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『アサルトガールズ』

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『KILLERS』でご一緒した押井守監督の新作実写映画です。と言っても、公開から2年は経ってるでしょうか。CSで観ました。

このブログの性質上、押井監督をご存じない方も多いかも知れないですが、あの方と一緒に仕事したと言うだけで、ある種の人達は「えーっ、凄い!」と驚嘆し、その瞬間だけは尊敬の眼差しで見てくれたりします。

一言で説明すれば「アニメ界の巨匠」であり、日本よりも海外で熱烈に信仰され、半ば神格化されてる凄いお方なのです。ただし作家性が非常に強く、大衆向けの作品は創らないゆえ、一般的な知名度は低いかも知れません。

そう、自分が描きたいものを描く事に撤しておられる方で、「観客を喜ばせようとか、一度も考えたこと無い」って、はっきり仰ってました。

私自身は、あの手この手で観客を笑わせる(サービスする)事ばかり考えて…と言うかそれしか出来ない創り手でしたから、せっかく巨匠とご一緒しても、あまりに方向性が違い過ぎて、何を学べばいいやら分からなかったですw

だから正直に言って、押井監督の作品を面白いと感じた事は、一度もありません。でも映像や音響へのこだわり、その密度の濃さにはいつも圧倒されますし、オムニバス映画『KILLERS』の中でも、風格的にはズバ抜けてたと思います。

だけど、一番ストーリーが無かったのも押井さんのエピソードなんですよねw ターゲットの到着を待つ殺し屋が、約15分間、延々と菓子パンを食べ続けてるという内容でw

私みたいな凡庸以下の創り手には、観客に居眠りされるのが怖くて、とても出来ない芸当です。実際、眠っちゃった観客は少なくないと思いますよw

で、今回の『アサルトガールズ』もやっぱり、ストーリーらしいストーリーは無かったです。主人公達がバーチャル世界の中でシューティング・ゲームをし、怪物を倒して次のステージに進む。それだけw

ただ、従来の押井作品と決定的に違うのは、黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子というメジャーな女優さんが起用されてる事。これは多分、一般客を呼ぶ為に製作側が要求した、保険みたいなものだろうと思います。

あと、小難しい哲学を持ち込んで観客を煙に巻く手法も、今回は最小限に抑えられた感じで、やはり不景気の影響でしょうか、いつになく「売ること」を意識したような創りになってます。

盟友・田渕寿雄監督の自主映画で主演された俳優・藤木義勝さんが唯一の男性キャストとして登場しますが、けっこう分かりやすいコメディー・リリーフとして描かれており、ちゃっかり観客サービスしてますやん!とも思いましたw

そのへんは押井監督の心境が変化したのか、それともやっぱり不景気の影響による、譲歩だったりするのでしょうか…?

もうお会いする機会も無いでしょうから確かめようが無いけど、本意にせよ不本意にせよ、あの巨匠がほんの少しだけ、こっち側に歩み寄ってくれたような気がして、なんだか嬉しかったです。

タベリスト・かわたべ的には、『ジウ』以前に戦闘服姿でアクションを披露してる、黒木メイサちゃんが見所でした。サバイバル・ゲームが趣味と聞いて驚いたけど、この映画がきっかけだったのかも?

菊地さんは不思議な雰囲気でさすがの存在感を示したし、佐伯さんは相変わらず可愛かったです。藤木さんも良い味を出されてましたね。

でも、私としてはやっぱり、もうちょっとドラマが見たいです。見たいんだけど、押井監督がそれをやっちゃうと、逆にショックかも知れません。>どないせぇっちゅーねんw

つまり今まで通り、私みたいに凡庸な観客は無視して、やりたい事だけを貫いて下さい!って結論ですね。今の日本でそれが出来るのって、ほんのひと握りの創り手だけですから…

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