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今、なぜドラマが面白くないのか?

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最近の刑事ドラマを観てると、どの番組も犯人像のパターンが決まっちゃってますね。『太陽にほえろ!』の時代と比べると、バリエーションがえらい狭くなってます。

若者向けの番組なら犯人は大抵、ゲーム感覚で爆弾を仕掛けたり誘拐事件を起こす愉快犯。陰湿なオタクか金持ちのエリートである事が多いですね。

で、大人向けの番組でやたら多いのが、パートナーどうしのすれ違いや疑心暗鬼が、殺人などの悲劇を生んじゃうパターン。

例えば夫婦の間で愛が冷め切った事を悲観して相手を殺しちゃうんだけど、実は誰よりも自分を愛してくれてた事が、刑事達の捜査によって明かされ、犯人が大泣きするといった話が実に多い。

物事には必ず理由がある。そういうパターンの話がやたら目につくようになったのにも、何か理由があるんでしょう。「心のすれ違い」とか「誤解」「思い込み」によるトラブルが、現実社会で多くなってる事の顕れかも知れません。

でも、異常なほど似たような話ばっかり創られてる事には、もっとつまらない理由があるんじゃないでしょうか。これは私の勝手な憶測ですが、恐らく他のパターンが、自主規制によって描けなくなってるんだろうと思います。

私がかつて(もう10年近く前になりますが)特撮ヒーロー番組の脚本を手掛けてた時に、何より頭を悩まされたのが敵組織の作戦でした。

拉致・監禁はNG、薬物・毒ガスはNG、洗脳はNG、自然災害を想起させる破壊はNG、交通事故もNG、そしてなぜか乳首までNGと来たら、敵組織は一体どうやって悪い事すりゃいいの!?って話ですよ。

結局、いきなり街に現れてとにかく暴れ回るという、知性のカケラも無い悪事を毎回繰り返すしか無くなるワケです。これで話を面白くするのは至難の業ですよ!

そういった縛りは、あくまで自主規制なんです。法律で禁止されてるワケじゃない。スポンサーが視聴者からのクレームを恐れて「こんなネタは扱わないでね。約束破ったらスポンサー降りちゃうよ」って、現場に圧力をかけてるワケです。10年前でそんな状況でしたから、今はさらに窮屈になってる事でしょう。

かつて… 例えば昭和ライダーの敵・ショッカーは本当に卑劣でした。そのへんの子供をさらって洗脳ガスを吸わせ、手先にしてそのへんの子供を襲わせるんだから!

世界征服を目論むテロ組織にしちゃ、えらい地道な活動やなぁってw、子供ごころに思ってはいたけど、身近で現実的だからこそ観てて怖かったもんです。現在の番組の敵組織は、ある意味フェアだし頭が悪そうだから、ちっとも怖くないですよ。

敵が怖くなければ、ヒーローが頼もしく感じられません。ヒーローの存在価値はどんどん下がり、挙げ句の果てにヒーローどうしを闘わせてお茶を濁すという体たらく。そんなの本末転倒です。

同じような事が、たぶん刑事ドラマの製作現場でも起こってるんだろうと思います。スポンサーからの圧力なんて今に始まった事じゃない筈だけど、七曲署のボスみたいに「よし、やってみろ。責任は全て俺が持つ」なんて言ってくれる、気骨あるプロデューサーがいなくなってるんでしょう。亀山みたいなサラリーマン乳首ちょめちょめポコチン野郎ばっかりですよ!

来るかどうかも分からないクレームへの予防線で「あれもダメ」「これもダメ」って言われて、一生懸命考えたアイデアをことごとくボツにされる。その挙げ句に似たような話ばっかり創らされてたら、そりゃ現場の創り手はモチベーションを無くしちゃいますよね。

何より憂うべき点がそこで、昨今のドラマ(に限らずTV番組全般&メジャー日本映画)から漂ってくる無気力な空気は、ホントに只事じゃないですよ。面白いもの、何か新しいものを生み出してやろうっていう覇気が、微塵も感じられない作品があまりに多過ぎる!

特に刑事ドラマ(&謎解きモノ全般)はヤバいです。番組数だけやたら多いだけに、その無個性ぶりが酷く目についちゃう。更に憂うべきは、それで視聴率がそこそこ取れちゃう事ですよね。

覇気の無い番組を何とも感じないで受け入れちゃってるのも視聴者だし、下らないクレームの数々でテレビというメディアを追い込み、腐らせてしまったのも視聴者ですよ。破滅です。

でも、私がこういう事を言うようになってから既に、20年は経ってるんですよねw 私ごときがとっくに気づいてる事を、世間の人達が未だに誰も気づかないなんて事は有り得ない。

何事もそうだけど、社会の流れってのは歯止めが利かないんですよね。このままじゃ駄目になるって分かってても、軌道修正する事は誰にも出来やしない。

だけど、そんな中でも年に何本かは面白い作品が生まれてるんだから、まだまだ捨てたもんじゃない。滅多に現れない現状だからこそ、それを見つけた時の喜びもひとしおです。

だからグチグチ言いながらも、ドラマ・ウォッチングはやめられないんですよね。

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