ようやく出て来ましたね、野心的な連ドラが! 『誰も知らない』の是枝裕和さんが全話の脚本・監督を務めておられるんで、普通のホームドラマに収まらない事は予測してました。
しかもキャストが阿部寛、山口智子、宮崎あおい、西田敏行ほか、隅々まで豪華キャストで固められてますからね。YOU、吉行和子、阿部サダヲといった人達も出てます。贅沢ですよ、夏八木勲さんなんか寝たきりですからねw
で、何を描いてるのかと言えば、どうにも説明しようがないw 殺人事件も起こらないし、恋愛や友情、家族愛で涙を誘おうなんて気もサラサラ無い感じです。そういうのを私は待ってたんですよホントに!
阿部ちゃんがCM制作会社のプロデューサーで、その妻・山口さんがフード・スタイリスト。つまりTV業界で働く夫婦が主役なんで、職場は非凡なんだけど、阿部ちゃんは特に優秀なワケでもなく、どちらかと言えば冴えない中間管理職の風情。
夫婦関係も仲が良いんだか悪いんだか分からない感じで、まぁ結婚してない私が言っても説得力ないけど、とてもリアルに描かれてると思います。
是枝監督と言えば映画『誰も知らない』を撮るにあたって、俳優達に台本を与えず全編アドリブで芝居させた事が有名ですが、今回はさすがにちゃんとした台詞が用意されてます。
でも、出来る限り芝居臭さを排除して、ありふれた日常を描く事にこだわっておられるのが、画面から伝わって来ますね。
私自身も遠い過去に、そういう演出をした事があります。例によって自ら主演も務めましたw だから、芝居臭くない芝居をする事、させる事が、いかに難しいか身に染みて解ってるつもりです。
しかもこのドラマ、笑えるユーモアが随所に盛り込まれてますから、相当なセンスを持った監督と俳優でないと、大失敗するリスクを大いに孕んでます。
だから恐らく是枝監督は、全ての脚本と演出を自分一人で手懸ける事と、阿部寛を主役に迎える事を絶対条件にして、このドラマの仕事を引き受けられたんだろうと思います。阿部ちゃんでなければ表現出来ない笑いなんですよね。
たぶん他のキャスティングも是枝監督の希望によるものでしょうし、俳優さん達もまた、是枝作品ならばって事で出演を決められたんじゃないでしょうか。
私としてはやっぱり、宮崎あおい目当てで観る事を決めた側面があるんだけど、『篤姫』が終わってから連ドラ出演を避けてた様子の彼女が、主役でもないのに本作への出演を決めたのは、是枝作品だからこそなんだろうと思います。
それはともかく、ワンパターンを繰り返すばかりの連ドラ界に辟易されてる方にこそ、これは是非ともオススメしたいドラマです。
特に事件は何も起こらないんだけど、繰り返し観ても飽きないであろう面白さ。陰惨な殺人事件が起こったり犬が喋ったりしても全く面白くない『パーフェクト・ブルー』とは実に対照的ですw
何が違うのかと言えば、やっぱり全ての登場人物に血が通ってる、魂が込められてる事が、一番の違いだと思います。
生きた人間が、ちゃんと目の前にいる。そんなの当たり前であるべきなのに、人物がただの駒扱いされてるドラマや映画がいかに多い事か!
映像業界がそんな破滅状態になっちゃってる理由が、今回の第1話でとても解り易く描かれてましたよ。阿部ちゃんらCM制作スタッフが、仕上げた作品へのダメ出しを、スポンサーの偉いさんから受ける場面です。
その偉いさんはゴルフのパターを練習しながら、ろくに画面も観ないで勝手なイチャモンをつけて来る。それを阿部ちゃんは「そうですよね、私もそう思ってたんですよ」とか言って調子を合わせるばかりで、一切反論しない。
で、実際に現場で作業するディレクターにその旨を伝えるんだけど、スポンサーのダメ出し自体がテキトーなもんだから、阿部ちゃんも具体的な指示が出来ないワケです。「まぁ、そこはテキトーに何とか頼むよ」ってな感じで、要は良い作品を創ろうなんて意識は無く、スポンサーの顔色しか気にしてない。
ディレクターもそんな仕打ちを何度も受けて来たようで、モチベーションが下がり切った状態のまま、ただ生活の為に指示に従うばかり。
スポンサーの権力が特に絶大なCM業界ですから、こんな事は日常茶飯事なんでしょうけど、恐らくドラマや映画の世界でも今、これと同じようなやり取りが繰り返されてるんだと思います。
ドラマ作りのイロハも知らないどころか、興味すら持たない背広野郎達の勝手な注文に振り回され、現場はすっかりヤル気を無くして、やっつけ仕事をしちゃってるワケです。
もちろん全部が全部そんな事になってるワケじゃないでしょうけど、是枝監督があえて今回、そういう身内ネタに近い事をドラマで描かれたのは、映像業界の「今そこにある危機」を憂いての事だったんじゃないでしょうか?
監督にそういう意図が実際あったか否かは別にしても、私がなんでいつも「破滅だ破滅だ」とうるさく言ってるのか、このドラマで描かれるCM業界を観て頂ければ、きっと理解してもらえるんじゃないかと思います。
そういう意味でも、このドラマは強くオススメします! 火曜夜10時、フジTV系です。
しかもキャストが阿部寛、山口智子、宮崎あおい、西田敏行ほか、隅々まで豪華キャストで固められてますからね。YOU、吉行和子、阿部サダヲといった人達も出てます。贅沢ですよ、夏八木勲さんなんか寝たきりですからねw
で、何を描いてるのかと言えば、どうにも説明しようがないw 殺人事件も起こらないし、恋愛や友情、家族愛で涙を誘おうなんて気もサラサラ無い感じです。そういうのを私は待ってたんですよホントに!
阿部ちゃんがCM制作会社のプロデューサーで、その妻・山口さんがフード・スタイリスト。つまりTV業界で働く夫婦が主役なんで、職場は非凡なんだけど、阿部ちゃんは特に優秀なワケでもなく、どちらかと言えば冴えない中間管理職の風情。
夫婦関係も仲が良いんだか悪いんだか分からない感じで、まぁ結婚してない私が言っても説得力ないけど、とてもリアルに描かれてると思います。
是枝監督と言えば映画『誰も知らない』を撮るにあたって、俳優達に台本を与えず全編アドリブで芝居させた事が有名ですが、今回はさすがにちゃんとした台詞が用意されてます。
でも、出来る限り芝居臭さを排除して、ありふれた日常を描く事にこだわっておられるのが、画面から伝わって来ますね。
私自身も遠い過去に、そういう演出をした事があります。例によって自ら主演も務めましたw だから、芝居臭くない芝居をする事、させる事が、いかに難しいか身に染みて解ってるつもりです。
しかもこのドラマ、笑えるユーモアが随所に盛り込まれてますから、相当なセンスを持った監督と俳優でないと、大失敗するリスクを大いに孕んでます。
だから恐らく是枝監督は、全ての脚本と演出を自分一人で手懸ける事と、阿部寛を主役に迎える事を絶対条件にして、このドラマの仕事を引き受けられたんだろうと思います。阿部ちゃんでなければ表現出来ない笑いなんですよね。
たぶん他のキャスティングも是枝監督の希望によるものでしょうし、俳優さん達もまた、是枝作品ならばって事で出演を決められたんじゃないでしょうか。
私としてはやっぱり、宮崎あおい目当てで観る事を決めた側面があるんだけど、『篤姫』が終わってから連ドラ出演を避けてた様子の彼女が、主役でもないのに本作への出演を決めたのは、是枝作品だからこそなんだろうと思います。
それはともかく、ワンパターンを繰り返すばかりの連ドラ界に辟易されてる方にこそ、これは是非ともオススメしたいドラマです。
特に事件は何も起こらないんだけど、繰り返し観ても飽きないであろう面白さ。陰惨な殺人事件が起こったり犬が喋ったりしても全く面白くない『パーフェクト・ブルー』とは実に対照的ですw
何が違うのかと言えば、やっぱり全ての登場人物に血が通ってる、魂が込められてる事が、一番の違いだと思います。
生きた人間が、ちゃんと目の前にいる。そんなの当たり前であるべきなのに、人物がただの駒扱いされてるドラマや映画がいかに多い事か!
映像業界がそんな破滅状態になっちゃってる理由が、今回の第1話でとても解り易く描かれてましたよ。阿部ちゃんらCM制作スタッフが、仕上げた作品へのダメ出しを、スポンサーの偉いさんから受ける場面です。
その偉いさんはゴルフのパターを練習しながら、ろくに画面も観ないで勝手なイチャモンをつけて来る。それを阿部ちゃんは「そうですよね、私もそう思ってたんですよ」とか言って調子を合わせるばかりで、一切反論しない。
で、実際に現場で作業するディレクターにその旨を伝えるんだけど、スポンサーのダメ出し自体がテキトーなもんだから、阿部ちゃんも具体的な指示が出来ないワケです。「まぁ、そこはテキトーに何とか頼むよ」ってな感じで、要は良い作品を創ろうなんて意識は無く、スポンサーの顔色しか気にしてない。
ディレクターもそんな仕打ちを何度も受けて来たようで、モチベーションが下がり切った状態のまま、ただ生活の為に指示に従うばかり。
スポンサーの権力が特に絶大なCM業界ですから、こんな事は日常茶飯事なんでしょうけど、恐らくドラマや映画の世界でも今、これと同じようなやり取りが繰り返されてるんだと思います。
ドラマ作りのイロハも知らないどころか、興味すら持たない背広野郎達の勝手な注文に振り回され、現場はすっかりヤル気を無くして、やっつけ仕事をしちゃってるワケです。
もちろん全部が全部そんな事になってるワケじゃないでしょうけど、是枝監督があえて今回、そういう身内ネタに近い事をドラマで描かれたのは、映像業界の「今そこにある危機」を憂いての事だったんじゃないでしょうか?
監督にそういう意図が実際あったか否かは別にしても、私がなんでいつも「破滅だ破滅だ」とうるさく言ってるのか、このドラマで描かれるCM業界を観て頂ければ、きっと理解してもらえるんじゃないかと思います。
そういう意味でも、このドラマは強くオススメします! 火曜夜10時、フジTV系です。