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『つばさ』19 (後)

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第3週で加乃子が、つばさと知秋を抱いて「一緒にいさせてぇーっ!!」と絶叫した時も、第9週で真瀬がやっと優花の父親になれた時も、サンバ・ダンサー軍団は単なる賑やかしに現れたワケじゃなくて、「励ましたい人がいれば、いつでも何処でも」川越に情熱のサンバを!っていう、ビバマリアへの誓いを果たす為に、秀樹が手配して連れて来てたのでした。

そんな事実が今になって明かされたのにも驚きましたけど、秀樹の行動は全て「加乃子への愛」によるものだと思い込んでた私は、ビバマリアという別の女性の存在が実は原動力になってた事にこそ、何より驚かされました。

じゃあ、秀樹はなぜ、つばさを中心にして、その周囲の人達を助け、励まそうとするのか? 加乃子の愛娘だからじゃなかったのか? そう言えば知秋にはあまり興味が無さそうだしw

…その謎も、この週の後半で明らかにされます。

☆自分を変える
いくら加乃子に葛城の見舞いを促されても、頑なに拒む千代さん。かつて千代さんは、加乃子と秀樹同様、葛城との仲を親に…というか玉木家そのものに引き裂かれました。

そのどん底の後、千代はどう生きたのか? 「案外、私と同じで必死にあがいてたのかしら、自分を変える為に」という加乃子の言葉を、竹雄が聞いてます。

このところ「自分を変える」って言葉にやたら敏感な竹雄は、いよいよ目つきがヤバくなって来ました。自分を変えなきゃ加乃子に見捨てられると思ってるのでしょうか?

いずれにせよ、悩み過ぎて欝病寸前の状態になってるのは確かです。チクビッティーみたいに動かせる頭皮が無いだけに、非常にヤバイ。

☆『永遠の恋』
葛城は病院を抜け出して、かつて千代との最後のデートで観た映画『永遠の恋』を川越キネマでもう一度観られないものか?と、つばさに相談を持ちかけます。

「出来れば、1日も早い方がいいんだが」という葛城の言葉を聞いて、つばさも、そしてその会話を離れた場所で聞いてた息子・正太郎も、葛城の余命が残り僅かである事を察します。

つばさは、千代も同じ願いを抱いてる事を知ってます。人と人を繋げる為に、新生つばさが動きだします。

映画を上映するには、壊れたままの映写機を直さなければなりません。かつて浅草の劇場で映画の上映も手伝ってた秀樹なら、何とかしてくれるかも知れないってんで、つばさは秀樹の「同志」である加乃子を連れて、斎藤興業を訪ねます。

秀樹は相変わらずバカボンのパパ状態で、ブラジルから届いたビバマリアの形見の品にも手をつけようとはしません。

「自分の人生を支えて来てくれたものが無くなった事を、簡単に認められるほど人間っていうのは、強くないからね」と、加乃子。それは加乃子自身をはじめ、あらゆる登場キャラが経験し、加乃子のせいで(?)竹雄がたった今、味わってる苦しみでもあります。

☆やめてくれっ!
ボインボイ〜ン麻子さんの店「こえど」で独り呑む竹雄ですが、今夜は麻子の様子も何やらおかしい。それを察して帰ろうとする竹雄の手を握り「一人にしないでください!」と懇願する、魔性の女w

父親が極道であったせいで別れた、かつての婚約者が別の女性と結婚したとの知らせが入り、まだ想いが残ってる麻子は動揺してるのでした。

同じ頃、つばさは翔太と久々に二人で会話。チャラい髪型を卒業し(ただしモミアゲはキープw)、背筋を伸ばして敬語で話すチクビッティーが、気持ち悪いっていうか面倒臭いっていうかなんだけどw、ちょっと切なくもあり、可愛く感じたりもしちゃいます。今のチクビッティーは、ちょっとだけ好きですw

誰かの為に頑張るって考え方は結局、失敗した時にその誰かのせいにしたいだけ。これからは言い訳を作らず、自分自身の為に何をすべきかを模索したいと語る翔太。

それはこの週の冒頭、つばさが千代に話した事と同じなんですよね。お互い、相手に依存してた自分に気づいて、それぞれが今、自立して前向きに歩き出そうとしてる。でも、二人が同じ結論を出したからって、私は交際を認めたワケじゃないですからねw

「親父みたいな大人にはなりたくないから」

↑この想いだけは終始一貫してるチクビッティーですが、それを意識すればするほど、また一人相撲に走っちゃうような気がするけどなぁ…

麻子もまた「親父の血」の呪縛に苦しんで来た人です。幸せになればなるほど、いつか壊れるんじゃないかと思って怖くなる。破滅的な父親の血を受け継いだからこそ、麻子は婚約者との関係が壊れる前に、逃げてしまった。

「私が幸せになれないのは、父のせいだと諦めました」

尚も、自分自身の中にいる父親への憎しみを語る麻子。聞くに耐えられなくなった竹雄が、いきなり「やめてくれっ!」と激昂します。麻子はもちろん我々視聴者も、こんな竹ちゃんを見るのは初めてです。

麻子の父と同じ、元極道という過去を持つ竹雄は、自分の事を言われてる気がしたのでしょうか? それとも、竹雄の中にも、受け継いだ血の呪縛があったりするのか…?

いずれにせよ、竹雄のアイデンティティーが崩壊した瞬間だったように思います。

☆広場
ビバマリアの遺品には、ブラジルに帰った彼女に宛てた秀樹の手紙が入ってました。その内容から、秀樹が川越キネマ=ラジオぽてとに拘るのは、ビバ・マリアとのある約束があったからだと判ります。

川越キネマは、ビバマリアの故郷にある映画館とよく似ていた。町中の人々が集まって、まるでカーニバルの広場みたいだった映画館を、彼女は愛してた。

嬉しそうに踊る彼女を見て、秀樹は川越キネマをそんな場所に育てると決めたのでした。

「俺の手で必ず、祭りを見せてやる」

それを知ったつばさも、ラジオぽてとを川越の町の人々が集う「広場」にしたい!という、具体的な夢に辿り着きました。

…と、そこまでは実にめでたい話なのですが…

それを聞いた翔太が、頭皮を動かしながら「絶対、復活しよう!」なんて、まぎらわしい言い方をするもんだから、一瞬つばさがドキッとしてたように、見えましたよね!?(笑)

奴は川越キネマを映画館として復活させる意味で言ったんだけど、つばさは一瞬、寄りを戻す話だと勘違い、してましたよね!? こらっ! 乳毛っ!w せっかく… せっかく完全に吹っ切れてたのに、お前という乳首は… 何がチクビッティーじゃ、ふざけんな! この、ち○毛っ!!(笑)

☆アミーゴ・インチモ
夢への第一歩として、つばさは何としても『永遠の恋』上映会を実現させようと、バカボンのパパを再び説得します。

「お願いします。ラジオぽてとを、広場にしたいんです!」

広場という言葉に、パパが反応します。さらに乳毛も説得に加勢します。例え離れ離れになっても、信じ合い、支え合う「同志」がいる事が、どれほど心強いか… 翔太にとってそれはつばさであり、秀樹にとってはビバマリアだった。

「同志か… そう、アミーゴ・インチモだ!」

親友を意味するその言葉は、ビバマリアがブラジルに帰国する別れ際、秀樹に贈った言葉でした。

「地球の裏側に、アミーゴ・インチモの斎藤がいてくれる。そう思えば、ブラジルでも頑張れる。…ここ(ハートの中)に、サンバがある限り」

彼女の言葉を思い出したパパは、ついに秀樹に戻ります。

「祭りを見せてやる。待ってろよ、アミーゴ・インチモ!!」

☆二人だけの試写会
復活した秀樹が見事に映写機を修理して、川越キネマも復活、上映会に先がけて、千代と葛城の為の試写会が開かれます。最後のデートと同じ座席で、同じ映画を観る二人。

「この映画をどうしても、千代さんと観ておきたかったんだよ」

そう言われて千代も、本気で愛した唯一の人=葛城の、限られた時間を察します。

「私は、君に支えられて生きて来たんだなぁ… ありがとう」

別れても、翔太や秀樹は近い場所にいる。でも葛城は… 千代さんの別れが、一番切ない別れかも知れません。

そんな千代の姿を見て、加乃子は同志の大切さが身に染みたのか、秀樹の手を握って言います。

「愛してる。同志として」
秀樹はかつて加乃子を失い、今またビバマリアを失った。そんな秀樹の心を支えてあげる、3人目の天使は現れるのか…?

「今のカノンは、ビバマリアにそっくりだ」

「ううん、私よりつばさの方が似てるかも」

☆太陽がいっぱいだ!
上映会本番の前に、今度は秀樹の為にビバマリアからのビデオ・メッセージがスクリーンに映し出されます。遺品の中にあった物で、ビバマリアが亡くなる数日前に、病を圧してサンバを踊ってる映像です。
「人生は、踊れば悩みなんか吹き飛ばせる。これからはもっと、楽しくラテンで生きなさい!」

ビバマリアと同じ真っ赤な衣裳を着たつばさが、ブラジルから駆けつけたビバマリアの教え子達と一緒に、ステージでサンバを踊ります。

涙を流す秀樹の眼には、踊るつばさがビバマリアに見えた事でしょう。いや、多分、初めてつばさと会った時から、秀樹はビバマリアと重ねてつばさを見てたんですね。

加乃子を失ってどん底に堕ちた秀樹は、ビバマリアの中に加乃子を見て、つばさの中にビバマリアを見た。

秀樹にとって、つばさは希望。ビバマリアが故郷で見上げた、ブラジルの太陽みたいな存在なんです。

「太陽がいっぱいだ!」

見事、秀樹を復活させたつばさは、新しい夢に向かって羽ばたこうとしています。

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