『エヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観て来ました。幅広いでしょう?w 単にオタクなだけとも言えますが… でも、劇場で観たのは今回が初めてです。
かつて大ヒットし、後続のアニメ作品は勿論、数多くの実写作品にまで多大な影響を及ぼしたアニメ番組『新世紀エヴァンゲリオン』を、最新技術を駆使してリメイク…というよりは再構築する4部作の、『序』『破』に次ぐ第3章です。
『エヴァ』がいかなる影響を実写作品にまで及ぼしたかと言えば、例えば『踊る大捜査線』なんかは演出、撮影、音楽に至るまで、臆面もなく徹底的に『エヴァ』を模倣してます。表面的な部分で影響を受けた作品の代表格ですね。
内面的な部分では『ケイゾク』『SPEC』等の堤幸彦作品や、現在の朝ドラ『純と愛』なんかも実に『エヴァ』的な作品と言えるかも知れません。 人間の(あまり触れて欲しくない)暗部をえぐったり、観客の予想や期待をはぐらかし、いつも悪い方向に裏切ったりする、底意地の悪さがソックリですw
その底意地の悪さという点でも、『エヴァ』の作者である庵野秀明監督は徹底しており、追随を許さないものがあります。
前作『破』をレビューした時にも書きましたが、『エヴァ』という作品はまず最初に、オタクにとって最上級に心地良い世界観を提供し、たっぷりと感情移入させた所で急転直下、物理的にも精神的にも最悪な状況へと主人公=観客を突き落とし、そのまま放置して幕を下ろしちゃうという、そんな作品なんですよね。底意地悪いでしょう?w
しかも、ターゲットはハッキリとオタク。徹底してオタクを凹ませる事を目的にし、オタクへの復讐を生き甲斐にしながら作品を創ってる、としか思えないんですw
主人公・碇シンジのオタクならではの気質が、地球規模で状況を悪化させ、取り返しのつかない事態を招いちゃう。しかも、そんな主人公の気質を知り尽くした、実の父親の描いたシナリオ通りに…って話ですからね!
庵野監督自身がオタクでなかったワケが無いですから、この異様なまでに執拗なオタク攻撃は、もはや自虐を超えてド変態、理解不可能です。だけど、それでも観たくなっちゃうのがまた、オタクって生きものなんですよねぇ…
そして庵野監督は、そんなオタク(自分自身)が大嫌いなゆえに、突き落とし方がまたエスカレートして行く。それをオタクが喜ぶ姿を見て更に憎しみが増し、またエスカレートして…という、地獄のごときスパイラル。『エヴァ』とは、そういう作品なんですw …と、旧『エヴァ』を観て私は思ってました。
ところが、新劇場版の『序』『破』を観て、庵野監督は変わったのかも?って、私は感じたんですよね。他のファン達がどんな風に新劇場版を受け止めてるのか全然知らないのですが、たぶん同じような印象を皆さん受けたんじゃないでしょうか?
まず、利己的でやたら自閉しがちだったシンジが、旧作に比べるとやや前向きな、他者の気持ちも少しは考える、ちょっとだけイイ奴になってたりするw 他のキャラ達もしかりで、父子の情やほのかな恋愛感情など、絆を育む描写が明らかに強化されてる。
だから私は、旧作から10数年を経て庵野監督も人の親になり(実際に子持ちなのか、既婚者なのかすら私は知らないけど)、自らの底意地悪い作劇を反省されたのではないか?と思ったんですね。
旧作の時は、オタク達からネットで批判されたりした事への反発から、ついあんな展開にしちゃったけど、今なら大人目線で彼らを見てあげる余裕があるし、何より自分の子供に見せられる作品として『エヴァ』をやり直したい。そう考えて、ハッピーエンドに向かう新たな『エヴァ』、パラレルワールドの碇シンジを描こうとしてるんじゃないか?と。
だからこそ、私も今回初めて『エヴァ』を劇場で観てみようって気になったんですよね。もう碇シンジを、そして我々オタクを谷底に突き落とすような事はしないだろうって。庵野監督を信じてみようって。そう思って行きましたよ、私は!
(以下、ネタバレはしませんが、これから観る予定の方は読まれない方が良いかも)
いやぁー、甘かった!w 庵野秀明、ちっとも変わってないw どころか、ますますパワーアップしてますよ! やっぱあの人は正真正銘のドSでありドM、もう救いようの無いド変態ですよ!!
うっかりしてました。油断してました。旧作よりもキャラ達が明るくなり、その絆を描く描写が強化されたのは、我々を谷底へと突き落とす時に、よりショッキングに、より凹ませるようにする為のトラップだったんですよ!
キャラ達が魅力的になればなるほど、その絆が固くなればなるほど、それが壊れて欲しくないっていう我々の想いも強くなるワケです。その上で、旧作をさらに凌ぐ絶望的な世界へと突き落とす。地獄への落差を最大限に大きくする為に、天国をもっと高い所に押し上げたって事です。
庵野秀明は、悪魔ですねw 私は何というお人好しなんでしょうか? まんまと引っかかっちゃいましたよ。見事です。まだ映画はもう1作あるってのに、この時点で既に、あの『ミスト』における史上最強のバッドエンディングをも凌ぐ、最高に最悪な状況が碇シンジを、そして我々オタクを襲います。
でも、冷静に考えれば、こうでなければ『エヴァ』じゃないんですよね。『つばさ』がそうであったように、どん底への突き落としがあればこそ、ハマる人はハマる。生半可じゃ意味が無いんです。
だから、問題は次回の完結(予定)編です。またもや「放置」で終わるのか、『つばさ』みたいにしっかり「回収」してくれるのか? 『純と愛』もしかりですね。
しかし庵野さんはウルトラど変態ですからねw ここまでお金と時間をかけた挙げ句に、また放置…なんて事も、あり得なくはない。いや、充分あり得るかも… まったく、恐ろしいw
かつて大ヒットし、後続のアニメ作品は勿論、数多くの実写作品にまで多大な影響を及ぼしたアニメ番組『新世紀エヴァンゲリオン』を、最新技術を駆使してリメイク…というよりは再構築する4部作の、『序』『破』に次ぐ第3章です。
『エヴァ』がいかなる影響を実写作品にまで及ぼしたかと言えば、例えば『踊る大捜査線』なんかは演出、撮影、音楽に至るまで、臆面もなく徹底的に『エヴァ』を模倣してます。表面的な部分で影響を受けた作品の代表格ですね。
内面的な部分では『ケイゾク』『SPEC』等の堤幸彦作品や、現在の朝ドラ『純と愛』なんかも実に『エヴァ』的な作品と言えるかも知れません。 人間の(あまり触れて欲しくない)暗部をえぐったり、観客の予想や期待をはぐらかし、いつも悪い方向に裏切ったりする、底意地の悪さがソックリですw
その底意地の悪さという点でも、『エヴァ』の作者である庵野秀明監督は徹底しており、追随を許さないものがあります。
前作『破』をレビューした時にも書きましたが、『エヴァ』という作品はまず最初に、オタクにとって最上級に心地良い世界観を提供し、たっぷりと感情移入させた所で急転直下、物理的にも精神的にも最悪な状況へと主人公=観客を突き落とし、そのまま放置して幕を下ろしちゃうという、そんな作品なんですよね。底意地悪いでしょう?w
しかも、ターゲットはハッキリとオタク。徹底してオタクを凹ませる事を目的にし、オタクへの復讐を生き甲斐にしながら作品を創ってる、としか思えないんですw
主人公・碇シンジのオタクならではの気質が、地球規模で状況を悪化させ、取り返しのつかない事態を招いちゃう。しかも、そんな主人公の気質を知り尽くした、実の父親の描いたシナリオ通りに…って話ですからね!
庵野監督自身がオタクでなかったワケが無いですから、この異様なまでに執拗なオタク攻撃は、もはや自虐を超えてド変態、理解不可能です。だけど、それでも観たくなっちゃうのがまた、オタクって生きものなんですよねぇ…
そして庵野監督は、そんなオタク(自分自身)が大嫌いなゆえに、突き落とし方がまたエスカレートして行く。それをオタクが喜ぶ姿を見て更に憎しみが増し、またエスカレートして…という、地獄のごときスパイラル。『エヴァ』とは、そういう作品なんですw …と、旧『エヴァ』を観て私は思ってました。
ところが、新劇場版の『序』『破』を観て、庵野監督は変わったのかも?って、私は感じたんですよね。他のファン達がどんな風に新劇場版を受け止めてるのか全然知らないのですが、たぶん同じような印象を皆さん受けたんじゃないでしょうか?
まず、利己的でやたら自閉しがちだったシンジが、旧作に比べるとやや前向きな、他者の気持ちも少しは考える、ちょっとだけイイ奴になってたりするw 他のキャラ達もしかりで、父子の情やほのかな恋愛感情など、絆を育む描写が明らかに強化されてる。
だから私は、旧作から10数年を経て庵野監督も人の親になり(実際に子持ちなのか、既婚者なのかすら私は知らないけど)、自らの底意地悪い作劇を反省されたのではないか?と思ったんですね。
旧作の時は、オタク達からネットで批判されたりした事への反発から、ついあんな展開にしちゃったけど、今なら大人目線で彼らを見てあげる余裕があるし、何より自分の子供に見せられる作品として『エヴァ』をやり直したい。そう考えて、ハッピーエンドに向かう新たな『エヴァ』、パラレルワールドの碇シンジを描こうとしてるんじゃないか?と。
だからこそ、私も今回初めて『エヴァ』を劇場で観てみようって気になったんですよね。もう碇シンジを、そして我々オタクを谷底に突き落とすような事はしないだろうって。庵野監督を信じてみようって。そう思って行きましたよ、私は!
(以下、ネタバレはしませんが、これから観る予定の方は読まれない方が良いかも)
いやぁー、甘かった!w 庵野秀明、ちっとも変わってないw どころか、ますますパワーアップしてますよ! やっぱあの人は正真正銘のドSでありドM、もう救いようの無いド変態ですよ!!
うっかりしてました。油断してました。旧作よりもキャラ達が明るくなり、その絆を描く描写が強化されたのは、我々を谷底へと突き落とす時に、よりショッキングに、より凹ませるようにする為のトラップだったんですよ!
キャラ達が魅力的になればなるほど、その絆が固くなればなるほど、それが壊れて欲しくないっていう我々の想いも強くなるワケです。その上で、旧作をさらに凌ぐ絶望的な世界へと突き落とす。地獄への落差を最大限に大きくする為に、天国をもっと高い所に押し上げたって事です。
庵野秀明は、悪魔ですねw 私は何というお人好しなんでしょうか? まんまと引っかかっちゃいましたよ。見事です。まだ映画はもう1作あるってのに、この時点で既に、あの『ミスト』における史上最強のバッドエンディングをも凌ぐ、最高に最悪な状況が碇シンジを、そして我々オタクを襲います。
でも、冷静に考えれば、こうでなければ『エヴァ』じゃないんですよね。『つばさ』がそうであったように、どん底への突き落としがあればこそ、ハマる人はハマる。生半可じゃ意味が無いんです。
だから、問題は次回の完結(予定)編です。またもや「放置」で終わるのか、『つばさ』みたいにしっかり「回収」してくれるのか? 『純と愛』もしかりですね。
しかし庵野さんはウルトラど変態ですからねw ここまでお金と時間をかけた挙げ句に、また放置…なんて事も、あり得なくはない。いや、充分あり得るかも… まったく、恐ろしいw