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ワイフと私のヒストリーPart.4

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プロデューサーX氏は、メイキング班の私と助手のS君を、ほとんど自分の子分みたいに扱ってました。もちろん業界の先輩でありプロデューサーですから、上下関係はあって当然です。

だけど、私を自分のオフィスに閉じ込めて徹夜で作業させたり、夜中の2時とか3時にしょっちゅう電話を掛けて来ては用事を言いつけたり、ミスをすればペナルティーとしてノーギャラで仕事させたりetc…

私は彼の部下でも何でもなく、彼が所属する会社からオファーを受けた、言わば外部の委託業者なんです。今思えば明らかに越権行為なんだけど、あの時の私は右も左も分からない赤ちゃん同然の状態ですから、ほとんど彼の操り人形でした。

彼は気が向いた時だけ撮影現場に現れ、撮影スタッフ達が立ったまま居眠りするほど過酷なスケジュールで働いてるすぐ横で、女優さんとツーショットの記念写真ばっか撮ってるような人間でした。来るたびに、毎回撮ってましたね。主にS君や私にシャッターを押させて…

アクション映画のプロデューサーをしてるにも関わらず「俺はアクション映画とか大嫌いだからさ」なんて平気で言っちゃう人で、作品への愛なんてカケラも無さそうな、典型的サラリーマン業界人のように見えました。

だから、彼から学んだのは「映画やドラマは決してクリエーターが創ってるとは限らない」って事と「悪魔と渡り合っていくなら自分も悪魔にならなきゃいけない」って事ぐらいですね。

すっかり話が逸れちゃいましたけどw、後に我が妻となる彼女の部屋に私が泊まろうとした夜、そのプロデューサーX氏から電話が掛かって来ました。

「フィリピンに持って行く撮影用のテープを買ったから、取りに来て」

…という用件でした。少しでも安く済ませる為に、彼が独自のルートで購入してくれたワケだけど、大した荷物じゃないんだから当日持って来てくれりゃいいじゃん!とも言えず、私はテープを受け取りに行って、そのまま自分のアパートに帰る結果となりました。

それまでワイフは、運命の糸で繋がれた相手が私である可能性をまだ捨ててなかったんだけど、この出来事を経て「あ、やっぱ違うんだ」と確信したんだそうですw そりゃそうですよね。

その夜を境に、彼女とメールや電話のやり取りをしても、彼女の言葉が以前より何となくサバサバしちゃってる空気を、私も感じてました。

もちろん、それはプロデューサーX氏のせいではなく、男として積極的に行動出来ない、私が悪いんです。

私はなぜ、これほど女性に対して消極的なのか? 自分なりに考えると、いくつかの複雑な理由が思い浮かびます。それはまた、次回以降に書きたいと思ってますw

さて、ぐっと近づきかけたワイフと私の距離も、プロデューサーX氏の策略により(うそw)またもや遠ざかってしまいました。

だけど、決して切れなかったんですよね。普通ならそのまま疎遠になっちゃうと思うんだけど、例えばガンコン(きうち監督)絡みの件とかで、何かと縁が繋がっちゃう。

で、ワイフは私より先に東京を去って関西に戻る事になるんだけど、旅立つその日に彼女は、私と会ってるんですよね。しかもプロデューサーX氏に依頼された仕事の現場で!w

メイキングの仕事に取り掛かって丸1年、私は心身共にヘロヘロのボロボロでした(またかよ!w)。そう、この仕事は延々と続いており、私はプロデューサーX氏に骨の随まで利用されまくってました。(結局、ギャラは製作費に使ってほとんど残らなかったし)

その日は、その中でも最後の山場となるミニドラマの撮影で、私はプロの俳優さんを自腹で雇い、ガンコンで仲間になった自主映画スタッフ達に手伝ってもらって、久々のドラマ演出に取り組んでました。

ワイフは、ヘロヘロのボロボロになってる私を心配してくれたのか、あるいは私の仕事ぶりをいっぺん見てみようと思ったのか、ボランティアでスタッフに加わってくれたのでした。

もう朝からいっぱいいっぱいだった私は、さらにヘロヘロのボロボロになりながら撮影を終え、朦朧とした意識のまま、彼女と別れました。

その時、どんな会話をしたのか私は全然憶えてないんだけど、ふと「会うのもこれで最後になるのかなぁ…」って、感傷的な気分になった事だけは記憶に残ってます。

そう、ここで切れてもおかしくなかった。だけど、やっぱり切れないんですよねぇ、彼女とは… (つづく)


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