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清竜人「MUSIC 」

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音楽には疎いゆえ、レビューじゃなくて単なる感想しか書けませんが…

この1年、新品で買ったCDと言えば『デカワンコ』サントラと『つばさ』サントラだけw それ以前も、デビュー時から好きなサザンオールスターズだけはほとんど網羅しましたけど、後は『太陽にほえろ!』はじめ、ドラマや映画のサントラ盤しか買わなかった位のもんで。

それが今回、今まで名前すら聴いた事が無かったミュージシャンのアルバムを買う羽目になったのは、これまた多部ちゃんのせいでありますw

タベリストの皆さんには説明不要ですが、このアルバムの5曲目に入ってる『雨』って曲が、事もあろうに多部ちゃんとのデュエット・ソングなんですよね。

多部ちゃんは勘違いして歌手デビューしちゃうようなマルチ・タレントではないのですが、過去にもアイドル歌手役で出演したCMで唄ったり、ドリカムの曲に部分参加したりはありました。

彼女の魅力で大きなウェイトを占めてる、あの澄んだ、それでいて力強い声。そこに誰もが認める表現力が加わるワケですから、歌もそりゃ素晴らしいに決まってます。

だけど、シングルなら迷いなく買ったとは思うけど、全10曲のアルバムの中で1曲だけとなると、残りの9曲は私にとって不要になっちゃうし、オマケにDVDまで付いててw、年中金欠の私にとって、これはかなり痛い出費です。

だから発売されてもすぐには手が伸びなかったのですが、タベリスト仲間達が『雨』という曲そのものを非常に高く評価されてる事と、このアルバム自体も女性に媚びた商業的なラブソング集とは一線を画した、かなり個性的なものらしいと知って、清水の舞台から飛び降りる決意をしたワケです。

個性が強い=好きか嫌いかハッキリ岐れるって事ですから、これはホントに博打ですよ。多部ちゃん愛があればこその決断です。さて、吉と出るか凶と出るか?

結果は、吉でした。好きになりましたよ、このアルバム! DVDはまだ観てないけどw

全体のサウンド自体は、何と言うかその…キャピキャピしてますからw、四十路のオヤジとしては許容範囲ギリギリなんですけど、多部ちゃんもお気に入りらしい歌詞の内容が良いんです。

詞のセンスがどうとかは、私にはよく分かりません。そんな事より、詞から滲み出てる、清竜人という青年(多部ちゃんと同い年らしい)の人柄、生きざまに、私は大いに共感しちゃったんです。

一言で表現すれば、ボンクラなんですよねw 優柔不断で、スケベで、たぶんアニメ好きで、たぶんロリコンでw、ネガティブ思考だけど呑気で…

そんな自分の駄目さ加減を自覚してて、何とかしたいと思ってるけど何ともならない、この痛さ。

ほとんどの曲が「りゅうじんくん」、つまり彼自身が主人公で、徹底して自虐的。そこが気に入った!w

「ああ言えばいいのかな? こう書けばダメなのかな? どうすればきみに気持ち届くのかわからない」

「出逢ってくれてありがとう わたし少し強くなれた 涙なんて神様にあげるから だからお願い 自由をください どこにでもゆける翼を いくよ」

「ふわふわ しゅわ〜 ちゅわちゅわ ぴゅっ ぴゅっ」w 

「あんなぁ 最近 ぼく 生きとるん辛いんやわ そろそろ限界 もう死にたいんやけど」

「そう 何度でも何度でも プラス思考にシュミレーションをして 勇気を出すよ 妄想はお手の物さ 1、2、3、さぁ伝えるよ 現実世界で 言葉で示すよ」

「もしもきみが とてつもなく強大な敵に出くわしてしまったなら 今のぼくじゃ しっぽ巻いてさ 逃げるだけで もう精一杯だよ ぼくに力を 聖なる力よ目覚めよ! くらえ! ミラクル・コスモ・バーニング・ラブ(はーと)」

「ぼくはひとりぼっちだ… どうしてさ ぼくにはさ 恋人がずっといないんだろう? あぁ神様のいけずっ いじわるしなくても良いじゃないか ぼくのこと連れさらってよ ねぇ運命の人(はーと)」

↑馬鹿でしょう?w この最後の歌詞は10曲目『ぼくはシンデレラ・コンプレックス』序盤の一節なんですけど、このあと「りゅうじんくん」は自殺を計り、三途の川まで行くんだけど生還して、愛されるに値する強い男になる事を決意します。

それでも「あなたが ぼくのこと 迎えに来る日まで ぼくはぼくを磨いているよ」って、あくまで受け身なんですよねw

こんな感じで、どうにも困ったボンクラ青年の「りゅうじんくん」が、彼なりに悩んで、もがいて、なんとか壁を乗り越え、生きて行こうとする姿を、アニメ声の声優さん達と一緒にミュージカル仕立てで描いてる。そんなアルバムなんだと私は解釈しました。

で、その中で多部ちゃんが参加した5曲目の『雨』は、あくまでシリアスで異色なんですよね。孤独な男と孤独な女が出逢い、刹那的に燃える恋をして、たぶん心中しようとしてる。

そんな二人それぞれの心情が、唄半分、台詞半分で語られる。最後は多部ちゃんのか細い吐息のリフレインで終わっちゃう。

それは死にゆく姿なのか、青色吐息でも必死に生きようとしてる姿なのか… どちらにしても、多部ちゃんの演技力でそれが表現されるワケですから、聴いてて本当に胸が締めつけられる想いです。

「たとえば わたしの血液中を流れゆく この愛が 他の誰かの命の中に 悲しみを生むのなら いっそもう 絶やすべきなの」

「誰がわたしを幸せにしてくれるの なにがわたしを満たしてくれるっていうの 感情なんて一過性のものでしょ わかんないよ ねぇ もうわかんないよ わかってたまるかよ」

「キスをしよう 手を握って 今だけはさ キスをしよう やがて雨が止んだなら ねぇ神様 ぼくらの出逢いを裁いてよ」

5分程度の尺だけど、1本の映画を観たような気がする位、心を揺さぶられます。多部ちゃんの声、台詞回し、唄が素晴らしいのは勿論、竜人くんの声も良いし、詞もメロディーも編曲も良い。

他の楽曲とは毛色が違うから比較はしませんが、間違いなく『雨』がこのアルバムのハイライトであり、『雨』が無かったら他の曲のメッセージも空々しく聞こえたかも知れません。

でも、アルバム全体の流れを考えると、実はこの曲が一番現実離れしてるんですよね。「りゅうじんくん」に、こんな恋愛が出来るとは思えないw

たぶん、これって「りゅうじんくん」お得意の「妄想」なんだろうと思います。どうせ死ぬなら、こんな恋愛をして、こんな死に方が出来たらいいなぁっていうw

それを創った竜人くんは生粋のタベリストだそうですから、実際に彼自身の願望を具現化した曲であるのは間違いないでしょう。

私だって、いつかどうせ死ぬのなら、多部ちゃんと心中したい!w

↑犯罪者と紙一重ですなw 早まるなよ、竜人くん!!

そんな竜人くんの、あられもない自虐と妄想に、私はちょっと懐かしさを感じてしまいました。初期のサザンオールスターズにも、これに近い味があったんですよね! 私は、そこにこそ惹かれたんです。

だからって竜人くんの他作品も追いかけようとは思わないですけど、まぁとりあえずDVDは観ようという気になりましたw

それにしても羨ましいですね、竜人くんが。多部ちゃんと共演したからというより、そんな妄想を完全な形で実現させちゃった事が羨ましい。

本望を果たして目標を見失ったとしても、くれぐれも早まらないでねw ぴゅっ

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