、なんだか勿体ないような気もして来ました。

これからいよいよ終盤に入って行く事ですし、ドラマ鑑賞を存分に楽しむ為にも、レビューのペースを少し落とそうかなと思ってますm(__)m 現行の連ドラも最終回を迎える時期だし、年末年始は映画のレビューも入って来ますので…

だからって、気を使ってコメントの書き込みを減らすとか、しないで下さいねw それが支えになってこそのレビューですから。もしこちらからの一方通行だったら、こんな詳細なレビューを続けるエネルギーは湧かなかったと思います。

それにしても、ここまで観て来て、私の中で『つばさ』のイメージは、以前とはガラリと変わりました。

熱心でディープなファンがいっぱい存在するのは、奇天烈な笑いによるカルトな魅力と、アットホームな暖かさというか包容力が、安心を与えるからだと勝手に思ってたのですが…

それらの要素も重要ではあるんだけど、それより何より、登場人物達を容赦なくどん底に突き落とす、悲劇性にこそ、ファンの皆さんは魅了されてるんですよね?

ギリシャ神話とかシェイクスピアに魅了される人が世界中に、時代を超えて存在するのと、根っこは同じかも知れません。

人間が本能的に求める何かがあるんですよね。それは多分、こないだコメント欄でも話題になったように、セラピーと同じく「浄化」なんだろうと私は思います。残酷さを抜きにして浄化は出来ませんから…

さて、今日は久しぶりに映画館です。我らが多部ちゃんがちょっとだけ出てるw『源氏物語 千年の謎』、これから観て来ます。この映画で果たして、浄化は出来るのでしょうか?

『源氏物語- 千年の謎- 』

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やっぱり、長く伝えられる物語っていうのは、普遍的なテーマを扱ってるものなんだなぁってのが、私の率直な感想です。

ラストシーンで物語中に現れた作者・紫式部(中谷美紀)が、自分が創り上げた主人公・光源氏(生田とかいう人)に向かって、

「全ての者が惹かれずにはいられない魅力に恵まれた、その幸せの分だけ、あなたには苦難が降り掛かるのですよ」

…みたいな台詞を言いましたけど、まぁそのまんまの事を私も感じながら観てましたw

モテる男は本当に、実にけしからん(怒)。いつの世も、モテる奴はモテるし、モテない奴はモテない。そりゃもう笑えるぐらいハッキリ区切られてる(哀)。少年マンガみたいにオタク少年が何人もの美少女にモテモテなんて、あるかいなそんなもん(嘲)。

でも、モテればモテたなりの苦労が必ず生じて来る。そりゃもう、モテなければ全然味わわなくて済む苦労です。いやぁー僕ちゃん、モテなくて本っ当に良かったぴょーんだ!

そんな当たり前の事を描いてる物語なんだなぁって、なにも作者さんにそこまでハッキリ解説して頂かなくてもw、その辺りは充分に伝わって来ました。

ただし、その根本的な部分で、この映画は失敗してるんじゃないか?って、私は思いました。

光源氏が、誰もが一目見ただけで虜にされちゃうような、そんな魅力的な男には、どうしても見えないんですよね。

まず、生田とかいう人のルックスですよ。そんな眼を見張るほど美しくもなければ、ウットリするほどセクスィーでもない。普通にそのへんにいるイケメンにしか、私には見えないんですよねぇ…

女性から見たらまた違うのかなぁ? でも男の眼から見たって、かつてのジュリーとかジョニー・デップの色気は何となく解りますよ?

それに加えて、光源氏の人物像です。ただ惚れっぽいだけのスケコマシで、複数の美女の間を優柔不断に行ったり来たりしてるだけ。

『サイコ』の主人公と同じで、極端なマザコン感情を自分でコントロール出来ない、精神病患者ですよね、あれって。

でも、それは別にいいんです。実質の主人公は式部ちゃんですから、光くんに感情移入する必要は無い。問題なのは、あんなカラッポなスケコマシの虜にされてしまう、女性達にどうしても共感出来ない事です。

理屈を超えた魅力があるって、言葉で言うのは簡単だけど、映像として表現するならば、光くん役のキャスティングは何よりも重要なポイントだと思うのですが…

あの生田とかいう人では、あまりにも魅力が足りな過ぎるんじゃないでしょうか? 光くんのモデルになった藤原道長=東山紀之くんの方が数倍、スクスィーで魅力的だったけどなぁ…

東山くんに限らず、生田とかいう人以外のキャストには、何も文句はありません。特に豪華女優陣ですよね。

多部未華子さんはね、やっぱり凄いとしか言いよう無いですよ(ちょうど今日、カレンダー届いたぴょーんw)。

田中麗奈さんも素晴らしかったけど、生霊になってまで光くんに執着する六条御息所の役ですから、目立って当たり前と言えば当たり前。

それに対して多部ちゃんは、光くんの正妻・葵の上ですから、まぁ言えば地味な役、損なポジョンですよね、本来なら。出番も少ないし。

なのに、彼女の所作や表情、あの眼と、おでこと、声も、強く強く印象に残ってます。真木よう子さんや芦名星さんを軽く凌いで、麗奈ちゃんと同等ぐらいの存在感があったと思います。

でも、私が一番共感したのは、式部ちゃんでした。(本作は古典小説『源氏物語』と、それを紫式部がなぜ書いたのか?という2つのドラマが、時に交錯しながら同時進行します)

なにしろ作家さんですから、ストーリーは書いてみないとどう転ぶか分からないとか、登場する女性キャラがみんな作者の分身である事とか、いちおう私も作家のはしくれでしたから、その辺はよく解るんです。

真面目なキャラも、傲慢なキャラも、スケベなキャラも、全部自分の中にある性質を、それぞれ引っ張りだして投影させて行くんですよね。意識しなくても自然とそうなっちゃう。

作家によって書き方は色々あると思うんだけど、私は『つばさ』みたいに事前に細部まで詰めて計画的に組み立てるのが実は苦手で、書いてみないと分からないっていう式部ちゃんに近いタイプでした。

書きながら考えるというよりも、自分が物語の中に入って、それぞれのキャラに憑依すると言うか、されると言うか。「キャラクターが勝手に動き出す」ってやつです。

式部ちゃんがそういうタイプの作家(実際はどうだったか知らないけど)だったからこそ、物語と現実が交錯したり、リンクする構成が成り立つんですよね。そこは大いに楽しめました。

でも『源氏物語』そのものは、やっぱ評判どおり、ちょっと眠かったですね。途中、何度か落ちてしまい、目が覚めたら多部ちゃんのシーンになっててw焦ったりもしました。

ただ、世界観は良かったと思います。豪華絢爛なセットや美術は勿論ですが、平安時代の緩やかに流れる時間と、鳥の声や衣擦れの音、唇を吸い合う音まで生々しくw聞こえるような、静けさが実に心地良かったですね。だから睡魔に襲われるワケですが(笑)。

PS. 隣町の小さな、そして唯一のシネコンで観たのですが、映写が酷いピンボケで、観るに耐えられず映画館スタッフに知らせる為に、途中で席を立つ羽目に。

それで調整してくれたものの、完璧には合わないまま妥協。後でクレームをつけたら、映写レンズの不調でやむなしとの事。

私は細かい事にクレームをつけるタイプとは全然違うのですが、本当にとんでもないピンボケだったんです。1700円も払わせて、まったく酷い話です。

それが無ければ、作品の印象はもっと良かったかも知れません。映画館で観るのも善し悪しですな…

ラスト直前!

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今週、秋ドラマが軒並み最終回を迎えます。2本に絞って毎週レビューとか言ってた計画はどっかに吹っ飛んじゃいましたけど(笑)、本数は増えて3本のドラマを、最後まで見届ける事になりました。

☆『家政婦のミタ』(日テレ、水曜夜10時)
三田さんが最後に笑うか否か?は巷でも話題になってるみたいですが、笑うよりも先に「三田さんが阿須田家の家族になる」っていうDeepさんの予想が、あっさり当たっちゃいましたw

「お願い三田さん、私たちのお母さんになって!」

「承知いたしました」

もう、椅子から転げ落ちそうになりました(笑)。これぞ『ミタ』クオリティーと申しましょうか、常にこちらの予想より先、斜め上を行ってる。脱帽ですm(__)m

勿論このままアッサリ本当の家族になるワケが無く、絶対に家族を持つ気が無い事の裏返しなんでしょうけど、承知して、それから一体どうしようって言うのか? 全く予測が立ちません。完敗ですねw

三田さんが明かした過去のトラウマ自体、こちらの想像を遥かに超える壮絶さで、自分を助ける為に死んだ父親、それを恨む母親からの虐待、母の再婚、義弟による性的虐待→ストーキング、そしてやっと掴んだ幸せ=愛する夫と息子が、義弟の放火により死亡…

三田さんが愛した人はみんな不幸になる、三田さんが自分の意志で何かやると必ず悪い結果になる、三田さんが笑顔を振りまくから皆がおかしくなる、だから死ぬまで絶対に、笑うな。

実の母にも夫の遺族にもそう言われ続けて、三田さんは心を捨て、笑わなくなった。現実に三田さんが笑うから不幸が起こるなんて事はあり得ないけど、三田さんはその命令を守る事で自分を罰し、そのお陰で辛うじて生きてる。

意外だったのは、亡くなった阿須田家のお母さんの、おっちょこちょいな妹(相武紗季)が単なるコメディー・リリーフかと思いきや、最終回の展開の中で、かなり重要な役割を担いそうな事。

いつもニコニコ笑って、すごいお節介焼きなんだけど、やる事なす事ぜんぶ裏目に出て、結局は相手に迷惑を掛けちゃう、いわば疫病神。

それは、無表情で自分の意志では一切動かない三田さんとの対比に見えて、実は三田さん本来の姿を暗示するキャラだったとは! これにも意表を突かれました。

その相武さんが今、三田さんと同じように心を閉ざそうとしてる。三田さん復活の鍵を、彼女が握ってる事だけは確かだと思われます。具体的にどう絡んで来るのかは、やっぱ全然予想がつかないのですがw いやーホント、完敗ですm(__)m

三田さんが最後に笑うにせよ笑わないにせよ、それをどう見せて、どんな着地をするのか? 徹頭徹尾が予定調和な『水戸黄門』最終回スペシャル(笑)とは対極にある、全く予測が立たないミタの最終回、実に楽しみです。

☆『蜜の味』(フジ、木曜夜10時)
こちらはもう、グダグダってワケではないけど、どんどん面白くない方向(要は、ありきたりなメロドラマ)に行っちゃって、もはや手の施しようが無い感じですw

榮倉奈々ちゃんとARATAくんを陥れようとしたのは、どうやら乳首(溝端淳平)が勝手に暴走しただけで、菅野美穂さんは医者としての誇りを捨てるような人ではなかったのでした。

悪いのは全て男、愚かなのも全て男。全ての女性キャラは、あくまで被害者なんですよね。そこだけはもう、見事に徹底してます。

乳首や、奈々ちゃんの父親(ARATAくんの兄)が二人の仲を裂こうとすればするほど、かえって禁断の恋は燃え上がり、前週、とうとう二人はセックスしちゃいました。セックスです。伯父と姪がセックスしたんです。奈々ちゃんの部屋でセックスしたんです。時間はたぶん深夜1時頃、セックスしたんです。きっと朝まで3回ほど、セックスしたんです。セックスをです。

私が期待した、狂気に走る榮倉奈々など微塵も見られず、菅野さんまでがもはや諦めムードで、これは下手をすると、乳首だけが一人で勝手に突っ走り(この乳首もか!w)、菅野さんが身を呈して奈々ちゃんを乳首から守って、ナイフで刺されたりなんかして、涙のフィナーレ…なんて事にもなりかねませんよ!(寒)

あ、でも前週のラストで菅野さん、倒れてたっけ… どうも重病みたいだから、ARATAくんと奈々ちゃんに命を救われる展開かな? で、すっかり改心して新たな人生をスタートしようとしたところで、乳首に刺されると(笑)。

こうなるともう、乳首がどれくらい笑わせてくれるかに期待するしかありませんw

☆『妖怪人間ベム』(日テレ、土曜夜10時)
序盤は主役が狂言回しになって、関わって来る普通の人達のドラマをメインに描きながら、視聴者が主役をすっかり好きになったであろう後半から、その過去の秘密を明かしつつ、復活のドラマへとシフトして行く構成が『ミタ』とよく似てますよね?

ミタさんの過去は壮絶ながらも現実味に溢れてるんだけど、ベムの方はちょっと…w 科学者が一人で、人工的に人間を造っちゃうって話ですから、荒唐無稽と言わざるを得ず、それがメインに据えられちゃうと…

ただし、その人工の細胞が分裂して、善の心がベム、ベラ、ベロに、悪の心が名無し男に別れちゃったから、彼らは人間になれなかった…っていう設定には唸らされました。

「あなた達の方がよっぽど人間じゃないですか!」っていう夏目刑事の言葉は、あくまで理想論に過ぎないって事になっちゃうけど、「善も悪も兼ね備えてこそ、はじめて人間なんだ」っていう名無し男の言葉には、説得力があります。

で、悪の心を宿した名無し男と合体すれば、ベム達は晴れて(?)人間になれるワケですが、ベム達はまぁ断りますよね、どう考えてもw 人間になっちゃったら続編も映画化も出来なくなっちゃうしw

ミタに比べると、ベムのフィナーレはちょっと期待感が薄いんだけど、勿論そんな予感を吹き飛ばすようなサプライズを期待してるし、あのシビレる第5話がある限り、よっぽどショボイ最終回にならなけりゃ、今期ドラマのマイ・ベストは揺るぎません。

いやーしかし、これですよね、連ドラ鑑賞の醍醐味は! 最後にどうなるのか?を最大限に楽しむ為に、毎週観てるようなもんですよねw

『つばさ』20

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犯してしまった過ちとか、つらい事から逃げたとしても、必ずツケは回って来る。逃げれば逃げるほど、そのツケは大きくなってしまう。誰しも一度や二度は味わい、現在も抱えてるかも知れない、普遍的な教訓であろうと思います。

基本的に人の優しさが引き起こしちゃう悲劇が多い『つばさ』の中で、今週の竹雄さんは自らの過ちが原因であり、それを自ら引っ張りだして拡大させちゃった、究極の一人相撲とも言える悲劇です。

そもそも妻・加乃子の愛に疑問を抱き始めてから、色んな事の積み重ねで、精神的に追い詰められてた状況が悲劇のお膳立てをしてるのが、モミアゲ乳首の悲劇にもよく似てます。真の一人相撲チャンピオンは、竹雄さんかも知れません。

☆ズボッとしたダボン
ラジオぽてとを川越市民の広場にすべく、つばさは市民パーソナリティーを募り、その第1期生に講習会を開いたりして、やる気満々です。

その生徒の一人である宇津木ママ(広岡由里子)が披露する、伸子(松本明子)のモノマネが恐ろしいほど似てましたねw 芸達者やなぁ…

そこで「男は昔の話をするとテンションが上がる」と知ったつばさは、最近元気が無くて、夕食も毎晩「こえど」で済まして来る父・竹雄をラジオに出演させ、昔話を語らせて元気になってもらおう!と目論むのですが…

優しさゆえのつばさの提案を、優しさゆえに引き受けちゃう竹雄ですが、元極道である過去を知られるのを恐れるあまり、しどろもどろなトークで醜態を晒す結果に終わります。

☆不安が追いかけて来る
竹雄が元極道である事を知ってるのは、玉木家では妻・加乃子だけですが、今の竹雄は加乃子の愛を見失った状態です。

秘密を知るもう一人の人物=元極道の父親を持つボインボイ〜ンの麻子さんだけが唯一、竹雄のオアシスです。だから毎晩のように「こえど」に入り浸ってしまうのでした。

「不安で落ち着かないんですよね、いつか壊れるんじゃないかって」

罪を隠したり過去を偽ったりしてる限り、いくら幸せであっても不安が消える事はありません。今の幸せを誰かに壊される位だったら、その前に自分でいっそ…という衝動を実行しちゃったのが、麻子さんなのでした。ボイ〜ン!

こうして現実逃避すればするほど、不思議と現実は追いかけて来る。帰ろうとした竹雄は、鞄に鈴のキーホルダーを付けた中年男を見かけて愕然となり、店を出るに出られなくなっちゃいます。はげちゃびーん!

「なんで今頃、あいつ…」
☆浮気疑惑
竹雄はそのまま酔いつぶれ、朝帰りする事になるのですが、早朝こっそり「こえど」を出る現場をご近所さんに目撃され、浮気の噂が広まっちゃいます。

それを聞いて誰よりも動揺したのは、やっぱり加乃子でした。竹雄に平気で素っ気ない態度が取れたのも、まさか自分以外の女性に竹雄がなびく筈が無いと安心しきってたから。そんな加乃子の慢心が竹雄を追い詰め、加乃子自身にもはね返って来た。まさに因果応報です。

配達に出向いた鈴本スーパーでも竹雄は、鈴のキーホルダーを付けたあの男が、なぜか包丁を持ってウロウロ(笑)してるのを目撃し、不安が恐怖へと拡大しちゃいます。

男の正体は、谷村鉄次(及川いぞう)という、竹雄の極道時代の弟分なのでした。

幼少時に家族がバラバラになった、竹雄と似たような生い立ちの鉄次と、血の繋がりを超えた絆を結んでいた竹雄。

なのに、いよいよ本格的なヤクザになる通過儀礼?として「鉄砲玉」の役目を負わされた時、竹雄は怖くなって、一人で逃げてしまった。風の噂では、その身代わりに鉄次が鉄砲玉をやらされたらしい…(誤解なのですが)

きっと鉄次は、竹雄に復讐する為に川越にやって来た。殺される恐怖よりも多分、今の幸せを壊される恐怖で震えが止まらない竹雄に、「寄り掛かって下さっていいんですよ」と、優しく胸を貸す麻子さん。

ふんわりマシュマロみたいなワカパイに顔を埋め、その感触を存分に楽しむ竹雄(うそw)。

☆浮気しました
浮気の真相を確かめに来たつばさに、麻子さんは言います。

「人には、触れられたくない過去だって、あるのよ。消したくても消せない昔の傷に、時間というかさぶたを被せて、生きてる人達がいるの」

そんな竹雄の辛さを理解してあげられる人は今、麻子さんしかいない。その麻子はキッパリ「でも竹雄さんとは何も無いのよ」と浮気を否定したのに、家に戻った竹雄は、「竹ちゃんが浮気なんかするワケないじゃない」と笑う加乃子に、なぜか「浮気しました」と言っちゃうのでした。

「み、認めちゃったよ…」と知秋。

「なにも、子供達の前で!」と千代さん。

それぞれの立場でリアクションが違うのが可笑しいですが、加乃子は「浮気の一つや二つ」と相変わらず強がります。

竹雄はきっと、家族には閉ざしてる心を麻子さんには開いた事が、実質の浮気だと言いたかったのでしょう。まぁ、ほっぺに残るワカパイの感触がそう言わせた可能性もありますが(うそw)。ボインボイ〜ン!

☆相手の心を開かせる方法
市民パーソナリティーの講習会で、つばさはインタビューの極意を生徒達に説きます。「相手に心を開いてもらうには、まず自分が心を開いて、ぶつかる事です」

そんなつばさを、優しい眼差しで見守る真瀬。つばさが長瀞の旅から戻ってからというもの、真瀬の態度が優し過ぎて、キモイです(うそw)。

さらに真瀬は、本音を引き出すプロとして、なんと谷村鉄次をぽてとに連れて来ます。彼は包丁研ぎ器のセールスマンで、商売道具として包丁を持ち歩いてたのでした。

鉄次が説く「あいづち・オウムの変化球」とはすなわち、相手の言葉に相づちを打ち、オウム返しをし、ここぞというタイミングで変化球を投げるという、セールス・トークの極意。勉強になりますw

その手法を使って鉄次は巧みに、現在のつばさの悩みを聞き出して見せるのでした。

「大丈夫です。人生は元を取るように出来てますから」

つばさはきっと、同じ台詞を誰かから聞いた気がしたんじゃないでしょうか?

「今の苦労は、後々に幸せになる為の先行投資です。不幸も重なりゃ、幸福になる」

いやはや全く、勉強になりますねw

☆似た者夫婦
竹雄がいったい何を悩んでるのか、加乃子は恥をしのんで、麻子に尋ねます。

「加乃子さんには、竹雄さんの過去の重さが解ってない」

ボインボヨヨ〜ン! 自分には解らない夫の気持ちを、よその女性がしっかり理解してる。この第20週は竹雄の試練であると同時に、加乃子にとってもかなり痛い試練であるようです。

「別れてもいいわよ。竹ちゃんがそうしたいんだったら」

加乃子はまたもや、竹雄が一番言って欲しくない言葉を、竹雄に対する優しさゆえに投げかけちゃいます。

「竹ちゃんの行きたい所に行ってくれていい。私、全然構わないんだから」

「…それが本音ですか。分かりました」

そんな二人を見て、ラジオの男は言います。

「不器用で臆病で、思ってる事をうまく伝えられない者どうし、似た者夫婦だよ」

淋しさとか不安を紛らわす為に、心にも無い事を言ったり妙にテンションを上げたりするのが、加乃子なんです。がさつに見えて、実は誰より繊細なのかも知れません。

泣きながら食器を洗う加乃子に、つばさが声を掛けます。

「器用だね。泣くか洗い物するか、どっちかにしたら?」

この台詞はいつぞや、つばさに対して加乃子が言った台詞そのまんまですよね?

失いそうになって初めて、竹雄の存在が自分にとって如何に大きいか思い知った加乃子は、まるで少女のように泣きながら、つばさに抱きつきます。これもいつぞやと逆転の構図ですが、あの時は加乃子が無理矢理つばさに抱きつかせてましたねw

「その気持ち、お父さんにぶつけて。二人の人生の元、取ってよ」

つばさに言われた通り、加乃子はやっと、竹雄に素直な気持ちをぶつけます。

「絶望の一歩手前にいた私に、竹ちゃんが教えてくれたの。人生は元を取るように出来てるって。竹ちゃん、何処にも行かないで。此処にいて!」

鉄次が言ってた人生訓話は、かつて同じように絶望の淵にいた鉄次に、竹雄が言った言葉なのでした。そのお陰で立ち直った鉄次は、まったく竹雄を恨んでなどいないのですが…

☆修羅になった竹雄
その鉄次がつばさのラジオに飛び入り出演してるのを聞いた竹雄は、「つばさが危ない!」とラジオぽてとに乱入、ちょうど包丁をサービスで研いでる鉄次を見て逆上し、今まで誰にも見せなかった、修羅の一面をみんなの前で晒してしまいます(画像)。

鉄次はただ、竹雄がいなくあった後に築いた幸せを、家族写真という形で竹雄に見て貰いたくて、この川越を訪ねて来たのでした。

「今の俺があるのは、ダボンさん(竹雄)のお陰なんじゃ!」

竹雄はやっと、自分がすっかり一人相撲を取ってた事に気づきます。

「俺一人が幸せになったら、申し訳ねぇと思ってた」

家政婦のミタさんみたいな事を言って、涙を流す竹雄。泣きながら抱き合う、頭髪の乏しい二人の中年オヤジw

しかし又、竹雄は気づきます。つい今しがた自分の取った行動や態度が、それを見てた家族や友人達に、取り返しがつかないほど大きな衝撃を与えてしまった事に… はげちゃびーん! つるっ!

☆幸せでした…
もう川越にはいられないと言う竹雄に、加乃子が「出て行かないで、竹ちゃん!」と泣いてすがりつきます。これもまた、いつぞやと逆転の構図ですね。加乃子にも色んなツケが回って来たのでしょう。

でも、一番拒否反応を示すであろうと思われた千代さんは、実はずっと以前から竹雄の過去は察してたようです。先代(夫であった梅吉)が決めた事だからと、千代さんは黙認するしか無かった。

「でも、それが間違ってなかった事を、あなたはこの26年をかけて示してくれました」

店の伝統を守る事ばかりに固執してるように見えた千代さんが、実は誰よりも竹雄を理解していたのかも知れません。

「あなたは甘玉堂の誇りです。でも、ここで投げ出したら、なんにも残りませんよ」

千代さんの言葉に、竹雄は救われました。が、愛すべきキャラをこれだけ痛めつけたら、まぁ並みのドラマだったらこの辺で許してあげるところでしょうけど、『つばさ』の場合、そうは問屋は卸さない事を我々は知っていますw

竹雄が起こした乱闘騒ぎはやがて、「ラジオぽてとに恨みを持つ男が包丁を持って暴れた」という噂となって町内に広まり、つばさがせっかく集め、育てた市民パーソナリティー達のキャンセルが相次ぐという結果を招いてしまいます。

さらに「甘玉堂に恨みを持つ男が…(以下同文)」という噂が、顧客離れをも招いてしまいます。それだけでも、竹雄を再び追い詰めるには充分な材料なのですが…

噂を聞いた鳶の頭=宇津木パパが、心配して「何があっても俺はタケの味方だからよ」という竹雄への伝言を玉木家に伝えに来て、つい余計な言葉を付け加えちゃうのでした。

「だけどよ、あんな怖いタケの姿は、出来れば見たくなかったよなぁ」

一番の親友のそんな言葉を、物陰で聞いてしまった竹雄が、泣くでもなく怒るでもなく、ただ静かにうなだれる姿が切な過ぎて、今週で一番泣かされちゃいました。

翌朝、「幸せでした」と一言書いた置き手紙を残し、竹雄は姿を消したのでした。

PS. 遡れば、こうなってしまった原因は数え切れないぐらい挙げられます。加乃子との数々のすれ違いもさる事ながら、麻子の父の末路を見てしまったのも、大きな伏線になった事でしょう。

単純に一つの理由やきっかけだけで、悲劇やトラブルは起こらない。本当に些細な事の積み重ねなんですよね。それをこれほど詳細に、丁寧に描いて見せたドラマを、この『つばさ』以外に私は観た記憶がありません。

『家政婦のミタ』(終)

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最終回の当日、日テレは朝から晩まで『家政婦のミタ』一色でしたねw 私は水曜日が定休日なもので、朝起きたらとりあえずワイドショーを観てみるのですが、ここ数週間の『スッキリ!』水曜日は毎週、ミタさん特集ですよw

今年全ての連ドラ中トップの平均視聴率を稼いでるらしく、更にプッシュして最高記録を出そうっていうTV局の目論みでしょうけど、過ぎたるは及ばざるが如しで、現場の創り手からすれば、結構ありがた迷惑だったんじゃないでしょうか?

いや、視聴者の立場からしても、あんまり『ミタ』の映像ばっか見せられると食傷気味になって来るし、まして「最終回の冒頭部分を独占公開!」とか、どうせ数時間後に観るもんを、先に観たいなんて思う人がいるんですかねぇ?

勿論すぐにチャンネル替えて、観ないようにしましたけど、『家政婦のミタ』という番組自体にまで、ちょっとだけ興醒めしないではいられませんでした。

TV局って、本当に馬鹿ですよね。どうせなら、視聴率で苦戦してる番組こそをプッシュしてあげりゃいいのに、乳毛めっ!

さて…

「三田さんではなく、お母さんです。いつまでも家政婦扱いしないように」

↑最終回で最も『ミタ』が『ミタ』らしい面白さを発揮したのは、この辺のくだりでした。ほとんど暴投に近い(笑)変化球の面白さです。星飛雄馬の大リーグボール1号みたいなもんですね(古っ)。

だから、いよいよ最後の勝負球=三田さんをどんなシチュエーションで笑わせるのか?を、一体どんな魔球を使って見せてくれるのか!?って、そりゃもうドキドキもので観てたのですが…

なんと、駄目パパ長谷川博己さんが「三田さん、笑ってください」ってw ど直球じゃないですか!?(笑) その球種が残っていたとは!

いや、良かったんですよ。数年ぶりに、ぎこちなく笑う松嶋菜々子さんの表情は素晴らしく、神々しいほど美しかったし、やっぱりそこは感動して泣いちゃいました。

でも、こっちは完全に変化球(を超えた魔球)を予想してバットを構えてたのに、来たボールはまさかの直球ど真ん中で(笑)、呆然と見送り三振アウトですよ。またもや、最後の最後までやられちゃいましたw

投げる側も最初は、どんな変化球を投げ込んでやるかって、あれこれ策を練ったかも知れません。考えに考えた末に「そうだ、まだ直球を使ってないじゃん!」って閃いた。もしくは、最後は真っすぐで勝負するってあらかじめ決まってて、それを最大限に活かす為に、今まで変化球を投げ続けてたのかも…

いずれにせよ、実に正しい選択だったように思います(何様やw)。ここ一番の勝負は、やっぱ直球に限ります。

ただし、その食卓の場面。阿須田ファミリーが三田さんに贈る言葉を一人一人言うんだけど、最後の長男と次男の台詞は余分でしたよね? 尺的にも冗長だし、二人とも同じこと言っててクドイったらありゃしない。

あの場面、実は全編アドリブだったそうです(『スッキリ!』で言ってましたw)。やっぱこういう時、男の子は駄目ですねw 同じ子役でも、女の子の方が冷静に客観的な判断をしてたように思います。

もう長谷川さんが次の台詞を言おうとして三田さんに向き直ってるのに、「まだ言うんかい、このクソガキどもめ!」って、松嶋さんは微笑みながら思ってたそうですよ(うそw)。

重箱の隅をつつくのは不粋な行為と知りつつも、あの余分な約30秒が無ければ、もっと素晴らしい場面になってたと私は思います。

この際、もう一つだけ重箱の隅をつつきますが、バス停の見送りの場面ですよ。末っ子のきいちゃんだけが来てない時点で、「えっ、まさか!?」って、ご覧になってた皆さん、思いましたよね?(笑) まさか『ミタ』でアレをやっちゃうの!?ってw

そう、主人公を乗せたバスが走りだして、しばらくしてから「三田さーん!」って声がして、窓の外を見たら、そこには!っていうw、泣かせ演出の王道中の王道ですよ。ど直球にも程があるでしょっていう(笑)。

私がこの場面に突っ込みを入れたくなったのは、多分こんな王道パターン、創り手は本来やりたくなかったんじゃないの?って思ったからです。

『南極大陸』の時に書いた、メジャーになればなるほど駄目になる方程式が、ここに来て作用しちゃったんじゃないか?と。つまり、会議室から「ここでもっと分かりやすく泣ける場面を入れなさい」っていう、絶対命令が下ったんじゃないでしょうか?

あそこまでしなくたって充分に泣けたのに、余計な事して水を差しちゃったなぁって、私はあれでちょっと『ミタ』の評価が下がりました。

視聴率が良過ぎるのも、そのぶん余計な注文や制約が増えちゃうという、弊害が生まれる原因になったりするんですよね。

上記の二点さえ無ければ、もう言うこと無しの最終回でしたね。理想的な結末だったと思います。

相武紗季ちゃん演じる「うらら」ですが、三田さんを救う鍵ではなく、彼女も三田さんに救われる側でしたね。三田さんが阿須田家のママに一旦なったのは、本当にファミリーにとって必要な存在がうららである事を、子供達に気づかせる為でした。

三田さんは何だかんだ言っても、やっぱ「どん底」から這い上がった人だけに、強いですよね。かつての自分ソックリなうららに「強くなりなさい」って、親身になって忠告してたし…

阿須田ファミリーを再生させた三田さんは、新たな喜び=生き甲斐を見つけたんじゃないでしょうか? 「人と人を繋げる」という生き甲斐を。

どん底からの復活によって繋がる、人と人の絆… 緻密に計算された作劇といい、こじつけでも何でもなく、このドラマは『つばさ』に似てたかも知れませんね。

『蜜の味』(終)

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『家政婦のミタ』最終回は、視聴率40%を超えたそうです。TVドラマでその大台に乗った番組って、数十年ぶりじゃないですか? 今のTVドラマ全体の視聴率を考えれば、50%を超えたに等しい快挙かも知れません。

その一方で、大作映画並みの巨額を投じた『南極大陸』や『坂の上の雲』は期待外れな数字に終わったらしく、まるで破格の超大作『アバター』が(大ヒットはしたけど)アカデミー賞を低予算の『ハートロッカー』に持って行かれたみたいな、まさに大穴でしたね。

確かにめっぽう面白いドラマではありましたが、こんな社会現象になるまで大衆の興味を引き付けた要因は、面白さ以外にも何かあるんでしょうね、きっと。

『ミタ』も『ベム』も人間の本質を問う、相当に奥深いテーマを、荒唐無稽な娯楽要素で包んで見せてる所が共通してますから、みんなやっぱり、人間っていったい何なんだ?って、人間は本当に大丈夫なのか?って、不安になってるんじゃないかと思います。

でも『それでも、生きてゆく』みたいに真正面から問題提起されると死にたくなっちゃうもんだからw、あくまでも他人事として眺めていたい。だからモンスター家政婦や妖怪人間でなければ、万人受けはしないのでしょう。

そんなに心配しなくたって、人間はもう、とっくに破滅なんですけどね(笑)。皆さん「そんな事はない。人間にはまだ、希望の光が灯ってるんだ!」って、思いたいんでしょうけど、申し訳ありません。もう手遅れです(笑)。

さて今回は、ちっとも社会現象にならなかった『蜜の味』最終回ですw 同じように寝食を削って懸命に創ってるドラマなのに、大衆は厳しいなぁw

結局、乳首(溝端淳平)は菅野美穂さんを刺しませんでした(笑)。それどころか、医者としてどう生きるべきか菅野さんに諭されて、あっさりと改心w こんな尻ショボの中途半端な野郎に、乳首を名乗る資格はありません。

周囲の妨害により、かえって禁断の愛に火が点いた榮倉奈々ちゃんは、愛する両親とも決別して、ARATAくんと駈け落ちしちゃいます。

ところが改心前の乳首によって、大学病院内での近親相姦スキャンダルは全国的に知れ渡っており、どこの病院にも就職出来なくなった二人は、みるみる昭和枯れすすき状態になって行くのでした。

さらに奈々ちゃんのお母さんが重病で倒れ、奈々ちゃんも医者ですから自分が助けてあげたいんだけど、お父さんに「お前は親を捨てたんだ。ARATAと別れない限り、お母さんは診させない」と断固拒否されちゃう。

ただでさえ自分達の選んだ道に疑問を感じてた時に、母をとるか男をとるか究極の選択を迫られ、苦悩する奈々ちゃんを土壇場で救ったのは、いったい誰か?

そう、その役は菅野さんしかいません。医者として確かな腕と良識を持つ菅野さんがお母さんを引き受けてくれたお陰で、奈々ちゃんはARATAくんとの愛を貫く事を、あらためて決意するのでした。

あ、先週のラストで菅野さん倒れましたけど、ただの過労でした(笑)。ARATAくんと奈々ちゃんが大学病院を去って行った途端、張り詰めてた糸が切れたんですね。

糸が切れたら本来の自分=医者としての誇りを取り戻し、乳首を改心させ、二人を助けてあげる気になったという流れです。この時、菅野さんが奈々ちゃんに言いました。

「あなたは、私に勝ったのよ。負けた者の痛みや哀しみの上に立つ勝者は、孤独なの。その覚悟を決めなさい」

↑うろ憶えですがm(__)m、この台詞には感動しました。真理だと思うし、彼女にしか言えない、二人への激励の言葉ですよね。世間を捨てちゃった二人にとって、今や菅野さんだけが、世界でたった一人の理解者なんです。

母を菅野さんに託し、日本を脱出した二人は、どこの国か分からないけど戦場の医者として、二人で生きてゆくのでした。

…とまぁ、こんなコッテコテのメロドラマも、私は決して嫌いではありません。でも、私が期待した内容とは全く違ってたもんだから(笑)、のめり込む事は最後まで出来なかったです。

私がずっと引っ掛かってたのは、しつこいようですが、悪いのは全て男、愚かなのも全て男で、女はいつも男に振り回され傷つけられられる被害者なんだっていう、創り手の偏見です。

これは女性視聴者に媚を売る目的というよりは、脚本家・大石静さんの男性観、人間観なのでしょう、きっと。世の男に対して、相当な恨みがあるんじゃないでしょうか? ていうか、完全にバカにしてますねw

それは乳首の扱い方に顕著に表れてますけど、ARATAくんがこれ程つまらない男を演じたのも空前絶後でしょう。

最終回で一番失笑を買ったのは、なんと名優・佐野史郎さんですよ。菅野さんの職場のボスなんだけど、彼女が倒れて眠ってる病室に深夜こっそり入って来て、そっと手に触れるという場面が、いかにも何か危険な策略を始めたかのように撮られてて…

それが後の場面で満面の笑みで病室にやって来て「いやぁー、離婚が正式に決まったんだって? 僕もなんだよ、結婚しないか?」ってw あれがネタ振りで、これがオチの、ギャグだったワケですが、まぁ唐突だし中途半端だしで全然笑えないw

あの佐野史郎さんでさえこの始末で、まぁ男に限らず、全てのキャストが魅力を発揮させてもらえなかった、これはなかなか稀有なドラマかも知れませんw

でも、本当につまらなければ、最終回まで観てなかった筈です。何が私の興味を引き続けたのか、じっくり分析したいところなんですが、面倒臭いからやめときますw

PS. 過去記事へのコメントにはゆっくりレスさせて頂きますので、気長にお待ち下さいませ。

『妖怪人間ベム』(終)

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とりあえず…

「なにがクリスマスだ!!」(by ゲイリー・ビジー)

↑映画史上、私が最も共感した台詞ですw

さて『妖怪人間ベム』最終回、ご覧になった方の評価は、如何なものだったでしょうか? お化け番組『家政婦のミタ』の陰に隠れちゃった印象もありますが、私は『ミタ』の最終回より、こっちの方が良かったかも知れません。

前半、やけにまったりしてて、最終回なのに大丈夫かいな?って思いながら観てましたけど、最後にお別れが待ってる事の前振りだったみたいですね。

拳銃を持った武装強盗の登場にゲンナリされた方もおられるかもですが、そこはまぁ、妖怪人間が存在する世界ですからw

第1話の冒頭にもあんな連中が出てきたと思いますが、対比になってたりするんでしょうか?(あんまり憶えてないw)

大勢の市民と、お馴染みのレギュラー陣が全員揃ってる前で、彼らを強盗一味から守るために、すごく切なそうにベム達が変身する場面あたりから、久々に『ベム』で泣きました。

夏目刑事以外の人達に正体を晒してしまう事はすなわち、この町にはいられなくなる事を意味します。

さらに、自分達がこうして変身しない限り… つまり、もし人間になってしまったら、こうしてみんなを守ってあげられなくなる事を、この時あらためてベム達は、思い知ったのだろうと思います。

「生きていくのが、苦しくなる事もあるだろう。そんな時、人間は悪の心を持ってしまう。だが、それに抗い、必死に生きていこうと出来るのが人間だ。…投げ出さないでくれないか? 人間であることを!」

…そんなベムの決め台詞が、今回ばかりは虚しくて、ただただ切なかったです。いくら改心させても、悪に走ってしまう人間は後を絶たない。全ての人間には、善と共に必ず、悪の心が宿っているのだから。

ベム達には善の心しか存在しないから、今まではそれが理解出来ず、ただ「なぜなんだ!?」って怒るだけだったけど、悪の心があってこそ「人間」である事を知ってしまった今は、絶望感のレベルがまるで違う。

私だったら「人間は破滅なんです(笑)」とか言って、もう人間の事なんか見放すか、名無し男を受け入れて自分も人間になり、余生をテキトーに楽しむだろうと思います。

でも、ベム達にはそれが出来ない。キカイダーの良心回路みたいなもんで、彼らには善の心しか無いもんだから、人間を見捨てる事が絶対に出来ないんです。(だから、死ぬ事も許されない)

『妖怪人間ベム』は、どう転んでもやっぱり悲劇なんですよね。「人間になりたい!」っていう、たった一つの夢すら、彼らは捨てる事しか選択出来ないんです。人間を守るために。彼らの姿を見ただけで悲鳴を上げて逃げていく、人間達のために!(涙)

「同情しますよ。あなた方を待ち構えてる未来を思うと… 私は、幸せだ。ようやく、死ねる」

ベムにとどめを刺された名無し男は、本当にそれを待ち望んでたみたいです。わざわざベム達の前で、妖怪人間の殺し方を夏目刑事に伝授してたし…

名無し男は、淋しかったんだろうと思います。悪の心しか持たない彼だから、誰とも心を通わせる事が出来ず、せめて自分と同じように悪に取り憑かれた人間を増やす事で、孤独感を紛らわせてたのでしょう。

だから、ベム達との合体を、彼は高圧的に迫るのではなく、懇願してるように見えたし、断られて本当に淋しそうでした。そこはさすがの名優・柄本明さんで、名無し男の最期も妙に切なくて、ぐっと来ました。

悪の心しか持たなくても、孤独には耐えられなかった。もし、ベロとベラが存在してなくて、善の妖怪人間がベム一人しかいなかったとしたら… さすがのベムも、名無し男を受け入れたかも知れませんね。

孤独なまま永遠に生き続ける事に耐えられる人間は(妖怪であっても)、いないでしょうから。

しかし、家族みたいな仲間との絆があっても、人間という存在がある限り、彼らは悪の心と闘い続けないといけない。それで彼ら自身が報われる可能性は、ほとんどゼロに近いっていうのに… まさに、悲劇です。

『ミタ』は何だかんだ言っても、ポジティブな人間讃歌でした。創り手は人間の善を信じて、ヒロインに希望を与えてました。

『ベム』の創り手は、人間から悪の心は絶対に無くならないし、善は苦しくて切なくて報われなくて、だからこそ尊いんだって、そう言ってると私は解釈しました。

まぁ、どうせ破滅なんですが(笑)、私は『ベム』の発するメッセージに強く共感しました。

タベリスト元年

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今年は『デカワンコ』で明けて『つばさ』で暮れようとしてる、多部ちゃん一色の年になりました。昨年の暮れには全く予想出来なかった事です。

勿論、日本史に深く刻まれるであろう大きな、そして全く予想外の災害もありましたが、その話は報道メディアにお任せしておきます。

個人的には何も無いように見えて、実はけっこう大きな節目になった年かも知れません。創作者としての私は、今年で完全に終わりました。

それを自覚したのが、『デカワンコ』の放映が終了し、『夜のピクニック』を皮きりに本ブログで未華子祭りが始まった時期とリンクしてる事が、とても象徴的だなぁと思います。

いつぞやの記事にも書きましたが、あの時期、かなり久々に脚本の執筆依頼が来たというのに、私は全く筆が動かなかったんです。

過去、あまり乗り気になれない企画を振られても、なんとか自分なりのやり甲斐を見出だして、最終的には「良い仕事が出来た」と自負する結果を出して来たつもりなのに、しばらく使ってなかった私の創作脳は、気がつけば完全に動かなくなっちゃってました。

重要なのは、その事実に気づいた私が、ちっともショックを受けなかった事です。創作が出来る能力は私の唯一の取り柄であり、それがある限り自分はただの駄目人間じゃないっていう、拠り所でもあった筈なのに…

実はその後にも、東京でかつてお世話になったプロデューサーから、ネット配信か何かの短篇企画があるから、監督として参加しないか?との打診も頂いたのですが、私ごときを今でも気にかけて頂いた事には感謝しつつ、丁重にお断わりしました。

仕事として映像作品を監督するとなると、今やってる仕事をしばらく休むなりしないと無理であり(脚本だけなら何とかなるのですが)、やるからには仕事を辞めて映像業界に戻るつもりで取り組まねばなりません。

もはや、何かを犠牲にしてまで映像業界にしがみつく気には、全くなれません。今はあの業界にちっとも魅力を感じないし、そもそも映像で表現したいものが、とっくの昔に自分の中から消滅しちゃってますから…

だから、創作活動をしないこと自体には何の問題も無いんだけど、その代わりになる新たな楽しみが、何も見つからないまま生きていくのは辛い事です。

それが今年、彗星のように私の前に現われた。そう、多部ちゃんですw 未華子祭りが楽しくて楽しくて、依頼された脚本の事に全く気が向かなかったという事実が、今の自分の全てです。

多部ちゃんを観る楽しみが、映像業界の仕事を遥かに凌いだワケです。何とおそるべし、多部未華子!

映像業界にいれば多部ちゃんと直に会えたり、物凄く頑張れば一緒に仕事する機会だって巡って来るかも知れないじゃないか、と思われるでしょうが、私はそれをあまり…いや、全く望んでません。

実際、『ジウ』にちょっとだけ関わった業界の友人が「現場で一日バイトしないか?」と誘ってくれた事もありました。おそらく多部ちゃんとメイサが初めてジウと遭遇して、城田くんが殺されちゃう廃屋シーンの撮影現場だったと思われます。

L君の華麗なアクション(笑)を間近で見る機会を逃したかと思うと、ちょっと残念ですが、多部ちゃんと直に接する可能性に関しては、実はさほど残念でも無いんです。

これは多分、そういう現場でしばらく働いた事がある私ならではの感覚だと思いますが、スターを目の前にした時に自分がどうなってしまうか、そんな自分を見てスターがどんな顔をするか、が想像出来ちゃうんです。

監督として松浦亜弥さんと一緒に仕事した経験は、確かに自慢ではあるのですが、同時にほろ苦い思い出だったりもします。今だから言える事ですが、スターを目の前にして私はすっかり緊張してしまい、彼女とは最後まで打ち解ける事が出来ませんでした。

まぁ、相手は当時まだ15歳の子供だったし、こっちは初めてのプロの現場で、打ち解ける余裕なんか全く無かったワケですが、あの時に彼女との間にあった見えない壁は、私にとってちょっとしたトラウマだったりするんです。

あややに限らず、例えば『太陽にほえろ!』のブルース刑事だった又野誠治さんとご一緒した時も、あの方はコワモテですから尚更なんだけど、やっぱり緊張しちゃって駄目でした。

たまたま町でスターを見かけたら、それは単純に嬉しいだけで済むんだけど、一緒に仕事するとなると、そうは行かなくなっちゃう。

そのスターの事が好きであればあるほど「嫌われたくない」って心理が必要以上に働いてしまい、態度がぎこちなくなって相手を警戒させちゃう悪循環。

もし今、仕事相手として多部ちゃんを目の前にしたら、自分がどうなってしまうか? そしてそれが、どんな結果を招いてしまうか… こんな恐ろしい事はありません!w

まぁ、相手は多分「ああ、シャイな人なんだな」程度にしか実は感じてなくて、私の一人相撲であろう事も分かってはいるんです。でも、その一人相撲こそがトラウマなんです!

つまり、テレビであややを見かける度に、私はあの時の一人相撲を思い出して、ちょっと胸が痛んでしまう。多部ちゃんだけは、そんな存在にしたくない!ってワケです。

まぁ、ただの妄想です。心配しなくたって、もし私がまだ業界にいたとしても、いくら頑張ったところで、一流の女優さんである多部ちゃんと仕事をご一緒する機会は無いでしょう。

ただ、限りなくインディーズに近い『真夜中からとびうつれ』みたいな作品にもシレッと出ちゃう多部ちゃんですから、こちらが強く望めば、ミタさんの言葉じゃないけど、奇跡が起こらないとは限らないですよね。

でも、私はただの一ファンとして、テレビや映画、舞台で輝く多部ちゃんを観てる方が幸せです。そんな新たな楽しみが見つかったからこそ、創作活動には本当に未練が無くなっちゃった。

だから今年は、私個人にとって、創作活動との完全なお別れの年であり、タベリスト元年として大きな節目になりました。

仕事や趣味が変われば、自ずと人間関係も変わって来ます。タベリストの皆さんと新たな交流を持てるようになったのも、特筆すべき大きな出来事だと思います。

このブログの内容も、すっかり変わっちゃいました。まぁ、しばらく我慢してた下ネタや破滅ネタは復活して来ましたがw、「すっかり多部未華子のファンサイトじゃないか!」とか「もう、ついて行けない!」みたいな声が挙がってたのも事実です。

知ったこっちゃありません(笑)。自分が書きたい事を書きたいように書くスタンスは、以前と何ら変わってないんだから。

でも、多部ちゃんの事を書き始めてから、本ブログのアクセス数は倍増し、『つばさ』レビューを始めてから遂に、閲覧数が常時4ケタに乗るようになりました(最高記録は12/4の1513PV)。

それが一般的に高い数字なのか、それ程でもないのかは分かりませんが、未華子祭り以前と比べると劇的な変化です。

読んでくれる人の数が増えれば、そりゃやっぱり、書き甲斐も違って来ます。お陰でますます文章が長くなり、肩凝りが深刻な事になってますがw、今のところ唯一の楽しみですから、これはやめられません。

年明けまで、あと何回更新出来るか分かりませんので、とりあえず今年を総括しときました。皆さん、本当に有難うございましたm(__)m

来年もよろしくお願いします!(たぶん明日にでも更新しますけどw)

『つばさ』21 (前)

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☆竹雄のいない甘玉堂
とうとう玉木家を出てってしまった竹雄さん。その苦しみにずっと気づいてあげられなかった加乃子、千代、つばさは「自分のせいだ」と言い張り合って口論になっちゃう(普通なら人のせいにしますよねw)のですが…

「今、考えなきゃならない事は、お父さんの為に何が出来るかでしょ!?」

こういう時、にわかに存在感が増すのが知秋で、冷静に喧嘩を諫める姿は、肉体のマッチョ化と相まって、実にたくましい。見られて恥ずかしい体はしてねーぞ、っとw

つばさはあらためて、父・竹雄がこれまでしてくれた事、言ってくれた事を思い返します。10年間も家出して帰って来た母・加乃子とのわだかまりが溶けたのも、竹雄のフォローがあればこそでした。

この家が自分の居場所じゃなくなった切なさに耐えられず出て行った、加乃子の気持ちを誰よりも理解してたのは竹雄でした。だから10年も待っていられたんです。そんな竹雄が、今度は自分の居場所を見失い、出て行った。

「本当は竹ちゃん、自分の昔の事を、みんなに話したかったんだと思う。一人で抱え込んで生きて来たんだもの…」

今度は加乃子が、竹雄の帰りを待つ番です。

☆物騒だから…
ラジオぽてと内じゃ、竹雄の話題はタブーになってます。「物騒だから」と無邪気に言い放つw爆弾娘・優花に、言葉を失うつばさ。

世間の目とは、そんなもんです。私だって、友人や同僚が元極道だったなんて知ったら、やっぱ「物騒だな」って思う事でしょう。そんな視線を受ける事に「父は、ずっと耐えて来たんですね」と、真瀬に洩らすつばさ。

「取材に行って来い」と、真瀬はつばさの背中を押します。取材とは勿論、竹雄の居場所、そして竹雄の知られざる顔についてです。

「家族の事を理解するのに、ここ迄でいい、なんて事はないんだ」

過去を知られて、家族に迷惑を掛けた。それだけの理由で竹雄は、みんなが悲しむ事を分かってて出て行ったのだろうか? 他にも何か、深い理由があるんじゃないのか?

それを知るのが怖い。でも、知っておかなければ、竹雄を心から受けとめられないかも知れない。つばさは覚悟を決め、取材を開始します。

☆心の闇
ずっと竹雄がひた隠しにして来たのは、物騒な過去の身分や出来事…だけではなかったようです。

「それは想像も出来ないような、暗くて深い、心の闇みたいなものかも知れない」

…と、つばさの取材に答える和製モンロー麻子さん。心の闇… それは竹雄だけじゃなくて、誰でも隠し持ってるものかも知れない… 胸を揺らしながらそう言う麻子さん自身も、父親のぶざまな死に様をその眼に焼き付けようとしてた人なんです。ボインボヨヨ〜ン!!

誰もが隠し持つ、心の闇… プチバストのつばさは無意識の内に、かつて自分と弟を置いて母が去って行った、川沿いの一本道を歩いていました。

『つばさ』の物語が始まって以来、何度となく回想される、あの場面。ただ泣きながら母にすがろうとした知秋とは対照的に、泣きもせず、悲しみでも淋しさでもない眼差しで、じっと母の後ろ姿を凝視してた、10年前のつばさ。

番組も終盤になろうというこの週で、10歳のつばさがそんな風に描かれた事の理由が、ようやく明かされます(!)。よくもまぁ引っ張りました、21週間!(笑)

この道には小さなバス停があり、そこは加乃子と竹雄の出会いの場所でもありました。

26年前、秀樹との仲を引き裂かれて絶望の一歩手前にいた加乃子は、のたれ死に寸前の竹雄をここで見つけたのです。

若き竹雄の深く絶望した眼、まるで世界を丸ごと恨んでるような眼差しを見た加乃子は、この町に自分よりも絶望した人がいた事に妙な嬉しさを覚えて、たまたま持ってた甘玉を彼に食べさせました。

嬉しそうにニッコリ笑った竹雄は、そのまま玉木家まで加乃子にくっついて行ったのです。捨て犬か!w

加乃子と竹雄、二人それぞれの人生が、この場所から大きく変わりました。

☆人生の分岐点
つばさの取材を受けた秀樹は、捨て犬みたいに佇む翔太を拾った日の事に言及します。その時の翔太も恐らく、深く絶望したかつての竹雄と同じ眼をしてたのでしょう。

「自分にとって、人生の分岐点でしたから」

直立不動でそう言うチクビッティーですが、頭皮は動きっぱなしです。

「分岐点は一つじゃない。不幸の始まりになった場所もある筈だ。行き場を見失った人間は、とかく分岐点に戻りたがる」

そう言う秀樹がラジオぽてと=川越キネマにこだわり続けるのは、あの場所が秀樹にとっての分岐点だったからでしょうか?

ヒントを貰ったつばさは、次に谷村鉄次を取材し、彼が初めて竹雄と出会った場所を聞き出します。その場所こそ、竹雄が極道の世界に足を突っ込んだ第一歩、つまり人生の分岐点。竹雄は、そこに戻ってるかも知れない…

鉄次の曖昧な記憶による情報を頼りに、つばさは上野駅近くの安旅館をしらみ潰しに当たります。そうして着実に竹雄の居場所へと近づいて行くつばさは、ワンコ刑事よりよっぽど優秀な捜査官になれそうですw

そしてつばさは、遂に竹雄を見つけてしまうのでした。

「来るな! 顔を見られたくない!!」

まさに、世界を丸ごと恨んでるような、深く絶望したような眼差しの竹雄が、そこにいたのでした。(つづく)

PS. この第21週のレビューはなんと、年を跨いでしまう模様ですw

2011年カワデミー賞

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yamarineさんのヤマデミー賞に対抗してw、私なりに今年の映画とドラマを審査しようと思うのですが、かなりテキトーですm(__)m

そもそも、年頭に「今年は出来るだけ映画館に足を運ぶ!」って宣言したにも関わらず、『デカワンコ』の出現により状況が一変w、画期的に映画を観ない一年になっちゃいました。

だから新作映画のベストなんて選ぶ資格が無いし、TVドラマも同様です。カワデミー賞は新旧問わず、あくまで私が2011年に観た作品のベストである事を御了承くださいm(__)m

☆映画作品賞…『君に届け』
タベリストならずとも、今年観た中で一番泣かされた映画が本作です。タベリストでなければ絶対観なかったけどw、多部ちゃんを知らない方にも自信を持ってオススメ出来る、青春映画の名作です。

洋画ではハリソン・フォード出演の『カウボーイ&エイリアン』ぐらいしか印象に残ってないです。自分の関心が薄れた事だけが理由じゃなさそうですね。今年は面白そうな映画が少なかったです。

☆TVドラマ作品賞『デカワンコ』

説明はいりませんね。昨年末に観た映画『キック・アス』は久々に衝撃を受けた大好きな作品ですが、その余韻を本作が、そして多部ちゃんが跡形なく吹き飛ばしてしまい、今年の予定を思いっきり狂わされちゃいましたw

以下、2位『それでも、生きてゆく』、3位『妖怪人間ベム』と続きます。ミタさんは世間に騒がれ過ぎたのと、最終回のベタな演出のせいで、にわかに熱が冷めちゃいました。

☆最優秀女優賞…多部未華子(『デカワンコ』『君に届け』)

まぁ分かり切った結果でスミマセンw 彼女が引退するまで、この枠は不動でしょうw

『それ生き』と『愛のむきだし』の満島ひかり、『ジウ』の黒木メイサ、映画『ヤッターマン』の深田恭子、『おひさま』の八木優希に優秀女優賞を。

☆最優秀男優賞…タニオ・チクビッティー(『つばさ』)

感情の揺れを頭皮の動きで表現するという画期的な演技テクニックにより、『ジウ』のL君を乳首一つの僅差でかわしての受賞です。このお二人には、本当に楽しませて頂きましたw L君は今、どこに?

ダイワマンCMの役所広司さんにも特別賞をw

☆最悪作品賞…『俺は、君のためにこそ死ににいく』

だいたい、作品そのものが破綻してましたが、多部未華子を完全に無駄遣いした罪も、万死に値するでしょう。

TVドラマでは大河『江』と朝ドラ『てっぱん』がトホホでした。特に前者は初回レビューで絶賛しちゃったもんだから、裏切られた感があります。初回と言えば『南極大陸』も酷かったですね。

☆最悪女優賞…瀧本詩織(『てっぱん』)

yamarineさんが井上さんを、Deepさんが榮倉さんを受けつけられないのと、たぶん同じ感覚だと思います。顔、仕草、喋り方、声、全てが生理的に駄目でした。

ただ、第一印象はそれほどでもなかったので、ドラマの内容+演じたキャラとの相乗効果ですね。他の作品で観たら、また違って来るかも知れません。

☆最悪男優賞…香取慎吾(『西遊記』『座頭市 THE LAST』)

特に『西遊記』での芝居はあまりに酷かった… それまで、彼はただ一生懸命やってるだけで、悪いのは創り手の方だと思ってたけど、違いましたね。彼の暴走を誰も止められない、映像業界そのものが破滅なんだと、これを観て分かりました。


さて、前々回の記事『タベリスト元年』へのコメントで、Isさんが「なんて世の中だ!」ブログ記事2011年ベスト5を選んで下さいました。記事のベストを選出するなんて発想自体が新鮮で、目からウロコでした。以下がIsさん選出の記事ベスト5です。

5位…6/2 論文・二つのシンドローム

4位…4/25 『農業少女』

3位…11/10『つばさ』09

2位…3/29 最終回PART1

1位…11/8 宿命を背負った女優

番外…8/2 #2 私ならこう書く!

どれも普段以上に気持ちを込めて書いた記事だったんで、嬉しかったです。Isさん、本当に有難うございますm(__)m

で、自分でもベスト記事を選出しようかと思ったのですが、やっぱそれはナルシスチックでちょっと恥ずかしいので、「自選」じゃなくて「自薦」、つまり記事の良し悪し抜きにして、未読の方には是非とも読んで頂きたい記事を10タイトル選んでみました。

Isさんが選んで下さった記事はあえて外しましたので、それと合わせて15タイトル、正月休みの暇つぶしに読んで頂ければ幸いです。

☆1/5 私の生涯ベスト10

これまで観た全映画の中から無理やりベスト10を選出しました。私という人間の嗜好がよく分かって頂けると思いますし、当たり前だけど面白い作品ばかりですから、未見の作品があれば是非、観て頂きたいです。

☆1/16 『デカワンコ』

記念すべき、私のタベリスト化への第一歩です。多部ちゃんに萌えてる自分に、まだ気づいてないのが今読むと可笑しいですね。

☆1/29〜2/3 業界人のこと

映像業界の実情と、私という人間を知って頂くにはもってこいの記事だと思います。

☆2/12〜2/16 『時をかける少女』

これもメジャー日本映画が抱える深刻な問題を、かなり具体的に解説した記事なので、是非とも読んで頂きたいです。下ネタが最高潮だった時期の記事ですが…w

☆2/21〜24 フィリピンの思い出

映像業界での体験記としては、昨年12/19『大○田さんとの思い出』に次ぐ面白さではないかと自負しております。

☆4/4 『ヒノキオ』

その前の『夜のピクニック』と併せて、私がみるみる多部ちゃんに患っていく様が手に取るように分かる記事ですw 映画レビューとしても、お褒めのコメントを頂いたのを憶えてます。

☆4/16 『すみれの花咲く頃』

この辺りに来るとタベリスト仲間の皆さんがコメントを頂くようになってて、このレビューにも感動して頂いたような記憶があります。正直、私も泣きながらこの記事を書いてましたw

☆6/6 「トラウマ映画館」

これは私の文章は関係無く、紹介した本の内容がすこぶる面白かっただけの事なんですが、予想外に皆さんからの反響が大きくてビックリした記事です。

☆8/27 『ジウ』#5

このドラマのレビューはとにかく楽しく書けた印象ですが、中でも第5話は番組的に一番盛り上がった回で、私の文章も弾んでました。

☆9/12 ワンコ誕生秘話

『デカワンコ』原作マンガのレビューです。ドラマ版との比較のみならず、マンガ作者・森本梢子さんの素晴らしさも知って頂きたくて選びました。

…以上です。『つばさ』レビューはIsさんが選んで下さったし、まだ続行中なので今回は外しました。

1年分、全部読み返すつもりだったのですが、無理でしたw 私の文章、本っ当に長いですね! よくもまぁ、こんなに書いたもんです。

だから大雑把に流し読みしたのですが、やっぱり未華子まつり以前と以後とでは、大きく内容が変わってました。

それは話題が多部ちゃん一色になっただけの話じゃなくて、まつり以前の記事を読むと、私の心が痛々しいほど荒んでるのが伝わって来るんですよねw まつり以後に下ネタや破滅ネタが激減したのは、新しい読者さんや震災への配慮もあるんだけど、私の心が穏やかになった表れでもあると思います。

あのまま行くと、私は精神的にかなりヤバかったのかも知れません。救われたんですね、『デカワンコ』に、多部ちゃんに、そして皆さんに。

…と、柄にもなくハートフルにw、今年のブログを締めたいと思います。

今年と同じく、来年正月も三が日は丸々お仕事でーすw

皆さん、良いお年を!

2012年カワデミー賞w

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皆さん、あけましておめでとうございます!

早速ですが、今年のカワデミー賞のスペシャル・ドラマ作品賞と、最優秀女優賞が決定いたしました。

☆スペシャル・ドラマ作品賞…『デカワンコSP(D.S.M)』

☆最優秀女優賞…多部未華子

1月7日、今週土曜日の夜9時放映です。予告通りのパリ・ロケに加えて、なんとワンコ刑事が江戸時代にタイムスリップするという、もはや刑事ドラマとしての原型を留めてない様相ですw

皆さん、必ず観てくださいm(__)m 今年のカワデミー賞受賞作品ですから、面白いに決まってます。このスペシャルの数字次第で、シリーズのシーズン2が実現するか否かが決まるのです。

ちなみに最優秀男優賞もタニオ・チクビッティー氏にほぼ決まりかと思われますが、それはちょっとだけ気が早い気もするので、発表は控えさせて頂きますm(__)m

さて、正月と言っても全く通常通りの出勤シフトゆえ、今年は見事に三が日、まるまる仕事です。なので、これと言った話題も無く、仕方ないから1月スタートの連ドラを軽くチェックしたいと思います。

☆『平 清盛』
今年のNHK大河です。タイトルロールに松山ケンイチ、ライバルの源 義朝に鹿男・玉木宏が扮する他、深田恭子、成海璃子、武井咲、杏(北条政子!)、和久井映見、松雪泰子、檀れい、なぜか松田聖子と、女優陣の豪華なこと!

☆『ラッキーセブン』
私が大学浪人で2年間を過ごした北品川を舞台に、7人の探偵が活躍するアクション娯楽作で、謎に包まれた女ボスに松嶋菜々子w、『それ生き』の暎太、仲 里依紗らが出演。刑事・吹石一恵の上司役で金田明夫さんが出られるみたいですね。あ、主人公は松本潤とかいう、つまらないルックスの青年ですw

☆『最高の人生の終り方』
警察ご用達のワケあり遺体ばかり扱う葬儀屋のドラマ。話は面白そうなのに、主役が山下智久と反町隆史って… こんなつまらんルックスの奴らを毎週見るのは、あまりに苦痛です。榮倉奈々ちゃんも出ますよーw

☆『運命の人』
山崎豊子さんのベストセラー原作で、昭和を舞台にした社会派ドラマ。モックン、松たか子、真木よう子、長谷川博己など豪華キャストだけど、あんまり生真面目なのは苦手かなぁ…

☆『ダーティ・ママ!』
永作博美&香里奈のコンビによる刑事物コメディー。永作さんがかなり弾けたキャラみたいで、これはたぶん私はハマりそうです。

☆『聖なる怪物たち』
岡田将生とかいう、つまらないルックスの青年が、聖職者達の罠で苦境に陥る医者に扮するサスペンス。こっちにも長谷川博己さん出てますよw 中谷美紀、加藤あい、鈴木杏、大政恂と女優陣はいいのに、いかんせん主役の顔がつまんないw

☆『デカ黒川鈴木』
クールな天才刑事に板尾創路、能天気なダメ部下に田辺誠一と、イメージの逆転が面白そうなミステリー。深夜枠には微妙なのが多いけど、これは観てみたい。早くも今週木曜日スタート、日テレです。

☆『ティーンコート』
10代のガキどもが同年代の犯罪を裁く、実在の制度を題材にした深夜ドラマ。yamarineさんお気に入りの剛力彩芽ちゃんが主演なので、彼女の芝居をいっぺん観てみたいですね。

…と、他にも色々ありますが、私が興味を引かれたのは以上の番組達です。個人的には『ラッキーセブン』『ダーティ・ママ!』あたりに期待してますが、また『家政婦のミタ』みたいな大穴が出現しますかどうか?

『つばさ』21 (後)

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この年末年始で一番印象に残ったのは、ウチの母です。私には5つ離れた兄(独身)が千葉県におりまして、年に一回、大晦日だけ帰ってきて、元旦にはまた千葉へ戻りますw

つまり、兄の顔を見るのも、家族が全員揃う夕食も年に一回だけ。その365日ぶりの夕食を、母は「おせち作るのに疲れたから」と言ってボイコット、自室に籠もって翌朝まで顔を見せませんでした。歳も歳だし、おせち作りが大変なのは解りますけど、365分の、たった1度きりの夕食ですよ?w

家族がおせち作りを手伝ってあげないからだ、と言われるかも知れませんが、何度「手伝うよ」と言っても断られるんだから仕方がない、あるんだから仕方がない。

年に一回、しかも一晩しか顔を見せない息子も息子ですが、帰って来てもそんな対応をされて傷つくのが目に見えてますから、帰る気にも長居する気にもなれない気持ちは理解出来ます。

兄の事だけじゃなくて、母は私が今、どんな仕事をしてるか知らないと思います。何も聞いて来ないので、私も話しません。私が映像業界でどんな経験をしたか、についても全く聞いて来ないし、もちろん私の創った作品にも一切興味を示しません。

父も似たようなもんですが、母に関しては特に、息子二人を置いて家出した事が何度かあったり(加乃子さんみたいに長期じゃないけどw)「あんたなんか○んでしまえばいい」とまで幼少期に言われたこと(その原因は、貰った小遣いで友達数人にジュースを奢ったから。数百円の事です)は、トラウマとして私の中に根深く残ってます。

母に何かを褒めてもらった記憶は一切ありません。常によその子と比較され、ウチの子は駄目だ、情けない情けないと嘆かれ続けて、私と兄は育ちました。

そんな母もまた、産みのお母さんを早くに亡くして、継母にかなり冷たくされながら育ったらしく、愛情というものをよく知らない人なんです。母は恐らく、基本的に自分自身を愛せないんだろうと思います。

だから、母に愛情が無いとは思わないし、この歳になってそれを求める気もありません。ただ、私には家庭を持ちたい、子孫を残したいという望みが全く持てなくて、それは仕方がないんだって事だけ、解って貰いたい思いはあります。

新年早々、実にダークな話になっちゃってますがw、親の悪口や恨み言を書いてるワケじゃなくて、私の中にある「心の闇」のルーツが、多分そこにあるんじゃないかって事を言いたかったんです。具体的な誰かのせいじゃなくて、受け継いでしまった「血」の呪縛。

私が集団行動、特に呑み会などが凄く苦手なのは、そういう場にいると強烈に「疎外感」を覚えて胸が苦しくなるから。学校にいても職場にいても、友人の家庭にお邪魔しても、私はいつも「疎外感」から逃れられない。どこにいても、自分が「邪魔者」だと感じてしまうんです。

人とコミュニケーションするのが面倒臭いだけなんだろ?と言われれば、確かにそうかも知れません。私なんかよりもっと深刻な心の闇を抱えてても、努力して自ら殻を破り、暖かい絆を獲得した人は沢山いるのでしょう、きっと。

だから、自分を正当化するつもりは無いし、同情してもらおうとも思いません。ただ言いたかったのは、竹雄さんがずっと密かに抱えて来た「疎外感」が、私には痛いほどよく解りますよ、とw

竹雄さんにそんな設定が与えられたって事は、創り手の中にもそんな心の闇を抱えた人がいるって事ですよね? そういう人が創作の世界にのめり込んでいく心情も、私にはとてもよく理解出来ます。

たぶん『つばさ』を愛する皆さんなら、いま私が書いてる事を「ええ歳して、なに甘ったれとんじゃ。自分の駄目さを血とか環境のせいにすな」とは決して仰らない、と勝手に信じてます。だから、こうして書いてますw

解る人にはあれこれ言わなくても伝わるし、解らない人にはどれだけ言葉を尽くしても解ってもらえない。『つばさ』というドラマも、まさにそんな作品だと思います。前置きが長くてスミマセンw レビューを再開します。

☆竹雄の疎外感
来るな、顔を見るなと言われても、つばさはこのまま帰るワケにはいきません。父・竹雄が密かに抱える、心の闇とは一体、何なのか? それを聞くまでは帰れないと言うつばさに、竹雄は自分の生い立ちを語り始めます。

長野県の、川越に似た町で生まれた竹雄。2歳の時に父親が家出、さらに6歳で母親を亡くした彼は、伯母の家に引き取られるも邪魔者扱いされ、その後も親戚の家を転々とした挙げ句、18歳になって一人で上京。

良くしてくれた人もいたのに、少しでも自分が邪魔者だと感じるといたたまれなくなる。幸せを感じても、それがずっと続くワケが無いと思ってしまう。だから先に自分でひっくり返したくなる衝動に駆られ、実行してしまう。その繰り返し。

「俺には、居場所が無かった…」

そんな時に谷村と出会い、極道の世界に足を突っ込んだ竹雄。仲間も出来て、今度こそ居場所が見つかったと思った矢先に、鉄砲玉(ヒットマン)の使命を言い渡される。

「受け入れてくれたんじゃない。(親分は)ただ捨て駒が欲しかっただけなんだ」

そして鉄次を置いて逃げ出した竹雄は、流れ流れて川越に辿り着き、加乃子と出会った。結婚して子供も生まれ、ようやく幸せを掴んだ…筈だったのに…

「いつだって、怖くて怖くてたまらなかった。幸せが大きくなればなるほど、それを失う怖さも大きくなって来る。昔と同じだ」

どうせ、いつか壊れるなら、自分の手で… 麻子さんと心が通じ合ったのは、極道うんぬんよりも、そんな爆弾を抱えた者どうし共感するものがあったからでしょう。ボイ〜ンはげちゃび〜ん!

「演じてたんだよ。人がいいだけの、情けない父親を…」

封じ込めた「闇のように真っ暗な、本当の俺」を知られないように、竹雄はずっと仮面を被って来たのです。

「これ以上、俺に関わるんじゃない」

竹雄の知られざるダークサイドを見てしまったつばさは、言葉を失い、どうする事も出来ないまま家に戻ります。

これまで見た事が無い父の側面を目の当たりにしたショックで、さすがのつばさも今は思考が働かない様子。いつも冗舌なラジオの男も、今回ばかりはつばさに掛ける言葉が見つかりません。

そんなつばさに今回ヒントを与えたのは、父親への憎しみと、自分の中に流れる父と同じ血に怯え、それを必死に隠しながら生きてきた、タニオ・チクビッティーこと大谷翔太でした。祝・カワデミー賞!

「いつかボロが出るんじゃないかって、ずっと不安だった。どんなに頑張って積み上げたものでも、崩れるのは一瞬なんだ」

その恐怖を、頭皮の動きで見事に表現して見せる翔太。被ってたのは仮面じゃなくて、ヅラに違いありません。縦横無尽にグラインドする頭皮を見たつばさの脳裏に、去って行った母の背中が再び蘇ります。

「私にだって、あるかも知れない…」

☆つばさのダークサイド
つばさは甘玉堂で何度となく、竹雄の幻覚を見ます。まるで自分の気持ち、そして家族の気持ちが穏やかに、丸くなる事を願うかのように、毎日こつこつと甘玉を丸めてた竹雄。

「私達が家族でいられる事の有難さを、お父さん、ここで静かに噛み締めてたんだね…」

そんなつばさの言葉を聞いた加乃子も、竹雄の存在が家族の絆を繋いでた事をあらためて思い知ります。

つばさは加乃子、千代、知秋の前で、竹雄のダークサイドについて語ります。

「でもそれって、特別な事じゃない。私、お母さんのこと、憎んでた」

母が自分達を見捨てるなら、自分がおかんになって見返してやる。あの時に芽生えた心の闇は、父が抱えて来たものと同じである事に、つばさは気づいたのでした。

同じように加乃子、千代、知秋、それぞれみんなに、心の闇はある。竹雄だけが特別なんじゃない。だから、どんな竹雄であっても受けとめよう… つばさの出した結論に、三人はしっかりと頷きます。

このくだりを観て、『つばさ』はセラピーに似てると、あらためて思いました。心の闇を全て吐き出し、それを洗い流すのではなく、受け入れていく作業がセラピーなんです。

☆川越祭り、再び

「私、決めたの。今度こそ竹ちゃんを、全身で愛して受けとめるって」

そんな決意を、わざわざ秀樹に伝えに行く加乃子。秀樹は動揺を隠せません。

「この1年、いい祭りを見せてもらったよ」

そんな秀樹の台詞を聞いて『つばさ』フリークスの皆さんは、番組が終焉に近づいて来たことを実感し、切ない気持ちになられたのではないでしょうか? 私もふと、淋しくなりました。

なのに秀樹はこの後、初めて麻子さんの店を訪れ、ワカパイをチラ見しながら、何やら思わせぶりな態度(笑)。立ち直りが早いのか遅過ぎたのか、単に節操が無いだけなのか?w

さて、つばさは東京にいる竹雄にメッセージを伝える為、ベッカム一郎のラジオ番組に投稿します。

「あなたが今、落ち込んでいるなら、失敗した時の分岐点ではなく、幸せをつかんだ分岐点に立ち戻るべきでは? そこに立ち戻れば、何かが見えて来るかも知れませんよ?」

一年ぶりの川越祭り当日、竹雄はあの川沿いの一本道に現れます。竹雄が26年前、加乃子と出会って幸せを掴んだ分岐点です。

そこで待ってたつばさは、ラジオぽてとDJとして、知秋と千代からのメッセージを読み上げます。知秋の投稿は、未来の自分に宛てたメッセージでした。何十年も孤独に耐えて頑張って来た竹雄のつらさを、同じ男として理解した知秋。

「強いよ、父さんは。呆れるぐらい。僕は、父さんみたいな強い男になれてるかな?」

千代のメッセージは、自分自身の心の闇と、その懺悔を吐露するものでした。でも、分岐点で選んだ道を後悔する必要はない。大切なのは、今の人生を生きることなんだ、と。

千代がその心境に至るまでの過程が、ちゃんと描かれて来たからこそ、竹雄の心にしっかり響いてる事が、我々視聴者にも伝わって来ます。

今こそが玉木家全員の、しあわせの分岐点… 加乃子のメッセージは家で、本人から直接聞いて欲しいと、つばさは父に懇願します。

1カ月ぶりに加乃子と再会した竹雄は、あの一本道で二人の出会いを思い出したと言います。甘玉を食べて、自然と笑顔がこぼれた、あの日の自分。心底から笑えたのは、赤ん坊の時以来かも知れない…

そう言う竹雄を、加乃子は優しく、いとおしそうに受け入れます。

「もう一度、生まれ変わればいいじゃない。赤ん坊の時みたいに、もう一度笑おう! そしたら人生、元とれるって。お願い、笑って!」

必死に訴える加乃子は、見よう見真似で作った甘玉を、竹雄に差し出します。それを食べた竹雄が、あの日と同じように笑うのかと思いきや…

「しょ、しょっぱい!」(笑)

「だから、私は、竹ちゃんがいないと駄目なの!」

泣きながら、強く抱き合う二人。家族全員が竹雄の全てを受けとめて、どうやら幸せの分岐点が再び訪れたみたいです。

「つばさのお陰だよ」と礼を言う父に、つばさは寄り添い、甘えた声でお願いをします。

「お父さんの甘玉、食べたい」

それが上の画像です。どうですか、この、竹雄さんの嬉しそうな顔ときたら! もちろん、私もノックアウトですw

結婚式のケーキ入刀みたいに、二人の共同作業で甘玉を割り、初めて「竹雄さん」「加乃子」と、夫婦らしい呼び方をしてイチャイチャする竹ちゃんと加乃子さん。

そして日常の一部として始まる千代さんと加乃子の口論も、初めてビシッと諫めて見せる、大黒柱・竹雄。

まるで竹雄が作った甘玉みたいに、まんまるな家族がまた、復活しました。

PS. 私は以前、ネット上ではキャラを作ってると書いた事がありますが、思えばそれは逆ですね。家族や同僚には見せない自分の本質を、言葉を選びながらも、かなり正直に此処で吐露してます。

私にとってこのブログは、ラジオぽてとであると同時に、私の中にいる「ラジオの男」が喋ってるようなもん、なのかも知れません。

ネットに書き込みをされてる方には多かれ少なかれ、そういう要素があるんじゃないでしょうか?

明日、D.S.M です!

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今日は時間がありませんので、念押しだけ。

『デカワンコ』正月スペシャルは明日、1/7(土)夜9時から日テレ系で放映です!

無理強いするつもりは毛頭ありませんが、少しでも興味のある方は、「仕事が押して観られなかった」なんて素っとぼけた事を言わなくて済むようにw、今夜の内に録画予約を済ませておいて下さいませm(__)m

『デカワンコ』は、笑いや涙を強要するようなドラマじゃありません。コメディーが苦手な方でも楽しめること請け合いです。

刑事ドラマに飽き飽きしてる方でも大丈夫。これはもはや、刑事物ではありませんw

まだ一度も観たことの無い方は是非、この機会に多部ワンコの魔力、威力を存分に味わって頂きたいです。

土曜日、夜9時です!

メイキング・オブ『ジウ』

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同じお金を使うなら、『それ生き』か『ベム』のDVDを買うべきじゃないのか?って、さんざん迷ったのですが… この先、また観直したくなるのは、やっぱりこれかな?と。

『デカワンコ』と同じ年に放映された刑事ドラマで、多部未華子がワンコ役と対照的にシリアスな芝居と、ささやかなお色気にも挑戦した『ジウ・警視庁特殊犯捜査係』は、タベリストとして数年先に「あの時(少女からオンナへの過渡期)の多部ちゃんは、どんなだったっけ?」って、振り返りたくなる作品のような気がするんですよね。

黒木メイサの本気アクションと、金髪坊やL君のヘナチョコ・アクションもw大いに楽しませてもらえたし、北村有起哉さんへの恋心なんて要素にも、タベリストはもっと萌えても良かったんじゃないでしょうか?w

そういうワケで、『ジウ』DVD-BOXを買いました。まずは、コンパクトで高級感のあるデジパック仕様が良いですね。1枚1枚をページみたいにめくって行く構造で、それぞれ裏面にストーリー解説が印刷されてる分、ブックレットはありません。

最大の興味はやっぱり映像特典で、L君の密着取材映像がくっついて来るのは仕方がないとして、メインとなるメイキングはTV放映もされなかった貴重な映像資料ですから、その出来如何で価値が決まると言っても過言じゃありません。

結果は、充分に満足させてもらえる内容でした。60分という尺もさる事ながら、こちらが観たいと思うツボを外さない誠実な作りで、女優達のインタビューもふんだんに入ってます。

北村さんと城田優くんの素顔がまた、二人とも実に楽しいキャラで楽しませてくれます。

特に、けっこうタップリと見られる多部ちゃん×北村さんの掛け合いは、中年タベリスト必見だと思いますよw 多部ちゃんが中年男とどんな風に会話するのかが、つぶさに、かつ臨場感をもって撮られてますから、とても勉強になります(何のやw)。

他の特典で密着取材されてるからだけど、L君がほとんど登場しないのもポイント高いですね。ただし、多部、黒木、北村、城田の4人以外のキャストがほぼ無視されてるのは残念でした。伊武さんや岸本さん、石坂さんあたりのコメントも聞きたかったです。

ひと通り観た感想としては、とにかく主演女優2人の関係性と、仕事に取り組む姿勢が本当にカッコイイなぁと。シビレますね。

お互い、必要以上に人とベタベタしない性格という共通点を最初に感じ合い、解り合ったからこそ、適度な距離感を保ったまま、それぞれの役割を淡々と、的確にこなしてる。まさにプロフェッショナル!

クール過ぎずホット過ぎず。そんな二人の姿勢が現場全体にも浸透してる感じで、『デカワンコ』組のアットホームさとはまた違った形の、チームワークの良さを感じました。

クランク・アップの瞬間を見ても、多部ちゃんが泣いてないんですよね、珍しくw ダブル主演の相方と二人同時のALLアップ(あの最終回ラストシーンです)とあって、ここは泣く場面じゃないっていう判断を、両者とも暗黙にしてたように感じました。

そこで二人が泣きながら抱き合うなり、握手するなりのパフォーマンスも有り得る場面だと思うのですが、二人揃ってそういうキャラじゃない。本人達が認めてる通り、内面が似てるんでしょうね、この二人は。

それぞれの相手役である北村さんと城田くんが、揃って穏やか&お喋りな人であるのも、偶然にせよ良く出来たキャスティングだなぁと思いました。…L君以外はW いや、L君も素直でいい子みたいなんだけど、性格が良けりゃいいってもんじゃないですからねw

そんなこんなで、このメイキングは良かったです。本編を観直すのはしばらく先になりそうですが、買って良かったです。

PS. 私を撮影現場に誘ってくれた友人ですが、城田くんの殉職シーンでけっこう写ってました。やっぱり行けば良かったかなぁ…w

『デカ・黒川鈴木』#01

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田舎の警察を舞台に、板尾創路さんがクールな天才刑事を演じてます。その着想の面白さが全て、ではないでしょうか?w

つくづく思いましたが、ミステリー仕立ての刑事物なんて、舞台設定とキャラクター造形=世界観でしか個性を発揮しようが無い(それを除けば、どれも同じ)ですから、そこでツボを外したら、もうアウト。

板尾さんがオチャラケ抜きで知性派デカを渋く演じてる分、部下の田辺誠一さんが弾けたキャラで笑いの部分を引き受け、仲の悪い両者の間に挟まれ翻弄されるフツー人の刑事に、『それ生き』や『おひさま』等でよくお見かけする、田中圭くんが扮してます。

狙いはよく解るのですが、この3人の組み合わせって、どうなんでしょう? どうもイマイチ、食い合わせが良くない気がしてなりません。

昨シーズンの『HUNTER』を観た時と似たような印象です。個々は芸達者なんだけど、組み合わせの妙から生まれる面白さが、初回を観た限りだとあまり感じられませんでした。

田辺さんの三枚目キャラは、映画『ハッピー・フライト』等は良かったと思うのですが、今回のキャラはあまり好きになれません。

渋く決めようとする板尾さんに茶々を入れて、ペースをかき乱す役割なんだけど、刑事としてあまりに不真面目だし、馬鹿過ぎてw、ちょっと不愉快なキャラです。

板尾さんが、しゃがんで靴紐を結ぼうとすると必ず後ろに転がっちゃう設定も、なんだか取って付けた感じがして、私はあんまり笑えませんでした。

ジワジワと浸透して最後にはクセになっちゃうような笑いを狙っておられるとしたら、あと1〜2話は観てみないと答えは出せないかも知れませんが… でも多分、私のツボにはハマりそうにないです。

設定だけ聞いたら面白そうなのに、やっぱコメディーは難しいですよね、つくづく。ほんのちょっとした違いが、笑える笑えないの分かれ道になっちゃう。デリケートな分野ですホントに。

しかし、その難しさを差し引いても、3人の容疑者を演じる俳優が、釈由美子さん以外の2人はほとんど無名の人で、最初からどう見たって真犯人は、彼女しか有り得ないw

それを逆手に取る戦法かと思いきや、素直に釈さんが真犯人でしたw それって、ミステリーとしてどうなんでしょう? 低予算の深夜ドラマだから仕方ないのかなぁ…

それなら、その意外性の無さをギャグにしちゃう位の大胆さが欲しい気がします。もしかすると、そのつもりだったのに伝わってないだけかも知れないけど…

とりあえず、もう1話観て乗れなかったら、これはリタイアしちゃうと思います。日テレ系の木曜深夜です。

『デカワンコ新春SP』パリ編

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いやぁー、楽しかったですね。徹底的に楽しくて、これぞデカワンコ!としか言いようが無い作品でした。

中身が無さ過ぎる!とお怒りの方もおられるやも知れません。でも、そこはそれ、新春スペシャルですから。スターかくし芸大会みたいなもんですw

かつての長寿ドラマ、例えばデカワンコゆかりの『太陽にほえろ!』だって、正月の1発目は脱力系のエピソードである事が多かったですからね。

あるいは、ハード・アクション映画だった筈の『リーサル・ウェポン』が、シリーズを重ねる毎に脱力コメディー化して行った過程にもよく似てますw いずれにせよ、頭をカラッポにして楽しめば良いのであります。

ただし、TVシリーズを観ていなかった(ゆえに各キャラの設定を把握されてない)方には、その面白さが100%伝わらないネタが多かった、という問題点は、確かにあります(特に江戸時代パート)。

これも又、ファン・サービスを強く意識したシリーズ物、ならではの傾向ですね。私らファンにとっては嬉しい限りなのですが…

で、初めて『デカワンコ』に触れられた方にも本作の楽しさを解って頂けるように、『つばさ』レビューの形式でお伝えする事にしました。この形式はけっこう骨が折れるんですがw、番組視聴を強くオススメした手前もありますので、頑張りますw

☆実は、刑事ドラマですw

「ボンジュール・パリ!」

ホテルの窓を開け、ノートルダムの鐘に向かって朝の挨拶をする、ロリータ・ファッションに身を包んだ女の子。

休暇でパリを訪れた彼女は、警視庁刑事部捜査一課・第八強行犯捜査殺人捜査第13係の新米刑事、花森一子(多部未華子)です。本人もそう言ってますw しかし、本庁の捜査一課所属ですから、本来は相当なエリートである筈なのですが…w

初めて御覧になる方でも、これ位はご存じかと思いますが、なぜか彼女には警察犬に負けない程の鋭い嗅覚があり、その特技と名前の「一子」を引っ掛けたのが「ワンコ」というニックネームの由来です。

ちなみにロリータ・ファッションは捜査のための変装ではなく、彼女の趣味ですw いや、趣味を超えた、彼女の「生きざま」そのものと言えましょう。

誰に何と言われようが、自分が可愛いと思うから、着る。自分が好きでやってる事なんだから、奇異な眼で見られても全然平気。彼女のそんな生きざまに私は憧れるし、萌えますw

「ワンコ、パリは恋の町だよ」
観光しか頭に無さそうなワンコに、顔馴染みのカフェ店員(ヒゲ面w)がそう言いました。「ドキドキ!」とか言って、にわかにフレンチ男子の視線を気にし始めるワンコ。

これのどこが刑事ドラマなんだ!?とお思いの方、あるいは、まだこれが刑事ドラマだと思ってるのか?と呆れてる方もおられるでしょうけど、派手な銃撃戦で幕を開けた(今思えば嘘みたいw)TVシリーズ第1話が、どんだけ刑事ドラマだった事か!

暴力団に捜査情報を漏らし、その隠蔽のためにジャーナリストを殺害した容疑で、ワンコは尊敬する同僚刑事・ガラさんこと五十嵐刑事(佐野史郎)に泣く泣く手錠を掛ける…という、初回はそんな超ハードなストーリーでした。

警察内部の犯罪を暴くのは『太陽にほえろ!』はじめ、いにしえの刑事ドラマでも度々描かれてはいましたけど、レギュラーの刑事がいきなり殺人容疑で逮捕され、第2話以降は牢獄から出演するなんていうシビアな番組、私が記憶する限りでは存在しませんよw

それが回を追う毎にユル〜くなって、最終回に至っては半分以上を慰安旅行記で消化…しちゃってましたけどね、確かにw、でも間違いなく刑事ドラマなんです、これは。

☆パリでも、ノリ変わらずw
サントラ・タイトル「平穏のテーマ」のフレンチ風アレンジ・バージョンをバックに、パリの町を我々に紹介するワンコが「上野だとか表参道じゃない、リアル・パリ!」とか言ってるのは、前回のスペシャル『デカワンコちょっとだけリターンズ』で近場をパリと偽ってたからですw

この後に流れますが、オリジナルの「平穏のテーマ」はウクレレを基調にした文字通り呑気な曲で、『太陽にほえろ!』の楽曲を除けば『デカワンコ』BGM中で一番、私がお気に入りの曲です。スタッフさんもそうみたいで、使用頻度が飛び抜けて高い曲でもありますね。

さて、ウキウキとシャンゼリゼ通りを散歩するワンコですが、すれ違った男3人の、嗅ぎ慣れた匂いを察知して驚きます。

その男達とはワンコの同僚刑事、コマさんこと小松原(吹越満)と、キリさんこと桐島(手越祐也)、そしてデューク・タナカ(水上剣星)の三人なのでした。

インターポールの捜査に出張協力した帰りに観光しに来て、たまたま通りかかったとの事ですが、一人旅のワンコを冷やかしに寄ったのかも知れませんねw

巨漢のちゃんこ刑事=和田(石塚英彦)は急性なんとか(デュークの台詞が聞き取れないw)で入院中との事ですが、彼がやたら入院するのもTVシリーズからのお約束で、犯人を追いかけて5歩目ぐらいで靱帯損傷しちゃったw、石塚さんのリアル負傷がきっかけと思われます。

この時、キリが「伴さんもなったらしいですよ」って言いましたけど、脚本の伴一彦さんをネタにした楽屋オチと思われ、マニア以外には全く意味不明な台詞ですw

ヤナさんこと柳(大倉孝二)は出張捜査に参加中、地下鉄で財布をスラれ、パリ警察に被害届けを出すも言葉が通じず苦戦中。

そこにデブ… いや、ふくよかな黒人婦警が来た途端に眼を輝かせるのは、彼がいわゆる「デブ専」だからです。これは一応、江戸時代パートへの伏線になってますので、憶えて…おく程でもないかw

それと、コマさんがデュークの事を「でぇーく」と呼び、「デュークです!」「うるせーコノヤロー!」ってなやり取りがありますが、これもTVシリーズ第1話から脈々と続くお約束で、やはり江戸パートで活かされる事になります。

さて、オペラ座の前で一同は一旦解散しますが、この時にキリが「お前、やっぱりデートか?」とワンコの動向を気にします。

ワンコとキリは同世代で、コンビを組む機会も多い二人ですが、ドラマではこれまで恋の兆しすら描かれて来ませんでした。

でも原作マンガだとワンコは早くからキリを異性として意識しており、キリも徐々に…みたいな描写はあるんですよね。

今回はテーマが「恋」って事だから、その兆しを入れて来たのだと思われますが、原作とは真逆にキリの一方通行なのが可笑しいですねw ドラマ版はなぜか、原作とは真逆に描かれてる要素がやたら多いです。

☆いとしのレティシア

「可愛い! 日本人ですか?」

日本人の彼氏を持つと言うブロンドの美女・ レティシアがワンコに声をかけて来ます。多部ちゃんのロリータ姿は実際、パリの町で注目の的だったそうですね。

意気投合した二人は、レティシアが彼氏と出会った場所である、セーヌ川の遊覧船に乗り、「恋人たちの橋」に向かいます。レティシアはそこで彼氏と待ち合わせてるのですが…

「でも、最後のデートになるかも…」

国際恋愛を両親に反対されてるみたいですが、その恋人を彼女は「シゲ」と呼んでます。シゲと言えばワンコの同僚・重村(沢村一樹)も、そう呼ばれてるのですが…

「会うたびに嬉しくて、会えば切なくて、会えなきゃ悲しい、会わずにいられない…(by布施明)」

再びどこからともなく現れw、ワンコに恋とは何ぞやを語って聞かせる昭和男・コマですが、そこにボス=門馬係長(升毅)から国際電話が。

連続殺人事件発生につき即帰国を命じられ、同じくパリにいるのに連絡がつかない同僚・シゲさんを探し出すべく、ようやくワンコの嗅覚捜査が開始されます。

鼻の穴を広げて匂いを嗅ぎまくる、ワンコのヘン顔。既にタベリストだった方が、あの顔を初めて見た時、一体どんな心境だったでしょうか?w

今回のスペシャルにおいて、多部ちゃんが出まくった番宣の一つ『ZIP』で、司会の鈴木杏樹さんが「ヘンな顔してるのに可愛くて可愛くて、ずっと観てました!」って絶賛してましたね。

そう、多部ちゃんがやると下品に見えなくて、なぜだかめっぽう可愛いのです。花森一子の役が多部未華子以外の女優では有り得ない、その理由の一つですよね、これも。

ちなみに原作だと、ワンコがあの顔をする度に、それを見た人が「うわっ、ヘンな顔!」って、いちいち心の中で驚くのがお約束になってますw

さて、ワンコが動き出すこの場面で、ようやくメインタイトル『デカワンコ 新春スペシャル』が登場すると同時に、太陽にほえろ!メインテーマ'97リミックスのフレンチ風アレンジ・バージョンが流れます。

放映当日の朝にやってたスベシャル番宣は本編より後に観ましたから、私がこの曲をしっかり耳にしたのは、この瞬間が初めてでした。もうホント、鳥肌が立ちました。この曲はどんなアレンジを施してもカッコイイ、贔屓目抜きで不滅の名曲だと思います、ホントに。

☆トンネルを抜けると…
モンマルトルの丘から、テアトル広場へ。そこでシゲさんとレティシアの似顔絵を発見するワンコ。じゃあ、レティシアの恋人はやっぱり、あのシゲさんと同一人物なのか?

レティシアの待つ「恋人たちの橋」を目指して走るワンコ。ここでジーパン刑事のテーマ・リミックスの新バージョンも登場! この曲がかかると『太陽』世代は、誰もが条件反射的に全力疾走したくなるんですよね。いやホントにw

橋にはもう、レティシアはいない。彼女は彼氏と会えたら船に乗ると言ってました。ワンコもその船に乗り込むのですが…

船がゆっくり進み、トンネルを抜け、さらに橋の下を通ると… ワンコは、とんでもない場所に辿り着いてしまいます。常識では有り得ない、その場所とは一体!?

(江戸編へと続くw)

『デカワンコ新春SP』江戸編

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桐島刑事役の手越祐也くんが番宣で、『デカワンコ』を「今、日本で一番自由なドラマです」って評してました。

繋がりや辻褄を気にせずに、現場のノリを最優先するドラマ創りが、彼は好きで好きでたまらないそうです。その気持ち、すごくよく解ります。

私は高校時代から映画創りを続ける中で、脚本を書けば辻褄合わせに苦しみ、撮影現場じゃ画面の繋がりがおかしくならないよう「天気待ち」したり、通行人に頭を下げて退去してもらったり、上空を飛行機が通る度に中断を余儀無くされたり…

「ええい、しゃらくせぇ! 繋がりなんか、どーでもええわっ!!」って喚きたくなる瞬間が、何度もありました。本筋と関係ない事に時間を割かなきゃならないのが、とてもストレスになるんですよね。現場全体の勢いにも水を差されるし、私はそのテの「待ち」が大嫌いでした。

『デカワンコ』だって全く繋がりを無視して撮ってるワケじゃないにせよ、例えば第9話あたりで、同じ町内なのに片やピーカン、片や雪景色をバックにケータイで連絡取り合って「おい、こっちは雪降って来ちゃったよ」ってw

それぞれ撮影日が違うからなんだけど、『ジウ』みたいなシリアスなドラマには到底出来ない芸当です。さすがの『つばさ』でも、そこまでデタラメな事は出来ないのでは?w

何げにレギュラー・キャスト全員が売れっ子で、常に超タイトなスケジュールで撮られてる『デカワンコ』ですから、そうでもしないと乗り切れないっていう切実な裏事情が、世界観をどんどん緩める結果を生んだものと思われます。

今回のスペシャルは、そんな流れの果てに、行き着く所まで行っちゃったwというか、歯止めが効かなくなっちゃった、まさに連続物は生きものである事を証明したような、そういう作品だと私は思います。

そんなワケで、レティシアを探して駆け回るワンコが行き着いた場所は、なんと江戸時代の日本でしたw

☆生類憐みの令

「あっ、お犬様だ!」

駆け回る野良犬を見て、町民達が慌てて家屋の中に隠れます。下手に犬やその他の動物に関わると、牢獄行きになりかねないから。

そう、「生類憐みの令」が下された徳川綱吉の時代に、ワンコはやって来てしまったのでした。ワンコはある意味、お犬様の生まれ変わりみたいな女の子。犬と会話だって出来ちゃいます。

さて、そこに江戸町奉行の同心達が登場します。

「ボス!? キリさん!?」

先頭を走る男は門馬係長に、その片腕で「キリ形(平次)」と呼ばれる若者は桐島刑事にそっくりではありませんか! まぁ言うまでも無く、つまりボスとキリのご先祖様ってワケですね。

ここで流れる、軽快な三味線のリズムが楽しい「太陽にほえろ!メインテーマ'97リミックス」の江戸(というか津軽?)風アレンジ・バージョンに、私はまたもや鳥肌が立ちました。

このメロディーはこれまで、ロック、ジャズ、レゲエ、ヘビメタ等あらゆるアレンジでカバーされて来ましたけど、まさか三味線の演奏で聴ける日が来ようとは!w

その同心達が向かった先は、町医者・柳先生の家です。そう、デブ専・ヤナさんのご先祖様。犬を虐待し、死に至らしめた容疑が掛けられてるのですが…

ヤナさんと言えば、ワンコがボケた事を言うと容赦無しの頭突きを食らわせる、つまり虐待してる人って事で、こういう設定になったんでしょうか?w

彼がお犬様に毒薬を飲ませるのを見た目撃者までいるとの事で、柳先生は連行されちゃいます。

お手伝いとして柳邸に出入りする、ふくよかな女性・お琴(渡辺直美)は、ワンコの親友で交通課婦警の、琴美のご先祖様ですね。

ボス「ひっ捕らえろ!」

ワンコ「へっ、なんで?」

変な服装だから怪しい、というだけの理由で、ボスはワンコをも連行しようとします。とりあえず逃げたワンコが桶の中に隠れて「オーケー」って言ったのがダジャレだったとは、gonbeさんのブログを読むまで私は気づきませんでしたw

☆水戸黄門、復活!
逃げ惑うワンコを助けてくれたのは、ちゃんこ刑事のご先祖様・助さんと、コマさんのご先祖様・格さんでした。

江戸時代でもグラサン姿のコマさんですが、よく見るとフレームが竹みたいな素材で出来てて、芸が細かいw 素材の問題じゃないでしょうにw

「なんだ、その爪は? 流行り病か?」

↑コマ=吹越満さんのアドリブですが、ワンコの派手なネール(でしたっけ? 爪をデコレートするやつ)を指しての言葉です。この時代ですから奇異に見えるのは解るけど、病気って…w

さて、助さん格さんに連れられ、ワンコが入った屋敷にいた老人とは?

「総監?」

「相姦じゃと?」

↑私にはそう聞こえましたw 越後のちりめん問屋のご隠居らしいその人物は、警視総監(伊東四朗)のご先祖様で、言うまでもなく水戸光圀公その人なのでした。

折しも御本家『水戸黄門』が先日、その長い歴史に終止符を打ったばかりで、今日のNHK『クローズアップ現代』では時代劇滅亡の危機が報じられてました。

不景気=時代劇は製作費がかさむ、ってな理由もあるけど、購買欲の薄い老人層がメイン視聴者である時代劇を作っても、儲からないからスポンサーが降りちゃう等の現実問題もあるそうです。

韓国みたいに国がバックアップしない限り、本当に時代劇は滅亡しかねない勢いで減り続けており(民放ドラマではついに1本しか無くなっちゃった)、それは多くの職人が仕事を失うばかりか、日本の文化や所作などの伝統を残して行くツールを失う事をも意味する、とても深刻な問題でもあるんです。

私は大河ドラマぐらいしか時代劇は観ない人間だけど、それでも水戸黄門みたいにパロディーにし易い、誰もが知ってるキャラクターが無くなっちゃうのは淋しく思います。

今回『デカワンコ』で時代劇をやる事になったのも、そういうパロディーとしての楽しみ方も出来る娯楽時代劇へのエールだったり、みんなで見直そうよ!っていうメッセージが込められてるのかも知れないですね。

☆小僧ワンコ登場!
格さんがどこかに置き忘れた印籠(おいおいw)を、自慢の嗅覚で見つけ出したワンコは、ご隠居様の信頼を得て、一緒に柳先生の濡れ衣を晴らすべく捜査に乗り出します。

私は今回のレビューにあたって、「さぁ、いよいよ刑事ドラマの展開になって来ましたよ!」と繰り返し煽っといて、最後に「結局、捜査無しかよ!w」ってオチに持って行くつもりで書き始めたのですが、考えてみりゃこの江戸パートでしっかり、捜査、追跡、立ち回りと、刑事物でやるべき事は全部やってるんですよねw

で、ロリータ・ファッションだと江戸時代でなくても目立ち過ぎるって事で、ワンコは小僧の扮装をします。なぜ町娘とかじゃなくて小僧なのか? それは多分、コーディネートしたのが格さん=コマさんだからでしょうw

バッチリ変装したワンコですが、外に出てから約5秒後に、平次=キリに見つかって確保されちゃいますw それが、ワンコなのです。嗅覚以外に取り柄なしw

その頃、北町奉行所では門真ボスが、楽しそうに柳先生を拷問してました。ヤナさんの苦悶の声を聞いて興奮する、かなり変態なボスw

そんなボスが窓の外を見る際、ブラインドが無いのに(当たり前w)、指でブラインドに隙間を開けて覗き込む動作をするのは、言うまでもなく石原裕次郎さんのパロディーですね。言わば、エア裕次郎w

と言うより、裕次郎さんをパロった「ゆうたろう」氏をパロった現代の門真ボスを、さらに江戸時代の門真ボスがパロってるワケですw

☆江戸時代でも牢屋の中w
あっけなく捕まり、牢屋に放り込まれたワンコ。そこには、例えば蚊を殺しただけで逮捕されちゃったような、加害者と言うより、生類憐みの令による被害者達が、何人も閉じ込められてました。

その中にデューク・タナカのご先祖様もいて、「デュークじゃねぇ、おいらはでぇーく(大工)だ!」とか言うのは前回解説しました通り、コマさんがいつも嫌がらせで言う呼び方の裏返しですねw

そして、どうやら石川五右衞門らしい牢名主が、ガラさんのご先祖様みたいなんだけど、佐野史郎さんが扮装に凝り過ぎて、誰なんだかよく分かんないw

でもワンコには匂いで判っちゃう。嗅覚以外に取り柄なしって書きましたけど、嗅覚が鋭いってのは刑事として、実は物凄いメリットなんですよね。そこに目をつけた原作者・森本梢子さんは素晴らしいと思います。

「ガラさん、江戸時代でも牢屋に入ってるんですね!」

このワンコの台詞には笑いましたw 前回書きました通り、ガラさんはTVシリーズ第2話以降、ずっと刑務所暮らしなんです。

そこに、無理やり自白させられた柳先生が放り込まれて来ます。このままだと、先生は打ち首になっちゃう。

「私、ヤナさんの無実を証明します!」

ワンコは立ち上がり、身体の小ささ…って言うか細さを活かし、格子の隙間を抜け出しちゃいます。井上和香さんには出来ない芸当ですw

「いいか、鼻だけじゃねぇ。眼、耳、手、足、口、全部使って調べて調べて調べ尽くせ。考えるのは、その後だ」

五右衞門ガラさんのアドバイスは、現代のガラさんが第1話でワンコに言った台詞そのまんまですよね?

江戸でもワンコが、ジーパン刑事のテーマをバックに駆け回ります。そして柳邸に駆け込み、先生が使ってた薬草の匂いを嗅ぎ分け、何やらヒントを掴みます。

この時にサワリだけ流れる「嗅覚のテーマ」も、ワンコのキャラを象徴するような曲で、私は大好きです。

柳先生は弱った犬を治療しただけだった。お琴さんの証言も得て、ヤナさんの無実を確信したワンコですが、牢屋に戻ってみると先生は既に、打ち首が決まって連れ出された後でした。

ワンコは囚人達を解放しますが、なぜか自分の意志で牢屋に残るガラさんw でぇーくを含む囚人達を引きつれて、江戸の町をドタドタと走るワンコ。

走りながら、なぜか半笑いの多部ちゃんw こういう時、決まって多部ちゃんは半笑いなんですよね、いつも! 客観的に見るとちょっとマヌケな図である事を、彼女は本能的に分かってるんだと思います。クリエイター気質の女優さんなんですね、きっと。

打ち首寸前の柳先生を救うため、駆けつけたワンコ達、助さん格さん、さらに「風車の弥七」=シゲさんのご先祖様も加わって、門真一味と大乱闘。

もちろん、そこで「静まれ、静まれぃ! この紋所が目に入らぬか!?」を合い言葉に、ご隠居が水戸黄門としての正体を明かします。

「水戸、肛門!?」

↑ワンコの台詞、私にはこう聞こえましたw 多部ちゃんの口から「肛門」って単語をぜひ聞きたい!という、スタッフ一同が仕掛けた罠に違いありません、これはw

柳邸で見つけたヒントを元に、ワンコは見事、柳先生の無実を証明して見せました。しかし、それもこれも全て「生類憐みの令」という悪法が引き起こした事件です。

「今度ばかりは、堪忍袋の緒が切れました」

ついに本気になった黄門様ご一行と一緒に、ワンコは江戸城へと向かいます。そう、時の将軍・徳川綱吉を懲らしめる為に!

(東京編へと続くw)

『デカワンコ新春SP』東京編

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前回、途中で力尽きて(笑)省略しちゃった部分をフォローしますと、柳先生に打ち首を言い渡した「遠山の金さん」は、ワンコの下宿先のお爺ちゃん(上田耕一)のご先祖様ですw

TVシリーズでワンコが、ヤクザ事務所に単独で乗り込み窮地に陥った際、このお爺ちゃんが肩の入れ墨を見せただけでヤクザどもがひれ伏し、救われたんですよね。

それ以前から「お爺ちゃん、何者!?」とワンコに言わしめて来た、謎の多い爺さんだったのですが、ここに来て遂に、その正体が明かされたワケです。遠山の金さんの血を引くんだから、現代においてもヤクザどもがひれ伏すのは、当然です。>そうか?w

それと、江戸時代のヤナさん=柳先生はデブ専ではなく、男ヤモメで女性には興味が無さそうな、生真面目人間です。

現代とは逆に、お琴の方が柳先生に惚れており、ふくよかな彼女の存在が今後、先生を狂わせ、変態の道へと導くものと思われますw

☆トモロヲ
さて、黄門様の顔パスで江戸城に乗り込んだワンコは、いよいよ将軍・徳川綱吉と対面します。レギュラー・キャストはほぼ出尽くした筈で、じゃあ綱吉は一体、誰のご先祖様なのか?

「はっ、田村さん!」

「ん?」

そこでCMに入るタイミングが絶妙でしたね(笑)。gonbeさんも書かれてた通り、ここが一番『デカワンコ』ファンの意表を突き、かつ納得させる爆笑ポイントであったと思います。

現代の田村さん(田口トモロヲ)は鑑識課の警察犬係で、人間よりも犬と心を通わせてるように見える、素朴で不器用な人なんです。

考えてみれば、綱吉の子孫として彼ほど相応しい人はいないんだけど、何しろ地味なポジションなもんで誰にも予想出来なかったと言うw

会ってみると綱吉将軍も、田村さんそのまんまの素朴なお人柄。動物たちが世間で虐待されてると聞いて胸を痛め、イジメないようお触れを出しただけの事だったのに、役人達がそれを利用して町民達を虐待してた、というのが真相のようです。

綱吉の想いは、町民に伝わってない。「片思い… 恋と同じですね」と言うワンコは、その誤解を早く解くよう、将軍様にアドバイスw

この場面では更に、ワンコのライバル警察犬・ミハイルやレティシアのご先祖様も登場しますが、説明が面倒臭いのでカットしますw

と、そこでワンコのケータイが鳴ります。現代のキリと、なぜか電話が通じちゃうのですが、ワンコのケータイが濡れてたのは、何が意味があるんでしょうか? ワンコは、セーヌ川に落ちてタイムスリップした?

「はっ、寝てました!」

↑お約束の台詞の一つですw。ワンコが目覚めると、そこは東京へと帰る飛行機の座席でした。ま、まさかの夢オチ!?(笑)

多部ちゃんが出た番宣の一つで、日テレの馬鹿アナウンサーが「まさか夢オチじゃないでしょうね?」なんて馬鹿なコメントをしてました。ほんと馬鹿ですよね、勉強ばっかりしてた輩は。ばーかw

『デカワンコ』なら夢オチぐらい平気でやっちゃう事を、司会者なら承知してなきゃ駄目でしょう? いや、どんな番組であろうと、勝手にオチを予想するような事を番宣ゲストに向かって言っちゃうのは、不粋にも程があります。この馬鹿たれ! 乳毛!w

☆おなじみの刑事部屋

「なに? 江戸時代とな?」

まだ時代劇気分が抜けてない、現代の門真ボスw 13係メンバーは誰も信じようとしませんが、ワンコが「夢じゃありません!」と主張してる以上、あながち夢オチとは限らないのかも知れません。

でも、私は「夢だった」に一票入れたいです。ギリギリ最低限のリアリティーは守る。それが『デカワンコ』の面白さを支えてると思うので。クドカンあたりの卑怯な「何でもアリ」とは違うんです。まぁ、タイムスリップだって絶対に起こらないとは言い切れないですがw

パリに置いてけぼりだったヤナさんも無事帰国し、連ドラ主演で忙しいシゲさんw以外は13係全員集合です。

でも結局、連続殺人事件は既に解決済みで、新たに発生した事件も、駆け付けたと同時に所轄が解決w 本庁の刑事達には実際、こういう事も起こり得るんでしょうね、知りませんけどw

この出動場面で流れたのが、TVシリーズにおけるメインテーマ=「太陽にほえろ!メインテーマ'97リミックス・駄馬編」です。「♪ダバダ、ダバダ」と唄うから、駄馬w

今回のスペシャルで新録音されたフレンチ編や三味線編にも鳥肌が立ちましたが、この駄馬編=スキャット・バージョンを初めて聴いた時の衝撃には及びません。そんな発想の大胆さは、まさに『デカワンコ』という番組を象徴してると思います。

この出動場面で特に、刑事達が横一列になって歩くのを、背後から横移動のカメラで捉えたショットは、たぶん映画『ニキータ』あたりから流行り出したスタイリッシュな撮り方で、メチャクチャ格好良かったですね。

でも、その格好良さが10秒と続かないのがw『デカワンコ』たる所以です。前回も書きました通り、刑事ドラマらしい描写は江戸時代パートでやり尽くしましたから、もう捜査はいいでしょうって事ですね。

それにしても、警察犬のミハイルまで恋に落ちた様子なのに、ワンコは結局、人のお節介に駆け回るばかり。ワンコよ、君は玉木つばさか?w

「恋かぁ…」

今回の視聴率は、かろうじて2ケタに乗った程度だそうで、『デカワンコ』の人気と実力からすると、不本意な数字と言わざるを得ません。

私はふと思ったのですが、レティシア=一回きりのゲストの恋だけじゃなくて、ワンコとキリの間にも少しぐらい「この二人、もしかして…」って思わせる描写があれば、メイン視聴者である少女層の興味をもっと引いて、数字は上がったんじゃないでしょうか?

それがワンコと来たら、「ドキドキ!」とか言ってた割に、目の前にいる異性(しかもイケメン)には、まるで興味なし(笑)。原作のワンコはずっとキリに片思いしてると言うのに!

でも、それが多部未華子のワンコなんですよね。多部ちゃんのワンコは、視聴率の為に恋などしないw

加乃子や秀樹が大衆向けの「模範的な善人」になっちゃったら、『つばさ』が『つばさ』でなくなっちゃうのと同じで、こんな一子だからこそ『デカワンコ』なんです。

だから、数字は仕方がないw それで続編の可能性が微妙になったとしても、『デカワンコ』を愛する我々は、本望と思うべきでしょう。
☆ビバ! 浅草
ワンコは愛犬・パトラッシュの散歩中に、レティシアと再会します。彼女を下宿先の家に連れて帰ると、元警視総監の松田さんが遊びに来てました。

「はっ、黄門様!?」

「肛門?」

↑絶対、そう言ってますよねw この家にはワンコの同僚達のみならず、退職したとは言え警視総監まで遊びに来る。アットホームな警察にも程がありますw

松田さん情報によると、第1話で逮捕された後、汚職の全貌を解明する為に脱走までしちゃったガラさんは、裁判員裁判で懲役10年の判決を受けて、現在は長野刑務所に服役中とのこと。

その頃、ガラさんが佇む格子窓の外は寒々とした吹雪で、見る度に状況が悲惨になってるのですがw、松田さん曰く「模範囚」との事で、他の囚人達に習字を教えたりなんかして、文字通り「模範」を示してるのが可笑しいですねw

そもそもガラさんが捕まっちゃう設定って、演じる佐野史郎さんが忙しくて毎回出演出来なかった事情による苦肉の策だったんじゃないか?と想像するのですが(お陰で素晴らしい第1話になりました)、まさか長野刑務所にまで行く羽目になるとは、佐野さんはもちろん、脚本の伴さんも当初は思ってなかった事でしょうw

さて、久々にピンク一色なワンコの部屋が登場しました。普通の感覚なら落ち着かない空間である筈なのに、我々はなぜか癒され…ますよね?w 招かれたレティシアも「カワイイ!」を連発します。

パリでは結局、恋人の「シゲ」に会えずじまいだったレティシア。シゲは電話にも出ない(沢村さんのシゲもそうだったから、もはや我々も同一人物だと確信しちゃってます)ゆえに、レティシアはたまらず日本まで会いに来たのでした。

「そっか… 恋のつばさで、飛んで来たんだぁ」

「シゲのつばさ、折れてる…」

創り手も、ワンコの玉木つばさ化を意識してたのでしょうか?w

署に出勤しても、レティシアの恋を想って、ワンコはため息をつきます。「ワンコ、どういう人なんだ?」と、ちゃんこさん。ワンコ自身が恋してると同僚達が勘違いするのはお約束ですが、刑事部屋でそれをやっちゃうドラマは珍しいw いい職場だなぁ…

☆ローマの休日
ワンコはパリ案内のお返しに、レティシアを浅草観光に連れ出しますが、彼女を追う謎の外人コンビの存在に気づきます。『ローマの休日』を御覧になった方なら、先の展開はミエミエですねw

そんな折りに、沢村シゲさんがようやく主演ドラマを片付けてw帰国します。ワンコはシゲさんに詰め寄ります。

「レティシアのこと、どうするつもりですか?」

「え? もちろん、幸せにするつもりです」

こうなったらどう見たって、このシゲとあのシゲは同一人物w ワンコは二人を会わせようとしますが、レティシアは例の外人コンビに拉致された模様。匂いを追うワンコ!

行き着いた先は「モナカ公国」の大使館。お察しの通り、レティシアはその王様の一人娘=次期王女様なのでした。

彼女には、親が決めたフィアンセがいる。シゲと結婚したいけど、彼にその気が無いなら仕方がない。でもせめて、最後にもう一度会いたい。

そんなレティシアの願いを叶える為に、ワンコは古典的な方法でw大使館を抜け出し、日本の「恋人たちの橋」=浅草・桜橋へと向かいます。

☆ロミオとジュリエット(オリビア・ハッセー版w)
レティシアに呼び出され、やって来た…と思われた沢村シゲさんは、橋を素通りしちゃいますw 入れ違いに現れた板前風の男こそが、レティシアの恋人・茂なのでした。

こっちのシゲさんが会いに来たのは、もう一人の小さなレティシア。シゲさんと、別れたフランス人の妻との間に出来た娘が、たまたまモナカ王女と同じ名前だったのでした。ちゃんちゃん!w

後日、モナカ王室が婚約会見を開き、その模様をテレビで13係メンバー達が見守ります。レティシア自身にもフィアンセのお披露目と見せかけて、茂さんとの結婚許可をサプライズ発表する、粋なモナカの王様。さすが外人w 日本人がやるとクッサイですよ、これ。

驚き、感激したレティシアは、TVカメラを通して視聴者に語り掛けます。

「私、恋、駄目そうになった時、励ましてくれました。勇気をくれました。メルシー、ワンコ。ありがとう、ワンコ!」

王道の展開ながら、外人さんが演じるとサマになるから、素直に泣けて来ます。パリ・ロケがあればこそ、のラストシーンですね。

「恋の匂いがします!」

毎回恒例のワンコの決め台詞ですが、ヤナさんが真似して気持ち悪かったですねw

そんなワケで、恋をテーマに徹頭徹尾、ユル〜く楽しかった新春スペシャルですが、ドラマとしてはやや物足りなさを感じたのが、正直なところです。

それは事件が起きる起きないの問題じゃなくて、前述の通りゲスト・キャラの恋がメインであった為に、ワンコ自身のドラマが見られなかったせいだと思います。

『つばさ』で言えば、伸子さん夫妻や宇津木さん夫妻のエピソードみたいなもんで、ヒロインは傍観者の立場でしかなく、その行動が単なるお節介にしか見えないんですよね。

でも、そんな事は創り手の皆さんも先刻承知の上で、お正月なんだから『新春スターかくし芸大会』のノリで行こうよ!って事だったんだと思います。

フジTV系で毎年やってたあの番組、いつの間にか無くなったんですね。やってても観ないけどw、ちょっと淋しい気はします。

日テレでも一時期、番組対抗かくし芸大会みたいなのを正月にやってましたけど、もし今も存在したら『デカワンコ』の出し物はまさに、この新春スペシャルみたいな内容になってた事でしょう。

だから、これで大正解。『デカワンコ』ファンにとって、最高に贅沢なお年玉でした。本当に楽しかったです。

メルシー、デカワンコ!!
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