yamarineさんのオススメ映画シリーズ第3弾です。私からもオススメしつつ、今回は結末まで書いちゃいます。意外な展開で楽しませる類の映画じゃないので、あらすじを知っててもさほど影響は無いと思います。
それでも、近々観る予定で、映画は出来る限り前情報無しで観るのが望ましいタイプの方は、鑑賞後まで読まれない方が良いかも知れません。
主演はジェフ・ブリッジス。『トゥルー・グリット』ではアル中寸前でヨレヨレのガンマンに扮してましたが、今回はアル中寸前でヨレヨレのカントリー歌手に扮してますw まるであのガンマンが現代にタイムトラベルして現れたかの様ですw
でも今回の主人公の方が重症で、ステージの本番中に吐き気を催したり、医者にも酒をやめなければ直に死ぬぞと脅される始末。話の展開を観てても、ジェフは最後に死ぬんじやないかと思えて来ます。
でも、彼は死にません。彼は死にまっしぇーん!! もし死んだとしてもそれなりに感動する作品になったとは思いますが、そういう映画ならyamarineさんはお薦めされなかったんじゃないでしょうか?
ジェフは伝説のシンガーと謳われながらも、老いや感性の衰えを自覚し、自分が育てた若手歌手(コリン・ファレル)がメキメキ売れて行くのを横目に見て、おまけに三回ほど離婚も経験し、酒で気を紛らさなきゃ生きていられなかったんでしょう。
私はアルコールを受けつけない体質ゆえ、依存症にはなりようが無いんだけど、例えばこうしてブログを書いたり等のはけ口が無ければ、やっぱり日常のストレスの中で平常心は保って行けないだろうと思います。
さらに、映像業界から脱落していく過程の中で、同時期にデビューした仲間がバリバリ仕事してる様を横目にして、なんとも表現しようの無い焦燥感や切なさも味わいましたから、この主人公の心情はよく理解出来るつもりです。
地方巡業でなんとか食いつなぐ日々の中、ジェフは子連れの女性(マギー・ジレンホール)と運命の出逢いをします。その女性も離婚を経験しており、まだ幼い一人息子を大切に育てる事のみに人生を捧げてるような人だから、恋愛には慎重な姿勢なんです。
だけど、やっぱり伝説のシンガーであるジェフは腐っても鯛だし、根は温かい人柄ですから、惹かれずにはいられない。ジェフも彼女とその息子に愛情を抱くようになり、三人で生きていこうと決意するのですが…
ジェフは子供の前で飲酒はしないと約束したにも関わらず、それをつい破った為にトラブルが起きてしまい、彼女は怒り狂います。
そんなに怒らんでも…って思う位に彼女は怒るんだけど、それは多分、息子を守る事を最優先に生きて行くと誓ったのに、危険を孕んだ男と知りながらジェフに惹かれてしまった、自分自身への怒りなんだろうと思います。ジェフがどれだけ謝っても彼女は許さず、息子を連れて彼の元から去って行きます。
今に至るまでは、身体がボロボロになろうが、仕事に支障をきたそうが、医者や友人からさんざん警告されようが、酒をやめるつもりは毛頭無かったジェフ。そんなジェフがついに、酒を断つことを決意します。
吾妻ひでお作『失踪日記』にも登場する「断酒治療」に取り組んだジェフは、ついにアルコール依存から脱出し、生まれ変わります。この治療の過程が描かれてないので、割とあっさり断酒出来たように感じちゃうのですが、『失踪日記』を読んだ方なら、それがどれほど熾烈な闘いの日々であるか、脳内補完出来る事と思いますw
アルコールを断つ事で、心身がいかにリフレッシュされたか、歌を1曲唄うだけで一目瞭然に表現しちゃうジェフの演技が素晴らしい!w ホントにねぇ、笑っちゃうぐらい全然違うんですよw
私は実際笑っちゃったけど、これは出来そうで出来ない、かなり高度な演技テクニックだと思います。そもそも歌唱力が無いと出来ませんし。吹き替えなら話は違って来ますが、たぶんご本人の声です。
本来の歌声と共に仕事へのモチベーションも取り戻した、ジェフの人生は好転し始めます。そうして自信をつけたジェフは、あらためて彼女の家を訪ねるのですが…
彼女はジェフの復活を心から祝福しながらも、寄りを戻す事は頑なに拒否するのでした。それはやっぱり、彼女が許せなかったのはジェフじゃなくて、自分自身だったから…って事だろうと思います。
結局は独りになっちゃったジェフですが、彼には才能があり、人々から愛されるに値する温かさがある。また新たな出逢いが、きっと彼を幸せにしてくれる事でしょう。
……お話は以上ですw 落ちぶれた歌手のジェフが、アルコール依存を克服して立ち直る。ホントにこれだけなんです。だけど良いんですよね、これが! 穏やかで爽やかな風を浴びたような、心地よい余韻が残る映画です。
これほどシンプルな物語を支えてるのは、やっぱりジェフ・ブリッジスという存在なんです。だから本作でジェフは、何度目かの正直でアカデミー賞やゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞に輝いたんですよね。これが香取慎吾ならえらい事です。
テクニックだけの問題じゃないですよね。滲み出るお人柄が魅力的でなければ、これほどシンプルな映画は成立しないだろうと思います。それがあってこその主演男優賞でしょう。ね、そうだろ香取くん?w
ヒロインのマギーさんやコリン星のファレル君、ジェフと一緒に製作にも名を連ねてるロバート・デュバル氏も素敵でした。私はデュバル氏をよくデニス・ホッパー氏と間違えますがw
いい映画でした。面白いとか感動したとか言うよりも、いい映画でした。いい人と出会えたみたいな、そんな感触です。
それでも、近々観る予定で、映画は出来る限り前情報無しで観るのが望ましいタイプの方は、鑑賞後まで読まれない方が良いかも知れません。
主演はジェフ・ブリッジス。『トゥルー・グリット』ではアル中寸前でヨレヨレのガンマンに扮してましたが、今回はアル中寸前でヨレヨレのカントリー歌手に扮してますw まるであのガンマンが現代にタイムトラベルして現れたかの様ですw
でも今回の主人公の方が重症で、ステージの本番中に吐き気を催したり、医者にも酒をやめなければ直に死ぬぞと脅される始末。話の展開を観てても、ジェフは最後に死ぬんじやないかと思えて来ます。
でも、彼は死にません。彼は死にまっしぇーん!! もし死んだとしてもそれなりに感動する作品になったとは思いますが、そういう映画ならyamarineさんはお薦めされなかったんじゃないでしょうか?
ジェフは伝説のシンガーと謳われながらも、老いや感性の衰えを自覚し、自分が育てた若手歌手(コリン・ファレル)がメキメキ売れて行くのを横目に見て、おまけに三回ほど離婚も経験し、酒で気を紛らさなきゃ生きていられなかったんでしょう。
私はアルコールを受けつけない体質ゆえ、依存症にはなりようが無いんだけど、例えばこうしてブログを書いたり等のはけ口が無ければ、やっぱり日常のストレスの中で平常心は保って行けないだろうと思います。
さらに、映像業界から脱落していく過程の中で、同時期にデビューした仲間がバリバリ仕事してる様を横目にして、なんとも表現しようの無い焦燥感や切なさも味わいましたから、この主人公の心情はよく理解出来るつもりです。
地方巡業でなんとか食いつなぐ日々の中、ジェフは子連れの女性(マギー・ジレンホール)と運命の出逢いをします。その女性も離婚を経験しており、まだ幼い一人息子を大切に育てる事のみに人生を捧げてるような人だから、恋愛には慎重な姿勢なんです。
だけど、やっぱり伝説のシンガーであるジェフは腐っても鯛だし、根は温かい人柄ですから、惹かれずにはいられない。ジェフも彼女とその息子に愛情を抱くようになり、三人で生きていこうと決意するのですが…
ジェフは子供の前で飲酒はしないと約束したにも関わらず、それをつい破った為にトラブルが起きてしまい、彼女は怒り狂います。
そんなに怒らんでも…って思う位に彼女は怒るんだけど、それは多分、息子を守る事を最優先に生きて行くと誓ったのに、危険を孕んだ男と知りながらジェフに惹かれてしまった、自分自身への怒りなんだろうと思います。ジェフがどれだけ謝っても彼女は許さず、息子を連れて彼の元から去って行きます。
今に至るまでは、身体がボロボロになろうが、仕事に支障をきたそうが、医者や友人からさんざん警告されようが、酒をやめるつもりは毛頭無かったジェフ。そんなジェフがついに、酒を断つことを決意します。
吾妻ひでお作『失踪日記』にも登場する「断酒治療」に取り組んだジェフは、ついにアルコール依存から脱出し、生まれ変わります。この治療の過程が描かれてないので、割とあっさり断酒出来たように感じちゃうのですが、『失踪日記』を読んだ方なら、それがどれほど熾烈な闘いの日々であるか、脳内補完出来る事と思いますw
アルコールを断つ事で、心身がいかにリフレッシュされたか、歌を1曲唄うだけで一目瞭然に表現しちゃうジェフの演技が素晴らしい!w ホントにねぇ、笑っちゃうぐらい全然違うんですよw
私は実際笑っちゃったけど、これは出来そうで出来ない、かなり高度な演技テクニックだと思います。そもそも歌唱力が無いと出来ませんし。吹き替えなら話は違って来ますが、たぶんご本人の声です。
本来の歌声と共に仕事へのモチベーションも取り戻した、ジェフの人生は好転し始めます。そうして自信をつけたジェフは、あらためて彼女の家を訪ねるのですが…
彼女はジェフの復活を心から祝福しながらも、寄りを戻す事は頑なに拒否するのでした。それはやっぱり、彼女が許せなかったのはジェフじゃなくて、自分自身だったから…って事だろうと思います。
結局は独りになっちゃったジェフですが、彼には才能があり、人々から愛されるに値する温かさがある。また新たな出逢いが、きっと彼を幸せにしてくれる事でしょう。
……お話は以上ですw 落ちぶれた歌手のジェフが、アルコール依存を克服して立ち直る。ホントにこれだけなんです。だけど良いんですよね、これが! 穏やかで爽やかな風を浴びたような、心地よい余韻が残る映画です。
これほどシンプルな物語を支えてるのは、やっぱりジェフ・ブリッジスという存在なんです。だから本作でジェフは、何度目かの正直でアカデミー賞やゴールデングローブ賞の最優秀主演男優賞に輝いたんですよね。これが香取慎吾ならえらい事です。
テクニックだけの問題じゃないですよね。滲み出るお人柄が魅力的でなければ、これほどシンプルな映画は成立しないだろうと思います。それがあってこその主演男優賞でしょう。ね、そうだろ香取くん?w
ヒロインのマギーさんやコリン星のファレル君、ジェフと一緒に製作にも名を連ねてるロバート・デュバル氏も素敵でした。私はデュバル氏をよくデニス・ホッパー氏と間違えますがw
いい映画でした。面白いとか感動したとか言うよりも、いい映画でした。いい人と出会えたみたいな、そんな感触です。