先日、久々に映画館をハシゴしました。田舎にいると、マトモな劇場で観る為には都会(私の場合は大阪)まで出掛けなければならず、往復の運賃だけで3千円近くの出費になるから、観たいのが複数ある場合はまとめて観るに限るワケです。
これまでのパターンだと、メインの1本は良かったけどオマケの1本はイマイチ…まぁオマケはやっぱオマケだなって結果になりがちでしたが、今回は2本とも大当たりでした。しかも両方、最近は低調な印象だったハリウッドのアクション大作です。
☆『リアル・スティール』
こちらは一緒に観に行った友人の薦め(彼は二度目)で観ました。ロボットにボクシングをさせる近未来物と聞くと『トランスフォーマー』みたいな空疎なCG映画を連想しちゃいますから、薦めが無ければ観る機会は無かったと思います。
「○○版『ロッキー』」みたいな例えをされる作品は多いですが、これはまさにロボット版『ロッキー』そのものです。創り手が明らかに、そう意識して作ってます。
ストーリーの構成、登場人物の配置、撮影や編集に至るまで、笑っちゃうぐらいスタローン先生の『ロッキー』シリーズそっくりでしたw
既製の作品をロボットに置き換えただけじゃつまらんだろ、って思われて当然なんですけど、それが驚くべき事に、面白かったんです!w
主人公は、ますますイーストウッド御大に似てきたヒュー・ジャックマン扮する、元ボクサー。選手としては年齢も肉体も限界をとうに越え、ショウビジネスとして定着したロボット・ボクシングの試合にロボットを送り出す、オーナー兼セコンドで生計を立て…ようとしてるけど、うまくいかずに借金まみれの落ちぶれ状態。
妻子はとっくに愛想を尽かして出てったきりだったのが、奥さんが亡くなり、残された11歳の息子は里親に引き取られる事になるんだけど、その里親が海外から戻るまでの数日間だけ、ヒューちゃんが面倒を見る事になる。
負け犬根性が染みつき、愛情なんかどこかに置き忘れて来ちゃった家政婦のミタさんみたいなヒューちゃんが、ロボット・ボクシングを通じて息子との絆と愛情を取り戻して行く展開も、まぁ王道です。
大型トラックでロボットを運びながらの巡業=ロードムービー的な趣は、同じくスタローン先生の『オーバー・ザ・トップ』にも酷似してます。
何から何まで王道であっても、デティールに手を抜かず、見せ方に工夫を凝らし、人物の感情をしっかり描けば、ちゃんと面白い作品に仕上がるんだという、これは本当にお手本みたいな映画だと思います。
父と子、トラック、ロボット、ボクシング… 実に爽快なほど、あからさまに男子向けの映画ですから、女子に媚びなければ商売出来ない日本映画界では、絶対に見られない種類の作品ですね。
でも主役はロボットじゃなくて、それを動かす人間です。その父子を支える女性の存在もありますから、女性客にもぐっと来るであろう場面も少なくないし、老若男女が楽しめる娯楽作品である事は保障出来ます。
☆『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
このシリーズの、間違いなく最高傑作だと思います。ブライアン・デ・パルマ監督による第1作は映像技巧に凝りすぎてドラマが乏しく、ジョン・ウー監督による第2作はジョン・ウーし過ぎてwジョン・ウー以外の要素が乏しく、J.J.エイブラムス監督による第3作はその反動からかロマンスに重きを置き過ぎて、私としては不満でした。
それぞれテイストが違ってて面白いんだけど、毎回何かが過剰、ゆえに何かが足りない印象だったのが、今回はアクション、サスペンス、ユーモア、ドラマの要素が絶妙なバランスでブレンドされてて「これは面白かった!」と、初めて100%満足出来ました。
さらに『ジェイソン・ボーン』シリーズや『この愛のために撃て』等の作品が進化させた、リアリズムとノン・ストップ感も加わって、最初から最後まで緊張感が途切れません。
敵の目的がまた「世界を破滅させる」という単純明快さでw、自分も死ぬ気満々だから相当に手強いです。私がもっとストイックな人間で、天才的な頭脳を持ってたら、ああなるのかも知れませんw
今回の監督は『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』等で知られる、アニメ界の巨匠ブラッド・バード氏で、初めての実写作品だそうです。
そう聞くといかにもCG満載のアニメ的映画を思い浮べるかも知れませんが、全然そんな事はなかったです。
特に、世界一高いとされるドバイのビル上でのスタントは、スリル・ジャンキーとしか思えない(危険であればあるほど嬉々として自分でやっちゃう)トムの面目躍如で、実写でしか味わえない臨場感がありました。
まぁ、私があれこれ書くよりも、IMFメンバーの一人を演じたサイモン・ペッグ氏のコメントが、本作の魅力を的確に表現してると思いますので、以下、パンフから抜粋します。
まずは製作・主演のトム・クルーズ氏について…「彼が偉大な映画スターなのは、偶然ではない。全人生をこの仕事に賭け、徹底して取り組むから、彼の仕事ぶりは人に畏敬の念を抱かせる。彼と一緒にいると、自分も相応しくなりたいと思ってしまうんだよ。『よし、それだけ入れ込むなら、僕もそうしよう。そうでないと遅れを取ってしまう』という感じでね」
『ジウ』メイキングで「主役が現場の雰囲気を作っていく」ってメイサが語ってたのは、そういう事なんだろうと思います。口であれこれ言うより、自分自身の姿勢で示すって事ですね。
そして、作品そのものについて…「皮肉な考え方がはびこって、関わり合いも欠如して来て、ハリウッドはシネマというアートや良い映画作品を作る事よりも、人々が買いたがるものを割り出そうとするマーケティングの人間によって、少しばかり侵略されて来た」
今の日本のメジャーは、まさにそういう状態に陥ってる事が自分達で分かってても抜け出せない、どん底の泥沼状態だと私は思います。もちろん、例外はありますが…
「今回の映画の楽しさは、心と頭がある事じゃないかな。頭の切れるストーリーと、昔ながらの心地よい感覚を持ち合わせてる。テクノロジーの使い方やアクションの使い方は途方もなくモダンなんだ。観る者の頭を吹っ飛ばす、賢い映画だよ(笑)」
アイデアだけじゃなく、ちゃんとハートがこもった映画って事ですね。なので、皆さんにも自信を持ってオススメします。どちらも公開中です。
今回は2本とも、王道ならではの良さを存分に味わえる娯楽作品ですが、個人的にはやっぱり、ロボットじゃなくて人間が、人間を殴ったり蹴ったり撃ち殺したりするトム映画の方を、こよなく愛してます(笑)。
これまでのパターンだと、メインの1本は良かったけどオマケの1本はイマイチ…まぁオマケはやっぱオマケだなって結果になりがちでしたが、今回は2本とも大当たりでした。しかも両方、最近は低調な印象だったハリウッドのアクション大作です。
☆『リアル・スティール』
こちらは一緒に観に行った友人の薦め(彼は二度目)で観ました。ロボットにボクシングをさせる近未来物と聞くと『トランスフォーマー』みたいな空疎なCG映画を連想しちゃいますから、薦めが無ければ観る機会は無かったと思います。
「○○版『ロッキー』」みたいな例えをされる作品は多いですが、これはまさにロボット版『ロッキー』そのものです。創り手が明らかに、そう意識して作ってます。
ストーリーの構成、登場人物の配置、撮影や編集に至るまで、笑っちゃうぐらいスタローン先生の『ロッキー』シリーズそっくりでしたw
既製の作品をロボットに置き換えただけじゃつまらんだろ、って思われて当然なんですけど、それが驚くべき事に、面白かったんです!w
主人公は、ますますイーストウッド御大に似てきたヒュー・ジャックマン扮する、元ボクサー。選手としては年齢も肉体も限界をとうに越え、ショウビジネスとして定着したロボット・ボクシングの試合にロボットを送り出す、オーナー兼セコンドで生計を立て…ようとしてるけど、うまくいかずに借金まみれの落ちぶれ状態。
妻子はとっくに愛想を尽かして出てったきりだったのが、奥さんが亡くなり、残された11歳の息子は里親に引き取られる事になるんだけど、その里親が海外から戻るまでの数日間だけ、ヒューちゃんが面倒を見る事になる。
負け犬根性が染みつき、愛情なんかどこかに置き忘れて来ちゃった家政婦のミタさんみたいなヒューちゃんが、ロボット・ボクシングを通じて息子との絆と愛情を取り戻して行く展開も、まぁ王道です。
大型トラックでロボットを運びながらの巡業=ロードムービー的な趣は、同じくスタローン先生の『オーバー・ザ・トップ』にも酷似してます。
何から何まで王道であっても、デティールに手を抜かず、見せ方に工夫を凝らし、人物の感情をしっかり描けば、ちゃんと面白い作品に仕上がるんだという、これは本当にお手本みたいな映画だと思います。
父と子、トラック、ロボット、ボクシング… 実に爽快なほど、あからさまに男子向けの映画ですから、女子に媚びなければ商売出来ない日本映画界では、絶対に見られない種類の作品ですね。
でも主役はロボットじゃなくて、それを動かす人間です。その父子を支える女性の存在もありますから、女性客にもぐっと来るであろう場面も少なくないし、老若男女が楽しめる娯楽作品である事は保障出来ます。
☆『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』
このシリーズの、間違いなく最高傑作だと思います。ブライアン・デ・パルマ監督による第1作は映像技巧に凝りすぎてドラマが乏しく、ジョン・ウー監督による第2作はジョン・ウーし過ぎてwジョン・ウー以外の要素が乏しく、J.J.エイブラムス監督による第3作はその反動からかロマンスに重きを置き過ぎて、私としては不満でした。
それぞれテイストが違ってて面白いんだけど、毎回何かが過剰、ゆえに何かが足りない印象だったのが、今回はアクション、サスペンス、ユーモア、ドラマの要素が絶妙なバランスでブレンドされてて「これは面白かった!」と、初めて100%満足出来ました。
さらに『ジェイソン・ボーン』シリーズや『この愛のために撃て』等の作品が進化させた、リアリズムとノン・ストップ感も加わって、最初から最後まで緊張感が途切れません。
敵の目的がまた「世界を破滅させる」という単純明快さでw、自分も死ぬ気満々だから相当に手強いです。私がもっとストイックな人間で、天才的な頭脳を持ってたら、ああなるのかも知れませんw
今回の監督は『Mr.インクレディブル』『レミーのおいしいレストラン』等で知られる、アニメ界の巨匠ブラッド・バード氏で、初めての実写作品だそうです。
そう聞くといかにもCG満載のアニメ的映画を思い浮べるかも知れませんが、全然そんな事はなかったです。
特に、世界一高いとされるドバイのビル上でのスタントは、スリル・ジャンキーとしか思えない(危険であればあるほど嬉々として自分でやっちゃう)トムの面目躍如で、実写でしか味わえない臨場感がありました。
まぁ、私があれこれ書くよりも、IMFメンバーの一人を演じたサイモン・ペッグ氏のコメントが、本作の魅力を的確に表現してると思いますので、以下、パンフから抜粋します。
まずは製作・主演のトム・クルーズ氏について…「彼が偉大な映画スターなのは、偶然ではない。全人生をこの仕事に賭け、徹底して取り組むから、彼の仕事ぶりは人に畏敬の念を抱かせる。彼と一緒にいると、自分も相応しくなりたいと思ってしまうんだよ。『よし、それだけ入れ込むなら、僕もそうしよう。そうでないと遅れを取ってしまう』という感じでね」
『ジウ』メイキングで「主役が現場の雰囲気を作っていく」ってメイサが語ってたのは、そういう事なんだろうと思います。口であれこれ言うより、自分自身の姿勢で示すって事ですね。
そして、作品そのものについて…「皮肉な考え方がはびこって、関わり合いも欠如して来て、ハリウッドはシネマというアートや良い映画作品を作る事よりも、人々が買いたがるものを割り出そうとするマーケティングの人間によって、少しばかり侵略されて来た」
今の日本のメジャーは、まさにそういう状態に陥ってる事が自分達で分かってても抜け出せない、どん底の泥沼状態だと私は思います。もちろん、例外はありますが…
「今回の映画の楽しさは、心と頭がある事じゃないかな。頭の切れるストーリーと、昔ながらの心地よい感覚を持ち合わせてる。テクノロジーの使い方やアクションの使い方は途方もなくモダンなんだ。観る者の頭を吹っ飛ばす、賢い映画だよ(笑)」
アイデアだけじゃなく、ちゃんとハートがこもった映画って事ですね。なので、皆さんにも自信を持ってオススメします。どちらも公開中です。
今回は2本とも、王道ならではの良さを存分に味わえる娯楽作品ですが、個人的にはやっぱり、ロボットじゃなくて人間が、人間を殴ったり蹴ったり撃ち殺したりするトム映画の方を、こよなく愛してます(笑)。