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『恋の罪』

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あの『愛のむきだし』を撮られた園子温監督の新作です。監督への興味もさる事ながら、水野美紀さん(画像)が脱いでるらしい、という評判を聞きつけ、観てみました。

脱いでるらしい…なんて生易しいもんじゃございません。冒頭からいきなり、アンダーヘア丸出しの全裸で登場ですよ!

そう、これはあの園子温監督作品なんです。容赦なく、とことんやっちゃう、やらせちゃう監督なんですよね。

それにしても、水野さんは『セブン』も顔負けの陰惨な猟奇殺人事件を追う、女刑事の役です。ここで全裸を見せる事に、それほどの意味があるとは思えません。(愛人とラブホテルでチョメチョメ中に、事件発生の電話を受ける場面でした)

実質の主役は神楽坂恵さんで、美巨乳を振り乱しながら、勿論ヘア丸出しの大熱演、刑事役=狂言回しの水野さんは、あまり印象に残りません。

ちょっと無駄脱ぎしちゃった感がありますねぇ… 私は映画『ガメラ2』以来、水野さんのファンでしたから、ちょっと切ない気持ちになっちゃいました。同じ脱ぐにしても、これはちょっと…

神楽坂さんは有名な恋愛小説家の新妻なんだけど、神経質な夫=津田寛治の顔色を伺うばかりの日々で、しかもセックスレス。

溜りに溜まった欝憤が、スカウトに騙されてAVに出演させられた事がきっかけで爆発、タガが外れたようにセックスセックスな日々を送るようになる。

ここまでなら『エマニュエル夫人』みたいなお話ですが、そこは園子温作品です。人間の本能が「むきだし」にされていく様を、情け容赦なくとことん描いていきます。

一度やばい世界に足を踏み入れたら、なかなか元の平穏な世界には戻れない…どころか、更にやばい世界(売春とか)へと蟻地獄みたいにはまって行く。

どう考えたってそれは堕落なんだけど、園子温監督はまるで、人間が偽りの皮を一枚一枚脱ぎ捨てて、本来の姿に帰っていくみたいに描いてます。

女刑事、有名小説家の妻、大学の女助教授と、その母親。世間的には立派な肩書きを持つエリート女性達が、自ら底の底まで墜ちて行き、それがやがて陰惨な猟奇殺人事件という形で幕を下ろす。

そんな姿を我々に見せて、監督はいったい何を伝えようとしてるのか、私にはよく解りませんでした。たぶん、メッセージみたいなものは無いんだろうと思います。

園子温さんはとにかく、人間を(特に女性を)心身共に「むきだし」にしたい。そんな衝動だけで映画を創ってる人…なのかも知れません。

確かに、登場する女性達は、墜ちれば墜ちるほど生き生きと輝き、美しくなってるように感じました。

現実の世界ではやっぱり、それは地獄だろうと思うんだけど… 園子温さんから見れば、肩書きに縛られ自分を偽って生きる現実世界の方が、よっぽど耐えがたい地獄なのかも知れません。

壮絶な人生を送る登場人物達を見てる内に私は、自分の人生なんかぬるま湯もいい所よなぁ…なんて、急に身につまされちゃいました。

昨日削除したブログ記事『自殺考』シリーズで私は、私自身も含む人間の本質を、私なりの言葉で「むきだし」にしたつもりでいました。

だけど、この映画を観てると「むきだし」のレベルがまるで違ってる。今思えば、これを自分のブログと比べること自体がナンセンスなんだけど、その時はとにかく恥ずかしくて、いたたまれない気持ちになっちゃったんですよね。

あの記事に対して皆さんがどう感じておられるのか、コメントが無くてサッパリ分からない不安がくすぶってた伏線もあり、つい衝動的に削除しちゃった次第ですm(__)m

なんとも悪いタイミングでこの作品を観ちゃったワケですが、このタイミングで観た事にもきっと、何か意味があるんでしょう。

映画としては、とにかく神楽坂恵さんのヘアヌードやチョメチョメ場面も含む大熱演に、一見の価値はあると思います。

グラビアアイドル出身の人で、以前別の作品でお見かけした時は、思い切りは良いものの芝居は下手だなぁって感じたんだけど、変態監督にとことんシゴかれてw、一皮も二皮も剥けましたね。

クレジットのトップは水野美紀さんなのに、神楽坂さんに持ってかれちゃいましたね。せっかくの全裸が勿体ないです。

『愛のむきだし』の爽快な感動とは程遠い作品ですが、とことん描き切るっていう園子温イズムは健在で、見応えは充分にあります。

ただし死体の描写など、かなり陰惨でグロテスクな場面があります。そういうのが苦手な方には、ちょっとオススメ出来ないかも。

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