1989年末から’90年春にかけて放映された、フジテレビの刑事ドラマです。先日、CSで第1話〜6話が集中放映されました。(続きはまた土曜日、ファミリー劇場にて。確か全16話だったと思います)
本放映は土曜夜8時、なんと『オレたちひょうきん族』の後番組。フィルムで撮られたアクションドラマは8年ぶりだったそうで(そして恐らく最後の作品)、勢いがあった当時のフジテレビらしい大胆な編成ですね。
『スケバン刑事』出身の南野陽子と、『太陽にほえろ!』出身の萩原健一がダブル主演って事で話題を呼び、私としても大いに注目してた番組です。
横浜・港町署に新設された「失踪人課」の、トラブルメーカーな課長がショーケンさんで、その部下でトラブルメーカーな新米刑事がナンノちゃん。さらに、まだカンチ君も青島刑事も演じてない新人時代の織田裕二、同じくデビューして間もない宍戸開がイキのいい若手刑事として加わります。
ほか、彼らをフォローする上役に橋爪功さん、目の敵にする上役に伊武雅刀さん。さすがにみんな若いですね!
第1話のゲストは又野誠治さん(マカロニとブルースの競演!)、相楽晴子さん(スケバン刑事コンビ再共演)。
メインライターは『太陽』出身の大川俊道さん。さらに銃器特殊効果でBIG SHOTさんが参加されてます。又野さんといい、私が仕事でご一緒させて頂いた方がなにげに多い番組です。
横浜が舞台のアクション物と言えば『あぶない刑事』等のセントラル・アーツ作品を連想しますが、本作はキティ・フィルム社の製作です。
セントラルの作品は作風が自由奔放すぎて、私の生理にはイマイチ合いません。その点、本作はユーモアを交えながらも決して脱線しないのが心地良いですね。この辺りは人によって感じ方が違うと思いますが…
ユーモアを入れるにせよ型を破るにせよ、最低限のリアリティをキープし、ドラマとして破綻しない事、そして共感出来る人物が描かれてる事が、どうやら私のルールというか条件というか、そういう事だからクドカンは不合格です。
だけど一般的な眼で観ると本作は、シリアスさも弾けっぷりも適度に足らない、中途半端な印象だったかも知れません。視聴率は振るわず、途中からうじきつよしが投入される等のテコ入れがありました。
だけど、当時は廃れつつあったアクション撮影にも手を抜かない姿勢や、マニアックな銃器描写はコアなファンの間で伝説化されてるみたいです。確かに今観直しても、創り手の熱気が伝わって来ますね。
何よりやっぱ、ナンノちゃんが可愛いですよ。私はそれほど好みのタイプでもないんだけど、この作品に限っては萌えますw ショートカットに弱いだけかも知れないけどw
ショーケンさんについては、『太陽』や『傷だらけの天使』の頃のショーケンさんとは、やっぱ違うんですよね。ただ年齢を重ねただけじゃない、感覚的なものが違う。
黒澤映画に出た辺りからの「萩原健一」と、それ以前の「ショーケン」とは別人である、みたいに表現されてた方がおられたけど、言い得て妙だと思います。『太陽』や『傷天』時代のショーケンさんは、まさに天才としか言いようの無いセンスに溢れてました。
織田裕二くんはまだ無色な感じで、がむしゃらな芝居に好感が持てます。センスの点じゃ遠く及ばないものの、マカロニ刑事を彷彿させてくれます。
そのせいか、服装や小道具などのディテールにこだわる織田くんにショーケンさんが茶々を入れてからかい、一触即発のピリピリ感が撮影現場にあったんだとか。
それを間に入ってなだめてたのが、世間じゃワガママ女優としてバッシングされてたナンノちゃんだと言うんだから、なかなかイイ話ではないですか。
トレードマークだった長い髪をこのドラマの為にバッサリ切ったナンノちゃんは、実によく走るし体を張ってます。ワガママ女優がそんな事しますか?って話ですよね。
人気絶頂期のアイドル女優が、本気で体を張ってアクションを演じるフィルムドラマ。それだけでも一見の価値ありだし、役者をチヤホヤし過ぎる昨今のドラマ製作者達は、乳首の垢でも煎じて呑むべきです。
役者さんは一流であればあるほど、もっと体を張ったり、リスキーな事にもチャレンジしたがってると私は思いますよ。それを、自分の保身しか考えてないサラリーマン業界人たちが妨害してるワケです。
アクション物だけに限った事じゃないです。全てが万事、そんな姿勢で創られてるから、毎週観たくなるドラマが1本も見当たらない!なんていう現状に陥ってるワケですよ。
何もかも、たぶんクドカンのせいですね。破滅です。
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『あいつがトラブル』
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