#660 デューク刑事登場!
さて、何だかんだ言ってる内に、いよいよ(やっと?)ラストイヤーが近づいて来ました。それが分かってるから言うワケじゃないけど、ボギー殉職から徐々に『太陽にほえろ!』の勢いが衰えてるような実感が、当時もありました。
ボギー=世良公則からマイコン=石原良純へ、そしてラガー=渡辺徹からデューク=金田賢一へ…
私の言いたい事は分かって頂けるかと思います。私はマイコンもデュークも愛してるし、良純さんも賢一さんも好きだけど、やっぱり「華」の要素で劣っちゃう感じは否めません。
デューク刑事はスコッチ(沖雅也)からジプシー(三田村邦彦)へと受け継がれたクール路線の新たな継承者です。スコッチは事件絡みのトラウマから、ジプシーは貧しく暗い生い立ちから孤独を背負ってましたが、デュークの場合は資産家に育ったがゆえの人間不信。孤独の種類も時代と共に変化してますね。
だから、根っこの部分では情に熱いスコッチやジプシーみたいに、分厚い壁がボスや一係メンバー達によって崩されて行くようなストーリー性は無くて、デュークはデュークのまま、最後まで孤高な存在であり続けたのが新鮮で、私は良かったと思ってます。
デュークだけは最後まで、仲間をニックネームで呼ばなかったですからね。「西条さん(ドック)」とか「水木くん(マイコン)」、ボスの事は「係長」ってw、最後まで通してました。それが逆に格好良かったですね。
ただ一つだけ不満だったのは、デュークもアクションがいまいち不格好だったんですよねぇ… 誰かさんみたいにダサいとまでは言わないけどw プロ野球選手の息子さんだから期待してたのに、動きが鈍重でスコッチみたいなシャープさが無い。クールなキャラとアンバランスなんです。
だから、デュークとマイコンがコンビで銃撃戦や立ち回りを演じる場面は、観ててツラかったです。アイタタタ…でしたねw 2人とも柄だけは大きいのに。賢一さんも良純さんも、やっぱお坊っちゃまですね。育ちが良すぎるのも考えもんですw
結果的に、アクティブな要素はブルースが1人で背負って行く事になり、撮影に対する法規制がどんどん厳しくなるのと相まって、『太陽』から再びアクションシーンが激減しちゃいます。それも番組の「衰え」を感じさせた要因の1つですね。
#665 殉職刑事たちよ、安らかに
七曲署一係に送られて来た、1冊のスクラップブック。その中身は、マカロニからラガーに至るまでの、実に10名(!)の殉職を報じた新聞記事あれこれ。それ、欲しい!って、マニアはみんな思った筈ですw
「こんなに部下を死なせて、よくおめおめと生きていられるな。おめおめ」って事で、送り主はボスや山さんの命を狙って来る。…あ、「おめおめと」じゃなくて「ぬくぬくと」かw
敵の正体が不明となると、まずは遺族を疑うしかなく、一係メンバー達はゴリさんの父(下条正己)や元婚約者(水沢アキ)、殿下の元婚約者(香野百合子)、ボンの姉(沢田雅美)、ボギーの姉(有吉ひとみ)、そしてジーパンの母(菅井きん)らを訪ねて行く。
歴代のセミレギュラーキャストが続々と登場し、殉職刑事全員を回想、さらに長さんも駆けつける等、オールドファンをこれでもかと感涙させてくれた、イベント性たっぷりの2時間スペシャル。出来ればジプシーやスニーカー、シンコも出して欲しかった!
ちなみに犯人は、殉職刑事達を過剰に崇拝するマニアックな現職警官(峰竜太)でした。
☆1986年
#678 山村刑事の報酬なき戦い
新春第1弾は山さんが大活躍する2時間スペシャル。警察やら行政やらが町ぐるみで汚職を働く無法地帯に、山さんが単独で乗り込み不正を暴くハードボイルド巨編! ゲストは元宮崎県知事の元嫁=かとうかずこさん。あの頃はホント綺麗でした。
春、秋に加えて正月までスペシャルを放映してくれるなんて!と喜んだものの、いきなり山さんが単独で活躍ってのは一体どういう風の吹き回しだったのか?……今思えば、この時すでに決まってたんでしょうね。山さんが、いつもそこにいて当たり前の存在だった山さんが、ああなっちゃうって事が……
#688 ホノルル大誘拐 #689 キラウエア大追跡
裕次郎さんの体調が年々悪くなり、年末年始のハワイ休養が長期化する事に。だったらみんなでハワイに行って撮っちゃおうって事で、『太陽』最後の海外ロケはハワイになりました。ゲストは佳那晃子さん。
多分ハワイロケに合わせての事だと思いますが、この時期ブルースの髪型がドレッドヘアだったんですよねw スラム街の不良がやるような超いかつい髪型ですよ。いくら何でも刑事がそれは無いだろ!って思ったけど、番組スタート時におけるマカロニの長髪も、それ位のインパクトはあったのかも知れません。
#691 さらば!山村刑事
さて。これも「まさかまさか」でしたねぇ… ゴリさんとはまた違った意味で『太陽』を象徴する存在で、ボス不在時には陣頭指揮も執った山さんが今になって、今さら殉職なんて!
だからって『太陽』ファンを卒業しようとか、その時は思わなかったけど、もはや日没が近づいてるような予感が当時、確かにあったのを憶えてます。『太陽』らしさ云々は別にして、残されたメンバーでは「弱い」気がしたんですね。まして山さんの後釜になれる俳優さんがいるとも思えないし。
露口茂さんは「刑事としてではなく、人間として死にたい」とリクエストされたそうです。養子・隆の実の両親が今になって「隆を引き取りたい」と言ってきて、その熱き想いに嘘がない事を悟った山さんは、隆の幸せを最優先に考え、最愛の息子を手放す決意をする。
某国の大使館員が絡む拳銃密輸の難事件を解決させた山さんは、久しぶりの休日を隆と2人で過ごし、自分が本当の父親ではない事を打ち明ける。この父子の歴史をずっと観て来た我々ファンはもう、この辺りからラストまで滝の涙が止まりません。
密輸組織の報復と思われる刺客と相撃ちになった山さん。家に電話をかけ、隆に「今から帰るから。先に寝てなさい」って伝えて、実際に帰ろうとするんだけど、力尽きて倒れちゃう。
いつもの殉職エピソードだと、仲間の死を知った一係メンバー達が一人一人、その刑事との思い出を回想したりするんだけど、これも露口さんのリクエストでしょうか、この回は知らせを受けたボスが「山さんが、死んだ?」って、呆然とした所で終わっちゃうアッサリ演出でした。
翌週からは山さんのいない七曲署が描かれるワケですが、とっても不思議な感じがしましたねー。新人刑事は代々入れ替わっても、山さんの枠は山さんにしか埋められない。山さんは山さんっていう1つのジャンルでしたから。いわゆる1つの山さんですよ。
しかも、それから程なくして、再びボスが長期療養を余儀なくされる事になります。『太陽にほえろ!』が終焉を迎える時が、ついにやって来たのでした……