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『つばさ』08

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☆ちちーんぷいぷい?w
あざとい!(笑) でも、計算し過ぎの脚本が鼻について離れちゃった視聴者もいたそうですが、そんなの素直に楽しめばええやん!って、私は思いますね。

こざかしい計算ばかりでハートが感じられないようなドラマなら、私も乗れなかったと思いますけど、全然そうじゃないんだから。離れて行った人らって、どんだけプライド高いねん? さぞかし生きてて息苦しいでしょうね。

…って、私も昨日からヤケに攻撃的になってますけどw なんとなく心がささくれ立っちゃう時って、ありますよね。人間だから、心があるから人は悩む。早くモミアゲになりたーい!

逆に、悩む事から逃げようとする人が多いから、世の中がどんどんおかしくなるんじゃないですか? 悩んでこそ、人間なんです。

『つばさ』って、それを描いたドラマとも言えますよね。こんなに登場人物が悩んで葛藤ばっかしてるドラマも、珍しいかも知れません。

まさに「人間」を描くドラマですよね。『つばさ』を一言で表現するなら、「人間ドラマ」としか言いようが無いんじゃないでしょうか?

で、「ちちーんぷいぷい」ですが、つばさがラジオの生中継でナイスボイン麻子さんの店に来て、ロールキャベツを口いっぱい頬張った為(萌えーっw 多部ちゃんのあんな顔、なかなか見られないですよね)リポート不可能になった時、たまたま訪ねて来た母・加之子が乱入、つばさに替わって麻子さんをリスナーに紹介しようとした時、ふと竹ボウキが目に入るのです。

で、加之子は勝手なアドリブで「男どもを惑わす魔女」として麻子を紹介するんだけど、その竹ボウキのクローズアップに「ちちーんぷいぷい!」っていう効果音が入る。これがなんと、重要な伏線(笑)。

この第8週冒頭の、一見アホらしいドタバタ劇の中に、この週で(さらに次週も?)描かれるドラマのテーマが、全て入ってるんですよね!

思い返せば毎週、ファースト・エピソードの冒頭に、その週でやること全ての前振りを入れておくのが、『つばさ』作劇の決まりごとになってるみたいです。

もうねぇ…あざとい!(笑) でも、そういうお約束は「縛り」にもなりますから、作者は後々苦しむ羽目になるんですよね。そこまでして脚本に知恵を絞るクリエイティビティーに、私はもう、脱帽あるのみです。

「いえ、私は魔女ではありません」

母が調子に乗り過ぎた事を詫びるつばさに「あそこまでデタラメなこと言ったら、誰も信じないわよ」と器の大きさを見せる麻子が、即座にかかって来た電話を受けて、上の台詞(笑)。

どう見てもジョークなのに、すぐ真に受けちゃう視聴者って、まだ沢山いるんでしょうね、特に朝ドラには(笑)。

☆横矢みちる
さて、山本未來さん扮する川越出身の美人キャスター・横矢みちるが、ラジオぽてとに颯爽と現れます。で、ちょっと斜に構えながら颯爽と歩きだしたら蹴つまずいちゃう(笑)。

このネタ、ザッカー兄弟もよくやってました。もっと古くからあるギャグでしょうけど、『つばさ』スタッフはやっぱ絶対、ザッカー作品のファンだと思います。

みちるの出現により、真瀬社長の知られざるプライベートが、少しずつ明らかになって行きます。

そう言えば横矢みちるって、実は真瀬を密かに想ってるんですよね? つばさとの会話に、一瞬ですがそれを匂わせる描写がありました。山本未來さんの独特な佇まいと相まって、味わい深いキャラクターです。

☆5月23日
番組に童話の読み聞かせコーナーを提案するつばさに、プロの朗読テクニックを見せつける、みちる。圧倒的に負けてるのに「マイク使うと、巧く聞こえる!」って、強がるつばさが可愛くて、萌えーw

で、保育園に朗読を習いに行ったつばさは、真瀬の幼い娘・優花と出会います。やさぐれキャラの優花は誰にも心を開かず、つばさがバイバイを言っても返事は「あっかんべぇー」(笑)

『妖怪人間ベム』で、ベラさんが「今どきの子は『ちぇっ』なんて言わないだろ」ってベロに注意してたのが可笑しかったですけど、「あっかんべぇー」もなかなかどうして(笑)。

そんな優花が気になって尾行するつばさが、見つかりそうになって木の枝のふりをする姿が、可愛くて(以下省略)。

横矢みちるは、真瀬の亡くなった奥さんの親友だったのでした。コミュニティー・ラジオの開局は奥さんの夢だったのですが、官僚の仕事で頭がいっぱいだった真瀬は聞き入れなかった。

真瀬は仕事にかまけて奥さんの病気にも気づかず、死に目にも会えなかった。一人娘の優花は奥さんの実家に引き取られ、それからずっと会ってない。常に強気な真瀬もまた、やっぱり『つばさ』らしいダメ男なのでした。

真瀬は「5月23日までにラジオぽてとの(川越市民への)認知度を30%にする!」という目標を掲げ、だけど伸び悩み、焦ってるのですが、その日は奥さんの命日であり、優花の誕生日でもあるんです。

☆焼けた肉を横取りする母
加之子の超テキトーなリポートが好評を博し、結果を焦る真瀬は加之子をラジオのメンバーに引き込もうとします。

「これ以上、私の居場所とらないで!」

「おかん」の座を奪われ、今またラジオぽてとまで侵食しようとするモンスター母・加之子に、つばさは怒ります。

怒るんだけど、加之子はお母さんだから、嫌いにはなれない。複雑な状況に、また悩むつばさ。

そんなつばさを、久々に登場の親友・万里が応援します。事情はよく知らないけど、とにかく頑張れーって(笑)。

つばさには乗り越えられるポテンシャルがある事をよく知ってる、親友ならではの熱いエール。陰から一緒になって声援を送るラジオの男に、また涙。

☆親の心、子知らず
加之子のせいで皆から魔女呼ばわりされるボインボイ〜ンな麻子さんに、プチバストのつばさが謝ります。

「いいのよ、そんな。つばさちゃんの為に、良かれと思ってやって下さった事だから」

この台詞で泣いちゃいました。親はそのつもりでも、子供はそう受け取れないもんなのですよねぇ… ふと、不器用な自分の両親を想ってしまいました。私の歳なら、親の立場で受けとめるべき場面なのですが(苦笑)。

つばさを迎えに来た父・竹雄は、優花を手放した真瀬を責めるつばさに、こう言います。

「男ってのは、失ってから気づくもんなんだよ」

今さら気づきましたけど、ここぞと言う時に竹雄さんは、ドラマを動かす大事な台詞を言いに現れるんですよね、いつも(笑)。

いや、つばさの周りにいる人達はみんな、そういう役割を担ってはいるんだけど、特に竹雄さんが印象に残るのは、その回数が多いのと、やっぱ中村梅雀さんの名演あればこそなんでしょうね。

亡き妻の夢を実現すべく、官僚の職を捨て、ラジオ局をゼロから立ち上げた真瀬を、竹雄さんは「並大抵な事じゃない。僕が和菓子職人を辞めて、IT企業を始めるようなもんだよ」と讃えます。

ラジオは奥さんの夢であり、二人の子供みたいなもの。「もしかすると真瀬さん、ラジオがうまくいったら、娘さんともうまくいくって、信じてるのかも知れないなぁ」

☆親になり損ねた落ちこぼれ1号、2号
同じ頃、真瀬は加之子と一緒に呑んでました。どっちも我が子から逃げたダメ親であり、今になってその罪ほろぼしをしようともがいてる、似た者どうしです。

でも、一度見捨てた子供に親の心を理解してもらうのは虫の良い話であり、容易な事じゃない。

「今さら、こんな事したって…」っていう真瀬の言葉が、加之子にも突き刺さります。

関係ないけど、このあと酔ったつばさを雨の中、おぶって帰る竹雄さん、素で滑ってましたね(笑)。

☆きっかけ
今度は加之子からヒントをもらったつばさは、ぽてとの面々を巻き込んで芝居を打ち、ラジオを通して真瀬と優花に話をさせ、和解のきっかけにしようと画策します。

これまで、そんなつばさの機転で感動の大団円を迎えるパターンが出来つつあったのを、あえて早々と崩しちゃうのが『つばさ』らしいですね(笑)。つばさの作戦は今回、ことごとく裏目に出てしまいます。

「誕生日なんか、嫌い!」

名乗る前に優花のそんな言葉を聞いて、真瀬は何も言えなくなってしまいます。

それどころか、ラジオを使って優花に近づこうとした卑怯な真似を許さない!ってんで、奥さんの実家はいよいよ優花を正式に養女として迎える=父娘の縁を切らせる準備を始めちゃう。

☆先延ばしの呪い
帰って来る筈のない親を待ち続け、やがて諦めちゃった優花の姿に、かつての自分自身を重ねるつばさ。

「『あとで』は、もうおしまいなんだよ」

優花はもう、父を諦め、世の中の全てをも諦めてるように見えます(まるで私みたいにw)。でも、本当にそうなんだろうか?

つばさは加之子に対して複雑な思いを抱きながらも、決して嫌いにはなれない。優花もそうなのではないか? この機会を逃したら、多分もう二度と、この父娘は会えなくなる…

5月23日、どうしても重い腰を上げられない真瀬に、つばさは「『あとで』にはちゃんと続きがあるって事を、優花ちゃんに教えてあげて下さい」と言って背中を押します。

そして、加之子から教わった「先延ばしの呪いを解く、おまじない」をしてあげるんです。

「ちちーんぷいぷい!」

そして、万里がつばさにしてくれたのと同じ声援を、ぽてとのメンバーと一緒に真瀬に送る、つばさ。鬼の真瀬の眼にも涙。ずっと堪えて来た涙です。もちろん私も大号泣(笑)。さぁ、めでたく大団円!

花束を持って迎えに来た真瀬を、幼い優花はちゃんと憶えてました。感激し、思わず娘を抱きしめる真瀬に、優花はこう言いました。

「お父さんなんか、いらなーい」

がびーん!(笑)。いや、笑いごとじゃありません。この「いらなーい」っていう軽すぎる言い方に、とてつもなく深い溝、分厚い壁が感じられます。

普通、主人公ならともかく、脇キャラの家族エピソードに1週間も費やせば、ここですんなり涙の大団円になるところでしょう? そうはさせないのが『つばさ』の凄さで、この問題は次週に持ち越しとなりました。

現実的には、一度壊れた親子の絆が、そんな簡単に修復出来るワケがない。つばさと加之子、加之子と千代だって、問題はまだ解決しないままなんです。

だから、これは非常に真っとうな「つづく」だと思います。サントラさんの仰るとおり、このまま続けて第9週に突入したいところですが、残念ながらこのDVDを返却しないと、次巻が届きません(笑)。

ところでこの週、半開きの翔太は別にいいんだけどw、秀樹の出番が無かったのは淋しかったです。知らぬ間に、なくてはならない存在ですね(笑)。

宿命を背負った女優

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前回のコメント欄で勃発した、つばさ大戦争(笑)。未読の方は是非とも目を通して頂きたいのですが、『つばさ』というドラマに関して、同じ多部未華子ファンの間でも放映当時、捉え方が肯定派と否定派とにハッキリ岐れて論争が巻き起こったという、多部ちゃん史に残る由々しき事態。

否定派の方々から出た声の中で、特に印象的なフレーズが「このドラマのスタッフは多部ちゃんを生かしきれてない」っていう意見と、「せっかく全国のお茶の間に多部未華子の魅力を知らしめるチャンスだったのに、何故にこんな、視聴率をとりにくい異色作にしちゃったの?」っていう、ファンならではの嘆き。

そういった声を、私は創り手側の立場になって受け止めちゃうもんだから、あんなに真摯なドラマ創りをしてる人達に対して、なんでそんな上から目線で、心無い批判をするの?っていう怒りが先に沸くのですが…

でも『つばさ』以前から多部ちゃんを応援し続けて来たファンの身になって考えると、そう言いたくなる気持ちも解らなくはないんですよね。

相手が国民的な番組であるがゆえに、「なんでウチの子が主役の時に限って、そんな変わった事しちゃうの?」っていう、親心みたいなものじゃないかと思います。

でも、私が思うに、上記2つの声は、女優・多部未華子が背負う「宿命」を象徴してるんじゃないでしょうか?

サントラさんがコメントされた通り、もしも『つばさ』が『おひさま』や『ゲゲゲの女房』みたいに、大衆向けでオーソドックスな、朝ドラらしい朝ドラだったとしたら、多部ちゃんはヒロインに選ばれてなかった可能性が高いと思います。

なぜなら、無難な大衆向けのドラマには、無難な大衆向けの女優が選ばれるからです。いや、決して多部ちゃんが大衆向けの女優じゃないって意味ではなく、「無難な」って部分がポイントです。

もしも多部ちゃんが『おひさま』や『ゲゲゲの女房』でヒロインを演じてたとして、私がまだ『デカワンコ』の多部ちゃんと出会ってなかったと仮定すると、私はその時点ではタベリストになってなかった気がします。(いずれはなったでしょうけどw)

『デカワンコ』や『君に届け』が代表的な例だと思いますが、どちらもやや現実離れしたコミック・キャラクターで、生身の俳優が実写で違和感無く、また実在感をもって表現するのはとても難しい役です。

並みの若手女優が演じるには難し過ぎる役で、作品自体も決して無難じゃない、チャレンジングな企画である時にこそ、創り手から必要とされる女優、頼りにされる女優。それが多部未華子なんだと私は思います。

だから、普通の無難なドラマに多部ちゃんが出ても、それこそ宝の持ちぐされで、本当の意味で「多部ちゃんを生かしきれてない」って事になるんじゃないでしょうか?

『つばさ』は朝ドラの固定イメージを打ち破るチャレンジングな作品であり、恐ろしく個性的な共演陣(笑)に囲まれながら主役の存在感を示さなきゃならない女優が必要だったからこそ、多部ちゃんが選ばれた筈なんです。

そう、極めてリスキーな状況に放り込まれた時にこそ、最も光り輝ける女優。それが多部未華子なんじゃないでしょうか?

だから、多部ちゃんがいつも、リスクを伴う作品にばかり出演する羽目になるのは、こりゃもう彼女の宿命であり必然だと、私は思うんです。スパイダーマンじゃないけど、大いなる力を持ってしまった者の、宿命。

これまで何度も書いて来た事ですが、私が『デカワンコ』の多部ちゃんにハマったのは、勿論その類い稀なる可愛さに萌えた事も大きいですけど、あの難しい役を事もなげに演じて見せる、多部ちゃんの凄さに感動したのが一番の理由なんです。

ロリータ・ファッションに身を包み、警察犬並みの嗅覚を持つ女刑事… そんな設定を先に聞いて、私はもう、最初から失笑するつもりで『デカワンコ』初回を観たワケです。このブログでボロカスに書いて、ストレス発散させてもらう気満々だったんです。

それが、あれですから(笑)。今思い出しても涙が出そうな位、安易に言葉では説明出来ない、衝撃と感動でした。

極めてリスキーな状況=宿命に、あの小さな体で果敢に立ち向かう姿にキュンと胸を打たれ、なのに事もなげにやってるように見せちゃう、その格好良さに痺れ、気がつけば虜になってる。それが私にとっての多部ちゃんです。

だから、無難に大衆向けを狙って創られたドラマに出てる多部ちゃんを観ても、その本当の魅力は伝わって来ないかも知れません。

『つばさ』でなければ、多部ちゃんが朝ドラでヒロインをやる意味が無い!…ってのは言い過ぎかも知れないけど、あんな『つばさ』だからこそファンは、多部ちゃんを毎朝観られる幸せに恵まれたんじゃないでしょうか?

多部ちゃんでなければ『つばさ』は成立しないし、『つばさ』でなければ、多部ちゃんはそこにいなかった。

もし『つばさ』がお気に召さない方がおられるなら、それは単純に、その方の感性と合わなかっただけの話で、別に誰のせいでもありません。

私は、誰の感性にもそこそこ合うように創られた、無難な(つまり視聴率だけが狙いの)ドラマに、多部ちゃんが貴重な1年を費やさなくて済んだ事を、本当に喜ばしく思ってます。

よーし、今こそ全面戦争だっ!(なんでやw)

『つばさ』09

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今回のレビューを、『つばさ』フリークスの皆さん… 特に、いつも熱いコメントを下さるサントラもいいぞ!さんに捧げたいと思います。

☆アパートの廊下に舞う花びら
前回、迎えに来た父・真瀬を、残酷な言葉で拒絶した優花ちゃん(畠山彩奈)。プレゼントの花も「花なんか嫌い!」ともみくちゃにしてしまいます。

亡くなった真瀬の妻・千波(阿部美穂子)は、花が大好きだったから、娘に優花という名前をつけたのでした。なのに優花は…

「俺のせいだ。もう手遅れだったんだ」真瀬は完全にノックアウト。ラジオぽてと(アパート)のドア越しで、そんな真瀬の話をつばさが聞いてる場面に、屋内だというのに花びらがヒラヒラと舞い落ちます(笑)。

これは単に『つばさ』流の意表を突いた演出かと思いきや、そこに「あの人」の存在があるのを示す伏線である事が、この第9週のラストまで観ると分かります。

それって、今こうして1週分をまとめて観てるから気づいたものの、当時リアルタイムで1話ずつ観てたら、週末には花びらの事なんか忘れてますよ、きっと。芸が細か過ぎます!(笑)

「君ねぇ、志が高いのは解るよ。だがね、朝ドラでそんな事をしても伝わらんだろ、このもみあげっ!」って、またNHK上層部から叱られたんじゃないかなぁ…w

☆スタートライン
玉木家でも、この問題は物議を醸します。「何年も子供をほったらかしにして、今さらノコノコ現れた親」が、此処にもう一人いるからです(笑)。

知秋は優花に自己投影し、加乃子は真瀬に感情移入します。「スタートラインに立つ事にこそ、意義があるのよ。後は前進あるのみ!」と、口からポテトサラダを飛ばしながら(笑)発奮する加乃子。

そんな母に呆れつつも、翌日すっかり意気消沈してる真瀬に「やっとスタートラインに立ったばかりじゃないですか! ここから全てが始まるんじゃないですか!」と、つばさは加乃子の言葉を引用して檄を飛ばします。でも、今の真瀬には響きません。

☆竹雄とご対面
ボインボイ〜ン麻子さんの店で、真瀬はつばさの父・竹雄と初対面。「いきなり(優花を)抱き締めたのがいけなかったかなぁ」とか言う真瀬の愚痴を、つばさの事と早とちりして食ってかかったり(笑)した後、「みんな、もっと素直になればいいのになぁ」って、早速ドラマを動かすような台詞を言う竹雄さん。

でも、これってもしかして、今回だけの事じゃなくて、後に真瀬がつばさに惹かれていく時になって効いてくる、伏線にもなってたりします? それはいくらなんでも早過ぎるかw こうして勘ぐっちゃう癖がついちゃいますよね、このドラマ観てると(笑)。

ラジオの男も今週は早々と登場し、「読み聞かせは、親から子へのラブレターみたいなもんだな」といつものごとく、つばさにヒントを与えます。放送日が近づく読み聞かせのコーナーは、真瀬にやってもらおう!って、つばさは閃きます。

☆「もう、おしまいにしてあげてよ」
前週から登場の、亡くなった千波の親友・横矢みちるは、キャスターを辞めて会社を起こすつもりで、真瀬も引き入れようとしています。

千波の夢だったコミュニティー・ラジオを、今さら真瀬がやる事になど意味は無い、と吐き捨てるみちるに、「でも、真瀬さんあってのラジオぽてとです!」とつばさは反論。

その時ふと、悲しい顔をしてみちるが洩らしたのが、上記の台詞。ずっと真瀬の過去を責めてた筈のみちるが、実は彼を解放してあげたいと思ってる?

もしかして彼女は…と視聴者に気がかりを残したまま立ち去り、見事な蹴つまずきを見せる(笑)みちる。

☆親になり損ねの落ちこぼれた大人のための、魔法の兜
…それが、画像で二人が被ってるやつです。加乃子の手作りです。

「どう、風景が違って見えるでしょ?」

「いえ、それほどでも」

加乃子が被る「甘玉くん」はこの週、大活躍しますが、真瀬用の「ぽてとくん」は、それほどでも(笑)。今後、活躍の機会はあるのでしょうか?

☆ラジオの力
さて、優花が保育園を一人で抜け出し、行方不明になります。つばさはラジオ放送を使って情報提供を呼び掛け、ぽてとメンバー達も結束して協力します。

優花の母方の祖父である川原(渡辺哲)は「時間の無駄だ」と吐き捨てますが、つばさは「千波さんの夢だった、ラジオの力を信じてください! そして、その夢を叶えようとしてる、真瀬さんの事も」と訴えます。

ここで大方の視聴者は、ラジオの力で優花が見つかり、真瀬を憎む川原の心を動かして大団円!っていう、予感がしたんじゃないでしょうか?

ところがどっこい、そう簡単には絶対にいかない事を、すっかりDeepな『つばさ』ファンになりつつある私はもう、分かってました(笑)。

優花は保育園で食べた甘玉の包み紙に印された店名を頼りに、甘玉堂を訪れてたというオチがつき、この時点では大してラジオは役に立ちませんでした。あくまで、この時点では…

☆素直な気持ち
優花を養子にする事で、親権を真瀬から取り上げようとしている川原。そんな殺伐とした空気から逃れたくて優花は、かつて母・千波と一緒に食べた甘玉の店にやって来たみたいです。

優花を失う恐怖を味わった真瀬は、ようやく素直な気持ちを優花にぶつけます。

「やっぱり、一緒に暮らしたい。何もかも失っても、優花だけは失いたくない。一緒に暮らそう!」

これでやっと大団円? いえいえ、この程度じゃ『つばさ』のドラマは動きません(笑)。ラストで最高のカタルシスを視聴者にプレゼントする為に、これでもかと試練を与え続けるのが『つばさ』作劇なんです。分かって来ましたよ!(笑)。

☆「竹馬!」w
とりあえず玉木家に泊まる事になった優花のワガママぶりを、皆が甘やかす中で一人、ビシッと叱る千代さんがカッコイイです。で、優花も筋の通った苦言はちゃんと受け入れる。根っから腐ってるワケじゃないんです。

だけど、なかなか笑わない優花を笑わせる為に、玉木家一同+近所のオヤジ二人wも加わって四苦八苦。ここで加乃子の「甘玉くん」も大活躍し、あまりのバカバカしさに(笑)優花が初めて、心からの笑顔を見せます。

子育てはかくも大変だけど、親っていうのは「子供の笑顔一つで、幸せーな気分になるんだよね」と竹雄さん。

☆おはなしの続き
なかなか寝ようとしない優花に、つばさは魔女の絵本を読み聞かせしてあげます。その時、一緒にいた知秋が、かつて自分が読み聞かせしてもらった時と印象が違う事に気づきます。

実はこの絵本、悪い魔女が子供達に退治されて終わる内容で、幼いつばさは可哀相だと言って泣いたから、加乃子がつばさを「笑顔にするために」ハートフルな展開を独自に付け加えてハッピーエンドに変えてしまったのでした。

「ちちんぷいぷい! 起きてしまった物語は、変えられなーい。だけど、物語の続きは、あなたの手の中にあーる」

加乃子のテキトーな言葉wがまた、つばさに大きなヒントを与えてくれます。

☆MD
優花は、一枚のMDを「お母さん」と呼んで大事に持ってました。そのMDには、千波が手術入院する直前に、自分がいない間の読み聞かせ用に録音した、オリジナルの童話が入っている事を、真瀬が明かします。

小さな女の子に「おはなし」を聞かせてあげるのが大好きな、ちっぽけな木。その木が嵐の夜に倒れてしまい、女の子はおはなしを聞けなくなっちゃう。…そこまでで、物語は中断してます。

「続きは、また後で」

結果的に、それがお母さんの最後の言葉になってしまった。優花が「後では、おしまいなんだよ」と言ってたのは、その為だったんです。

真瀬が持ってたコピーのMDが再生され、つばさが千波の朗読を聴いてる場面で、再び花びらが舞い落ちます。

☆おはなしの木
ラジオの読み聞かせコーナー第1回の日、同じ時間に、川原家では真瀬とちなみ、そして弁護士を交えて、優花の養子縁組についての話し合い。実質は、真瀬にそれを了承する印鑑を押させる為の会合です。

つばさは急遽、読み聞かせる本の内容を変更します。千波が遺したおはなしの続きを、徹夜して書き足したのでした。

それをどうやって真瀬と優花に届けるんだろう?と思ってたら、加乃子が「親になり損ねた落ちこぼれの大人の為の、魔法の兜」=甘玉くんを被って、近所に登場! 鈴木スーパーの宣伝カーを使い大音量スピーカーで聴かせるという、犯罪スレスレ?の作戦を決行します。加乃子にしか出来ない芸当です(笑)。

つばさが創った物語の続きは、倒れた木の前で女の子が泣いてると、通り掛かりの旅人が、そばに落ちてる種に水をかけてあげる、というもの。

旅人が毎日、水をかけて、やがて大きくなった木は、女の子におはなしを聞かせてくれるのです。女の子がそれを聞いてニッコリ笑うたびに花が咲き、また新しいおはなしを聞かせてくれる。

今日も明日も、女の子が笑顔でいるかぎり、花は咲き続けます。だから、このおはなしに「おしまい」は無いのです。

優花は祖父母から「お父さんはずっと、旅行してるんだよ」と聞かされてました。女の子が優花、ちっぽけな木が千波、そして旅人が真瀬。それを理解した優花は、真瀬の顔を見て、ほほ笑みます。涙腺、決壊!(笑)

いや、おはなしの続きが始まった途端に輝き始めた優花の表情を見た時点で、もう滝の涙です。そのおはなしのイメージ映像に出て来る旅人が、寅さんの格好をした真瀬なもんだから、また…w

かつて同じように寅さんみたいな鞄を持って、長い旅に出た加乃子も、万感の想いでこの物語を聞いてたご様子。二人の落ちこぼれ親が、新たなスタートを切った瞬間です。

今度こそ、ラジオの力が、みんなの心に変化を持たらしました。

あんなにラジオぽてとを否定してたみちるも、ついにシャッポを脱ぎます。なんだか嬉しそうに見える彼女はただ、似合わない事をやって苦しむ真瀬を見たくないだけだった?(女心だけは、よく解りませんw) そして、さらに…

「すまなかった。我が子と引き裂かれる痛みを、あんたにも味わわせてしまうところだった」

千波の父・川原さんも、同じ親として真瀬の心を理解し、養子縁組の話を破棄します。演じる渡辺哲さんといい、その奥さん役の方といい、人間味溢れる演技で素晴らしかったですね!

さぁ、これでやっと、今度こそ大団円! 感極まった真瀬が、優花を抱き上げます。その時、優花は何と言ったか?

「くさーい! おろして」(爆笑)

まったくもう、どこまでもこの作者は!w

☆感動のフィナーレ
さて、2週に渡って描かれた大作のラストに相応しく、秀樹と一緒にサンバダンサー軍団が久々に登場!

ラジオぽてと=川越キネマの表で、踊り狂う一同。よく見ると、その中に「あの人」がいるんです。天使の姿をした、千波さんが!

「これで、大丈夫ね」

涙腺、爆発!(笑) 彼女は、ずっと此処にいたんです。彼女の夢を叶える為に、真瀬が人生を懸けて作った、このラジオぽてとに。あの花びらは、彼女だったんですね。

これにはもう、またもや、やられましたねーw サントラさんが、この第8週〜第9週にとりわけ深い思い入れがあると仰るのは、最後の最後に、このダメ押しがあったからではないでしょうか?

そんなワケで、今回は特に心をこめてレビューさせて頂きましたが、もうクタクタです(笑)。次回からはまた、テキトーにやりまーすw

『つばさ』10

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今回は久々に、号泣しなくて済んだ週でした(笑)。それで普通なのに、物足りなく感じさせるところが『つばさ』の凄さですよね。

ところで前週のラスト、感極まって優花を抱き上げた真瀬に「くさい」と言い放った優花(笑)。

いくら何でも脚本にこんな台詞は書かないだろうと思って、今度は共演者達のリアクションに注目しながら観直してみたら、やっぱり皆さん、素で驚き、笑ってますね(笑)。

スタッフさんが優花ちゃんにだけ耳打ちして仕込んだ、悪戯アドリブですね、これはw たぶん脚本には「やだ、おろして」みたいに書かれてたんだと思います。やり過ぎ(笑)。

こういう時、多部ちゃんがいつも真っ先に反応するんですよね。頭の回転が早いし、状況を把握する理解力、笑いのセンスもピカイチ! 萌えーw

☆千日草
さて、まるで最終回みたいな盛り上がりを見せた、その次の週ですから、なんとなく『つばさシーズン2』が新たにスタートしたような雰囲気です。

甘玉堂が、和菓子のフェアか何かで繁忙期に入るとの事で、菓子の種類を減らさないと生産が追いつかない。

そこで真っ先にリストラ候補に挙がったのが「きな粉の味しかしない」という<千日草>。これが第10週の重要な伏線になってます。

「いいえ、千日草は残します」

なぜかそう主張する、つばさの祖母で女将の千代さん(吉行和子)が、今週の主役です。

☆お引っ越し
優花が父・真瀬と同居する事になり、ラジオぽてとのメンバーが引っ越し作業を手伝います。多部ちゃんもお気に入りらしい、ほのぼのシーン。ROLLYくん演じる浪岡が、非肉体派にも程があるのが笑えますw

真瀬は我が娘を迎えるにあたって、極度に緊張してます(笑)。そりゃあ、まだ赤ちゃん同然だった頃から今までの空白期間は、あまりにも長い。

常に強気で自信たっぷりな真瀬が、ひたすらオロオロする姿は微笑ましいし、人間味に溢れてて良いですね。

で、いよいよつばさに連れられてやって来た優花ちゃん、優しいBGMをバックに、真瀬の近くまでは行くんだけど、すぐUターンしてつばさの所に戻っちゃう。同じパターンをダメ押しでもう一回(笑)。真瀬は立つ瀬がありません。

人の気持ちは、そう簡単には変わらない。リアルでシビアな人間観を、一見バカバカしいユーモアで包んで見せるのが『つばさ』流。真瀬の試練は、まだまだ続きそうです。

☆見つめ合う、つばさと優花
さて、真瀬を無視してw部屋を見に行く優花を「走ったら危ないでしょ!」と、まるでお母さんみたいに追う、つばさ。

部屋に入ってみたら、優花が「ぽてとくん」を被って微笑んでます。カメラが切り返すと、つばさも「甘玉くん」を被って微笑んでる。

巨大な兜を被って、微笑みながら無言で見つめ合う二人のショットが、約10秒。何なんでしょうか、このシュールな演出は!?(笑)

思うにこれは、優花がなぜ、最初は無視してた筈のつばさに今、こんなに心を開いてるのか? その理由を示してるんじゃないでしょうか?

「甘玉くん」と「ぽてとくん」は「親になり損ねた落ちこぼれの大人」の象徴ですから、つばさと優花には、ダメ親に苦労させられてる者どうし、通じ合うものがあるんだよ、と。

伸子あたりに台詞で説明させるのは簡単だけど、それじゃ面白くない。なんとか映像で面白く表現出来ないか?って事で、こうなったと推測しますが、如何なものでしょう?w

「君ねぇ、志が高いのは結構だが、朝ドラの視聴者には伝わらんよって、何回言わすんじゃ、このもみあげぇーっ!!」って、紅白歌合戦から干されるきっかけになってたりして(笑)。

それにしても二人とも、萌えーw 可愛すぎます。優花の可愛い子ぶらない可愛さは多部ちゃんに通じるものがあるし、いわゆる「ツンデレ」なキャラクターもたまんないですね。

☆斎藤由貴さん、登場!
さてさて、繁忙期に向けてパートさんを募集した甘玉堂に、末永紀菜子(斎藤由貴)がやって来ます。

「すっごい美人が来た!」と町は大騒ぎになりますけど、そうかなぁ?(笑) とてもチャーミングな方ですが、すっごい美人というタイプじゃないですよね、別にいいけどw

「美熟女」だなんて言われ方もしてて、セーラー服でヨーヨーを飛ばしてた、あの初代スケバン刑事も熟女と呼ばれる年齢になったんだなぁ…って、しみじみしちゃいました。

「こうして並ぶと、姉妹みたいでしょ?」

加乃子は、人当たりの良い紀菜子がやたら気に入って、ウマも合うもんだから、浮かれてそんな事を言うのですが、なぜかその言葉を聞いた紀菜子の表情が一瞬、曇ります。

そして、帰りにお土産として渡された、甘玉堂の名物「鹿の子(かのこ)」を、紀菜子はなんと、人知れずゴミ箱に捨てちゃうのでした。いまいましそうな顔をして!

鹿の子は、加乃子の名前の由来になった、上質なお菓子です。そして紀菜子という名前は「きなこ」と読む…

☆浮気
人当たりの良いキャラの裏側に、何やらどす暗い陰が見え隠れする紀菜子。この謎を延々と引っ張られたらキツイなぁと思ってたら、さすがは『つばさ』です。次の回で、あっさり真相が明かされました。

紀菜子は、つばさの祖父である梅吉(小松政夫)が、40年前の浮気相手に生ませた娘だったのです。つまり、加乃子の異母姉妹。

いやぁー、つばさに又、新しい家族が出来たみたいで、こりゃーめでたい…ワケがないだろう!(丸パクリ)w
☆借金の正体
玉木家が抱えてた、5千万円もの借金。梅吉のギャンブル狂いが原因と思われてたのが実は、隠し子である紀菜子に仕送りされてた養育費なのでした。

父の面影を求めて甘玉堂に来たという紀菜子の、本当の目的は、その養育費の残りを、父の本妻である千代に突き返す事にありました。

動揺し、頑として受け取らない千代。最近亡くなったらしい母親に替わって、紀菜子は玉木家に復讐したいのでしょうか?

☆浪岡の恋
怪人ミュージシャン(笑)浪岡正太郎は、自分をスランプから救ってくれたつばさに恋をしてます。

でも、決してそれは叶わぬ恋である事も自覚してて、せめて一度だけでも、つばさとデートが出来れば本望という奥ゆかしさ。

「つばさ様は、どなたかを懸想(けそう)されていらっしゃるのでしょうか?」

↑こんなキャラです(笑)。「どなたか」とはモミアゲ翔太の事ですが、そう言えばあのモミアゲ、Jリーグのデビュー戦で近々、川越に帰って来る予定です。ついでのお知らせでしたw

☆髪の毛フサフサの竹雄(笑)
浮気は許せない!と憤るつばさは、梅吉の着物をハサミで切り刻む千代の気配を「立ち聞き」します(笑)。

「いらない物ですから、雑巾にでもしようと思って」

亡き夫の浮気に、ふだんクールな祖母が、沸々と情念を燃やす。まるでこれは向田邦子作品の世界で、それを意識したオマージュと思われる描写ですよね。

で、一大決心をしてやって来た浪岡の、デートのお誘いを「私でよければ、喜んで」と、なぜか千代が受けちゃう(笑)。

この時にぶっ壊したブロック塀を、浪岡は弁償したのでしょうか?(笑)

☆千代さん、ご乱心
浪岡とのデートに千代は心をときめかせ、それを家族にからかわれても「うふっ(はーと)」というリアクションw。名優・吉行和子さんが「うふっ」って…w

一方、つばさは、スポーツ新聞のトップ記事を見て愕然とします。その写真に写ってる翔太がなんと、口を閉じているではないですか!

…じゃなくて、女子アナと腕を組んで歩いてる翔太がパパラッチされた記事なのでした。相変わらずの、もみあげです。

☆愛人の子供
ますます男の浮気に憤るつばさを、紀菜子が訪ねて来ます。千代に拒否された貯金通帳を渡す為ですが、つばさには受け取れない。

「どうして? 私が愛人の子供だから?」

自分が、梅吉に望まれて生まれた子供じゃないと思ってる紀菜子は、真相を突きつける事で玉木家をバラバラにしたかった、という本音を吐露します。

一流の和菓子である「鹿の子」に対して、「きな粉」はただの材料でしかない。そこに梅吉の愛情の格差が表れてると言う紀菜子に、つばさは返す言葉が見つかりません。

☆本当に許せないのは、自分
浪岡とプリクラまで撮って帰って来た千代を「お爺ちゃんにあてつけなんて、お婆ちゃんらしくない」と諫めるつばさ。

「あてつけなんかじゃないわ。誰かを好きになるような感情を取り戻したかったの」

千代は、婿養子として迎えた梅吉を、心からは愛してなかったと本音を語ります。先に夫を裏切ったのは、自分の方だと。

そんな千代の告白を、加乃子と竹雄がまた「立ち聞き」(笑)。

人の心が解らなくなったつばさに、ラジオの男が語り掛けます。誰でも心の奥底にはドロドロしたものがあり、不意にそれが噴き出す時もある。人は、聖書でも教科書でもない。

「大事なのは、そんな人と人とを繋げる事じゃないかい?」

つばさは、千代とのデートが万更でもなかった様子のw浪岡からもヒントを貰い、紀菜子と千代(引いては梅吉)を繋げる方法を模索するのでした。

☆変わらぬ愛
きな粉をふんだんに使った「千日草」は、生前の梅吉が、離れて暮らす大事な人への想いをこめて作り出したお菓子なのでした。

千日草の花言葉は、「変わらぬ愛」。ラジオ放送で、それを紀菜子に伝えたつばさは、さらに千代にも中継を繋げて、紀菜子へのメッセージを促します。

和菓子には、必ずそれが世に出た由来がある。どんな菓子にも、生まれるべき理由がある。それは人間も同じ事だと語る千代。

「あなたは、望まれずに生まれて来たワケじゃないのよ。そのことを、決して忘れないで」

ラジオの前で一人、涙を流す紀菜子。つばさがまた、人と人との心を繋げたのです。

☆立ち聞き合戦w
千日草をお供えしながら、「これでおあいこね」などと、写真の梅吉に語り掛ける千代。

「またそんな、雨に打たれた子犬みたいな顔をする」

台詞とは裏腹に、今週の梅吉は終始、同じ表情のまんまでした。いつも表情を変えるのは見る人の主観であり、本来写真は写真でしかないって事を示してるのでしょうか?

それとも、今回ばかりは立つ瀬が無くて、梅吉の魂がどこかに逃げている?w

千代さんの語り掛けを、襖の向こうで「立ち聞き」していた加乃子(笑)。

「また立ち聞きですか、はしたない」w

千代も加乃子も、店を継続させる為に、腕の立つ職人さんを婿養子に迎えた境遇は同じです。千代は梅吉を本当は愛してなかったけど、じゃあ加乃子はどうだったのか?

「うーん、あの時は愛してなかったかも」

その言葉を「立ち聞き」し、またもや誤解する竹雄(爆笑!)。

絶対、わざとやってますよね、これw パロディーのつもりだった立ち聞き騒動を真面目に批判されて、もう一回しつこく繰り返す事で「分かっただろ? これはギャグなんだよ、ギ・ャ・グ!」って、頭の硬い視聴者ならびにNHK上層部に言いたかったんだと思います。

でも、それに対する回答は恐らく…

「だーかーらー、志が高いのは結構だが(中略)もみあげぇーっ!!」

紅白歌合戦、幻に終わる(笑)。

もみあげと言えば、翔太のスキャンダルは誤報で、彼の浮気は無実という事が判明。ついでのお知らせでした(笑)。

PS. ガイドブック、届きました。取り急ぎ若手トリオの座談会だけ読んだのですが、万里役の吉田桂子ちゃん、『つばさ』出演以前から熱烈な多部ちゃんのファンだったとか。じゃあ、タベリスト仲間じゃないですか!w

表情が変わらなかったのは、なぜ?

『SOUL RED 松田優作』

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11月は私の誕生月でもありますが、松田優作さんが亡くなられた月でもあり、追悼月間って事で『SOUL RED 松田優作』がCSで放映されてました。

ちなみに優作さんが亡くなられたのは1989年、なんと多部ちゃんが誕生した年ですよ。あれからもう、22年!

多部ちゃんにとって優作さんは、私にとっての片岡千恵蔵さんやエノケンさんみたいな、全く未知の大スターなワケですね…

で、『SOUL RED』ですが、ビックリする位、つまんなかったです(笑)。いやぁ、びっくりしましたw つまんなかったなぁ!(笑)

未亡人である松田美由紀さんがプロデュースして、なんか無名の若手監督さんが創って劇場公開された、ドキュメンタリー映画です。題材は松田優作ですから、よもや、つまんないとは思いませんよねw

公開時にWさんが観て激怒されてて、でも正直、ドキュメンタリーでそんなに腹が立つもんかなぁ?って私は思ってたのですが、お気持ちはよく解りましたw

ただ、私にとっての優作さんは、あくまで『太陽にほえろ!』ファミリーの一員であって、個人的に熱烈な優作ファンってワケでもないから、激怒する程ではなかったです。ただ、つまんないなぁって(笑)。いやぁホントつまんなかったw

原因を考えると、まず、創り手が松田優作のいったい何を我々に伝えたいのか、サッパリ解んないこと。要は、テーマが無い。ドキュメンタリーですよ?(笑)

出演作品のダイジェストと、有名俳優やスタッフへのインタビューで構成されてるんだけど、出て来るメンツの選択動機がまず分かんない。

メインゲストがアンディ・ガルシア氏。『ブラック・レイン』で優作さんと共演し、親友関係になったハリウッド・スターですから、ここに登場するのは大歓迎だけど、果たしてメインに相応しい人選でしょうか?

親友と言っても映画1本だけの付き合いで、日本でアンディ・ガルシアと言ったって映画マニアしか知らないだろうし… ハリウッド・スターだからって、優作さんのドキュメンタリーで主役扱いはおかしいでしょう。

で、次が浅野忠信。…え? 浅野?w 接点、ありましたっけ?? なんか、優作さんと会った事もない人が、優作を語ってますけど… 準主役のキャスティング理由は、ただ有名俳優だから?

その次が、仲村トオル(笑)。かろうじて面識はあるみたいですけど、優作ファンはあんたの優作観など聞きたくないんじゃないかなぁ?

で、その次でやっと共演作ありの香川照之さん。語る資格はあると思う。思うんだけど…

優作さんに「お前は、俺になれる」って言われた話を、香川さんは色んな所で語ってらっしゃるけど、そりゃあんたは嬉しいでしょうけど、優作ファンにとっちゃそんなの、どーでもいい話じゃないっスか? なれるもんなら早くなってくれよ!…としか思わないですよ。

優作ファン全員に「この人の話を聞きたい!」アンケートを取ったとしたら、この人達の名前は誰も書かないと思いますけど。なぜ、この人達なの?

あとは『華の乱』等で共演された吉永小百合さんが、声だけ出演されてます。声だけです(笑)。

プロデューサーの黒澤満さんや脚本家の丸山昇一さんは順当だと思うけど、なんか当たり障りのない抽象的な話ばっかりで… もっと具体的で、えげつない話をあなた達はご存じでしょう!?(笑)

トリを飾るのが松田龍平・翔太の兄弟で、確かに彼らが優作を語るのは珍しいと思うけど… だってコイツらがまだ物心もつかない内に、お父さんは亡くなってんだから、そりゃ語りよう無いですよね?

で、いったい何を語るのかと思ったら「俺は、親の七光りとかよく言われるけど、俺は俺だから、俺は俺で俺らしくやって行きますよ。以上、俺でした」って、俺の話はええっちゅーんじゃボケぇーっ!! もみあげぇーっっっ!!!(アルティメット・ハイパー激怒)

あ、なるほど、やっぱ激怒しますわな、こりゃ(笑)。

まぁ松田兄弟のコメントはちょっとだけ脚色しましたけど(笑)、枝葉を全部切り落とせば、本質的にはああいう話しかしてないワケです。

俳優って奴らは基本的に究極のナルシストですから(ハリソンや多部ちゃんみたいな例外もいるけど。だから好きw)、ほっといたら自分の話しかしないワケですよ、ちゃんと指導してやらないと!

ちゃんと自分の立場をわきまえて「優作」の話をしてたのは、アンディと吉永さんだけで、後の俳優連中はほとんど「俺」の話しかしてない。そりゃ、一緒に仕事したワケでもないから仕方ないでしょうよ、知らないんだから優作さんを。

だからねぇ、出演された皆さんは悪くないですよ。これは創り手が悪い。何のテーマも持たずに、大してゆかりも無い人達に、ただテキトーに「優作を語って下さい」って聞いて回るだけで作品が成立すると思ったら、大間違いですよ、そりゃ。

浅野忠信が優作(に影響を受けた俺)を語ってるのを観て喜ぶのは、優作ファンじゃなくて、浅野ファンだけですよ。

浅野ファン以外の人間から見れば、浅野は単に金をよく稼いでる「優作ファンの一人」でしかありません。ファンクラブのオフ会じゃないんだから、他のファンの「俺にとっての優作」話なんか、ファンは別に聞きたくないですよ。

一体、誰に向けてこれを創ったんでしょうか、奥さんは? 優作さんの何を伝えたかったの?

まぁ、けなしてばかりじゃアレなんで、良かった点を述べると、出演作ダイジェストの中には結構レアな作品も含まれてた事と、『太陽にほえろ!』の名場面が有名な殉職シーンではなく、華麗な疾走シーンであった事(これは大スクリーンで観たかった!)ぐらいかなぁ…

インタビューを全部カットして、出演作ダイジェストだけのDVDを出してくれたら… それもつまんないか(笑)。

とにかく、なんとも残念なモミアゲでした。

『妖怪人間ベム』#02#03#04

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『SOUL RED 松田優作』がなぜ、ファン心理を無視したような内容になってしまったのか、もう少し掘り下げて考えてみました。そしたら、なんとなく分かりましたよ!

製作者の松田美由紀さんは恐らく、最初からファン心理なんか眼中に無かったんです。そこはやっぱり女性ですから、熱狂的な優作ファン=オタク(しかも中年男ばっかw)など、ただ気持ち悪いだけの存在なんでしょう。

じゃあ、彼女はいったい誰に向けて、どういう目的であの作品を創ったのか?

彼女はたぶん、松田優作の妻としてではなく、松田龍平・翔太の母親として『SOUL RED』を企画し、製作したんだと思います。

その真の目的は、龍平と翔太の存在を海外メディアにアピールする事!だったんじゃないでしょうか?

そう考えれば、メインゲストがアンディ・ガルシア氏である事や、優作ゆかりの人達を差し置いて、海外作品でも活躍する浅野忠信や仲村トオルがキャスティングされた事、龍平・翔太がトリで「俺」アピールをかましまくってる事など、全ての辻褄が合います。クドカン以外は(笑)。クドカンとて「俺様の笑いは世界水準だぜ」とか思ってるかも知れないし。

だから、ちっぽけな島国のオタク(中年w)連中にサービスする気などさらさら無くて、松田優作の偉業を利用して、愛する息子達を海外に売り込む事しか頭に無い、これぞまさに「母なる証明」!

だからって、美由紀夫人を金の亡者扱いするつもりはありません。息子達にもっと広いステージで活躍して欲しいと願うのは、当然の親心でしょうし、亡き夫の遺志を継がせる為にという、美談と解釈する事も出来ます。

でも、完全無視された優作ファン達は、やっぱアルティメット・ハイパー激怒しますわな、そりゃ。いつもいつもオタク(中年)を馬鹿にしやがって! そんなにオタク(中年)が気持ち悪いのか!? 若くてイケメンなら、モミアゲでも半開きでもいいってか!? ええっ? ほれ、食らえゲッター・ビィィィームァ!!

さて、二世俳優って事で強引に繋げますが、絶賛放映中の『妖怪人間ベム』で<ベラ>を演じてる<杏>さんが、渡辺謙さんの愛娘である事をご存じでしたか? 私はもちろん、とっくに知ってました(うそw)。

そう言えば謙さんの娘が芸能界デビューして、漢字一文字の芸名だっけ?って、昨日gonbeさんのブログを読んで、ようやく気づいた次第です。

そう言えば柴本幸さんも、大河ドラマで初めて見て萌えてたら、後で柴俊夫&真野響子夫妻の娘だと知ってビックリしたし、松田翔太くんも優作さんの次男である事に気づいたのは、ごく最近の事でした。

松田翔太には別に萌えなかったけどw、杏さんにしろ幸さんにしろ、サラブレッドだという先入観が無くても、それだけ目を惹く魅力があるって事ですから、やっぱ「血」なんですなぁ。

gonbeさんも書かれてましたが、ベラを演じる杏さんは実にチャーミングで、魅力的です。

第2話はクラスに馴染めない女子高生(石橋杏奈=画像)とベラとの交流が描かれ、憎まれ口を叩きながらも弱者を放っておけない、ベラの優しさに癒されました。

石橋杏奈ちゃんは映画『ヤッターマン』で櫻井翔くんに股間(の近く)を吸われるw女子中学生を熱演しており、朝ドラ『おひさま』でも印象的な役で、注目株の一人みたいですね。

第3話では人生の虚無に絶望し、自殺を謀る孤独な中年男(平田満)に感情移入しまくり(笑)、号泣しちゃいました。

人間である事に絶望する男が、人間になる事を切望する妖怪人間のベム(亀梨和也)によって、生きる事の意味を思い出す。

生きる事に意味が無い人間なんかいない、生きる喜びは人それぞれなんだっていう、作者の熱いメッセージが心に響きました。

亀梨くん、なかなか良いじゃないですか? 前回は『あしたのジョー』の山下智久くんとゴッチャにしちゃいましたけど(笑)。若いのに、懐の深さを感じさせる佇まいが実に魅力的です。

第4話はベロ(鈴木福)がメインで、孤独なOLと擬似母子の関係を築くも、妖怪人間としての姿を見せた途端に激しく拒絶されちゃう。すんなり受け入れた前回の平田満さんとのギャップがまた、哀しみに拍車をかけます。

ここに来て、お人好しの刑事(北村一輝)が3人の正体に気づいてしまう。彼とベムの育む友情が、絶妙な癒しポイントになってただけに、今後の展開がとても気になります。

孤独に耐えられず、犯罪に走ってしまう人間にも共感するし、人間の悪意に絶望したり、善意に救われたりを繰り返すベム達3人にも共感しちゃう。

どちらも、まるで私そのものです。私は犯罪者でも妖怪でもないですが(笑)。どちらも、視聴者自身を写す鏡なんです。

このドラマは本当に、まったく思いがけない大穴でしたね。『家政婦のミタ』も良いですが、私は『ベム』の方がかなりお気に入りです。

『つばさ』11

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☆もみあげ、骨折!
いつでも、ここ一番に弱い翔太(笑)は、Jリーグの大事なデビュー戦で、シュートを決める寸前に他の選手と接触し、なんと足首を複雑骨折! 口を半開きにしながら病院に担ぎ込まれる事態になりました。

娘の恋人が今シーズン内の復帰は絶望!という状況で「チャンスよ! 看病は究極の独占なんだから!」とニヤケながらつばさをけしかける母・加乃子がステキですw

そんな加乃子が前回、夫・竹雄について「(あの時は)愛してなかった(かも)」と言ってるのを聞いちゃった竹雄は、仮病を使って妻の看病を待ちますが、加乃子はそんなタマじゃありませんw

竹雄の誤解(?)による苦悩は、この週でも未解決なまま。後の失踪騒ぎに繋がって行くのでしょうか? 今や竹雄さんは無くてはならない癒しキャラですから、いなくなっちゃうとなると、視聴者もかなりの喪失感を味わう事になりそうです。

ところで、前から気になってたのですが、竹雄さんの部屋って、あれは押し入れなんでしょうか? なんでいつも、あんな狭い空間にいるのかっていう解説は、まだドラマ上ではされてないですよね?

☆ボインボイーン、ボヨヨ〜ン
ボインボイーン、ボヨヨ〜ンな井上和香さん扮する、魔女こと篠田麻子さんが、今週の主役です。あの乳房がなぜワカパイになったのか、遂にその謎が明かされます。

どうしてワカパイじゃなきゃいけないんですか、ミカパイじゃ駄目なんですか!?って、蓮舫議員も怒り心頭です。

麻子さんは小料理屋「こえど」を経営する傍ら、老人ホームでヘルパーの仕事もされてます。で、翔太と同じ病院に入院中の、松沢さんという老人(石橋蓮司)に付き添ってるのですが…

『太陽にほえろ!』をはじめ、数々の刑事ドラマで凶悪犯ばかり演じて来た石橋蓮司さんも、最近は人間味ある老人役がハマるようになられました。でもまさか、この方も『つばさ』ファミリーの一員だったとは!w

☆無償の愛
鈴木スーパー社長の息子・俊輔(三浦アキフミ)は、どうやら幼い頃からつばさに恋をしてるのですが、その想いに気づいても貰えない三枚目キャラです。

「無償の愛こそ、究極の愛だよ」って、それとなく告白してるつもりが「そうよね、私も頑張る!」って、まぁよくあるパターンで(笑)つばさの背中を押す結果になっちゃう。

で、照れながらも頑張って翔太に尽くすつばさを「なにチャラチャラしてんの!」と一喝する、翔太ママ。気まずくなったところに加乃子が現れ、娘を押しのけて翔太に甘玉を食べさせ、「お母さんっ!」って、つばさに一喝されたところで、次回に「つづく」(笑)。

☆松沢老人
麻子が付き添う松沢さんは痴呆症という事で、ヘルパーと看護士の見分けもつかず、麻子が何者なのか判ってない…と見せかけて、それが実は芝居であった事が、後に明かされます。

その割にわざとらしく「献身」を「検診」と間違えて慌てて見せたり、もしかして痴呆症のフリを楽しんでる?(笑)

この松沢さん、実は麻子の父親なのですが、なぜかお互い、他人のフリをしてるのです。

☆病院ラジオ
つばさの閃きで、ラジオぽてとを病院から生中継する「サテライト放送」企画が誕生、真瀬がやたら張り切ります。

それは、娘・優花の病院嫌いを克服させてあげたい親心である事が、週のラストで明かされます。母が亡くなった悲しみの象徴である病院を、楽しいイメージに変えたかったんですね。

二人のわだかまりを簡単に解決させず、こうした細かいエピソードをさりげなく積み重ねて行く丁寧な作劇に、キャラクターに対する創り手の愛を、しみじみと感じます。

☆ずっと竹雄が好きだった!?
麻子の前に、尚樹という元・婚約者だった男が現れます。かつて、理由も告げずに彼から逃げてしまった麻子さん。いくらワカパイだからって尚樹は納得出来ず、麻子に詰め寄ります。

麻子は、たまたま其処にいた竹雄を捕まえて「この人を好きになったから逃げたの」と、無理のある嘘をつきますw

「そうか、そんな無理のある嘘をついてまで、僕から逃げたかったんだね」と納得しちゃう尚樹に、竹雄ショック(笑)。

尚樹が納得して去った後、麻子は父・松沢がかつて極道だった事実(だから蓮司さんなのねw)を、竹雄に告白します。そのせいで、麻子は尚樹の前から姿を消したのでした。

さらに麻子は、ここで衝撃的な台詞を吐きます。父と同じ過去を、竹雄が持っていると。ボイ〜ン!!…じゃなくて、がびーん!!

「いや、僕なんかチンピラに毛が生えた程度だったから」って言う竹雄の台詞に、思わず笑ってしまったのは私だけじゃないと思います。毛が…w

麻子が竹雄に格別優しかったのは、そんな竹雄に父親を感じてたからなんでしょうか? でも麻子は「あの人(松沢)は、父でも何でもありません」と吐き捨てるように言うのでした。

☆また一人相撲のにっくきモミアゲ
実はリハビリも出来ない絶望的な状態なのに、皆から「早く復帰して」と励まされる事が、かなり苦痛な翔太。

つばさにそんな弱さを見せまいと無理して元気に振る舞ってた、その優しさが、またもやつばさを傷つける結果を招いてしまいます。この二人、実は最悪の相性なのでは?(笑)

「翔太の本当の気持ちが知りたい!」と願うつばさ。好きな者どうしなら、欠点も弱点もさらけ出すべきだというのが、つばさの考え方です。

☆万里の本音
つばさと翔太の恋を応援する万里ですが、実は今でも翔太が好きでいる事を、加乃子に見抜かれてしまいます。

「大谷(モミアゲ)くんを好きになった自分を、ずっと好きでいたいから」二人には幸せになって欲しいと言う万里。それを立ち聞きした知秋、ショック(笑)。

☆永遠のヒロイン
「加乃子さんが僕を愛してくれないのは、あんたのせいだ!」と、秀樹に八つ当りする竹雄(笑)。

加乃子は銀幕のスターみたいなもんだと、スポットライトを浴びながら言う秀樹w。「スターは誰のものにもならない。女優という生きものは自分しか愛せない」

つまり竹雄も秀樹も立場は変わらないと言う秀樹に、あんたはそれで満足なのか?と問う竹雄。

「それが俺の愛の形だ。あんたには、あんたの愛の形がある筈だ」

愛し方は、人それぞれ。つばさは今回、麻子からそれを学ぶのかも知れません。

☆つばさと麻子
本音を言ってくれなかった翔太への不満を、ボインボイーン、ボヨヨンボヨヨ〜ン、プルルン!な麻子に洩らす、プチバストなつばさ。

でも麻子は、父親が極道である事実を、どうしても恋人には知られたくなかった。自分の全てを伝えたくても、伝えられなかったのです。

麻子は、父を憎むがゆえに、あえて彼に付き添うのだと言います。ぶざまな死に様を、その眼に焼き付けるために…

「捻れた親子なら、死ぬまで捻れたままでいいの」

つばさには到底、理解出来ない心理です。いやしかし、それにしても、なんとダークな朝ドラなんでしょうか!?(笑)

☆お節介にも程があるなぁ
今週、ラジオの男は遅めの出番でしたが、途中で竹雄や加乃子が入って来ても彼には気づかない事から、つばさ以外の人には見えない存在である事がハッキリします。あ、でも以前、万里も気づかなかったですね。

今回はさらに「俺は内面的な存在だから」って、ラジオの男も自ら解説を入れました。本当はこんな台詞、言わせたくなかったでしょうね。視聴者からの不粋なクレームに対する、スタッフからの回答だと思います。

なお、このシーンで、竹雄がかつて極道の世界にいた事実を知ってるのは、玉木家では加乃子と故・梅吉だけである事も示されます。これはまた、波紋が広がりそう…

☆簡単には変わらない
松沢老人の痴呆症が芝居だと見抜いたつばさは、素直に父親として麻子と接して欲しいと懇願しますが、それだけは出来ないと松沢は言います。

自分が極道であった事が、どれだけ娘を苦しめて来たかを自覚しているがゆえに、人知れず独りで死んでゆく事が「俺に出来る、唯一の罪滅ぼしだから」と言うのです。

松沢の退院を機に、麻子はヘルパーを休業するつもりでいます。それはつまり、もう父とは二度と会わないという事。本当は彼女も、芝居を続ける事がつらかったのかも知れません。

そして退院の日、つばさは病院ラジオで、松沢がいつも口ずさんでた童謡『とおりゃんせ』を流します。川越が発祥の地と云われるこの童謡は、我が子が7歳まで無事に育った事を祝う歌なんだそうです。

捻れた親子であっても、親子は親子。別れを目前にして胸を痛める麻子は、7歳で入院した時、父がこの歌を繰り返し唄ってくれた事を思い出し、感極まって思わず「お父さん」って言っちゃいます。

それを聞いて泣き崩れる父を見て、麻子もようやく、痴呆症が芝居であった事に気づき、涙を溢れさせます。

それでも二人は「あらあら松沢さん、そんなにこの病院が気に入ったの?」「すまないね、看護婦さん」と、芝居を続けたまま別れちゃうのでした。

極道とは、やれ義理だの仁義だのと格好つけたところで、しょせんは自分が虚勢を張りたいが為、保身の為だけに多くの人々を苦しめ、踏みにじり、時には平気で命まで奪う、絶対に許してはならない最低最悪の人種です。

だから、この結末はとても真っとうなものだと私は思います。演じてるのが石橋蓮司さんだから感情移入して泣いちゃいましたけど、この父親が簡単に許されて幸せな余生を送るような結末だったら、逆にハイパー激怒してたかも知れません。

あえてこのタイミングで、そんな極道の末路がシビアに描かれたのは、きっと竹雄の背負う十字架がいかに重いものであるかを暗示し、竹雄がこれから味わう試練がいかに過酷であるかを予告する、1週間がかりの伏線だったんじゃないでしょうか?

さて、お互いの想いが分かっても、仮面を被り続けるしか無い父娘を見届けたつばさは、大切な人とは全てを見せ合い、理解し合いたいという思いを更に強く持つようになり、それを翔太に伝えます。

またも図に乗った翔太は、口を半開きにしながら、病室のベッドでつばさを抱き寄せ… おい、おいっ、こらこらこらこらこらぁぁぁぁーーっっ!! ももも、もーみあげぇぇぇぇぇぇぇえーっっ!!!!

光子力ビイィィィィーーー ムァッ!!!!

まぁしかし、これも又、つばさを待ち受ける過酷な試練を、より残酷なものにする為の伏線なのだと思います。

つばさよ、相手は一人相撲の世界チャンピオンなんだ。油断しちゃいけないよ(笑)。

『つばさ』12

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☆のど自慢大会
毎年恒例の、商店街主催によるのど自慢大会が、ラジオぽてとと提携して生放送される事になり、加乃子さんの愛情を見失った竹雄の「愛が欲しい…」とのボヤキから、大会のテーマは「愛」となり、出場資格は親兄弟なども含む男女ペア限定となります。

いつも「ラジオを私物化するな」と言ってる真瀬が乗り気になるのは、いつも娘・優花との距離を縮める事に利用出来る企画ばっかり(笑)。

けれども優花には例によって拒否され、つばさが理由を聞くと「あの人、こわい」って、あの人呼ばわりw

なお、金田明夫さんが「愛」の文字を冠したヘルメット(笑)を被ってたので、その年の大河ドラマ『天地人』のパロディーにもなってるみたいですね。『つばさ』自体のテーマが「愛」との事ですから、たまたま合致しただけなんでしょうけど。

☆ルイルイ
元アイドル歌手でバラドルのはしり、松本明子さん扮する丸山伸子が、今週の主役。玉木家の面々や秀樹が出ない回は、クレジットのトリを飾るのが松本さん。気がつけばすっかり、ベテランになられたんですね。

で、伸子がパーソナリティーを担当するコーナーに「あなたをもう一度」という謎のFAXが。別れた夫・良男(太川陽介)のメッセージである事に気づく伸子ですが…

西城秀樹、松本明子、斎藤清六(笑)、そして太川陽介と、昭和を意識したキャスティングが目立つ『つばさ』ですが(多部ちゃんがヒロインに選ばれたのも、昭和を感じさせる雰囲気がポイントの一つだと、ガイドブックに載ってましたw)、この週は特に、そんなスタッフの昭和フェチ度が濃厚に顕れてますよね。

☆あなた
「あなたをもう一度」って言うのは、小坂明子さんが唄った昭和の大ヒット曲『あなた』の事で、伸子がかつてよく「楽しそうに」唄った歌みたいです。

♪もしも、私が家を建てたなら…ってフレーズで始まる『あなた』は、私も大好きな曲で、これが流行った'70年代半ばの頃は、まぁ自分が小学生で一番多感な時期だったせいもありますが、忘れられない歌謡曲が目白押しの時期でした。

ちあきなおみ『喝采』、五木ひろし『夜空』、森進一『襟裳岬』、沢田研二『時の過ぎ行くままに』、岩崎宏美『ロマンス』etcと、枚挙に暇無しです。

秀樹が颯爽とデビューして一世を風靡したのも、ちょうどこの時期でした。『つばさ』のスタッフさんも恐らく、この時代への思い入れが、かなり強いんだろうと思います。

☆いとしのアンジェラ
前週からやけに、主題歌『愛の季節』のインスト・バージョンが頻繁に使われるなぁと思ってたら、この週は『つばさ』オリジナルのプロモ映像まで披露されました。

この曲は、壊れかけた愛が再生する瞬間を唄ってるとの事で、それは『つばさ』全体のテーマでもありますが、この週は特に『愛の季節』を意識したストーリーになってるみたいですね。

まったく私事な話で恐縮なんですが、私は毎朝8:00位に朝食を食べて、8:15位に食器を洗い、出勤の準備をします。『つばさ』は8:15開始でしたから、アンジェラ・アキさんの歌声だけは毎朝、食器を洗いながら聴いてたんですよね。

で、サビで「Seasons」を連呼してるのが「シーザー、シーザー」って聞こえて、私は『つばさ』が沖縄を舞台にしたドラマだと思い込んでました。

今回、プロモ映像に歌詞の字幕が入ったお陰で、やっと本来の意味が解った次第です。しょーもない話ですみませんw 勿論、全てモミアゲのせいです。

☆ダメ男の見本市w
つばさは今回も、よその家庭問題に首を突っ込みます。「お節介にも程があるなぁ」って、ラジオの男ならずとも言いたくなります(笑)。

良男は無謀な新ビジネスに挑戦したがる癖があり、借金が限界にまで膨れ上がり、それで伸子に追い出されたワケですが、どうやら川越に戻って来てるようで、息子の隼人と密かに会ってたのでした。

しかし良男を許す気がない伸子は、隼人が父と会う事も許そうとはしません。「今さら父親面されてもねぇ」って言葉が、耳に痛過ぎる真瀬w。優花に「お父さんなんかだいきらい!」って言われても「お父さんって呼ばれた!」と喜んでる、まだそんなレベルです(笑)。

☆初めての喧嘩
つばさにリハビリを手伝ってもらう、モミアゲ翔太の両親も離婚しており、父親側に何か問題があったみたいです。

伸子と良男を何とか仲直りさせたいと言うつばさに「壊れた絆は絶対に戻らないよ」と、自分の両親と重ねて言う翔太に、つばさが怒ります。

つばさとしては、自分と翔太の将来や、もしかしたら母・加乃子との事も頭にあって、それは聞きたくない言葉だったのかも知れないけど、本音を隠せば怒られ、言えば言ったでキレられる男の立場って、どうなの?(笑) でも、翔太だからいいやw

☆恋する石鹸
最初は夫を「バイタリティーがあって素敵」と思ってたかも知れないけど、借金が膨らむだけじゃあ「ただの博打打ち」みたいなもんで、伸子が愛想を尽かすのも当然でしょう。

「恋してる時って、何もかもが美しく見えるのよねー」

以前『ためしてガッテン!』だったと思いますが、テレビで「恋の病は3年まで」って言ってました。

恋をするとアドレナリンが分泌され、相手の欠点を見抜く能力が麻痺しちゃう事が、科学的に証明されてるんだそうです。子孫繁栄の為に、つまりどんどんセックスして子作りするように組み込まれた、生きものとしてのDNAなんでしょうね。セックスする為の。セックスですセックス。セックスなんです。

だけど、その効果も平均してだいたい三年で無くなっちゃう。そこから欠点を見抜く能力が復活し、盲目な恋は終わり、「三年目の浮気」が生まれたりもする。それからまた愛が「新しい花を咲かす」としても、恋とは全く違った種類の愛、なのかも知れません。

☆三馬鹿トリオw
梅雀さん、金田さん、佐戸井さんによるトリオ漫才も、好評につき?すっかりレギュラー・コーナーになりました。

ただし『踊る大捜査線』のスリー・アミーゴスなんかと決定的に違うのは、一見くだらない会話の中にも、しっかり含蓄や伏線が盛り込まれてる事ですね。

「愛なんか消耗品だよ。結婚したら、擦り切れて無くなっちゃうんだな」

そう言って泣きながら『あの素晴しい愛をもう一度』を合唱する姿が、そこはかとなく哀しいです(笑)。

☆名言、続出

「愛を相手の心に求めるからいけないのです。愛は、自分の心の中にあるものですよ」

↑こういう台詞を言う時の吉行和子さんがもう、絶品ですね! 美しく、さりげなく、すっと耳に入って心に染みてくる台詞回しは、多部ちゃんにも共通する巧さ、品の良さだと思います。

『つばさ』には、誰もが何となく思ってる事を具現化したような、「そう、それが言いたかったの!」って思う台詞が随所にありますよね。

歌に関しては「昔よく唄った歌で、あの頃の気持ちが蘇るのよね」とか「歌は、思い出の蓋を開けてくれる鍵なの」とか、思いつきそうだけど思いつかない表現だと思います。

で、そうした台詞がいつも、つばさにヒントを与えてくれる。つばさは閃きました。歌を使って丸山夫妻の愛を取り戻そう!って。

…お節介にも程があるなぁ(笑)。今回の首の突っ込み方には正直、伸子さん同様、イラッと来ましたw

つばさはいつも、誰かと誰かの絆を繋げる事が、自分と誰か(今回の場合はモミアゲ)との絆を繋げる事にもなると思って頑張るみたいだけど、思えば無茶な論理ですよね(笑)。

☆笑って欲しい
事情通の秀樹(笑)によると、良男は明日(のど自慢大会の日)、アマゾンの山奥に一攫千金のため旅立つ予定。懲りないヤツ!(笑) 良男は伸子と寄りを戻しに来たのではなく、別れを告げに来たワケですね、川越に。

せいせいするわと言う伸子は、隼人に「だったら、もっと嬉しそうな顔してよ」と言われ、ハッとします。

「母ちゃんに笑って欲しい。昔みたいに笑って欲しい!」

そんな隼人の願いは、良男の願いでもあります。「あなたをもう一度」というメッセージは、かつて『あなた』を唄ってた時の、伸子の幸せそうな笑顔がもう一度見たいっていう、願いだったんですね。

会場のどこかで見てる良男の為に、伸子は隼人と一緒に『あなた』を唄います。さすが元アイドル歌手、吉行和子さんの超絶音痴ぶりw(あれは役作り?)とは全然違います。

「あんた! 億万長者になるまで、帰って来んなー!!」

伸子=松本明子さんらしいエールに、ぐっと来ました。

「惚れた腫れただけが愛じゃないのよ。壊れて、直して、また壊れて… 愛の形はどんどん変わって行くけど、安心して。簡単には消えないから」

前週に引き続き、先輩女性から「愛にも色々ある」ことを学ぶ、つばさでした。

☆ベストカップル賞
加乃子とのペアで受賞して「これでもう大丈夫」と浮かれる竹雄さんに、加乃子は言い放ちます。

「よく分かんないのよね、私。竹ちゃんのこと、愛してるのかどうか」

はげちゃびーん!!…じゃなくて、がびーん!!w なんで、わざわざそんなこと言うかねぇ、加乃子さんは!(笑) ショックのあまりモミアゲが生える竹雄さんでした。

モミアゲと言えば、退院した翔太が川越キネマ=ラジオぽてとに、下宿しにやって来ました。秀樹(大家)、何を企む!? (つづく)

PS. 次週予告を観たら「賛否両論か」と書かれた、でっかい垂れ幕が(笑)。『つばさ』の何が好きって、そういう反骨(自虐?)精神ですよねw

あと、映像特典のファン・ミーティングを観て「×鈴木スーパー ○鈴本スーパー」である事と、鈴本社長の姿なき奥さんの声がサザエさんである事を、初めて知りました!(恥)

『妖怪人間ベム』#05

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私は配達業の傍ら、小遣い稼ぎにコンビニの夕勤バイトをしています。こないだ、こんな事がありました。

10歳位の可愛い顔した男児が、500円の商品をレジに持って来て、にっこり笑って店員に差し出したのです。

男児「これ、ピーして」

店員「え? ピーするって?」

男児「バーコード通して」

店員「? 買うってこと?」

男児「…いいから通して」

店員「いやいや、いいから通してじゃなくて。買うの? 買わないの?」

男児「…買う」

店員「買うんやね? じゃあ(バーコードを通して)500円ね」

男児「…(黙って手を差し出す)」

店員「いやいや、だから500円」

男児「渡して」

店員「はぁ?」

男児「いいからこっちに渡して」

店員「あかんよ、代金と交換やから」

それでも男児は引かず、押し問答になった所で、30歳位の母親が別の安い商品を2つだけ持って来ました。

店員「いらっしゃいませ。こちらの(男児が持って来た)商品もお買い上げですか?」

母親「(苦笑して)いいえ」

母親は、息子が今、店員とどんなやり取りをしてたか分かってる様子でした。でなければ「はぁ?」というリアクションだった筈ですから。

母親と店員がやり取りしている間、男児はカウンターの、店員からは見えない部分を思いっきり蹴っていましたが、それを見ても母親は笑ってるだけで、何食わぬ顔をして男児と一緒に出て行きました。

店員は呆気にとられて口は半開きのまま、気がつくと中途半端なモミアゲが生えていましたとさ。(おわり)

もし、あのまま商品を渡したら、男児は一体どうするつもりだったのか?

ただ店員をからかってただけの可能性もありますが、もしバーコードを通して商品を渡したとして、「ちゃんと500円、払ったのに!」って泣きながら言われたら、回収は難しくなるでしょう。500円程度なら諦めて、自腹を切った店員が過去にいたのかも知れません。

いずれにせよ末恐ろしいガキですが、それ以上に驚きだったのが、しつけを完全に放棄してる母親です。もしかしたら男児は、あの母親の入れ知恵、あるいは指示に従ってた可能性だってあります。

これは、ほんの一例に過ぎません。コンビニにいると、人間の嫌な部分が否応なしに目に入って来ます。

例えば、ゴミです。家庭ゴミを大量に(平然と)捨てに来るわ、分別をちゃんとする人よりしないヤツの方が圧倒的に多いわ、駐車場には弁当の器やら空き缶やら煙草やらが当たり前のように捨てられてるわ…

私には、そんな事を平気でする人間の神経が全く理解出来ないのですが、理解不可能な人間は、どこにでも、いくらでも存在するのです。

そんな人間達が子供を作り、その子供が大きくなって、また子供を…

震災以来、このフレーズを書くのは自粛して来ましたが、もう我慢出来ません。書きます。

もう、人間は終わってます。「破滅」ですね。

いや、最初から人間っていうのは、そういう生きものなんでしょう。理性という名のリミッターが、悪の本性を封じ込めて来たワケですが、そのリミッターがもはや劣化し、利かなくなって来たのだと思います。

『妖怪人間ベム』に出て来る「名前の無い男(柄本明)」がやってる悪事は、そのリミッターをちょいと麻痺させてやるだけ、のような事だと思うのですが、別にそんな事しなくたって、とっくに麻痺してますよ。

「あなた達の方が、よっぽど人間じゃないですか!」

第5話でベム、ベラ、ベロの正体を知ってしまった夏目刑事(北村一輝)が、彼らに言ったこの台詞に、作品のメッセージが凝縮されてると思います。

このドラマの創り手達はまだ、人間の善を信じてるからこそ、ベム達こそが最も人間らしい人間だと言ってるんですよね。

私も、そう思いたいし、まだ心のどこかで信じてるからこそ、この台詞に号泣しちゃったんだと思います。

ベム達の正体を知り、状況的にこれまで彼らが関わった犯罪者達との繋がりを疑うしかない夏目刑事に対して、ベムはひたすら感謝の言葉を繰り返します。

今、自分達を疑い、まさに化け物を見る眼で見てる相手でも、これまで親しく接してくれた事、人間の暖かさを教えてくれた事に、ひたすら「有難うございました」…

そんな人間でありたいって、心底から思いますけど、なかなか出来ないのがまた、人間なんですよね。

この後、夏目刑事の危機を察して、「どうせ正体はバレてんだ。いっちょ派手に暴れてやろうかい」っていう、ベラの粋な台詞を合図に、3人が救出に向かいます。

この時、軽快なあの主題歌が、初めて劇中で使用されて、ビルからビルへと跳躍する3人の姿が、月をバックにシルエットで映し出されるんですよね!

その瞬間に鳥肌が立たなかった男は、いないんじゃないですか? あおきさんあたり、ハイパー狂喜し過ぎて失禁されたのでは? 私も危うく脱糞するところでしたw

それも、これ見よがしにヒロイックに見せるんじゃなくて、ほんのサワリだけであっさり切り上げちゃうクールさに、ますます痺れました。

この場面でもう、今秋の連ドラBEST1は『妖怪人間ベム』に決定しました。はい欽ドン賞、決定! 今後『家政婦のミタ』でどんだけ泣かされたとしても、この瞬間の興奮を超える事は(私にとっては)まず無いと思います。

今、私が世の中に対して言いたい事は、全てこのドラマが代弁してくれてます。だから私は安心して大便します。

早くモミアゲになりたーい!!

『つばさ』13

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本文と関係ない話題から入りますが、今日は祭日という事で、朝のワイドショーを観たら日テレで鈴木福くんが生出演で大特集されてました。

で、裏では何をやってるかな?と思ってフジの番組を観たら、芦田愛菜ちゃんが生出演で大特集(笑)。祭日にしか出来ない事なのは解りますが、横並びで各局すっかり子役に依存しちゃってる創り手の姿勢って… まぁ、相変わらずですねw

愛菜ちゃんのバースデーにサプライズでKARAが祝いに駈け付けた時のVTRが紹介されてましたが、KARAって韓国POP界のトップアイドルですよね? そんなアーティストを、ただ愛菜ちゃんを喜ばせる為だけに呼び付けるって… もう、神様・仏様・芦田様様ですね! VIPを遥かに超えたVIP!

その超VIP芦田様が『ライアーゲーム』の新作映画に御出演との事で、子役様様のマスコミがヒロインの多部未華子そっちのけで、芦田様様様にばかり注目する様が目に浮かぶようです。

多部ちゃん御本人はそんな事を気にするタマじゃないでしょうけど、ファンとしてはやや迷惑な話です。こんな一過性のブームと、多部ちゃん出演映画をゴッチャにされたくないもんです。が、確実にゴッチャにされる事でしょう。

もし、創り手が心底から女優・芦田愛菜のキャラクターと演技力を欲してキャスティングしたのなら、喜んで歓迎したいところだけど、多分そうではないでしょう。「製作委員会」が「保険」として要求したんだろうと思います。

これで、脇役ながら印象に残るであろう役を貰える若手女優達のチャンスが又一つ、既製の人気者に…というより製作側の保身に奪われちゃった事になります。

まぁこうなった以上は、愛菜ちゃんには作品の注目度にしっかり貢献して頂き、キャンペーンの際には優等生発言を繰り返して、素の多部ちゃんの面白さを際立てる事にも役立って頂きましょう(笑)。

いや、私は愛菜ちゃんを決して嫌いじゃありません。以前ここで話題にもした通り、最初にバラエティー番組ではしゃぐ姿を観た時には、あまりの愛くるしさにメロメロになったもんです。

でも『南極大陸』でお見かけした頃にはもう「うーん… 飽きたな」と(笑)。これはもう、完全に周りの大人が悪い。何でもかんでも…というよりメジャーな番組ばっかり選んで、いくら何でも出し過ぎですよ!

今の愛菜ちゃんを見ると、最初に見た時のハツラツさ、愛くるしさが明らかに減退してる気がします。間違いなく、疲れてますよ。分かってるのかいな、周りの大人どもは?

さて、前置きが長くなっちゃいましたが、そのぶん『つばさ』レビューは短くなると思いますw この第13週は正直、ちょっと退屈でした。第10週から週を追う毎にテンションが下がってる気がしますが、大丈夫でしょうか?(笑)

今回は翔太の引っ越しから始まって、恋のトライアングル、宇津木夫妻の痴話喧嘩と、犬も食わない話ばっかなんですよね(笑)。

☆もみあげ襲来
やめろ!と言われても、今では遅過ぎた…って事でw(これは西城秀樹の大ヒット曲『恋の嵐』の一節。今週の内容に合わせてる?)、秀樹に連れられ、チャラい髪型の翔太がラジオぽてとに引っ越して来ました。

私が翔太に優しくしてやれないのは(笑)、セットに時間が掛かりそうな、あの髪型が大きな原因になってるかも知れません。鏡の前で延々と髪の毛をいじるような男が、私は大嫌いなんです。ましてスポーツマンのくせに!

で、翔太への想いが吹っ切れてない、つばさの親友・宇津木万里が、家を出て一人暮らしをしたいと言い出し、鳶の頭である父(金田明夫)と大喧嘩して、プチ家出する羽目に。

万里がそんな事を言い出したのは、つばさと翔太がイチャイチャしてる姿を、間近で見てるのがツライから。

解決したと思ってた問題が、あるきっかけで再浮上しちゃうのは『つばさ』ならではのリアリティーだとは思うのですが、事がモミアゲを巡る恋の話となると、私は正直に申しまして、もうウンザリです(笑)。

それと、これは自分が中年タベリストだから言うワケじゃないけど、多部ちゃんが若い男とイチャイチャしてる画って、どうしてもしっくり来ないんですよね…

口を半開きにした男が相手だからかも知れないけど(笑)、同世代の若造と多部ちゃんって、やっぱり釣り合わない気がしてなりません。

しつこいようですが、自分が若くないから言ってるワケじゃないですよ?w ちなみに私の口は半開きではありません。

☆国交断絶
なぜ家を出たいのか、頭(万里の父)に詰問され、つばさの前で本当の理由が言えない万里に、知秋が「僕が万里さんに告白したからです!」と嘘を言って助け舟を出します。

そのお陰で玉木家と宇津木家のパパどうしが大喧嘩になり、頭は「国交断絶」を宣言、家にバリケードを張ります。鳶だけに仕事が早い(笑)。

前回ちょっと触れた「賛否両論か」と書かれた垂れ幕は、そのバリケードの一部です。劇中の流れとは全く関係無い言葉(ですよね?)なので、これは番組に対する世間の反応を受け、それすらも笑いのネタにしちゃう『つばさ』チームのお遊び精神、その賜物なんだと思います。そういうとこ、好きですw

それにしても、竹雄と頭の喧嘩は、いちいち面白いですね(笑)。めっちゃ楽しそうw

☆ロミオとジュリエット
バルコニーならぬバリケード越しに、知秋は今度こそ万里に本気の告白をしますが、「ごめんね、今はまだ無理」とのお返事。もみあげ一人のせいで、愛すべきキャラ達が次々に傷ついて行きます。果たして、それほどの男なのか!?w

「恋愛が戦争だという事が、身に染みて分かっただろう?」と、ロミオのコスプレをしたラジオの男(笑)。「傷ついた分だけ、イイ女になれるって事だよ」

☆加乃子は変わった?
今週のもう一人の主役は、万里の母=佑子(広岡由里子)。お節介で、超がつくお喋りな佑子により、加乃子、頭、佑子、鈴本スーパー社長は古くからの幼馴染みである事、そして加乃子が昔はお淑やかで、お嬢様然とした女の子であった事が明かされます。

さらに事情通の秀樹が(笑)、つばさに言います。今のつばさや知秋みたいに「手の掛からない良い子」だった加乃子が、深く心が傷ついた事がきっかけで、自由奔放な現在の加乃子に生まれ変わる事が出来たんだと。

ラジオの男の言葉とリンクしてる事から察するに、これは今後、つばさ自身がはばたく為に味わう、大きな試練を予告してるのかも知れません。そう、試練はもうそこで、口を半開きにして待っているのです(笑)。

☆落雷
久しぶりに昔のことを思い出した佑子さん、頭との思い出の品を掘り出してる内に、なんと頭が加乃子宛てに書いて出しそびれた、ラブレターを発見しちゃいます。

怒り狂い、玉木家の茶の間で掃除機を振り回す佑子と、逃げ惑う面々の様子が、ムーディーなJAZZミュージック(秀樹のテーマだけどw)をバックに、妙に様式美な?演出をされてるのが笑えますw

しかし、この展開は意表を突かれました。頭にとって、加乃子はずっと「天敵」として描かれて来たのですから! それが、実は30年前にラブレターを書いていた!?

☆傷が疼くのは…
頭がなぜ加乃子を天敵扱いしてたかと言うと、川越祭りの時、いきなり派手な衣裳で登場した加乃子に驚き、転倒した拍子に出来た額の傷が、加乃子が近づく度に疼くから…

その設定は早くも第1週で語られてたのですが、実は本当に疼いてたのは額の傷じゃなくて、失恋の傷だったとは!! あ、あざとい!!(笑)

これって、頭を演じる金田明夫さんには最初から知らされてたのでしょうか? 知らされてなかったとしたら、一番驚いたのは御本人でしょうねw

☆出せなかった手紙
加乃子がラブレターを貰う前に頭をフッたのは、佑子が頭にぞっこんなのを知っていたから。つまり佑子は、加乃子に譲られた形で、頭と結ばれたのです。

今になってそれを知り、深く傷ついた母の姿を見て、万里はつばさと正正堂堂と勝負して負けた自分は、まだ傷が浅い事に気づいて、今度こそモミアゲの呪縛から解放されます。げに恐ろしやモミアゲの呪い(笑)。

一つの恋が傷ついた事で、また新しい恋が生まれる…

実は頭が当時、加乃子と築きたかった「理想の家庭像」を佑子に話した時、すでに新たな恋が生まれてた。そして頭は、佑子と理想通りの家庭を築いたのです。

頭がラブレターを大切に保管してたのは、それが加乃子ではなく、佑子との大事な思い出だったから。つばさがそれに気づいたお陰で、宇津木夫妻の喧嘩は丸く収まり、同じように秀樹から加乃子を譲られた形の、竹雄の心も救われたのでした。

「いつか、もし私が凄く傷ついたとしても、その傷から目を背けたり、逃げたりしないで、それを大切な思い出の一つに出来るような、そんな強さを持ちたいなって… そう願ってます」

ラジオから流れる、そんなつばさの語りを聞いて、満足そうに微笑む翔太。

…こら。こらっ!(笑)。つばさは、キミに立ち直れないほど深ーく傷つけられる、自分の未来を予言しとるのじゃこのボケェーッ!!w 鬼! 悪魔! もみあげ!!(笑)

『つばさ』14

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うーん(笑)。面白かったんですけど、やっぱり第9週迄の『つばさ』とは違ってました。レビューしながら、このイマイチ感の原因を探りたいと思います。

☆半開きの乳首
日々、これ見よがしに乳首を出して、一人相撲の特訓に精を出す翔太。その姿を母・佐知江(手塚理美)、そしてつばさが、気持ち悪そうに…じゃなくて(笑)心配そうに見守ります。

誰よりも翔太自身が焦り、苦しんでる。一人相撲の世界チャンピオンならずとも、まともに歩く事すら出来ない状態が続けば、そりゃあ乳首でも出してないとやりきれないでしょう。

そんな翔太が相手でも、恋をする事で輝きを増したつばさを見て、以前なら「なんだイモ、またノロケか?」とか言いそうな真瀬が、なんだか複雑なリアクション。どうやらここらで、恋の「フラグが立った」のでしょうか?

そうとも知らず、一人黙々と乳首を立てている翔太(うそw) こやつが一人で悩み始めると、だいたいロクな事にはならないんです。

☆大衆演劇
ラジオぽてとが舞台演劇のイベントをプロデュースする事になり、つばさは幼い頃に観た「赤毛の女の子が、どんな時も夢と希望を忘れず頑張る話」の舞台を思い出しますが、これは多部ちゃんが芝居を始めるきっかけになった『アニー』の事でしょうか?

「翔太を元気にしてあげたい」っていう想いから、つばさはこの企画に張り切ります。つばさの原動力はいつも「誰かの為に何かしてあげたい」なんですよね。その行動力もハンパじゃない。普通はなかなか出来ない事です。

だから、皆が彼女に惹かれていく展開が、不自然に感じない。同じ朝ドラでも、勝手な「自分探し」で周りに迷惑を掛ける一方のヒロインが、なぜか全ての登場人物達から愛されてた『てっぱん』とは、説得力がまるで違います。

そう言えば『てっぱん』の恋人役もアスリートで、肝心な時に足を痛めてましたよね(笑)。遠距離恋愛になる展開も似てましたけど、彼の場合はモミアゲを生やさず、口の締まりも良くて、乳首も全然見せないから面白くなかったですw

☆婦系図
千代さんの提案で、舞台の演目は『婦系図』に決定。家のしきたりによって引き裂かれる男女の物語で、加乃子と秀樹、そして千代さん自身の悲しい初恋にもリンクするお話です。

例によって、レギュラー・キャスト陣が演じる再現映像が楽しくて、梅雀さんの変顔を間近で見せつけられた翔太が、あわや吹き出す寸前でカットが切り替わったのには笑いました。

☆佐知江さん
翔太の母・佐知江は元演劇部長って事で、この舞台の台本と演出を、まだ参加が決まったワケでもない加乃子からw依頼されます。加乃子はヒロインを演じる気満々なのです。

その佐知江さんによるオーディションで、ヒロインは加乃子とつばさのWキャスト、相手役は真瀬に決まります。他のキャストものど自慢大会と同じメンバーで、もしかすると観客エキストラの都合上、同じ日に撮影されたのではないでしょうか?

先日コメントに書いて頂いた通り、芸達者なキャスト陣が素人芝居をする二重構造が、とても楽しくて見応えあります。あの多部ちゃんが、全く拙い芝居でヒロインを演じるつばさを演じるのですw

タレント経験者の加乃子がお芝居上手なのはいいとして、あの真瀬がそこそこ上手なのは意外でした。やっぱり、ナルシストは役者に向いてるって事ですね(笑)。

☆10年間の意味
佐知江の参加目的はつばさと同じで、翔太を元気づけたいという親心。まったく果報者の乳首です。

一方、加乃子には別の思惑がありました。10年前に自分が子供を捨てて家出した事の意味を、今回の芝居を通して探したいと言うのです。

初恋の相手と引き裂かれたヒロインに、自分自身の過去を投影したワケですね。その心情を自分の中で整理して、芝居を通して家族に聞いてもらいたいって事でしょうか? 回りくどいなぁ(笑)

その辺の事はもう、お互い解ってるんじゃなかったの?と思ったのですが、「頭では解っても、納得出来ない事ってある」「お母さん自身がちゃんと受けとめてくれないと、私達だってこの先、どう向き合って行けばいいのか分からない」っていう、つばさの言葉で何となく解りました。正直、ちょっとクドイような気もしたのですが…

☆フラグ
このお芝居にはヒロインと相手役の抱擁する場面があり、その練習でつばさに抱きつかれた真瀬が動揺します。そんな父の様子を見て、ニヤリと笑う優花(笑)。

つばさのアドリブをうまく受けとめる真瀬を見て、伸子が「意外と相性がいいんじゃない?」って言うのですが、確かにそうなんですよね。

毎回、土壇場で飛び出すつばさの無茶は、ボスが真瀬だからこそ成立してる。「いいだろう、やってみろ」は『太陽にほえろ!』における裕次郎さんの決め台詞ですが、その度量があってこそ、若手は不可能に挑戦し、成長する事が出来るんです。

男と女の関係となると又、話は違って来るのかも知れないけど、常に自分自身の事でいっぱいいっぱいの乳首では役不足だし、うまく行かないのも当たり前かも知れません。

☆初恋の面影
ここで新キャラが登場します。舞台のスポンサーになってくれるという資産家・葛城(山本學)ですが、この人、なんと千代の初恋の相手であり、ROLLY=浪岡正太郎の父親でもある。

千代が正太郎をお気に入りだったのには、初恋の面影という理由が、ちゃんとあったのです! あ、あざとい!(笑)

葛城の家は由緒ある茶道の家元ゆえ、家業の為に「愛するものを捨てろ」と親から言われ、葛城は千代との恋路を断ち切りました。

なのに、息子の正太郎は家を捨てて愛する音楽を選ぼうとした。それが許せなくて、葛城は息子を勘当し、正太郎は浪岡の姓を名乗るようになったのです。

この親子は20年振りの再会だそうで、ROLLYさん、若者だと思ってたら、意外と歳を食ってたんですね(笑)。

「音楽と別れなくて良かった」と正太郎は言いますが、葛城にはそう見えていない。舞台の音楽を担当する正太郎が、現在の自分の充実を証明出来なければ、葛城の実家に引き戻されちゃうって事になり…

翔太を心配するつばさと佐知江の想い、家族と自分の10年間に対する加乃子の想い、葛城に対する千代の想い、そして正太郎の想いと、この舞台には様々な人の、それぞれの想いが込められてるワケなんですが…

この第14週でイマイチ泣けないのは、あまりに色んな想いが詰め込まれ過ぎてるから、かも知れません。テーマは統一されるように練られてるんだけど、ここまで盛り沢山だと視点が定まらなくて、ちょっと「やり過ぎ」感が…w

☆舞台、本番
余談ですが、葛城さんが座席に向かう途中ですれ違った男性が、吉本新喜劇の石田靖さんソックリなんですけど、飛び入り出演されたとかいう情報は無かったでしょうか?

さて、まだ抱擁シーンに抵抗ありそうなつばさに、真瀬は「俺を翔太だと思え」とアドバイス。本番でつばさは、途中から台本を無視して、翔太に対する想いを独白します。

これが、「もし離れ離れになったとしても、今の私なら(二人の絆を信じてるから)大丈夫」という趣旨で、観ていた翔太は乳首を震わせて感動してましたけど、このメッセージがどうして今の翔太を励ます事になるのか、私にはイマイチ解りませんでした。

これもまた後の悲劇を予告する伏線だとしたら、何もここでそれをやらなくてもって私は思うのですが、如何なものでしょう?

つばさの独白に続き、第二幕では加乃子が台本を無視して独白します。家を出て、家族への想いはあっても、自分が変わらなきゃ帰れない。変わる為に10年間、加乃子はもがいて来たのです。

「後悔はしない。どんな人生でも、私が選んだ結果だから」

かつて加乃子と引き裂かれた秀樹が、それを客席でじっと聞いてる姿にはぐっと来ました。

だけど、うーん… 加乃子がそれを言うと、やっぱり言い訳、開き直りじゃないの?って、思っちゃうんですよねぇ… 皆さんは素直にそれを聞き、感動出来ましたでしょうか?

☆千代のメッセージ
そして第三幕、またしてもつばさの「無茶」と「お節介」が炸裂し、千代までも舞台に上がる羽目になっちゃいます。一つのキャラクターを母子三代で演じるという、画期的な舞台ですね。

「どうしてそんな、哀しい顔をするの? 私はこんなに幸せなのに」

「選ばなかったもう一つの人生に嫉妬したり、恨んだり、今の自分と比べようだなんて、決してなさらないで」

千代が台本を無視して(笑)、葛城と正太郎の父子に向けて言った台詞ですが、それは娘・加乃子の独白に対するアンサーでもあるのでしょう。

理屈で考えると言い訳や開き直りに聞こえたかも知れない加乃子の独白も、肉親の心には違って聞こえるのかも知れません。つばさの言う「納得」とは、そんな母の飾らない、心からの叫びを聞きたかった…って事なのでしょうか。

「よっ、日本一!!」

朝ドラでは本来タブーとされてるらしい、死者=梅吉の声援には、いつもながら胸が熱くなりました。

千代を捨て、正太郎を巣立ちさせた事を悔やんでた葛城も、それぞれが充実した人生を送ってる事を知り、「罪滅ぼしが出来た気がするよ」と明るい表情で去って行きます。正太郎はめでたく、残留ですw

罪滅ぼし… 思えば千代も、加乃子と秀樹を引き裂いた自分の行為に後ろめたさを背負ってて、今回の独白でその「罪滅ぼし」を果たした…と解釈出来るかも知れません。その為には、千代への問い掛けとして、加乃子の独白も必要だった、と。

加乃子のドラマとして観るとクドさを感じる週だけど、今回は千代さんの贖罪を描く週であり、加乃子はその前振りだと捉えるべきだったのかも?

いずれにせよ、この週はお話があまりに多重構造になり過ぎて、それが感情移入の妨げになってた気がします。緻密なストーリー創りが楽しいもんだから、調子に乗ってやり過ぎちゃったのでは?(笑)

私としては、もうちょいシンプルなドラマに戻して頂いた方が感情移入し易いのですが、皆さんは如何でしょうか?

乳首。

『家政婦のミタ』#05#06#07

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観てみないと判らないもんだなぁ…って、今期の連ドラを何本か観て、あらためて思い知らされました。

自分はある程度の目利きが出来ると自惚れてたのに、『ベム』と『ミタ』は当初、スルーしようとしてましたから。『南極大陸』があそこまでスカスカだとは予想しなかったし、深夜ドラマの覇気の無さにも驚かされました。

昨日、完結した大河ドラマ『江』は初回で大泣きし、このブログで絶賛したってのに、回を追う毎にピクリとも涙腺が反応しなくなっちゃいました。

江姫って、戦乱をただ傍観してるだけで、将軍の世継を産んだこと以外、別に何もしてないように見えたのは私だけでしょうか?(描かれ方の問題として)

『ベム』に関しては、ジャニーズ主演による実写化って事で、過去に香取くん等がやらかした数々の冒涜を連想せずにはいられませんでした。まさか、あんな真摯な人間ドラマになろうとは!

『ミタ』は市原悦子さんのベタなパロディーだとばかり…(笑)。せめて番宣の映像ぐらいは見ないと、TV誌のカタログ的な紹介記事だけじゃ、とても正確には判断出来ないですね。まぁ、言い訳ですw 悪いのは全て、モミアゲ乳首です。

世間の人達の方がよっぽど賢くて、『ベム』も『ミタ』も初回から高視聴率を稼いでるらしく、『南極大陸』は見事に右肩下がりだそうで。

とは言え『それでも、生きてゆく』の数字は伸び悩んだワケで、質が良いだけでは数字に繋がらないのも確かなんですよねぇ… 何が違うんでしょう?

『ベム』には知名度と、大多数の人に潜在的な興味があったでしょうから、初回から数字が良いのも納得出来るんだけど、『ミタ』が注目を集めた要素って、何だったんでしょう?

『ゴースト』リメイクがコケたばかりの松嶋菜々子さんや、長谷川博己さんに集客力があるかどうか疑問だし、TV誌で読んだ限りじゃ企画に斬新さは感じられなかったし…

実際に観て、初めてその新しさや面白さが分かる作品だと思うんだけど、多くの人達が最初から嗅ぎつけてたってのは、悔しいなぁw 乳首めっ!!

さて、駄目パパ長谷川さんの不倫→奥さん自殺で崩壊への道まっしぐらだった家族が、第7話にして奇跡的に再生しました。

ありていに言えば、修羅場を何度も乗り越える事で、パパも子供達も内面的に成長した結果だと思うのですが、普通ならそうは行かなかった筈です。

どうやら、普通じゃない人=家政婦の三田さんの存在が、普通ではあり得ない奇跡を呼んだみたいです。

雇い主の勤め先で不倫暴露のビラを撒くわ、長女をターミネートしようとするわ、次女の狂言誘拐に加担するわ、長男とセックスしようとするわ、隣家の壁に落書きするわ、保育園に爆破予告の電話を入れるわetc…メチャクチャですな、まったく(笑)。

それら全て、家族それぞれが自ら命令した事に従っただけなんだけど、願望が全て実現されちゃう事によって、彼らは目を覚まし、否応無しに現実と向き合う羽目になっちゃうんですよね。

三田さんが持ち歩く鞄には何でも入ってて、「まるでドラえもんの四次元ポケットみたいw」って何かの雑誌でネタにされてましたけど、のび太がドラえもんの道具で願望を果たした結果、現実の厳しさを逆説的に味わう教訓話と、思えば同じ構造なんですよね。

三田さんがどこまで意図的にしてた事なのか分からないけど、家族を崩壊の危機から救ったのは三田さんであり、残りの2〜3話はどうやら、彼女に救われた彼らが今度は、彼女の魂を救ってあげる展開になるものと思われます。

三田さんが心を置き去りにして来た原因は徐々に明かされており、恐らく事故で亡くなった夫と息子を、殺したのは自分だと思ってる。死ぬまで笑わないと決めたのは、夫の両親からそう命令されたから、のようです。

そんな彼女を救えるのは、自分のせいで妻を自殺に追い込んでしまった、駄目パパ以外にはいないかも知れません。ただ、いかんせんヘタレな人なもんで(笑)、すんなりとは行かないでしょうね。

徹底して無表情を貫いてる松嶋さんの笑顔を見た時、我々の涙腺は決壊すること間違いなしですねw

『つばさ』15

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この第15週は、私にとって特別なエピソードになりそうです。メジャーになり損なった自称芸人のロナウ二郎(脇 知弘)は、そのまんま元・自称映画監督&脚本家の、私そのものだからです。

よって今回は、手前味噌なレビューになっちゃう事をお許し下さいませm(__)m

☆メジャーからの誘い
前週、真瀬がつばさを女性として意識する兆候が見られましたが、今週になるとそれが、顕著なものに進化してました。次週、何やら嵐が巻き起こる模様です。

「たたた、大変でございます!!」

↑どうやらこの台詞、浪岡正太郎の十八番になってるみたいですね(笑)。今回の大変でございますな出来事は、人気DJ・ベッカム一郎(川島明)がパーソナリティーを勤める全国ネット番組でラジオぽてとが紹介され、町中の噂になってるという話。

ベッカム一郎と言えば、つばさは毎朝その声を聴いてる憧れのDJであり、ぽてと仲間の芸人・ロナウ二郎の元相方でもあります。

一郎がちょっとネタにしただけで、超ローカル局であるラジオぽてとがにわかに注目を浴びますが、二郎はその波に乗る事が出来ません。

「ベッカム一郎の元相方として名前を売ったって、そんなのは僕の実力じゃない」

二郎にだって意地がある。プライドがある。そんな二郎を見て「これに便乗して自分を売り込む位の図太さが無きゃ駄目だろ」と吐き捨てる真瀬ですが、その言葉の裏には、ある想いが隠されてる事が、週のラストで明かされます。

その真瀬による営業効果で、一郎の番組にぽてとメンバーが1週間限定で出演する事が決まり、一郎はつばさを指名して来ます。二郎は動揺を隠せません。

つばさは、ラジオぽてとがメジャーになる必要なんか無いと言いつつも、他のメンバーと違って自分だけ、ラジオをやる事の目的が見えてないって自覚があり、一郎の番組に出る事でそれが見えるのでは?と考えます。

余談ですが、朝ドラと言えば国民的番組であり、出れば全国に顔が知れ渡ります。レギュラーで出てる二郎役の脇くんと、今週限りのゲストである一郎役の川島さんって、現実には立場が逆ですよねw 川島さんはここで顔を売らねば!って、内心ドキドキだったかも知れません。

☆自分にしか出来ないこと
つばさが全国放送に出演!と聞いて、まずは母・加乃子が大喜びします。ここで、加乃子がかつて出演した殺虫剤ミドルシュートのCM映像が初めて登場w

夢を抱いて上京したものの、そんなチープなCMで主役を張っただけの結果しか上げられず、実家に戻って来た加乃子。そんな彼女にも私は、自分自身を重ねてしまいます。(だから加乃子には、他に重い理由を背負って欲しくないってワケです←前回14週のコメント欄参照)。

「誰にも真似出来ないつばさらしさに、スポットライトが当ったって事よ!」

つばさにしか出来ない事… それはまさに、今のつばさが見つけたい答えなのです。

☆メジャーの罠
人にお節介を焼くような性格では全くない私には珍しい事ですが、今回ばかりは、つばさにも自己投影しちゃいましたw

つばさは、自分ならではの個性を買われて一郎の指名を受けたワケで、その個性を発揮する事=まさにつばさにしか出来ない事と言えましょう。

ここから手前味噌な話になって行きますが、映画や脚本… つまり作品を創る行為もまた、それと似たようなものなんです。かわたの作品は、かわたにしか創れない。同じストーリーを扱っても、他の誰かが創れば違ったものになる。

今回、つばさは初めてメジャーな舞台に立ち、それが評価されて、珍しく慢心します。いい気になっちゃうんです。

全国放送に出れば、翔太が宮崎に戻っても声を届けられる。それがメジャーに惹かれた一番の理由であるのは確かでしょうけど、自分にしか出来ない事が評価されれば、自分にはもっと大きな可能性が秘められてるんじゃないか? マイナーな世界でくすぶってるのは間違いなんじゃないか?って、人間ならば思っちゃいますよ、絶対。

そう、私自身、プロデビューが決まった当時はすっかり慢心しちゃったんです。作品を創るという行為は同じでも、自分でお金を出す自主製作と、ギャラという形でお金が入って来る商業作品とでは、自分自身の価値がまるで違って感じられちゃう。

そればかりか、手作りパッケージのビデオを見せるのと、商品として発売されたものを見せるのとでは、相手の反応もまるで違って来る。「ふーん」が「うそーっ、凄い!!」に変わるんです!

このギャップを経験しちゃうと、それまで自分がいた世界が物凄くちっぽけなものに見えちゃう。自分が数段、上の世界に来たって、思っちゃうんですよ、それが人間なんです! 自分はそんなちっぽけな世界で終わる器じゃなかったんだエッヘン!って、あの時の私は確かに思ってました。

つばさの場合は「ラジオぽてとみたいな(小さい)所で…」なんて一郎に言われるとムッとしたりする、基本的には愛のある娘ですから、私ほど愚かな慢心はしないにしても、脚光を浴びる快感に、心が大いに揺れたのは確かでしょう。なにしろ、あの加乃子さんの娘なんだしw

ちょっと話が逸れましたm(__)m つばさが東京出張に張り切る事で、優花との約束を破ってしまったり、ぽてとのリスナーから心配の投書が届いたり、未だリハビリ中の翔太が焦りを募らせ乳首を見せなくなってしまったりと、様々な「さざ波」が起きて来ます。

煽りを一番食らったのが父・竹雄で、自分が和菓子職人として「メジャー」になれば、加乃子に愛してもらえるに違いない!と新たな菓子作りに熱中するあまり、常連客からの大口注文を忘れるという大失態をやらかし、千代さんから大目玉を食らっちゃいます。

「華やかな菓子を作るのに気を取られ、いつもの当たり前の菓子を楽しみにして下さるお客様をガッカリさせては、本末転倒です!」

その言葉は、例によって立ち聞きしてる(笑)つばさにも突き刺さります。千代さんは、つばさにも地に足を着けて欲しかったのですが、今のつばさにはまだ、イマイチ響きません。「どうせなら、沢山の人に届いた方がいいに決まってる」…それも確かに正論ではありますが…

☆自称芸人と自称Jリーガー
リスナーからの投書については、つばさに責任を感じさせるかも知れないから黙っておいてと翔太に言う、二郎の優しさ。

「若いんだし、もうちょっと自分の事だけ、考えてればいいのにね」

その言葉は、まんま二郎自身にも言える事で、彼はその優しさゆえに相方から愛想を尽かされたのです。

今や、自分を芸人だと思ってるのは自分だけ…と卑下して笑う二郎に、「俺だって、自称Jリーガーです」って、乳首のくせに泣かせる事を言う翔太。

「俺、つばさに頼ってばかりで… うかうかしてると俺、置いてかれますね」

足踏みしっ放しの自分を置いて、恋人がどんどん先に進んで輝き始めたら… 今回ばかりは、乳首にまで共感せずにはいられません(笑)。

☆「羨まし過ぎて吐き気がするよ」
↑一郎との共演を楽しそうに話すつばさに、何げに凄い台詞を言う二郎w 彼にとっても、一郎との漫才はこの上無く楽しい体験だったのです。

ところが、偉いプロデューサーへの売り込みよりも老人ホームの慰問を優先した二郎のお陰で、コンビは大きなチャンスを逃してしまった。そんな二郎の優しさは、プロのショウビジネスには不向きだと、一郎は判断したのでした。

「なんで俺じゃなくて、つばさちゃんなんだよ…」

本当は、一郎とのコンビに未練ありありの二郎なのですが、折しもラジオぽてとに一郎がやって来て、つばさに正式なレギュラー出演を依頼。それはイコール、ぽてとのレギュラーを降りる事を意味します。

さらに一郎は、かつて見限った筈の二郎に「番組の1コーナー、お前にやるよ」と言い出します。あくまで、つばさを引き抜いたお礼として、との事ですが…

☆相方こそ一番のライバル

「僕はお断わりです!」

さて、また手前味噌になりますが、私が監督としてデビューした時、同じ大阪のインディーズで活動してたT監督も同時期にデビューされました(これ、読んでます? またネタにしてゴメンナサイ)。

時期だけじゃなくて、最初にオファーを受けた作品では二人で共同監督、次に受けたオムニバス映画では偶然にも新人枠の二つに彼と私が選ばれ、お互いの監督作にスタッフとして参加。ほとんど相方と言える関係だったんです。

で、監督としては泣かず飛ばずの私は脚本家に転向し、やがて脱落。その一方でTさんは、監督として着実に作品を重ね、現在も活躍中です。

私は業界にかじり付いて生きる道よりも、普通の仕事で地道に生きる事を選択し、それを後悔はしてません。やるだけやって、自分の限界を知った上で下した結論だから。

でも、元相方みたいな存在のT監督が活躍するのを見て嫉妬を感じなくなるまでには、かなりの時間を要しました。そこはやっぱり、私も男ですから、同じスタートを切った相手の背中が遠ざかって行くのを見るのは、悔しいって言うより、切なかったです。

T監督は気を遣う人ですから、一郎みたいに上から物を言うような真似はされませんが、もしこうして私が情けをかけられたとしたら、やっぱり素直には受けられないだろうと思います。

だから、二郎の気持ちはよーく解るし、逆に一郎の立場になって考えたら、わざと高飛車な態度を取る気持ちも理解出来ます。それこそが一郎の優しさなのでしょう。

☆素直になれなくて
一郎の誘いを断った二郎に対して憤るつばさに、慢心を感じた翔太は、ぽてとリスナーからの投書の件を彼女に教えます。

それは、つばさの声が聴けないと調子が狂って、趣味の折り鶴がはかどらない、といった内容の、いわばファンレターなのでした。

二郎が一郎の依頼を断ったのは、つばさが引き抜かれたら、誰かがその後を継いで、この手紙の主みたいなリスナーをガッカリさせないようにしなければ、っていう想いもあったようです。

甘玉堂に帰れば、竹雄が初心に戻って甘玉を一つ一つ、真心をこめて作ってる。自分にとって本当に大切なものは何か? つばさは、結論を出します。

☆やっと見つけた、やりたいこと
それは、リスナーのささやかな生活、当たり前の毎日に寄り添って行く主婦のような、ラジオぽてとの「おかん」になること。そう言ってつばさは、一郎の依頼を断ります。

チャンスをみすみす逃す不器用さに元相方の姿を重ねたのか、思わずつばさに対して声を荒げる一郎。その一郎に「いい加減にしろ!」と詰め寄る二郎。二人の言い争いはやがて、息ピッタリの漫才みたいになって、気がつけば楽しんでる自分にハッとする、元漫才コンビw(涙)

「僕は埋もれてるなんて思ってない。僕のやりたい事は此処にある。だから僕は、ずっと此処でやって行く」

堂々と言い切った元相方に、「洒落で言ったのに本気にしたのかよ? お前には此処が似合ってら」と憎まれ口を言って出ていく一郎。

一郎は、本当はつばさが欲しかったワケじゃなくて、二郎ともう一度やり直す為にスカウトに来た。さっきの掛け合いを見てそれを見抜いたつばさは、一郎の後を追って言います。

「どうして素直に、本当のこと言わなかったんですか?」

「…いいんだよ。空気読むのが商売だから」

それはつまり、二郎の居場所がちゃんと此処にあるって事を、彼は察したのですよね。

更につばさは、真瀬が東京まで売り込みに行ったのは、実は二郎を何とかしてあげたかったからだって事も見抜いちゃいます。どいつもこいつも、どこまで優しいんだ!(笑)

今回、手前味噌な話と平行しながらレビューを書いてて、自分が如何に小さい人間であるかを思い知らされましたよ、まったくw みんな素直になれないのは、優し過ぎるからなんですよね。嫉妬や意地だけじゃないんです。

しかし、度を過ぎた優しさが、悲劇を生む時もある。つばさから激励の折り鶴を受け取った、翔太の乳首がまた震えます。やばいぞ乳首、噴火寸前!(笑)

PS. 自分と重なる部分が多々あるこの週は、号泣というより、終始しんみりと泣かされた感じです。

ちなみに今の私にとっては、このブログが、二郎にとってのラジオぽてとみたいな存在です。

『つばさ』16 (前)

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上の画像を御覧下さい。この翔太の形相に、『嵐の中で』と題された第16週の内容が、全て集約されてると思います。

様々な悲劇が描かれてる『つばさ』全体を見渡しても、今回の乳首を超える悲劇は無いんじゃないですか? 今回ばかりはもう、乳首が不憫で不憫でたまりません。

だから上の画像を見ると涙が出そうになるんだけど、同時にちょっと、笑いもこみ上げちゃいますw 口、そこまで開けんでも!(笑)

今回は久々に、前後編に分けてレビューさせて頂きますm(__)m

☆愛情が足りてない
加乃子の手抜きによって生まれた、まずーい糠漬けに、玉木家一同からブーイング。

子育てにも似た気遣いが必要な糠漬けを失敗した加乃子に、「あなたには愛情が足りないんです」と言う千代さん。カチンと来た加乃子は「だったら母さん作れば?」と反撃、売り言葉に買い言葉で、千代さんは「これぞ玉木家という糠漬け、私が作ってあげます!」と宣言しちゃいます。

仕事に遅刻しそうになったつばさが河川敷を駆け抜けますが、この「多部ちゃん走り」はいつ見ても惚れ惚れしますね!

女優さんでこれだけ華麗な走りが出来る人は、なかなかいないんじゃないかと思います。本当に速そうで、そんな多部ちゃんが今、『デカワンコ』スペシャルで超鈍足なワンコをまた演じてると思うと、可笑しいですねw

そのつばさの走りを今回、わざわざ車で並走しての移動撮影。走る事にさほど意味のある場面じゃないですから、スタッフさん達も多部ちゃん走りを視聴者に、じっくり観てもらいたかったんじゃないでしょうか?

☆嵐の予感
さて、埼玉に台風が接近中で、何やら胸騒ぎがする様子の、つばさ。そう、この週はつばさ、翔太、真瀬に大きな嵐が吹き荒れるのですが、徐々に近づく台風の描写とのリンクが憎たらしいほど絶妙で、観ててドキドキさせられます。

その台風接近の描写が、木の揺らしや効果音、報道アナウンス等の定番メニューだけに止まらず、川越のジオラマを駆使した、まるで特撮映画みたいな演出がされてるのが、オンリー・ワン『つばさ』で素晴らしいですね!

その効果もあって第16週は、約90分の映画を観てるみたいな大作感がありました。『台風クラブ』なんかを思い出させます。

なお、ラジオぽてとの伸子さん母子に、青森から便りが届きます。別居中の旦那からの物ですが、その手紙と、添えられた写真がA0サイズはあろうかというジャンボさwなのに、誰もツッコミを入れない(笑)。

そこが、私が『つばさ』に惹かれる要因の一つになってると思います。昨今のドラマは大抵、そこで誰かに「でかっ!」なんてツッコミを入れさせる。「ここはツッコミどころですよ」って解説しちゃうんですよね。

言われんでも分かっとるわ、馬鹿にすな!っちゅー話です。そういう下世話な姿勢が、視聴者から感性を奪ってるんですよね。どこで笑うか、どうツッコミを入れるかを、視聴者自身に任せてくれる『つばさ』の姿勢が大好きです。

☆気になる竹雄さん
「ここんとこ、ずっとメイン取ってないから」と公私混同な発言をしながら(笑)、一家の大黒柱として防災に張り切る竹雄さんですが、ことごとく空回りしちゃいます。

ここ数週、そんな竹雄の空回りが毎回描かれており、私は先に総集編を観てるから、それが後に起こる失踪騒ぎの前振りである事が分かるのですが、普通に観てたら単なるギャグとしか思わないですよね。

ちょっと執拗なほどに用意周到な『つばさ』作劇ですが、今週起こる大悲劇もまた、かなり前から周到に蒔かれた種が絶大な効果を生み、結果、上の画像の顔です(笑)。

なお、竹雄さんの場面で、つばさは「かなづち」である事が示唆されます。勿論これも、悲劇へと繋がる重要な伏線です。

☆乳首の父
私の携帯は、「ち」の文字を打つと真っ先に「乳首」と変換されます(笑)。

さて今週、目蓋の母ならぬ乳首の父が登場しますが、その前に山本未來さん扮する横矢みちるが、蹴つまずきながら再登場します。真瀬の亡くなった奥さんの親友です。

第9週でつばさが示した「ラジオの力」に感化され、辞めるつもりだったキャスター業に再び本腰を入れ、ホームレスを取材してる内に辿り着いたのが、なんと行方不明だった翔太の父・福原(永島敏行)なのでした。

そうとは知らずにみちるが見せたホームレス=福原の写真を見て、普段から20%は開いてる翔太の口が、さらに30%まで開いてしまいます。

福原は、家庭を顧みない仕事人間だったがゆえに、翔太と遊んでやる事もせず、会社が傾くと妻の佐知江に八つ当りするようになり、最終的に離婚しちゃったのでした。

「結婚したのも、子供を作ったのも間違いだった」

福原が佐知江に言ったその言葉が、翔太にとっては決定的だったようです。翔太は、父を憎んでます。

思えば、真瀬も仕事人間であるがゆえに家庭を壊してしまった男です。父と似た真瀬が、翔太にとって恋のライバルになっちゃう。皮肉な運命です。

☆みちるの告白
恋のライバルと言えば、みちるにとっては、つばさがそうなります。みちるは、真瀬が結婚する前から彼を好きであった事をつばさに告白し、わざわざつばさに聞こえるように(?)真瀬本人にも愛を告白しちゃいます。

この時、何故みちるが、真瀬に「優花ちゃんの母親になる覚悟だってある」とまで、あえてつばさの前で言ったのか、私はイマイチ解ってませんでした。ある勘違いをしてたんです。

☆父親の本音
河川敷にある福原の住む小屋を、別れた妻・佐知江が訪ねます。仕事でしか自分の存在価値を示せなかった福原は、家族への接し方が分からなかった。

離婚が決まって「正直、ホッとしてる自分がいた」という福原の本音は、『家政婦のミタ』でも見られるように、もしかしたら多くの父親の本音なのかも知れません。

その会話を、得意の立ち聞きで(笑)聞いちゃうつばさ。佐知江はつばさに、翔太の不器用さは福原と自分を見て育った影響だと語ります。そして福原自身も、父親に遊んでもらった事が無い子供だった。

「子供って、ほんと親を受け継いじゃう。長所も短所も」

まったく、その通りだと思います。そして、福原から受け継いだ翔太の不器用さが、つばさを傷つけ、苦しめる事になる、これはその予言なのでしょうか。既に充分、苦しめられてますけどw まぁ一般的にも、恋は苦しいもんですよね?(今週だけは、乳首にも優しくしてあげますw)

☆人と人を繋げたい
つばさは、二度と親父には会いたくないと言う翔太に、たった一人の父親なんだから繋がってて欲しい、と訴えます。

「俺は絶対、親父みたいになりたくない。愛する人を傷つけたり… そんな事、絶対したくないから」

血は争えないな、乳首よ(笑)。福原さんの口は半開きじゃないけれどw(でも永島さんは小柳くんと似てますよね、顔の作りが)

二人の会話を聞いていたみちるは、つばさが去った後、「つくづく不思議な子よねぇ、つばさちゃんは」と、ジャーナリストならではの鋭い分析を翔太に聞かせます。

「ま、悪く言えば欝陶しいじゃない?」

お節介だけど、その行為には自分を良く見せたい下心みたいなものが微塵も無いから、決して憎めない。

そんなつばさは、真瀬をぞっこん愛した亡き妻・千波に似てる、というみちるの言葉に、翔太の口が40%まで開きます。薄々気づいてた翔太は「知ってたんですか? 真瀬さんの気持ち」と思わず言っちゃう。

この時、明らかに動揺したみちるの口が、20%ほど開きます。私はてっきり、みちるはとっくに気づいてるものと思ってたんですが、彼女は勘違いしてたんですね!

みちるは、千波と同じ様に、つばさの方が真瀬に惚れてると思ってた。で、千波の時は親友の想いを優先して、自分は身を引いちゃった。同じ事を繰り返したくなくて、みちるは焦ってたんですね。

だからわざわざ、つばさの前で真瀬に告白したワケです。これは完全にミスリードでした(私だけ?)。

また、新たなさざ波が起きました。翔太の乳首も震えが止まりません。いよいよ、嵐がやって来ます… (悲劇へと続く)

『つばさ』16 (後)

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☆前回までのあらすじ
翔太の口は、40%まで開いています。

☆停電
台風直撃により、川越地区は大規模な停電に見舞われ、災害放送でラジオぽてとが本領を発揮し始めます。

玉木家では、自家発電(加乃子のダイエット器具w)による灯りの中で食事タイムですが、千代さんが愛をこめて作った筈の糠漬けが、なんと大失敗作! 老舗のお嬢様として大事に育てられた千代さんは、加乃子以上に家事が出来ない人だったのです。

「自分がちゃんとやって来なかった事の裏返しよね」と言う加乃子は、母・千代を皮肉りたいのではなく、共感出来て何だか嬉しそうに見えます。

でも千代さんは、娘を自分と同じに育てたくはなかった。「あなたをそんな風に育ててしまった、私自身が許せないのです」

夫・梅吉さんの件でもそうでしたが、千代さんは誰かを責めてるように見えて、実はいつも自分自身を責めちゃう人なんですよね。

孫であり娘でもある、つばさに支えられて来た、似たもの母娘。「相手の方が間違ってるって、角突き合わせるフリをして、本当はどうしょうもなくお互いを必要としてるのよね」と、加乃子。

甘玉母娘の確執が雪解けの兆しを見せる一方、乳首父子にも雪解けはあるのでしょうか? 乳首の父も今、誰よりも自分自身を責め、自分自身に絶望しているのです。何しろ彼は、一人相撲チャンピオンの父親なんだから…

☆乳首の震えが止まらない
緊急事態の中、さすがに冷静さを欠く真瀬の指示を、しっかり受けとめて的確な仕事ぶりを見せる、つばさ。

「あの二人、見事なコンビネーションよね」と翔太に耳打ちする、いやらしいみちる(笑)。そんなみちる自身も動揺してるワケだけど、翔太は今にも乳首がはち切れそうです(悲)。

でも、人と人を繋げたいという強い願いが、今のつばさを突き動かしてる。そんなつばさを見て、翔太の心にも変化が起こり始めます。

つばさは、翔太が福原と… つまり、乳首が乳首の父と繋がり合う事を、誰よりも願ってくれている…

その父が住む河川敷が、増水により避難区域に指定され、翔太の口がいよいよ50%まで開きます。いろんな意味で、危険ですw

「行って、お願い!」

DJブースの中から、唇の動きだけで翔太に懇願するつばさ。翔太は、嵐の中へ飛び出して行きます。

☆嵐の中で…
案の定、福原の小屋は川の真ん中まで流されてました。夢中で川に飛び込む翔太。親と子は、例え憎くても、どうしょうもなくお互いを必要としているのか…?

翔太が小屋に辿り着くと、父はなんと水にプカプカ浮かびながら、呑んだくれてました。さすがマスター・オブ・ザ・一人相撲!w 「親父!?」翔太の口が、60%まで開きます。

「ふざけるな! 俺が此処にいるのは、親父のせいだろ!!」

自暴自棄になってる乳首の父に、乳首が叫びます。私はこの台詞の言わんとする意味が、咄嗟にはよく解らなかったのですが、サントラさんの想いを代弁した翔太の叫びが、これだという事はすぐに判りました。

自分の存在価値を否定してる父親に、だったら俺の存在も無意味なのか!?と乳首は言ってるんだけど、「あんたのお陰で」とは絶対に言いたくないし、思ってもいないから自然と「あんたのせいで」になった、って事ですよね?>サントラさん

さらに私の解釈を加えると、翔太は自分自身の一人相撲な(愛する人を傷つけるような)性質を心底から憎んでる。父は、そんな自分の欠点が形になって目の前にいるような存在である、と。

加乃子は、母が自分を写す鏡であった事を喜びましたが、翔太にとっては死んでも認めたくない、けれど死ななきゃ消せない「受け継いだ血」の呪縛… というような事なんでしょうか?

奇しくも昨夜放映された『妖怪人間ベム』第7話も、父と息子の確執がテーマになってました。妻子に暴力を振るい、怪我をした幼い息子に「面倒くせぇ」と言い放ち、そのまま出て行った父親の役を、なんと佐戸井けん太さんが演じてました(笑)。

人間を一切信じなくなった息子は「裏切られる前に裏切れ」を信条に犯罪の道へと走り、ベム達と対決する事になります。

TVドラマは、時代を写す鏡です。現実にそんな未成熟な親が無責任に子供を作り、愛を知らない人間を増やして、やがて人類は破滅する…

っていうのが私の未来観だけど、昨夜の『ベム』は「それでも、人間(の善)に期待したい」と結ばれてました。それこそが番組のテーマなんでしょう。

確かに、未成熟な父親に育てられたって、ちゃんと『つばさ』に共感する優しい心を持った、大人の男に成長された方もおられるんですよね。

それはお母さんのお陰だったかも知れないし、本来、人間が持つ善の心の、強さなのかも知れません。人間は決して、捨てたもんじゃない。私もそう思いたいです。でも、やっぱ破滅なんですw

☆乳首、陥没!
憎いけど見捨てられない父を抱え、あと少しで川岸に辿り着こうという瞬間、翔太の口が70%まで開きます。そう、翔太はまだ、リハビリ中の身体だったんです。やっと治りかけてた、脚の靱帯が!(悲)

さらに、駆けつけたつばさが、お揃いで買った翔太のペンダントを拾おうとして突風に煽られ、川に転落! つばさは、かなづちなのです。

「助けて! 翔太!!」

翔太の口が、80%まで開きます。助けたくても、脚の激痛で動けない!(悲) ここで飛び込んでも、80%まで開いた口から水を呑み込み、自分が溺れ死ぬだけなのが目に見えている!(悲) と、その時!

「イモーっ!!」

硬直した乳首を尻目に、颯爽と川に飛び込んだのは、恋のライバル・真瀬! それを見て、翔太の口が一気に100%全開になります。その瞬間を見事に捉えたのが、上の画像(悲)。

「つばさ! 俺から絶対離れるなよ!!」

初めて真瀬が、つばさの名前を呼び、つばさは夢中で抱きつきます。つばさと真瀬の熱い熱い抱擁を、川岸から見学する翔太(悲!)。

やがて川岸に辿り着いた二人は、必死に手を差し伸べる翔太の横を、素通りして行きます(悲!!)。

気を失いかけてるつばさに、真瀬が人口呼吸するのを、背後で見学する翔太(悲!!!)

意識を取り戻したつばさと真瀬が再び、熱ーく抱擁するのを、背後で見学する翔太(悲悲悲!!!)。

翔太との愛の象徴であるペンダントが、つばさの手からポロリと地面へ…(悲悲悲悲悲悲悲〜っ!!!!)

どうですかっ、この、連鎖する悲劇、たたみかける悲劇のオンパレードは!? どうすれば翔太が悲惨になるか、スタッフ全員で考えに考えたシチュエーションを全部詰め込んだような、まるで悲劇の総合カタログです(悲)。

自分のダークサイドの根源となる人物を命懸けで助けた代償が、これですよ? 完全に脱力した翔太の口は、だいたい50%位の開き具合に戻ってました。

その一部始終を見ていた、みちるにとっても、これは悲劇です。歴史はまた、繰り返されるのか?

☆台風一過
つばさは無傷で助かり、真瀬は一躍ヒーローとして皆から喝采を浴びます。それを隅っこで見学する翔太(悲)。

「よかったな、つばさ」

それが、翔太から言える唯一の台詞です(悲)。でも翔太は、ただの乳首じゃなかったですね。ただのモミアゲでもなければ、半開きでもない。

彼は、つばさを助けてあげられなかった自分に関して、一言も言い訳をしませんでした。それどころか、靱帯損傷、全治2カ月という事実すら、つばさに言わないんです。

私だったら、言い訳はしないとしても、怪我の事実だけは告げて、そのせいで助けられなかった事に気づいてもらうのを期待しそうです。ホント生まれてすいませんm(__)m

乳首の父は、一から出直す為に東北へと旅立ちました。えっ、東北? 伸子さんの旦那が、やはり一から出直す為に青森にいますけど… このダメ親父二人が、同じ現場で働いたりする可能性も有りですか?

☆真瀬の告白

「ずっとそばにいて! 優花のお母さんになって!」
つばさを心配してた優花が、泣きながらつばさに訴えます。優花もまた、父・真瀬の想いに気づいてるのです。

「俺はあいつを失いたくない。俺は玉木つばさを愛してる」

巧みな誘導尋問(?)で、真瀬に本音を吐かせたみちる。DJブースという密室内って事で油断してた真瀬ですが、なんとみちるが、こっそりスピーカーのスイッチを入れていた! そう、ブースの外側にいた、つばさに聞かせる為に…

みちるは何故、そんな事をしたのか? 波乱を起こす事でライバルを蹴落とす目的と考えられなくもないけど、かつて親友の為に自分の愛を呑み込んだ人です。真瀬のラジオ開局に強く反対したのも、彼を自責の念から解放してやりたいってのが本当の理由でした。

どうせ、つばさ本人の前じゃ素直になれないであろう真瀬の想いを、自分の言葉で伝えさせる唯一の方法が、これだったんですね、きっと。

自分の幸せよりも、好きな人の幸せを本能的に優先しないではいられない、究極の優しさを持った女性… それが、横矢みちるの正体なのでしょう、きっと。

PS. 次週、つばさの優しさ、そして翔太の優しさが生む新たな悲劇が、今度はつばさを襲う模様です。

予告編にあった「そろそろ殻を破りなよ。お嬢ちゃん」っていう秀樹の台詞(声のみ)に、なぜか涙がこみあげて来ました。

『蜜の味』#05#06#07#08

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まだ観てます(笑)。中盤まで観ちゃったら、よほどつまんない限り、途中でやめるのはちょっと後味が悪い。yamarineさんの分までw、このドラマは私が見届けたいと思います。

でも、yamarineさんが第5話でサジを投げられたお気持ちも、なんとなく解るんです。ドロドロの三角関係、狭い世界の中で展開する人間模様から脱皮する気配は無く、堂堂巡りなんですよね。

描かれるのはやっぱり、女の怖さと男の愚かさ。駄目なのはいつでも男。現実に女は怖くて男は馬鹿だから、仕方ないんだけど。

私が期待した「壊れゆく榮倉奈々」もどうやら観られず、菅野美穂さんがどんどん画像みたいな顔になって行くだけ。意外性、無さ過ぎ…

菅野さんの正体を知って完全に愛が冷めたARATAくんは、第4話で降って湧いた留学話に飛びつき、海外へと逃げちゃいました。

日本を発つ前夜、どうせ明日は海外だしヤリ逃げしちゃお!って思ったかどうか知らないけど、ARATAくんは姪の奈々ちゃんにとうとう接吻、病院からの緊急呼び出しさえ無ければ、そのままセックスしそうな勢いでした。セックスしそうになったんです。セックスをです。

そして、あっという間に8年が過ぎて…

ARATAくんは未だ海外。8年の間にすっかり冷静になった菅野さんは、ARATAくんとの離婚に同意する覚悟を決めました。

一方、立派な女医に成長した奈々ちゃんは、学生時代から想いを寄せてくれてたハンサムくん(溝端淳平)と婚約中です。面倒臭いから彼のことは今後、乳首と呼びます(笑)。

で、中国からの留学生で奈々ちゃんと同期だった木村文乃ちゃんは、妻帯者の医師と不倫中。

この辺りの描写で、私もかなり萎えました。結局、狭い世界で身近な相手と安易にくっついてる感じが、生々しくて厭やなぁとw あんまり見たくないリアルさじゃないですか?

で、升毅さんと佐野史郎さんの『デカワンコ』上司コンビが医局長のポストを争ってて、奈々ちゃんが升さんの、菅野さんが佐野さんの派閥に所属してます。

で、升さんが厄介な病気を患い、医局長選挙が目前なもんで極秘に手術しなくちゃいけない。そこで、海外でメキメキ腕を上げたARATAくんが呼び戻される事になる。

Mr.オクレみたいな髪型になって8年振りに帰って来たARATAくんは、すっかり穏やかになった菅野さんと離婚の話を円満に進めるのですが…

選挙直前ゆえに絶対極秘の手術に、ARATAくんの助手として奈々ちゃんが選ばれちゃったもんだから、色んな焼けぼっくりに火が点いちゃう。

地方出張を偽って都内にいるARATAくんと奈々ちゃんが佐野さん派閥の同僚に目撃されてしまい、それが菅野さんと乳首の耳に入っちゃう。

奈々ちゃんは絶対極秘の令に従って、同棲してる乳首に対しても地方出張と嘘をついてた。でも本来、同棲相手にまで秘密にする必要は無かったんです。

奈々ちゃんが嘘をついたのは、ARATAくんと一緒の任務である事に後ろめたさがあったから。そう、奈々ちゃんは今でも、ARATAくんを愛してるのです。

実際には一緒に任務を果たしただけ。でも、心は繋がってる。セックスの繋がりであった方が、裏切られた側にとってはまだマシだったかも知れません。セックスの繋がりの方がです。セックスのです。

菅野さんは、捺印済みで後は提出するだけだった、離婚届けを破り捨てます。画像は、その直後の顔です。

乳首は、優しく爽やかなナイスガイだった筈なのに、気がつけば乳首の震えが止まりません。

奈々ちゃんを責め、怒鳴りつけ、別れを宣告するも、奈々ちゃんが同意すると笑顔で撤回するという、『つばさ』の乳首とは大違いなモラトリアムぶりを露呈します。

そして先週放映の第8話。乳首は菅野さんの部屋を訪ねます。

「私達に勝ち目は無いわ。(叔父と姪という)決してゴールが許されない関係だからこそ、あの二人の愛に終わりは来ないのよ」

そんな事を言って涙を流す菅野さんを抱き寄せ、接吻する乳首。…おいっ!(笑) なんだか、若かりし頃の佐野さん=冬彦さんのドラマみたいになって来ちゃいました。

負け犬どうし結託した二人は、ARATAくんの下で奈々ちゃんが受け持つ患者の、投薬に細工をする等して、この純愛カップルと、ついでに升さん派閥を崩壊に追い込む作戦を開始するのでした。

いやぁーまったく、ドロドロですな!(笑) でも、私はどうやら、こういうの嫌いじゃないみたいですw けっこう楽しんでます。

まぁ、誰がどうなろうと構わないけど、どんな着地をして見せるのか、最後まで見届けるつもりです。…たぶんw

PS. 『蜜の味』を観終わってCSチャンネルを点けたら、『女帝』という何年か前の連ドラをやってました。

加藤ローサちゃん扮する銀座のホステスが、色んな人を利用して裏工作しまくって頂点にのし上がって行く、ドロドロのドラマでした(笑)。女性はこういうの好きなんでしょうかねぇ?

「今から私はこの女を罠にかけて、奈落の底に突き落としてやるわ!」とか、ご丁寧に全部モノローグで解説してくれたりして、視聴者を馬鹿にしてるったらないですw 数年前まで、こんなレベルのドラマがはびこってたんでしょうね、きっと。

それに比べれば、今のドラマはかなり復調し、レベルアップしてるんじゃないでしょうか?

『つばさ』17 (前)

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情けは人の為ならず… いつも誰かと誰かを繋げる為に一生懸命だった、つばさが深く傷ついた時、今度は周りの人達が一生懸命になって、彼女を救うにはどうすればいいのかを考える。何よりそれが感動的な第17週でした。

唯一、恩を仇で返したのが、乳首。と言うより、乳首に流れる「一人相撲グランドマスター」の血ですね。乳首が素直に最初からつばさに甘えていれば、こんな悲劇は起こらなかった筈です。

だから今週、翔太はいよいよ「乳首」から「乳毛」に格下げ、場合によっちゃ、一気に「ち○毛」まで成り下がるかも知れません。下ネタが大嫌いな私に、そんな下品なことを書かせないで欲しいのですが、悪いのは私じゃなくて、乳首ですから。

…とまぁ、ご好評を頂いた(?)乳首いじりでウケを狙うのも、今週はこれ位にしときます。つばさの悲劇は乳首のと違って、いじるのは心が痛んじゃうもので…

☆新キャラ登場
みちるに誘導され、つばさへの想いを吐露しちゃった真瀬。それをつばさ本人ばかりか、ラジオぽてとのメンバー全員が整列して(笑)聞いてたというオチがつきました。

「あなたみたいな子を好きって言われても、私は変われない。もう、去るしか無いわね」

淋しそうに笑って、みちるは退場します。で、彼女に代わって?新たなセレブ女性キャラが登場しました。

「あーら、こちらは物置かしら?」

みちるも最初、そんなこと言いながら登場しませんでしたっけ?w 町内会の前会長で女社長の城之内房子(冨士眞奈美)がその新キャラですが、高飛車に見えて実は誰より優しかったみちるとは、もしかしたら正反対な曲者かも知れません。

現会長の鈴本スーパー社長も頭が上がらない権力者ゆえに、味方になれば心強い反面、敵に回したらこれほど厄介な相手はいません。

今のところ、つばさの放送がお気に入りって事で、強力なスポンサーになってくれそうなのですが…

☆「こえど」で女子会
つばさを囲み、ボインボイ〜ンな麻子さんと、脚の細さでROLLYを凌駕する万里が女子会です。真瀬の事で翔太があらぬ誤解をしてる可能性と、真瀬や優花を傷つけるのを恐れるつばさを、二人は心配します。

「恋愛は、誰かが幸せになったら、誰かが傷つくものなんだよ」

そう言う万里も、怪物乳首に傷つけられた多数の被害者の一人なんですが、だからこそ、二人には幸せになって欲しいのです。

「恋する時は、二十歳のおかんじゃなくて、乙女にならなきゃ」

そう、今週のサブタイトルは『さよなら、おかん』。つばさは「二十歳のおかん」という殻を破らないかぎり、自由には羽ばたけないのです。

☆すごいぞ知秋!
万里と麻子に励まされ、夜遅い時間なのに、翔太の部屋を訪ねると連絡して来たつばさに、玉木家一同は賛否両論で揺れますが、知秋だけは悠然としてます。

「お姉ちゃんは、家族を心配させるような事は出来ないからね。だから、いつまで経ってもおかんを卒業出来ないんだよ」

知秋の言葉に、父、母、祖母はハッとさせられます。つばさを「おかん」にさせてしまった犯人は、この人達ですからw

今週、何げに知秋が凄いんです。誰よりもつばさを理解してるのは、この少年なのかも知れません。

それに比べて、乳首はよ…(笑)。でも、それも無理からぬ事です。宮崎のチーム監督から電話で「いつまでもチームが待ってくれると思うなよ」って、ほぼクビと同然の通告を受けてしまったのだから。

そうとも知らず、真瀬との件での誤解を解きに来たつばさを、「一人にしてくれ」と追い返してしまう、乳首。気持ちは解るけど、この時に乳首がありのままを話してたら、悲劇は生まれなかったかも知れません。

つくづく、この男の「一人相撲」は殺傷能力バツグンのリーサル・ウェポンですよね。とんでもない血を受け継いでしまったものです。乳首怪獣モミアゲ出現!w(やっぱイジっちゃうんですよね、どうしてもw)

この男の頭皮がヒクヒク動きだしたら、危険信号です(笑)。速やかに避難しなければなりません。

☆翔太の頭皮が動くとき
新コーナー第1回のゲストに新スポンサーをお迎えしようって事で、房子様の豪邸で打ち合せをする真瀬とつばさ。

房子様の「イモはお好きですか?」って問い掛けから始まる、二人のドタバタ・ラブコメ劇場が実に楽しくて、どんどん重苦しくなる一方の乳首とつばさの関係とは、まったく好対照です。

房子様の仰るとおり、真瀬とつばさはどう見ても「息ピッタリ」で、つばさは怪獣の世話で苦労するより、真瀬とくっついた方がよっぽど幸せになれると思うのですが… 男と女ってのは、つくづく厄介なもんです。

その厄介な乳首怪獣が、本格的に暴れだすきっかけを与えてしまったのは、またもや竹雄さんでした。場所も再び「こえど」です。

翔太を呼び出した竹雄は、ずっと抵抗を感じてた二人の交際(引いては結婚)を、これからは応援する事にする、と言いだします。

「つばさが、おかんを卒業出来るなら、父親として誇らしく送り出そうって、決めたんだ」

ヒク、ヒクヒクヒクッ! 非常にやばい動きを見せる、翔太の頭皮。元より頭皮もへったくれも無い竹雄さんは勿論、翔太の靱帯損傷を知りません。知ってたら言わなかった筈です。乳首はこの期に及んでも尚、一人相撲をやめません。非常に危険です。

☆火を吹く怪獣
さらに加乃子が、翔太の部屋を新婚カップルの寝室みたいに模様替えし、そこでつばさが手料理を作って待ってたもんだから、翔太の頭皮は乳首と連動し、激しくバイブします。

つばさは病院の診断書を見つけて、ようやく現実を知らされました。

「もう、プロとしてやって行けないかも知れない」と言って落ち込む翔太を、なんとか元気づけようとして、一生懸命に励ますつばさ。「せっかく掴んだ夢なんだから、もう一度頑張ろうよ! 私も一緒に頑張るから」

「もういいよっ!」…ついに怪獣が、火を吹いてしまいます。翔太は初めて、つばさに対して「キレた」のでした。

「サッカーやってなきゃ駄目か? ガッカリしたか? 見損なったか? 諦めるなとか頑張れとか、簡単に言うなよ!!」

動揺し、焦ったつばさは、かえって火に油を注いじゃいます。「私に出来る事があったら、何でも言って? 翔太を支える為だったら私、ラジオぽてと辞めてもいいから!」

「そんなこと頼んでない! 俺の為に、仕事捨てるなんて言うなよ!!」

どうやら、一人相撲チャンピオンには一番言ってはいけない事を言っちゃったようです。つばさの手料理も食わず、怪獣は町へと飛び出して行きました。

一人残されたつばさは、茫然と立ち尽くすしかありません。おかんと言っても、実際は弱冠20歳の小娘です。今まで生きて来て、こんな事でキレる人間を見たのは初めてでしょうし、こんな事で愛が終わるとは夢にも思わなかった事でしょう。

でも今回ばかりは、怪獣の気持ちも少しだけ解る気がします。私が映像業界から身を引いて田舎に戻った時、多くの同級生から「なんで帰って来たの?(せっかくデビューしたのに)勿体ない」みたいな事を言われました。

そう言いたくなる気持ちは解るけど、誰より無念なのは私なんだし、でも自分なりに気持ちの整理をつけて、前向きな選択をしたつもりだったんです。そう説明しても、なかなか解って貰えなかった。

私の経験した事は、私にしか解らない。だから、解って貰えないのは仕方ないけど、解らないならせめて、黙っててくれるかな?って、言いたかったです。

だから私自身も立派な一人相撲レスラーではあるんだけど、乳首レスラーほど優しくもなければストイックでもないですから、そういう相手とは二度と絡まないっていう方法で、円満解決?しましたけれど。

「あんたはよく頑張った。サッカーだけが人生じゃないよ」

母・佐知江の、この言葉が今の翔太は聞きたかった。甘ったれてるのかも知れないけど、私も同感です。そう言ってくれた人は、一人もいなかったですね。

佐知江は、つばさにも「今は、黙って待ってて欲しいの」と忠告しますが、もし別れるにしても、頭皮を震わせて怒鳴られたまま終わるのは、つばさもそりゃあ嫌でしょう。今回はどっちの気持ちも解るだけに、とてもツライ展開ですね。

「(落ち込んでる時は)仕事に救われる事って、あるのよね」という伸子の言葉を聞いて真瀬は、落ち込むつばさにどんどん仕事を振ってやります。

しかし今回は、そんな真瀬の優しささえも裏目に出ちゃいます。つばさが担当した房子様へのインタビュー中継の仕事が、つばさを奈落の底まで突き落とす結果を招いてしまうんです。

☆殻を破るとき
「いつも助けてもらってばかりだけど、僕だって少しは力になれるんだから」と天使みたいに微笑む弟・知秋。「此処が、あなたの家ですからね」と静かに語り掛ける祖母・千代。「(翔太は)帰って来るわよ、帰る場所があるから出て行ったんだから」と自分の事と重ねて言う母・加乃子。「たまには僕たちにも心配させてよ」と言って甘玉を差し出す父・竹雄。本当に、いい家族だ…

そして1週間後、大家さんの秀樹が、翔太の荷物を引き取りに来ます。怪獣の潜伏先を聞き出そうとするつばさに「さすがカノンの娘、いい度胸だな。だが、愛の結末には責任持てないぜ」と、なぜか何でも知ってる秀樹w

「ま、堕ちる所まで堕ちたら、どん底を蹴って飛び立てばいい。カノンのように」

↑これがhyoutanさんの仰る、『つばさ』そのものを象徴する台詞ですね?

「そろそろ自分の殻を破る時だ。お嬢ちゃん」

そう言って秀樹は、怪獣が眠る東京のビジネスホテルを教えるのでした。

誰からも愛されて来たつばさが、恐らく生まれて初めて、自分の在り方を全否定されてしまう瞬間が今、目の前に迫ってます。

でも秀樹は、あえて試練を与えたのでしょう。つばさが殻を破って、いつか大空へと羽ばたく為に、どうしても乗り越えないといけない試練を…

(つづく)

『つばさ』17 (後)

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☆さよなら、ちくび

「別れてくれ」

はるばる埼玉から訪ねて来たつばさに、理由も告げず、いきなりビーンボールを投げつける、卑怯な翔太、ヘタレ、もみあげ、半開き、乳首、頭皮、レスラー、チャンピオン、怪物、怪獣、乳毛、ち○毛、鼻くそ。

「何があっても、私の気持ちは変わらないから。翔太が好きだから、一番大切な人だから… そばにいて、支えたいの。その為なら、全てを捨ててもいい」

やはりつばさには、一人相撲界のしきたりが理解出来てませんでした。怪獣の為に自分を犠牲にする。怪獣は、それこそが何より怖いんです。

「そういうつばさがプレッシャーなんだ。欝陶しいんだ。別れてくれ。おかんみたいなつばさが、重くなったんだ!」

あの雨の日と同じです。「俺の言った事は忘れてくれ!」の時と。母の言葉、加乃子のお節介、竹雄さんの駄目押し… あの時と、ほとんど同じ流れです。

結局、モミアゲはモミアゲのまま、あれから成長の気配なし… 今回は情状酌量の余地があるとは言え、この男の人生、先行きが心配になっちゃいます。

秀樹の予告どおり、翔太との愛は終わりました。彼の為にと思ってやって来た事が、逆に彼を追い詰めてしまった。つばさは、悩んでる人を放っておけない性格です。私は単純に、あまりに相性の悪い相手とつき合っちゃっただけ、のような気もするのですが(笑)。

でも、たかが失恋とは言え、人の世話を焼く性質を否定されたつばさは、自分のアイデンティティー、生き方そのものを全否定されたも同然なんでしょう。しかも、一番大切に思ってた相手から。

それは、かつて加乃子が味わったどん底と同じかも知れません。加乃子もまた、それまでの生き方を母・千代に全否定された事がきっかけで、家を出たのです。どん底を蹴って、飛び立つ為に…

☆多部未華子の真骨頂
完膚無きまでに打ちのめされて帰って来たつばさですが、こんな時、彼女は決まって空元気を発揮しまくるのでした。

どうすれば、今のつばさの気持ちに寄り添えるのか? 懸命にそれを考え、密かに泣いてくれる家族。私は、つばさが羨ましいです。

ラジオぽてとに於いても、つばさは異様に明るく振る舞います。ラクラクお掃除器具「センジュくん」を背負い(加乃子とのリンク?)、翔太のいなくなった部屋を、唄いながら掃除するつばさ。見るに見かねて、真瀬が言います。

「似合わない事すんなって。泣きたかったら、泣けばいいだろ」

今のつばさに、病気を隠して空元気を見せてた妻・千波の姿がダブったようです。その言葉を聞いた途端、つばさの眼から、みるみる涙が零れ落ちます。

「翔太が一番つらい時に、支えてあげられなかった…」

自分の胸で、翔太を想って泣くつばさに、真瀬の心境や如何に?

…って、なんだかサクサクと書いちゃってますけど、これまでの流れにおける多部ちゃんの芝居はもう、何と表現すれば良いのでしょう?

圧巻と言うには、あまりにさりげない。見事なんて軽いもんでもない。真骨頂ってのも、彼女の場合は全ての演技が真骨頂だし… もう、なんて多部未華子だ!としか言いよう無いですね。

とにかく、しっかり者の「二十歳のおかん」と、実は世間知らずで無垢な「乙女」、この両極端な二つの顔を、交互にではなく同時に表現して全く違和感を感じさせない女優は、多部未華子しかいない。

なぜ彼女が『つばさ』のヒロインに選ばれたのか、その理由を知りたければ、この第17週を観なさいって事ですね。いきなりこの週だけ観たら、翔太はただの精神異常者にしか見えないと思いますが(笑)。

☆本当のどん底
怪獣退治に燃える真瀬が、翔太の巣を急襲し、ベッドに押し倒しますw(すぐに起こしますが)

「あいつにはな、玉木つばさには、俺じゃなくてお前が必要なんだ!」

なんで俺じゃなくて、乳首なんだよ… やっと、ロナウ二郎の気持ちが解った真瀬です。

「今の俺は、足手まといなんです。俺といたら、つばさは俺の弱い部分も、全部引き受けてしまう… 俺の為に、自分のこと諦めて、飛べなくなってしまうつばさを見たくないんです」

そんな事だろうと思ってました。それならそうと本人に言えばいいのに、とも思うけど、だからってつばさが翔太を見捨てるワケが無いし、足手まといになりたくなければ、ああして突き放す以外に方法は無かったんでしょう。

あの親父さえ、今さら現れなければ… 子供の頃からの夢と最愛の恋人を、同時に失っちゃった翔太… やっぱり不憫ですね。ち○毛呼ばわりだけは勘弁してあげますw

さて、その頃、つばさは新スポンサー・城乃内房子様へのインタビュー中継のお仕事、なのですが…

ここ数日、気もそぞろだったつばさは、生中継開始の時間を勘違いしてしまい、なんと房子様が寄付相手達の悪口を言いまくるオフレコ・トークを、町中に生中継しちゃうという、悪夢のような大失態を犯してしまう!

これはもう、神の悪戯と言うか、起こるべくして起こった運命と言うべきか、現場に立ち合う予定だった真瀬が怪獣退治に出向いてしまった事や、他のスタッフ達も何か引っ掛かりながら「ま、いいか」でスルーしちゃった事など、世のトラブルは得てして、こういう些細な不注意やバッド・タイミングが、奇跡的に重なって起こっちゃうんですよね。誰もが身に覚えあり、じゃないですか?

これは本当に、観てるだけで胸が痛くなるような悪夢、でも現実です。もちろん房子様はアルティメット・ハイパー激怒、町内会のラジオぽてとへの出資を全額引き上げるか、さもなくば、つばさをクビにしろと真瀬に迫ります。

出資金を取り上げられたら、ラジオぽてとは倒れます。つばさは、身を引くしか無い。それよりも、自分のミスがどれだけの人数にシャレにならない迷惑を掛けてしまったか。まさに、どん底です。

「人生には、今の自分を脱ぎ捨てる為に、家を出なけりゃいけない時が、あんだよ」

ラジオの男の言葉は、つばさの心の声でもあります。どうやら、飛び立つ時が来たようです。

☆さよなら、おかん
早朝、つばさは大きな鞄を持って、家を出ます。誰にも告げてないのに、居間のお膳には竹雄が置いた甘玉が。店のカウンターには千代が置いたお守りが。そして加乃子が「行ってらっしゃい」と見送ります。

「帰る場所があるから、出て行けるんだよね」

しっかりと頷く加乃子。…ん? 知秋は?

つぱさは翔太を呼び出し、二人の絆を象徴するペンダントを返します。今度こそ、本当のお別れです。翔太は気の毒だと思うけど、つばさの幸せを思えば、怪獣とは付き合わない方がいい。

私としては、ここでサンバダンサー軍団に踊って貰いたい位、めでたい場面なのですがw、最終的にはくっついちゃうんですよね… 乳毛めっ!

☆天使が待っていた
さて、いよいよ、つばさは一人ぼっちです。恋人を失った喪失感と、たぶん家族と長く離れるのも初めてなら、川越から出るのも初めてのようなもの(修学旅行ぐらいはあったでしょうけど)。

淋しさと心細さで、涙が止まらないつばさ。すると、一本道の向こうに人影が… 弟・知秋が、リュックを背負って立ってるではないですか!

「迎えに来たよ!」

いつものように無邪気に笑う知秋は、本当に天使みたいです。つばさの付き添いには、誰よりもつばさを理解してる、この少年。

行かせてあげたいけど、女の子一人じゃあまりに危険って事で、家族が話し合って決めたのでしょう。つばさの荷物を引き受け、何も言わずに先を歩く知秋が、頼もし過ぎますw

このサプライズは、第9週ラストの千波さんに匹敵する感動をもたらしますね。ええ、泣きましたともw

第17週は、つばさ役がなぜ多部ちゃんなのか、と同時に、弟・知秋がなぜ冨浦智嗣くんなのかを、明確に示してくれたエピソードでもありました。素朴さ、明るさ、繊細さ、逞しさ… 彼以外には考えられませんね!

そして、つばさの恋人がなぜ、一人相撲界の重鎮でなければならなかったのか? この旅の終わりに、きっとその答えが見つかるのでしょう。

次週、スニーカー刑事登場!(嬉)

『つばさ』18

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この週、山下真司さんが『つばさ』に登場します。総集編にも長瀞のエピソードはありましたけど、山下さんの出番はカットされてましたよね? 私が山下さんに気づかない筈は無いと思うんですが…

念の為に説明しますと、私は刑事ドラマ『太陽にほえろ!』のマニアで、サントラさんやhyoutanさんにとって『つばさ』がそうであるように、私にとって一期一会の作品が『太陽にほえろ!』だったりします。

そもそも多部ちゃんにハマったのは『デカワンコ』がきっかけであり、『デカワンコ』を観たきっかけが『太陽』のテーマ曲が使われてたから、ですから、今こうして『つばさ』のレビューをしてるのも『太陽』があればこそ、なんですよね。

でも多部ちゃんと『太陽』の接点って、『デカワンコ』以外だと『つばさ』に出た石橋蓮司さん位しか見当たらなくて、でも石橋さんだと『太陽』も『つばさ』もゲスト出演だから、繋がりとしては薄い。

それが山下さんとなると、ぐっと濃くなるんですよね。なにしろスニーカー刑事として2年間『太陽』で活躍したバリバリのレギュラーでしたから。しかも『太陽』がデビュー作です。

そんなワケで『つばさ』に山下さんが登場した事は、私にとって格別に嬉しい事なんです。しかも、つばさの親戚にあたるキャラですから、1週限りのゲストとは言え立派な『つばさ』ファミリーの一員と言えましょう。

☆長瀞
弟・知秋と二人旅に出たつばさですが、行き先は加乃子が既に手配してました。川越と同じ埼玉県内で、加乃子の異母姉妹である末永紀菜子(斎藤由貴)が暮らす、長瀞(ながとろ)です。まだまだお子ちゃまですなw

で、その亭主・富司が山下さん。ワイルドに薪割りをする男っぽいキャラですが、自己紹介の言葉が「なこピーの亭主の、富司だ。よろピクな!」ってw なこピー? よろピク?

暑苦しい肉体派でありながら天然キャラってのは山下さんの十八番ですが、乳首を見せびらかすのも肉体派のお約束なんでしょうか?(笑)

実はこの妙なハイテンションにも理由がある事が後に明かされるワケですが、この富司というキャラと、それを演じる山下さんは『つばさ』フリークスの皆さんに、どんな風に受けとめられたのでしょう?

私は『太陽』ファミリーに関しては客観的な眼で見られないので、無条件で好きになっちゃうのですが… 秀樹みたいなキャラが存在する世界ですから、そんなに浮いてもないですよね?w

☆オトコ修業
そんなテンションでイチャイチャぶりを見せつける末永夫妻に「僕の身の回りじゃ見られない愛の形だ!」みたいな事を知秋が言いますが、竹雄&加乃子もなかなかどうして(笑)。

ただ、女性天下の玉木家とは男女のパワーバランスが真逆であるのが、知秋の眼にはカルチャー・ショックだったのかも知れません。

つばさを護る為に付き添って来た知秋は、そんな富司の男らしさや屈強さに憧れを抱き、「僕を鍛えてください! 守りたいんです、姉ちゃんを」と志願します。

「姉ちゃんが一人で背負いきれないなら、僕が半分背負ってやる」

まだまだ元気の無いつばさに、知秋はそう言います。全ての女性にとって、知秋は理想の弟像ではないかと思います。可愛くて健気で明るくて一生懸命で…

☆お捨てケ淵
長瀞名物・川下りの船頭を勤める富司は、つばさと知秋を船に乗せて「お捨てケ淵」へと連れて行きます。

其処は嫌な思い出を捨てる場所で、捨て去りたい想いを大声で叫ぶと消えて無くなる…ってのは、どうやら富司の創り話みたいですが、彼なりの気遣いなんですよね。

それを真に受けたワケでもないでしょうけど、知秋は母・加乃子への想いを叫びます。10年の旅から帰ってきた加乃子を、最初は拒絶しちゃった事がずっとシコリになってたみたいです。

「母さん、ごめん!」

それは、つばさに想いを吐き出させてあげる為の、知秋の気遣いでもあるのですが、まだ気持ちの整理がつかないつばさは「おかんの、どこが悪いの!?」と、乳首怪獣への恨み言めいた事しか口に出せません。

この機会に「もみあげ、キモイ!」とか「まぬけな口!」とか「頭ヒクヒク動かして、ズラかよ!?」とか「ここ一番で台詞、噛みやがって!」とか、もっと本音をぶちまけて欲しかったですねw

☆離婚届け
さて、末永夫妻の妙なテンションには理由がある事が、徐々に見えて来ます。一面しか描かれないキャラが、ただの一人も出て来ない『つばさ』の真骨頂ですね。

知秋が「この家の子になろうかな」みたいな発言をした時、夫妻の間に不穏な空気が流れます。さらに、つばさは夫婦喧嘩の現場を目撃し、知秋は机の引き出しに隠された離婚届けを発見しちゃいます。

「子供」の事に関して、この夫婦にはわだかまりがある模様です。紀菜子は「愛人の隠し子」である自分は子供を産むべきじゃない、と過去に思ってたけど、川越を訪れた時にその呪縛は解けた筈だったのですが…

☆千代さんと房子様
千代さんは、つばさには甘玉堂の女将を継いで欲しいゆえ、ラジオの仕事には反対してた筈なのですが、なぜか足がラジオぽてとに向いちゃいます。

ぽてとには、つばさの復帰を願うリスナー達からのメールやFAXが多数寄せられ、もちろん真瀬らメンバー全員も同じ想いです。

「いなくなって、よく分かったんです。つばさちゃんがこれまでやって来た事、決して間違ってなんかいなかったって」

伸子が言う「つばさがやって来たこと」とは、「人と人とを繋ぐこと」に他ありません。千代さんと紀菜子も、つばさのお陰で繋がる事が出来たんです。千代さんの心が揺れます。

そして、店に戻った千代さんを、房子様が訪ねて来ます。どうやら房子様は千代さんと幼なじみで、何かと因縁のある犬猿の仲みたいです。

千代さんは、房子様がつばさをクビに追い込んだのは「つばさが私の孫だと知ってたからなのね?」と気づきます。どうやら図星のようで、房子様は千代より優位に立ちたいが為に、つばさを人質にとったようなもの。大人げありませんw

演じる吉行さんと冨士眞奈美さんはプライベートで仲良しって事もあり、息の合った対決(?)を見せてくれます。嫌味を言い合っても殺伐とならなくて、どこかコミカルなのが良いですよね。

☆すれ違う愛情
あの時(第10週)、紀菜子が川越の玉木家を訪ねて来たのは、富司から決定的な一言を言われてしまったから。

彼女が子供を作りたくない気持ちを理解して結婚した筈なのに、愛が深まるにつれ、その結晶をどうしても残したくなった富司は、頑なに拒む紀菜子にカッとなって「じゃあ、俺が余所で子供作ってもいいんだな!?」なんて、心にも無い事を言っちゃった。

それは、怪獣がつばさに言った「おかんみたいなつばさが、重くなったんだ」に匹敵するアイデンティティー破壊の言葉であり、つばさが長瀞に来たのと同じような気持ちで、紀菜子は川越に向かったのかも知れません。

でも、そこで千代さんから「あなたは決して、望まれずに生まれて来たワケじゃないのよ」って言葉を掛けられたお陰で、紀菜子は「子供が欲しいって、やっと思えるようになった」のでした。

ところが戻ってみたら、富司の態度が変わってた。急に「なこピー、よろピク!」なキャラになって(笑)、過剰な愛情表現を見せる不自然な人になっちゃった。

そして離婚届けを見つけた紀菜子は、既に余所で子供を作るべく、富司が相手を見つけたものと思い込んじゃった。

でも実際は、酷いことを言った自分を責める富司が、紀菜子から別れを告げられる覚悟を決めて離婚届けを用意したものの、それが実現しちゃうのが怖いあまりに、過剰な態度で誤魔化してただけ、みたいです。

そもそも、富司が子供を欲しくなったのは、それによって紀菜子を出生の呪縛から救えるんじゃないか、と思ったからなんです。それを最初に言えば、こんなすれ違いは起きなかった。

「一番守ってやらなきゃならねぇ奴を、俺が自分で傷つけちまったんだ」

ここにも又、強力な一人相撲レスラーがいたワケですねw お互いを想えばこそ、愛すればこその、とんでもないすれ違い。それに気づいたつばさは、きっと翔太の本心が何となく解って来たんじゃないでしょうか?

でも、夫婦の誤解に気づきながら、つばさは動き出そうとしません。お節介を全否定されたトラウマは、簡単には消えないのでしょう。乳毛めっ!

「僕が何とかする!」と張り切り出した知秋が、「いつもの姉ちゃんだったらどうするだろう?」と頭を絞り、いかにもつばさがやりそうなお節介を焼くんだけど、付け焼き刃じゃ到底、うまく行きません。乳毛めっ!

☆竹ちゃん、破裂寸前?
物凄く久しぶりな夫婦水いらずの食事を、しみじみと喜ぶのは相変わらず竹雄の方だけで、加乃子は違った事を考えてる様子。

子供達から色んなことを学んだと言う加乃子は、なんだか自分の幸せを噛み締めてるみたいな感じで、でもそれは、もしかしたら「慢心」なのかも知れません。しっぺ返しが遠からず、やって来そうな予感…

「巻き込んでごめんね」

千代との確執や店のしきたりで竹雄を振り回し、自由を奪って来た事を加乃子は詫びてるのですが、言われた竹雄にしてみりゃ、どうして夫をお客さんみたいに言うの?って、疎外感を感じた事と思います。

「子供達が自立したら、やりたい事、生きたい人生を選んでくれていいから。そこに私がいなくても、私、全然いいから」

はげちゃびーん!…いや、がびーん! 今回ばかりは本当に、そんなSEが入ったような気がしました。最後の部分、かなり決定的な一言だったんじゃないですか?

つばさも、紀菜子も、かつての加乃子自身も、愛する人からの、愛するがゆえの暴言でどん底に落ちて、旅に出ました。竹雄の旅立ちも、いよいよ目前?

この後、加乃子が千代に初めて「有難う」を言うシーンがあります。つばさの長瀞行きを許してくれた事と、房子様に千代が頭を下げてくれたらしい事に対する感謝なんだけど、それ以上の意味がありそうです。

嬉しさを隠せず、思わず梅吉の顔(写真)を見る千代さんのリアクションが凄く良いなぁと思うのですが、これもまた、悲劇の前振りなんじゃないか?…ってのは、考え過ぎでしょうか? だって『つばさ』はそういうドラマだからw

☆つばさ、復活!
さて、偽おかんの役割を果たそうと懸命な知秋は、末永夫妻を「お捨てケ淵」に連れて行き、互いの本音を叫ばせようとしますが、別離の実現を恐れる二人は、口を割りません。

すると、つばさが立ち上がり、淵と向き合います。そして、夢見ることを忘れた自分に、それを思い出させてくれた翔太への、恨み言じゃなくて感謝の気持ちを叫ぶのでした。

「私は、翔太の夢を応援してただけ。翔太の事が好きな、自分が好きだっただけ。ごめんね… こんな私につき合ってくれてごめんね。これからはちゃんと、自分の夢見つける。翔太に負けない位の夢、自分で見つけてみせる。だから私、頑張る!」

そんなつばさを、じっと見つめる末永夫妻。その夜、お互いの気持ちを素直に吐露した二人は、誤解を解き、熱く抱き合うのでした。

「歳を取ったからって大人になれるとは限らないし、結婚してるからって夫婦になれるとは限らないって、何だか教えて貰ったような気がする」

紀菜子がつばさに言った、この言葉が良いですね! これも又、『つばさ』の
基本精神をよく表した台詞なんじゃないでしょうか?

「ラジオの仕事、もう一度ちゃんとやりたい。人と人を繋ぐこと、私の夢にしたいから」

答えに辿り着いたつばさは、知秋と一緒に川越に帰るや、まっすぐ房子様の所へと直訴に向かいます。ところが房子様は、既に復帰許可のお触れを、ラジオぽてとに通告していたのでした。

「千代に貸しを作る、いい機会ですからね」

とっても秀樹チックなこのキャラ、味わい深いですねw 

晴れてラジオぽてとに戻れる事になったつばさは、この日が21歳の誕生日。新しく生まれ変わったつばさが、大空へと羽ばたく助走の、第一歩を踏み出したのでした。

☆次週、退治した筈の怪獣が、再び!? つば吉!? 翔ティー!? ま、まじっスか?

市川森一in 太陽にほえろ!

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脚本家の市川森一さんが亡くなられました。ほんの2カ月ほど前に放映された『名作ドラマ大事典』の太陽・同窓会スペシャルで元気なお姿を拝見したばかりだったんで、とても驚きました。

市川さんと言えば『ウルトラセブン』『傷だらけの天使』『黄金の日日』『淋しいのはお前だけじゃない』等が代表作に挙げられますが、『太陽にほえろ!』の初期を支えたライター陣の一人でもあった事を、ここで特筆したいと思います。

『つばさ』レビューの中でもちょっと触れた、ショーケン=萩原健一さん扮するマカロニ刑事が、ジュリー=沢田研二さん扮する犯人を射殺するエピソードが、何を隠そう市川さんの『太陽』初参加作品だったんです。

第20話『そして、愛は終わった』がそれですが、『太陽』の15年間、700本以上あるエピソードの中でも屈指の名作であり、また異色作でもありました。

このエピソードで市川さんは、『太陽』のタブーを2つも破っちゃったんです。だから、作品は好評で高視聴率だったにも関わらず、第20話は後続の『太陽』ライター陣に「絶対に書いてはならない脚本」のサンプルとして示されるようになった位、えらい事だったんです。

まず一つ目のタブーは、犯人の動機です。ジュリーは母の妹…つまり叔母との情事をネタに、恐喝を繰り返して来た家政婦を殺しちゃった。愛する叔母を傷つけたくなかったから。

『太陽』は、セックスそのものはおろか、それをほのめかす事も絶対的に禁止なんです。セックスはタブーなんです、セックスは。セックスだけは絶対、ネタにしちゃいけない。セックスだけはです。セックスなんです。

それは午後8時台の番組である事と、青春ドラマで名を馳せたチーフ・プロデューサーの岡田晋吉さんが、セックスをドラマのネタにする事を自ら禁じ手にされてたから。セックスをです。

でも、世の中にセックスが全く絡まない犯罪は無いと言われてる位で、犯罪を扱うドラマで性をほのめかす事すら出来ないってのは、ライター陣にとってこの上なく窮屈な縛りだったみたいです。

それを、市川さんは平気で破っちゃった。しかも、同じセックスでもメガトン級のネタ、近親相姦ですよ!(笑) 当時まだ新人だった市川さんに、なんでそれが許されたのか? 理由は、ジュリーにありました。

市川さんは以前からショーケンと親しくて、ショーケンを介してジュリーらPYG(当時2人が所属してたGSバンド)とも仲間だったんで、今で言うジャニーズ級のパワーを持ってたジュリーの事務所が『太陽』製作陣に対して、市川さんに自由に書かせる事を出演条件の一つに挙げてたワケです。

市川さんは『太陽』がセックス禁止とは知らずに書いたと仰ってましたが、たぶん嘘です(笑)。健全路線にフラストレーションを溜めてた、ショーケンさんの入れ知恵ではないかと私は睨んでますw

その証拠に、このお二人が『太陽』の後に組まれた『傷だらけの天使』はセックス、セックス、セックスのオンパレードでしたw セックス、セックス、セックスのです。

で、もう一つのタブーは、犯人射殺です。これに関しては、新人刑事の成長を描くシリーズの中で、劇的な通過儀礼として素晴らしい効果を上げた為、以降は解禁されました。

『つばさ』で言えば、ちょうど先日レビューしたばかりの、アイデンテティー破壊を経て自分を見つめ直し、脱皮して成長を遂げる、シリーズ中盤のクライマックスです。

さらに本作は、最大のライバル=ジュリーとの競演に刺激されたショーケンが、鬼気迫る熱演を見せた事も効果を上げ、結果的に屈指の名作になりました。絶対に書いてはならない脚本のサンプルなのにw

それって、朝ドラのタブーを果敢に破りまくった『つばさ』の反骨精神にも通じるものがあるんじゃないでしょうか?

タブーは破っても才能は認められ、『太陽』レギュラー作家の仲間入りを果たした市川さんは、さすがにジュリー編みたいに過激な話は書かなくなったものの、ジーパン(松田優作)時代にはシンコ(関根恵子)がボス(石原裕次郎)のマンションに呼び出され、雨でびしょ濡れになって、ボスに「全部着替えなさい」なんて言われる、きわどいシチュエーションを書かれてますw

この時、シンコがブラジャー姿になるのをカメラは真正面から捉えてて、健全路線に安心しきってた全国のお茶の間に、何とも気まずい空気が流れた事であろうと思いますw

いくら脚本にそう書かれてても、そこはシルエットにするなり誤魔化す方法はいくらでもあったのに、現場のスタッフ陣にもフラストレーションが溜まってたんでしょうね、きっとw

これは市川さんの担当じゃないけど、ジーパン殉職の回では、優作が暴力団員達を射殺しまくってます(笑)。現場にプロデューサーがいないのをいい事に「最後だし、やっちまおうぜ」ってなノリでやっちゃって、後で大目玉を食らった、なんていう素敵なエピソードを、監督さんが後に明かされてます。

そうしてタブーを自ら破ったエピソードには傑作が多かったりするんだけど、それはきっと、こうしてスタッフ&キャストが一緒にリスクを背負って、殻を破る為に一丸となって頑張った、そのエネルギーが注入されてるからなんでしょうね。

でも、逆にそれは、タブーという前提があればこそなんですよね。番組が確固たるポリシーを貫いてるからこそ、それをあの手この手で破る事に、快感がある。最初からセックスも射殺もOKの作品でそれをやっても、多分つまんない。

さて、画像は今から27年ほど前(マジすか!?)に刊行された市川さんの脚本集ですが、あとがきに面白い記述がありました。

長くなるので要約しますが、セックスがタブーという「禁欲令」こそが、『太陽』が10年以上も人気番組であり続けてる秘訣ではないか?と。

犯罪を扱いながら情欲を我慢し続ける事は異常なんだけど、我々スタッフ・キャストはその異常さにこそ魅せられたフシがある(自分は破ったクセにw)。

イキのいい刑事達が、あんなにキモチよさそうに殉職していくのは、我慢に我慢を重ねた挙げ句の、『太陽』流の射精にほかならないのではないか?、と。

なるほど… これは如何にも市川さんらしい、かなり的を得た分析だと思います。

合掌。
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