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七曲署ヒストリーPart.6

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#364 スニーカー刑事登場!

『太陽にほえろ!』がデビュー作となる山下真司さんは、アメリカを放浪された経験があるとの事で、スニーカーこと五代潤にもそういった設定が与えられました。沖縄出身で、確か両親を米兵に殺されたとかで、妹の早苗(山下幹子)と2人、肩を寄せ合って生きた不遇な少年時代。

それでグレちゃって街のチンピラ達と喧嘩になった時、仲裁に入って事態を丸く収めてくれたのが、在りし日のボン。新しいスニーカーを買い与えて「人生、もっと大事にしろよな」と声をかけてくれたボンが刑事である事を知って、五代はボンみたいな刑事になる事を決意。

そしてそれを実行した矢先にボンの殉職を知り、他署の刑事なのに仇討ちをしにやって来る。さんざん暴れたせいでクビになっちゃうところを、そういう厄介者が大好きなボスに拾われるワケです。

前任の刑事と新加入の刑事に直接の繋がりがあるのは初めてで、番組にとってボンの存在がいかに大きかったかが伺えます。視聴率も新刑事の登場編としては最高記録となる、40%をマークしました。

また、この回からOPテーマが新アレンジの「太陽にほえろ!メインテーマ’79」に変更されます。音楽についてはボキャブラリーが無いもので、アレンジの違いをどう説明すればいいか分からないのですが、とにかくカッコイイ曲です。

でも、音楽としてのクォリティーは格段に上がったにも関わらず、この変更に対して視聴者の反応は賛否両論、どちらかと言えば否定的に捉えた人が多かったみたいで、3年後には元のバージョン(厳密に言えば微妙に違うけど)に戻されました。

長らく馴染んで来たものと違うというだけで、新しいものを否定しちゃうのは日本人ならではの気質でしょうか? 私は逆に新鮮な刺激を欲してましたから、新テーマの採用には大賛成だったのですが…

さて、そのメインテーマの変更も影響したのかどうか分かりませんが、長年に渡って民放ドラマのトップを走り続けて来た『太陽』の視聴率が、ここでにわかに下がり始めます。

いや、下がったと言っても20%台、最低でも15%位ですから、現在の基準なら充分にヒット番組なんだけど、『太陽』が初めて裏番組に並ばれ、何度か数字で負けちゃったのが一大事なんです。

その裏番組とは、TBSの『3年B組金八先生』。「たのきんトリオ」を輩出し、現在まで続くジャニーズ帝国の礎を築いたモンスター番組です。

一般的には『金八』が大ヒットしたせいで『太陽』の人気が下がった、と認識されてるみたいですが、私は逆じゃないかと思ってます。

『太陽』がマンネリ化し、つまらなくなった時に、絶妙なタイミングで『金八』という斬新な学園ドラマが現れた。これまで金曜夜8時はチャンネルを日テレに合わせてた人々も、評判を聞いてTBSに乗り換えちゃった。

つまり、7年かけて『太陽』が集めて来たお客の数が上乗せされたお陰で、『金八』は大ヒットしたワケです。運が良かったんですよ!w

いやホントに、作品の質がいくら良くても、それがヒットするとは限らない。偶然も含めた色んな要素が奇跡的に重なった時にこそ、大ヒット番組が生まれる。『太陽』もそうだった筈です。

『金八』にとって非常にラッキーな事に、この時期の『太陽』はつまらなかった。だって、こんなに『太陽』にのめり込んでる私でさえ、1年以上前からマンネリを感じてましたから。

「つまらない」と言っても、作品の質が落ちたワケじゃないんです。むしろ、より深い人間ドラマが描かれてクォリティーは上がってたかも知れません。でも『太陽』ファンは… 少なくとも私は、『太陽』にそこまで深い人間ドラマは求めてなかったですよ。

いや、深いのは良いんだけど、話がシリアスになり過ぎて辛気臭くなるのが頂けない。どれくらい辛気臭いか、この時期の主なサブタイトルを列挙してみますと…

『秋深く』『やさしい棘』『ともしび』『甘ったれ』『命』『死』『信頼』『雨の中の女』『心の重荷』…

暗いよ! 重いよ! 地味だよ! 真面目すぎるよ! 乳首だよ! 特に『命』→『死』の2連発はキツかったw いやホントに、予告編を観て心底ゲンナリしたのを、まるで昨日の事みたいに憶えてますよ。

1本1本の内容は良いんです。観れば感動するし、そんな作品を毎週創り上げてたスタッフ&キャストの皆さんを、心からリスペクトします。けど、毎週このトーンで来られると、私はキツい。

『太陽』って、もっと熱くてアクティブで楽しいドラマだった筈です。『太陽にほえろ!』っていう意味不明なタイトルが象徴するように、そもそも型破りで攻撃的な番組だった筈なのに、なんでこんなNHK教育テレビみたいに堅苦しくなっちゃったの?

あと、これは贔屓目で言うワケでも何でもなく、ボンが抜けた穴も大きかったと思います。人気の面もさる事ながら、ムードメーカーとしてのボンの存在がいかに貴重だったか、いなくなってあらためて痛感しました。

純朴で生真面目なロッキーは、ボンみたいなツッコミ上手がいると良い味が出るんだけど、ナイーブでストイックなスニーカーが相手だと、2人してどんどん重くなる一方です。

番組初期はマカロニと一緒にバカやってたゴリさんや殿下も、今やすっかりベテラン然と落ち着いちゃって、画面が弾まない事この上なし。そんなメンバーに合わせて脚本が創られるワケですから、話が重くなるのも必然なんですよね。

そして、これは私の勝手な憶測なんだけど、岡田Pは『特捜最前線』の超シリアス路線に、ちょっと触発されてたのかも知れません。

そう思うのは、私自身が数ある刑事ドラマの中で「ひょっとすると『太陽』より面白いかも?」って、初めて脅威に感じたのが『特捜最前線』だったりするからです。(ちゃんと観たのは最近になってからですが)

アクションでも謎解きでもなく、レギュラー刑事達の熱い心意気こそを真摯に描いてる点で、最も『太陽』に近い刑事ドラマが『特捜』なんですよね。

何にせよ、マカロニやジーパンに比べて、ロッキーもスニーカーも躍動感が足りない、明るさが足りない、サプライズが足りない。若手がこれでは画面も弾まず、重くなる一方です。

このクソマジメ集団に、風穴を開ける人物が必要です。パターン化され硬直化された世界観をぶっ壊す人物が必要です。沈みかけた太陽を再び浮上させられるのは、そんな型破りな人物しかいません。。

救世主は、もうちょい後になってから、七曲署にやって来ます。

☆1980年

#388 ゴリラ

新年第1弾って事で、久しぶりの明るいエピソード。ボン殉職のちょっと前からセミレギュラー入りした、交番勤務の吉野巡査(横谷雄二)がお茶汲み係のナーコにデートの申し込みをするという、ほんわか展開。そういうの、大事だと思います。

ゴリラっていうのは、横谷さんが刑事(勝野洋さんの部下)役でレギュラー出演した『俺たちは天使だ!』で、探偵の沖雅也さん達からゴリラ呼ばわりされてた事を受けての楽屋オチですね。

ちなみに『太陽』のゴリさんは「ゴリ押しで捜査する」から「ゴリさん」なのであって、ゴリラのゴリではありません。今さらですが、念のためw

#394 鮫やんの受験戦争

約3年ぶりにセミレギュラーの鮫島(藤岡琢也)が登場しました。市川森一さんが生み出したキャラクターで、あまりに八方破れなもんで刑事をクビになり、それ以降は探偵、結婚相談所、モデル事務所など、自分で事業を起こしては倒産の繰り返し。

今回の学習塾は、明らかに『金八』を意識した設定ですねw ずっと王座にあぐらをかいてた『太陽』が、他局のヒット作を意識するなんて!

それはともかく、鮫やんの明るさとムチャクチャぶり、その型破りな痛快さこそが当時の『太陽』に必要であった事を、製作陣も分かっておられたんでしょうね。実際、ホントに久しぶりに心底楽しめたエピソードでした。

#400 スコッチ・イン・沖縄

これまでの『太陽』には無縁の言葉だった、「テコ入れ」。『俺たちは天使だ!』をヒットさせて更なる人気を得た沖雅也さんが、沖縄ロケ編でいよいよレギュラーとして復帰される事になりました。

嬉しかったです。私も『俺天』にハマって沖さんの大ファンになってたし、スコッチのハードさとスマートさは当時の『太陽』に著しく欠けてる魅力でしたから。

オープニングの映像も実にアクティブなものに一新され、久しく見られなかった派手なアクションシーンも復活しました。私はねぇ、ホントに涙が出るほど嬉しかったですよw

だから『金八』には感謝すべきかも知れません。あのまま『太陽』が勘違いしてシリアス路線を突き進んでたら、私はファンをやめてたと思います。その方がより健康的な人生を送れたかも知れないけどw

#407 都会の潮騒

ロッキーが早瀬婦警(後のマミー刑事)と急接近します。二人を結婚させる事が、急きょ決まったのでしょうw

#414 島刑事よ、永遠に

「ついにベテラン刑事までが犠牲に!」みたいな報道もされた、殿下の殉職編です。でも、別に戦力外だから降ろされたワケじゃなくて、小野寺昭さんは「早く私を殺して下さい」って、何年も前からプロデューサーに切願されてたんだそうです。

ゴリさんも山さんも、長さんまでもがw、みんな早く死にたくて死にたくて仕方なかった。そりゃそうかも知れません。7年も8年も同じキャラクターを演じ続けるのって、その立場になってみないと想像もつかない、色んな葛藤があるのでしょう。

けど、ベテラン刑事まで「殉職」にしなくても、転勤とか退職で良かったのでは?って、思いますよね。たぶん製作陣も、ボンの翌年にまた殉職ってのは避けたかった筈です。

ただ、小野寺さんの8年間にも及ぶ『太陽』への貢献を思えば、殉職という花道で送り出してあげたくなるのが人情、って事なんだろうと思います。

俳優さんご自身にとっても、すっかり染み付いた役のイメージを洗い流す意味で、中途半端な転勤とかよりも、すっきり後腐れ無く「殉職」するのが望ましいみたいです。

小野寺さんのリクエストは「あっけなく」そして「殿下らしく、あえて死に顔は見せない」って事で、交通事故死という幕切れになりました。これも殉職って言うんでしょうか?w

殿下の殉職劇は久々に視聴率30%をマークしましたが、全体的にはまだ低調なまま。救世主はいよいよ、この翌週に現れるのでした。

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