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『つばさ』09

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今回のレビューを、『つばさ』フリークスの皆さん… 特に、いつも熱いコメントを下さるサントラもいいぞ!さんに捧げたいと思います。

☆アパートの廊下に舞う花びら
前回、迎えに来た父・真瀬を、残酷な言葉で拒絶した優花ちゃん(畠山彩奈)。プレゼントの花も「花なんか嫌い!」ともみくちゃにしてしまいます。

亡くなった真瀬の妻・千波(阿部美穂子)は、花が大好きだったから、娘に優花という名前をつけたのでした。なのに優花は…

「俺のせいだ。もう手遅れだったんだ」真瀬は完全にノックアウト。ラジオぽてと(アパート)のドア越しで、そんな真瀬の話をつばさが聞いてる場面に、屋内だというのに花びらがヒラヒラと舞い落ちます(笑)。

これは単に『つばさ』流の意表を突いた演出かと思いきや、そこに「あの人」の存在があるのを示す伏線である事が、この第9週のラストまで観ると分かります。

それって、今こうして1週分をまとめて観てるから気づいたものの、当時リアルタイムで1話ずつ観てたら、週末には花びらの事なんか忘れてますよ、きっと。芸が細か過ぎます!(笑)

「君ねぇ、志が高いのは解るよ。だがね、朝ドラでそんな事をしても伝わらんだろ、このもみあげっ!」って、またNHK上層部から叱られたんじゃないかなぁ…w

☆スタートライン
玉木家でも、この問題は物議を醸します。「何年も子供をほったらかしにして、今さらノコノコ現れた親」が、此処にもう一人いるからです(笑)。

知秋は優花に自己投影し、加乃子は真瀬に感情移入します。「スタートラインに立つ事にこそ、意義があるのよ。後は前進あるのみ!」と、口からポテトサラダを飛ばしながら(笑)発奮する加乃子。

そんな母に呆れつつも、翌日すっかり意気消沈してる真瀬に「やっとスタートラインに立ったばかりじゃないですか! ここから全てが始まるんじゃないですか!」と、つばさは加乃子の言葉を引用して檄を飛ばします。でも、今の真瀬には響きません。

☆竹雄とご対面
ボインボイ〜ン麻子さんの店で、真瀬はつばさの父・竹雄と初対面。「いきなり(優花を)抱き締めたのがいけなかったかなぁ」とか言う真瀬の愚痴を、つばさの事と早とちりして食ってかかったり(笑)した後、「みんな、もっと素直になればいいのになぁ」って、早速ドラマを動かすような台詞を言う竹雄さん。

でも、これってもしかして、今回だけの事じゃなくて、後に真瀬がつばさに惹かれていく時になって効いてくる、伏線にもなってたりします? それはいくらなんでも早過ぎるかw こうして勘ぐっちゃう癖がついちゃいますよね、このドラマ観てると(笑)。

ラジオの男も今週は早々と登場し、「読み聞かせは、親から子へのラブレターみたいなもんだな」といつものごとく、つばさにヒントを与えます。放送日が近づく読み聞かせのコーナーは、真瀬にやってもらおう!って、つばさは閃きます。

☆「もう、おしまいにしてあげてよ」
前週から登場の、亡くなった千波の親友・横矢みちるは、キャスターを辞めて会社を起こすつもりで、真瀬も引き入れようとしています。

千波の夢だったコミュニティー・ラジオを、今さら真瀬がやる事になど意味は無い、と吐き捨てるみちるに、「でも、真瀬さんあってのラジオぽてとです!」とつばさは反論。

その時ふと、悲しい顔をしてみちるが洩らしたのが、上記の台詞。ずっと真瀬の過去を責めてた筈のみちるが、実は彼を解放してあげたいと思ってる?

もしかして彼女は…と視聴者に気がかりを残したまま立ち去り、見事な蹴つまずきを見せる(笑)みちる。

☆親になり損ねの落ちこぼれた大人のための、魔法の兜
…それが、画像で二人が被ってるやつです。加乃子の手作りです。

「どう、風景が違って見えるでしょ?」

「いえ、それほどでも」

加乃子が被る「甘玉くん」はこの週、大活躍しますが、真瀬用の「ぽてとくん」は、それほどでも(笑)。今後、活躍の機会はあるのでしょうか?

☆ラジオの力
さて、優花が保育園を一人で抜け出し、行方不明になります。つばさはラジオ放送を使って情報提供を呼び掛け、ぽてとメンバー達も結束して協力します。

優花の母方の祖父である川原(渡辺哲)は「時間の無駄だ」と吐き捨てますが、つばさは「千波さんの夢だった、ラジオの力を信じてください! そして、その夢を叶えようとしてる、真瀬さんの事も」と訴えます。

ここで大方の視聴者は、ラジオの力で優花が見つかり、真瀬を憎む川原の心を動かして大団円!っていう、予感がしたんじゃないでしょうか?

ところがどっこい、そう簡単には絶対にいかない事を、すっかりDeepな『つばさ』ファンになりつつある私はもう、分かってました(笑)。

優花は保育園で食べた甘玉の包み紙に印された店名を頼りに、甘玉堂を訪れてたというオチがつき、この時点では大してラジオは役に立ちませんでした。あくまで、この時点では…

☆素直な気持ち
優花を養子にする事で、親権を真瀬から取り上げようとしている川原。そんな殺伐とした空気から逃れたくて優花は、かつて母・千波と一緒に食べた甘玉の店にやって来たみたいです。

優花を失う恐怖を味わった真瀬は、ようやく素直な気持ちを優花にぶつけます。

「やっぱり、一緒に暮らしたい。何もかも失っても、優花だけは失いたくない。一緒に暮らそう!」

これでやっと大団円? いえいえ、この程度じゃ『つばさ』のドラマは動きません(笑)。ラストで最高のカタルシスを視聴者にプレゼントする為に、これでもかと試練を与え続けるのが『つばさ』作劇なんです。分かって来ましたよ!(笑)。

☆「竹馬!」w
とりあえず玉木家に泊まる事になった優花のワガママぶりを、皆が甘やかす中で一人、ビシッと叱る千代さんがカッコイイです。で、優花も筋の通った苦言はちゃんと受け入れる。根っから腐ってるワケじゃないんです。

だけど、なかなか笑わない優花を笑わせる為に、玉木家一同+近所のオヤジ二人wも加わって四苦八苦。ここで加乃子の「甘玉くん」も大活躍し、あまりのバカバカしさに(笑)優花が初めて、心からの笑顔を見せます。

子育てはかくも大変だけど、親っていうのは「子供の笑顔一つで、幸せーな気分になるんだよね」と竹雄さん。

☆おはなしの続き
なかなか寝ようとしない優花に、つばさは魔女の絵本を読み聞かせしてあげます。その時、一緒にいた知秋が、かつて自分が読み聞かせしてもらった時と印象が違う事に気づきます。

実はこの絵本、悪い魔女が子供達に退治されて終わる内容で、幼いつばさは可哀相だと言って泣いたから、加乃子がつばさを「笑顔にするために」ハートフルな展開を独自に付け加えてハッピーエンドに変えてしまったのでした。

「ちちんぷいぷい! 起きてしまった物語は、変えられなーい。だけど、物語の続きは、あなたの手の中にあーる」

加乃子のテキトーな言葉wがまた、つばさに大きなヒントを与えてくれます。

☆MD
優花は、一枚のMDを「お母さん」と呼んで大事に持ってました。そのMDには、千波が手術入院する直前に、自分がいない間の読み聞かせ用に録音した、オリジナルの童話が入っている事を、真瀬が明かします。

小さな女の子に「おはなし」を聞かせてあげるのが大好きな、ちっぽけな木。その木が嵐の夜に倒れてしまい、女の子はおはなしを聞けなくなっちゃう。…そこまでで、物語は中断してます。

「続きは、また後で」

結果的に、それがお母さんの最後の言葉になってしまった。優花が「後では、おしまいなんだよ」と言ってたのは、その為だったんです。

真瀬が持ってたコピーのMDが再生され、つばさが千波の朗読を聴いてる場面で、再び花びらが舞い落ちます。

☆おはなしの木
ラジオの読み聞かせコーナー第1回の日、同じ時間に、川原家では真瀬とちなみ、そして弁護士を交えて、優花の養子縁組についての話し合い。実質は、真瀬にそれを了承する印鑑を押させる為の会合です。

つばさは急遽、読み聞かせる本の内容を変更します。千波が遺したおはなしの続きを、徹夜して書き足したのでした。

それをどうやって真瀬と優花に届けるんだろう?と思ってたら、加乃子が「親になり損ねた落ちこぼれの大人の為の、魔法の兜」=甘玉くんを被って、近所に登場! 鈴木スーパーの宣伝カーを使い大音量スピーカーで聴かせるという、犯罪スレスレ?の作戦を決行します。加乃子にしか出来ない芸当です(笑)。

つばさが創った物語の続きは、倒れた木の前で女の子が泣いてると、通り掛かりの旅人が、そばに落ちてる種に水をかけてあげる、というもの。

旅人が毎日、水をかけて、やがて大きくなった木は、女の子におはなしを聞かせてくれるのです。女の子がそれを聞いてニッコリ笑うたびに花が咲き、また新しいおはなしを聞かせてくれる。

今日も明日も、女の子が笑顔でいるかぎり、花は咲き続けます。だから、このおはなしに「おしまい」は無いのです。

優花は祖父母から「お父さんはずっと、旅行してるんだよ」と聞かされてました。女の子が優花、ちっぽけな木が千波、そして旅人が真瀬。それを理解した優花は、真瀬の顔を見て、ほほ笑みます。涙腺、決壊!(笑)

いや、おはなしの続きが始まった途端に輝き始めた優花の表情を見た時点で、もう滝の涙です。そのおはなしのイメージ映像に出て来る旅人が、寅さんの格好をした真瀬なもんだから、また…w

かつて同じように寅さんみたいな鞄を持って、長い旅に出た加乃子も、万感の想いでこの物語を聞いてたご様子。二人の落ちこぼれ親が、新たなスタートを切った瞬間です。

今度こそ、ラジオの力が、みんなの心に変化を持たらしました。

あんなにラジオぽてとを否定してたみちるも、ついにシャッポを脱ぎます。なんだか嬉しそうに見える彼女はただ、似合わない事をやって苦しむ真瀬を見たくないだけだった?(女心だけは、よく解りませんw) そして、さらに…

「すまなかった。我が子と引き裂かれる痛みを、あんたにも味わわせてしまうところだった」

千波の父・川原さんも、同じ親として真瀬の心を理解し、養子縁組の話を破棄します。演じる渡辺哲さんといい、その奥さん役の方といい、人間味溢れる演技で素晴らしかったですね!

さぁ、これでやっと、今度こそ大団円! 感極まった真瀬が、優花を抱き上げます。その時、優花は何と言ったか?

「くさーい! おろして」(爆笑)

まったくもう、どこまでもこの作者は!w

☆感動のフィナーレ
さて、2週に渡って描かれた大作のラストに相応しく、秀樹と一緒にサンバダンサー軍団が久々に登場!

ラジオぽてと=川越キネマの表で、踊り狂う一同。よく見ると、その中に「あの人」がいるんです。天使の姿をした、千波さんが!

「これで、大丈夫ね」

涙腺、爆発!(笑) 彼女は、ずっと此処にいたんです。彼女の夢を叶える為に、真瀬が人生を懸けて作った、このラジオぽてとに。あの花びらは、彼女だったんですね。

これにはもう、またもや、やられましたねーw サントラさんが、この第8週〜第9週にとりわけ深い思い入れがあると仰るのは、最後の最後に、このダメ押しがあったからではないでしょうか?

そんなワケで、今回は特に心をこめてレビューさせて頂きましたが、もうクタクタです(笑)。次回からはまた、テキトーにやりまーすw

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