この映画、去年けっこう話題になってたみたいですね。大学生の作者による原作が、何かの賞を穫って知名度もあった感じですが、私は友人から薦められるまで知りませんでした。
「映画秘宝」のベスト10にも日本映画で唯一入ってたんで、早くからDISCASにレンタル予約を入れてました。いやー、確かに面白かったですよ。
とある平凡な高校で、バレー部の花形選手である「桐島」が部活を辞めるらしいっていう噂が流れ、様々な波紋が広がって行きます。その桐島本人は、最後まで画面には現れません。
最近も『ラストホープ』のレビューに書きましたけど、人間には生まれついての格差があって… 例えばルックスや家庭環境、性格の明るさや暗さで、何層かにグループが自然と岐れちゃう。そこから差別が生まれ、場合によってはイジメへと発展する。
ルックスが良くてスポーツが出来る桐島みたいな校内のスターがいれば、ある種の男と女が、そいつの周りに集まって行く。その連中は、要するに学校内の上層グループに入っていたいワケですよ。
そのグループにいれば、自分もイケてる奴だと思えるし、桐島の彼女になれば、校内で一番イイ女みたいなポジションを得られる。そのイイ女の周りにも、上層グループでいたい女子たちが集まって来る。
つまり、お互い心底から友達になりたくてツルんでるかと言えば、そうでもないワケです。ただ自分の良いポジションを確保しておきたいだけ。下層グループに入って、バカにされたりイジメられたりするのが怖いだけ。
だから、その中心にいる桐島が部活を辞めるらしいっていう噂が流れただけで、人間関係が崩れていく。みんな足下がグラついちゃうワケです。
で、桐島がいようがいまいが全くグラつかないのが、下層にいる連中ですよ。つまり私みたいなヤツですw 異性には見向きもされない、主に文化系の地味な存在。
その代表として映画研究部の部長(神木隆之介)と副部長、吹奏楽部の部長(女子)が登場します。いずれも好きな異性がいるんだけど、下層ゆえに手は届かず、上層のヤツらに持ってかれちゃう。
それが現実ですよホントに。痛いほどよーく解ります、あー痛い痛いw しかも8ミリフィルムで映画を撮ってる神木くんは、高校時代の私そのものです。
特に誰が主人公ってワケじゃなくて、上層グループの男子、女子、その中でも性悪なヤツとか真面目な子とかって、色んなタイプを代表するキャラクターが出て来て、それぞれにスポットを当てた群像劇になってます。
ただ、映画オタクを神木くんが演じてるだけあって、下層側に作者の視点があるように感じました。桐島1人に振り回されてる上層グループは、かなり間抜けに見えましたからね。
そしてクライマックス、普通なら交わる事のない下層グループと上層グループが、桐島騒動のお陰でぶつかり合う事になる。で、普通ならば下層グループに勝ち目は全く無いんだけど、これがまた面白い事に……
これは是非皆さんにも観て頂きたいので、詳しくは書かないでおきます。とにかく「桐島がバレー部を辞めるらしい」っていう、たったそれだけのモチーフから、こんなに面白いドラマが出来上がっちゃうという事実に、私は感動しました。
上層グループのゴタゴタに、どれほどのリアリティがあるのか、私には分かりません。ずっと下層にいましたからねw まぁ死ぬまでずっと下層に居座る事でしょう。
だけどこの映画を観て、上層のヤツらはヤツらなりに、色々と気苦労があって大変だったんやなぁって思いました。いつも明るく振る舞って背伸びして、好きでもない相手とツルんで無理に話を合わせて…
あんなに頑張らないといけないなら、下層にいた方がよっぽど気楽ですよ。まぁイジメの標的にされたらキツイけど、バカにされる程度なら耐えられます。
映研の2人はまさにそんな感じで、くだらないゾンビ映画創りに夢中になってる姿は、狭い社会の中でお互い疑心暗鬼になってる上層グループの連中よりも、よっぽど活き活きして見えますよ。
まぁしかし、下層には下層なりのドロドロしたものが、現実にはあります。でもこれは映画ですから、多少ファンタジーな部分があっても良いと思います。下層バンザイ!w
とは言え、別にオタク賛歌の映画じゃありません。学生時代を上層で過ごした人でも、色々と身につまされるものがあって楽しめる筈です。
いや、学生時代に限らず、社会に出ても似たような事やってますよね。人が集まって毎日顔を合わせりゃ、また自然と派閥が出来たり、孤立する人やイジメられる人も出てくる。学校は社会の縮図ですね。
だから、誰が観てもこれは共感出来る作品だと思います。特に、下層に属して来た事を自覚する方は、絶対に観た方がいいと思います。
オススメです!
「映画秘宝」のベスト10にも日本映画で唯一入ってたんで、早くからDISCASにレンタル予約を入れてました。いやー、確かに面白かったですよ。
とある平凡な高校で、バレー部の花形選手である「桐島」が部活を辞めるらしいっていう噂が流れ、様々な波紋が広がって行きます。その桐島本人は、最後まで画面には現れません。
最近も『ラストホープ』のレビューに書きましたけど、人間には生まれついての格差があって… 例えばルックスや家庭環境、性格の明るさや暗さで、何層かにグループが自然と岐れちゃう。そこから差別が生まれ、場合によってはイジメへと発展する。
ルックスが良くてスポーツが出来る桐島みたいな校内のスターがいれば、ある種の男と女が、そいつの周りに集まって行く。その連中は、要するに学校内の上層グループに入っていたいワケですよ。
そのグループにいれば、自分もイケてる奴だと思えるし、桐島の彼女になれば、校内で一番イイ女みたいなポジションを得られる。そのイイ女の周りにも、上層グループでいたい女子たちが集まって来る。
つまり、お互い心底から友達になりたくてツルんでるかと言えば、そうでもないワケです。ただ自分の良いポジションを確保しておきたいだけ。下層グループに入って、バカにされたりイジメられたりするのが怖いだけ。
だから、その中心にいる桐島が部活を辞めるらしいっていう噂が流れただけで、人間関係が崩れていく。みんな足下がグラついちゃうワケです。
で、桐島がいようがいまいが全くグラつかないのが、下層にいる連中ですよ。つまり私みたいなヤツですw 異性には見向きもされない、主に文化系の地味な存在。
その代表として映画研究部の部長(神木隆之介)と副部長、吹奏楽部の部長(女子)が登場します。いずれも好きな異性がいるんだけど、下層ゆえに手は届かず、上層のヤツらに持ってかれちゃう。
それが現実ですよホントに。痛いほどよーく解ります、あー痛い痛いw しかも8ミリフィルムで映画を撮ってる神木くんは、高校時代の私そのものです。
特に誰が主人公ってワケじゃなくて、上層グループの男子、女子、その中でも性悪なヤツとか真面目な子とかって、色んなタイプを代表するキャラクターが出て来て、それぞれにスポットを当てた群像劇になってます。
ただ、映画オタクを神木くんが演じてるだけあって、下層側に作者の視点があるように感じました。桐島1人に振り回されてる上層グループは、かなり間抜けに見えましたからね。
そしてクライマックス、普通なら交わる事のない下層グループと上層グループが、桐島騒動のお陰でぶつかり合う事になる。で、普通ならば下層グループに勝ち目は全く無いんだけど、これがまた面白い事に……
これは是非皆さんにも観て頂きたいので、詳しくは書かないでおきます。とにかく「桐島がバレー部を辞めるらしい」っていう、たったそれだけのモチーフから、こんなに面白いドラマが出来上がっちゃうという事実に、私は感動しました。
上層グループのゴタゴタに、どれほどのリアリティがあるのか、私には分かりません。ずっと下層にいましたからねw まぁ死ぬまでずっと下層に居座る事でしょう。
だけどこの映画を観て、上層のヤツらはヤツらなりに、色々と気苦労があって大変だったんやなぁって思いました。いつも明るく振る舞って背伸びして、好きでもない相手とツルんで無理に話を合わせて…
あんなに頑張らないといけないなら、下層にいた方がよっぽど気楽ですよ。まぁイジメの標的にされたらキツイけど、バカにされる程度なら耐えられます。
映研の2人はまさにそんな感じで、くだらないゾンビ映画創りに夢中になってる姿は、狭い社会の中でお互い疑心暗鬼になってる上層グループの連中よりも、よっぽど活き活きして見えますよ。
まぁしかし、下層には下層なりのドロドロしたものが、現実にはあります。でもこれは映画ですから、多少ファンタジーな部分があっても良いと思います。下層バンザイ!w
とは言え、別にオタク賛歌の映画じゃありません。学生時代を上層で過ごした人でも、色々と身につまされるものがあって楽しめる筈です。
いや、学生時代に限らず、社会に出ても似たような事やってますよね。人が集まって毎日顔を合わせりゃ、また自然と派閥が出来たり、孤立する人やイジメられる人も出てくる。学校は社会の縮図ですね。
だから、誰が観てもこれは共感出来る作品だと思います。特に、下層に属して来た事を自覚する方は、絶対に観た方がいいと思います。
オススメです!