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単なる失敗作かも?

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朝ドラを観る時は出勤前でバタバタしてて、どうしても「ながら見」になりがちですから、『純と愛』は当初、毎回録画して後からもう一回観直すようにしてました。だけど、それも最初の2週だけでしたねw

そして、私が魅力を感じる唯一の登場人物だった舘ひろし社長が退場してから、つまり1クールを過ぎた辺りからは、観られない日があっても全然平気になっちゃいました。

今では正直なところ、新聞を読みながらとか、ほとんど画面を観ないで音声しか聴いてない時も多いです。ドラマ・ウォッチャーとしてあるまじき行為だけど、作者がこの話をどう収拾するか以外への興味が無くなっちゃったんだから仕方がない、あるんだから仕方がない。

やっぱり、キャラクターに魅力を感じられないっていうのは、連続ドラマとしては致命的な欠陥だと私は思います。

いや、舘さんが演じた大崎社長だって、もし他の役者さんが演じてたら分かんないです。たぶん魅力は感じなかったと思います。現在の舞台になってる旅館のオーナーも観てて楽しい人物ではあるけど、演じてるのが余貴美子さんでなかったとしたら、さてどうでしょうか?

他にも嫌いになれないキャラはいるけど、それもみんな役者さんの魅力でしかないような気がします。もし純のお父ちゃんが武田鉄矢さんでなかったら、彼が死んだところで誰も悲しまないどころか、拍手喝采だったかも知れません。鉄矢だからこそ醸し出せる切なさがあり、それに頼りきった脚本とも言えるんじゃないでしょうか。

純の兄と弟が、母の認知症と父の急死によって、やっとマトモな人間というか、視聴者が共感出来る人間になりつつありますけど、ずっと観て来られた皆さん、どうですか? この兄弟を今さら好きになれそうですか?

私は無理です。これまでの言動があまりにも非道すぎて、その蓄積があまりにも大きすぎて、今さら改心されても手遅れです。信用出来ません。

今朝の回だって、純の兄(もこみち)が「これからは純が大黒柱だ。俺達はお前に従う」とか言い出して、てっきり笑えないギャグかと思ったら大真面目で、感動的なBGMが流れて… 私は「はあ?」って感じで、ちっとも感動出来ませんでした。

遅い。遅すぎる。今さら許せないですよ。弟のチャラさが場の空気をほぐしたから「あんたが弟で良かったよ」って… 「はあ?」としか思えないです。

いや、言わんとしてる事はよく解るんだけど、ここに来て急に都合よろしいでんなあって、私は思っちゃいます。一度冷めた心は、ちょっとやそっとじゃ温まらないですよ。やっぱり遅すぎるんです。

確かに、人は簡単には変われない。色々あって、ついに誰かが犠牲になって、やっと初めて目が覚める。それはとても現実的なのかも知れないけど、ドラマとしてはどうなんでしょう? これって、単純に失敗してるんじゃないですか?

本来なら、今日のあの兄弟を見て、我々は号泣しないといけなかったのでは? 遊川氏はそのつもりで書いてるのに、完全に狙いを外してるんではないでしょうか?

私がそんな疑惑を抱き始めたのは、愛のママ(若村麻由美)がDV男を撃退した回です。本作じゃ珍しいベタな展開ではあったものの、私としては大好きなシチュエーションで、本来なら拍手喝采、愛のママが大好きになっちゃうところです。

でも、それ程じゃなかったんですよね。不発でした。そりゃ少し好感度は上がりましたけど、あれで過去の言動を帳消しには出来ないですよ。やっぱ蓄積されて来たものが大きすぎるんです。

まぁ遊川氏の事だから、ここで視聴者に拍手喝采させる気も泣かせる気もサラサラ無くて、この微妙な反応も計算づくなんだろうって、その頃まではプラスに解釈してました。でも、果たして本当にそうなのか?

本当は遊川氏、泣かせる気満々だったんじゃないですか? だって、気がつけばこの番組も残り1カ月半、そろそろ佳境ですよね。『つばさ』の時なら、既に20回以上は号泣させられてました。

でも『純と愛』で私が泣いたのは、たったの1回だけ。宮古島の浜辺で純と愛が結婚を誓う回で、かなり初期です。このドラマの嫌がらせみたいな鬱展開に、私が辟易し始める前でした。

我々は、少なくとも私は、それもこれも遊川氏の計算通りであり、度重なるイライラ感も感情移入出来ないキャラクター達も、全て狙い通りなんだと思い込まされてたんですよね。

全てはシリーズの後半で、我々には思いもつかない作劇で感動的に収拾されて、さすが遊川マジック!降参です!抱いて下さい!って、シャッポを脱がされる為のこれは伏線であり、イライラすればするほど作者の思う壺なんだ、掌で転がされてるだけなんだって、根拠も無く信じてたと思うんです。

でも、その収拾は既に始まってるにも関わらず、私の心は離れて行く一方です。ここまで冷めちゃったら、この先どんな展開があろうと、拍手喝采にも号泣にも多分ならないですよ。辟易しちゃった時点でもうアウトでしょう。

単純に、『純と愛』は狙いを外しちゃった。遊川氏は失敗したんじゃないかと私は思います。

『家政婦のミタ』は確かに面白かった。けど、あれは12話しか無かったからこそ成功したのかも知れません。我々が辟易する前に終われたから良かったのかも。

ミタさんの場合、人間としての魅力が感じられなくて当たり前の人物だったのも功を奏したんじゃないでしょうか? つまり、魅力的な人物を描く事が出来ない脚本家にはうってつけの企画だった。逆にそれを逆手に取った奇跡の大ヒットと言えるのかも?

視聴者の予想を必ず裏切るテクニックも、通用するのは12話が限界だった。あれ以上続いてたら、我々はやっぱり辟易してたと思います。だから、同じ手法は朝ドラには通用しない。フォーマットがまるで違うんだから。

これからとてつもなく感動的なフィナーレが用意されてるって、何となく我々は勝手に期待してましたけど、思えば『家政婦のミタ』の最終回って、拍子抜けするくらい模範的な締めくくりでしたよねw

あの遊川氏が放つ曲者オーラに、我々は… 少なくとも私は、勝手に幻想を抱いてたのかも知れません。案外、ごく普通の作家さんなのかも? そして『純と愛』は、ごく普通に失敗してるだけなのかも知れません。

もちろん、最後まで観ない事には結論は出せません。ここまで来たからには見届けます。それは別に遊川氏の作品でなくたって、そうしますw

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