勝ち組とか負け組とかいう分類の仕方は嫌いですが、まぁ文章を書く時に便利な言葉であるのは確かです。
勝ち組、負け組みたいな価値観は、確かにあると思います。でも、例えば会社で社長になったって、家庭では惨めな扱いをされてるかも知れない。
会社内では勝ち組でも、建物を一歩出たらただの人。あんまり偉そうにすんなよと私は言いたい。いや、今そんな事を言いたかったワケじゃないんだけどw
TVドラマはどちらかと言うと負け組の味方をする傾向がある(その方が大衆の共感を得て視聴率が稼げるから)と思うのですが、この『鈴木先生』は学校内で勝ち組に属する優秀な先生が主人公なんですよね。
同時に負け組の心理も同等に描いてるのが素晴らしく、それによって両者それぞれ、その立場ならではの苦しみがあるという真理が浮き彫りにされて、毎回本当に考えさせられます。
今回、ずっと我が道を歩んでるように見えた足子先生(富田靖子=画像)の苦しみが描かれ、それがスーパー教師・鈴木先生(長谷川博己)の没落に繋がって行く…かも知れません。
7月、夏休みを目前にして、生徒達の気分は高揚してます。鈴木先生が担任する2年C組の生徒らが町の夏祭りの運営に参加する事になり、当日の見回りを同僚教師らに依頼する鈴木先生。
2年C組の充実ぶりは職員室でも評判で、今や鈴木先生のひと味違った指導法も高く評価されてます。もちろん、生徒達からの人気も相変わらず。ただし、女子人気は爽やかイケメン・続木先生に追い上げられてる様子。
今回は、ずっと鈴木先生を慕う丹沢(馬渕有咲)という女子生徒がクローズアップされます。
「時代は続木先生だけど、私はずっと鈴先派!」
↑てな感じでストレートに想いをぶつけて来る丹沢は、素朴で屈託の無い、昔ながらの可愛い中学生。言わば純真なんだけど、そこが強調して描かれてる所に、一抹の不安がよぎります。
さて、そんな鈴木先生の充実ぶりを、足子先生は一体どう思っているのか? 前回、邪魔者扱いされたわだかまりが無い筈は無いのに、鈴木先生と顔を合わせれば画像みたいな微笑みを浮かべてばかりなのが、かえって不気味ですw
夏休みを控え、若い女性教師らも彼氏と旅行がどうのと浮かれてる中、黙々と仕事する足子先生。生真面目過ぎる彼女が主張する正論を、同僚教師らもやや持て余しており、職員室で浮いた存在になってる様子。
そしてどうやら足子先生、独身みたいです。もう40歳にはなってるでしょうから、立派なオールド・ミス。結婚してないから負け組だなんて私は断じて思わないけど、世間の価値観だとそう言わざるを得ません。
だから男性教師にちょっと優しい言葉を掛けられると、すぐによろめいちゃう足子先生。その気持ちも解るなぁw 異性のパートナーなんか要らないって、心底から思ってる人間はいないでしょう。百合や薔薇は別としてw
いや、百合や薔薇だって、同性にしか興味が無い人ばかりとは限りません。バイセクシャルとは別に、異性と接するのが苦手で、言わばイジケて同性愛に走っちゃうような場合もあるかも知れません。
実はこのドラマでも以前から、百合の女子生徒が登場してるのですが、どうも屈折した感じで、私が見たい純粋な百合とは違うんでw、これまでブログでは触れて来なかったんです。
「私、夏って嫌い。みんなヘラヘラ浮かれてさ… バッカみたい」
↑そんな事をボヤく女子…名前が分からないので「百合子」と名付けますがw、彼女はいつも特定の女子としかコミュニケーションしません。
百合子が屈折した百合族なのは明らかだけど、相手の女子はどうも、そうじゃないらしい。棒アイスをちょっといやらしい食わえ方をしてるのが、それを暗示してる…ってのは考え過ぎ?w
でも、多分そうだと思います。その子はちょっと根暗な感じで、他につるむ相手がいないから、親しくしてくれる百合子から離れられないだけなんでしょう。
「どうにかして、懲らしめる方法無いかな? 浮かれてる馬鹿どもをさ」
百合子が、そんな事を言い出しました。実はこれまで本作で描かれて来た数々の事件は、この百合子が裏で噂を広めるなどして、意図的に事態をややこしくして来たんですよね。
本当にイヤな女なんだけど、大変残念な事に、私には百合子の気持ち、ちょっとだけ解りますm(__)m
私もみんなでワイワイガヤガヤってやつが大の苦手で、学生時代は波長の合う特定の相手としか遊ばなかったです。映画作りを始めてから少しは社交性を持つようになったけど、それでも基本は変わってないですね。
でも、心のどこかでは、無意識に羨ましく感じてる。女子なら尚更だろうと思います。それが屈折した行動に繋がって行くのでしょう。さて百合子、今度はいったい何をやらかすつもりなのか?
でも、こういう生徒以上に危険なのは、先の丹沢みたいに純真な子なのかも知れません。
1学期における2年C組の充実ぶりを噛み締め、夏休みへと突入して行く生徒らを眺めながら、鈴木先生は祈ります。
「頼む。いくら夏だからって、ハメを外して大事件をぶちかましたりするなよ」
そう言う鈴木先生も、目下ラブラブの恋人・麻美(臼田あさ美)とのバカンスを妄想して浮かれてるのですがw
そう、公私共に絶好調の勝ち組=鈴木先生は、浮かれてます。浮かれて当然だと思います。そして、やや慢心気味でもある。これもまた、危険信号…
男性教師の溜り場になってる喫煙室では、とても興味深い会話が交わされてました。
↓
「しかしまぁ、なんとか1学期を終えたかと思ったら、今度は危険な夏休みですよ。生徒に毎日手を焼かされるのと、手の届かないぶん不安にさせられるのと、どっちがマシかって話ですもんねぇ」
「まったくまったく。この不安もほとんど風物詩ですな」
「9月1日、明らかに雰囲気が変わって、目元の色気づいた女子生徒に気づいても、気づかぬフリで以前どおりに接しなければならない、あの居たたまれなさったら」
「しかも、毎年必ず数人はそうなるっていう… いつまで経っても慣れませんよね」
「切ないですね…」
…こういうのは今に始まった事ではなく、昔から続いてるんでしょうね。私は無縁だったし鈍感だったから気づかなかったけど、そう言えば夏休み明け、急に派手になった子とか、いたよなぁ…
ますます、丹沢の行く末が気になっちゃいます。ホント、ああいう子には汚れて欲しくない。
謀らずも今回、『つばさ』並みに長いレビューになっちゃいましたので、前後編に分けさせて頂きますm(__)m
危険な夏休み。果たして、誰が大事件をぶちかましてしまうのでしょうか!?(つづく)
勝ち組、負け組みたいな価値観は、確かにあると思います。でも、例えば会社で社長になったって、家庭では惨めな扱いをされてるかも知れない。
会社内では勝ち組でも、建物を一歩出たらただの人。あんまり偉そうにすんなよと私は言いたい。いや、今そんな事を言いたかったワケじゃないんだけどw
TVドラマはどちらかと言うと負け組の味方をする傾向がある(その方が大衆の共感を得て視聴率が稼げるから)と思うのですが、この『鈴木先生』は学校内で勝ち組に属する優秀な先生が主人公なんですよね。
同時に負け組の心理も同等に描いてるのが素晴らしく、それによって両者それぞれ、その立場ならではの苦しみがあるという真理が浮き彫りにされて、毎回本当に考えさせられます。
今回、ずっと我が道を歩んでるように見えた足子先生(富田靖子=画像)の苦しみが描かれ、それがスーパー教師・鈴木先生(長谷川博己)の没落に繋がって行く…かも知れません。
7月、夏休みを目前にして、生徒達の気分は高揚してます。鈴木先生が担任する2年C組の生徒らが町の夏祭りの運営に参加する事になり、当日の見回りを同僚教師らに依頼する鈴木先生。
2年C組の充実ぶりは職員室でも評判で、今や鈴木先生のひと味違った指導法も高く評価されてます。もちろん、生徒達からの人気も相変わらず。ただし、女子人気は爽やかイケメン・続木先生に追い上げられてる様子。
今回は、ずっと鈴木先生を慕う丹沢(馬渕有咲)という女子生徒がクローズアップされます。
「時代は続木先生だけど、私はずっと鈴先派!」
↑てな感じでストレートに想いをぶつけて来る丹沢は、素朴で屈託の無い、昔ながらの可愛い中学生。言わば純真なんだけど、そこが強調して描かれてる所に、一抹の不安がよぎります。
さて、そんな鈴木先生の充実ぶりを、足子先生は一体どう思っているのか? 前回、邪魔者扱いされたわだかまりが無い筈は無いのに、鈴木先生と顔を合わせれば画像みたいな微笑みを浮かべてばかりなのが、かえって不気味ですw
夏休みを控え、若い女性教師らも彼氏と旅行がどうのと浮かれてる中、黙々と仕事する足子先生。生真面目過ぎる彼女が主張する正論を、同僚教師らもやや持て余しており、職員室で浮いた存在になってる様子。
そしてどうやら足子先生、独身みたいです。もう40歳にはなってるでしょうから、立派なオールド・ミス。結婚してないから負け組だなんて私は断じて思わないけど、世間の価値観だとそう言わざるを得ません。
だから男性教師にちょっと優しい言葉を掛けられると、すぐによろめいちゃう足子先生。その気持ちも解るなぁw 異性のパートナーなんか要らないって、心底から思ってる人間はいないでしょう。百合や薔薇は別としてw
いや、百合や薔薇だって、同性にしか興味が無い人ばかりとは限りません。バイセクシャルとは別に、異性と接するのが苦手で、言わばイジケて同性愛に走っちゃうような場合もあるかも知れません。
実はこのドラマでも以前から、百合の女子生徒が登場してるのですが、どうも屈折した感じで、私が見たい純粋な百合とは違うんでw、これまでブログでは触れて来なかったんです。
「私、夏って嫌い。みんなヘラヘラ浮かれてさ… バッカみたい」
↑そんな事をボヤく女子…名前が分からないので「百合子」と名付けますがw、彼女はいつも特定の女子としかコミュニケーションしません。
百合子が屈折した百合族なのは明らかだけど、相手の女子はどうも、そうじゃないらしい。棒アイスをちょっといやらしい食わえ方をしてるのが、それを暗示してる…ってのは考え過ぎ?w
でも、多分そうだと思います。その子はちょっと根暗な感じで、他につるむ相手がいないから、親しくしてくれる百合子から離れられないだけなんでしょう。
「どうにかして、懲らしめる方法無いかな? 浮かれてる馬鹿どもをさ」
百合子が、そんな事を言い出しました。実はこれまで本作で描かれて来た数々の事件は、この百合子が裏で噂を広めるなどして、意図的に事態をややこしくして来たんですよね。
本当にイヤな女なんだけど、大変残念な事に、私には百合子の気持ち、ちょっとだけ解りますm(__)m
私もみんなでワイワイガヤガヤってやつが大の苦手で、学生時代は波長の合う特定の相手としか遊ばなかったです。映画作りを始めてから少しは社交性を持つようになったけど、それでも基本は変わってないですね。
でも、心のどこかでは、無意識に羨ましく感じてる。女子なら尚更だろうと思います。それが屈折した行動に繋がって行くのでしょう。さて百合子、今度はいったい何をやらかすつもりなのか?
でも、こういう生徒以上に危険なのは、先の丹沢みたいに純真な子なのかも知れません。
1学期における2年C組の充実ぶりを噛み締め、夏休みへと突入して行く生徒らを眺めながら、鈴木先生は祈ります。
「頼む。いくら夏だからって、ハメを外して大事件をぶちかましたりするなよ」
そう言う鈴木先生も、目下ラブラブの恋人・麻美(臼田あさ美)とのバカンスを妄想して浮かれてるのですがw
そう、公私共に絶好調の勝ち組=鈴木先生は、浮かれてます。浮かれて当然だと思います。そして、やや慢心気味でもある。これもまた、危険信号…
男性教師の溜り場になってる喫煙室では、とても興味深い会話が交わされてました。
↓
「しかしまぁ、なんとか1学期を終えたかと思ったら、今度は危険な夏休みですよ。生徒に毎日手を焼かされるのと、手の届かないぶん不安にさせられるのと、どっちがマシかって話ですもんねぇ」
「まったくまったく。この不安もほとんど風物詩ですな」
「9月1日、明らかに雰囲気が変わって、目元の色気づいた女子生徒に気づいても、気づかぬフリで以前どおりに接しなければならない、あの居たたまれなさったら」
「しかも、毎年必ず数人はそうなるっていう… いつまで経っても慣れませんよね」
「切ないですね…」
…こういうのは今に始まった事ではなく、昔から続いてるんでしょうね。私は無縁だったし鈍感だったから気づかなかったけど、そう言えば夏休み明け、急に派手になった子とか、いたよなぁ…
ますます、丹沢の行く末が気になっちゃいます。ホント、ああいう子には汚れて欲しくない。
謀らずも今回、『つばさ』並みに長いレビューになっちゃいましたので、前後編に分けさせて頂きますm(__)m
危険な夏休み。果たして、誰が大事件をぶちかましてしまうのでしょうか!?(つづく)