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『聖白百合騎士団』

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手前味噌なレビューが続く事をお許し下さいm(__)m

先日『ケータイ小説家の愛』をレビューさせて頂きましたが、ほぼ同時期にリリースされた『聖白百合騎士団』も、実は私が脚本を担当してまして、これはこれで思い入れがありますので、この機会に紹介させて頂きます。

ただし、良くも悪くもアクの弱い『ケータイ小説家…』と違って、こちらは相当にアクが強く、かなりお客を選んでしまう作品だったりします。

まず、もし太平洋戦争で日本がアメリカに勝利していたとしたら?(つまり軍国主義のまま現在に至る日本)というパラレルワールド的な世界観。あり得ない設定だと感情移入出来ない、という方にはオススメ出来ません。

そういった設定は、日本人がガンアクションを演じる事に説得力を持たせる為の、まぁ苦肉の策でもあるんですね。

現実そのまんまの日本でガンアクションをやるとなると、お定まりの刑事物かヤクザ物にならざるを得ない。定番ジャンルはスターが出てこそ面白いんであって、マイナーはマイナーならではのアイデアで勝負するしか無いワケです。

そして、高貴なお嬢様ばかりが集う女子校、という舞台設定。「お乳首を弄ぶのは、およしになって」とか「まぁ、なんて躍動的なお頭皮なのでしょう」みたいな言葉遣いに、拒否反応を示す方もおられるやも知れません。

さらに、タイトルが示してる通り、つばさと万里みたいな?女子どうしの恋心が描かれますので、アブノーマルに耐えられない方も脱落しちゃう事でしょう。

とどめは、必要以上に血糊が飛び散る残酷描写ですね。タベリストの大半が苦手とされる要素であろうと思います。

でも、私自身、自分の監督作ではほとんど血糊を使わず、撃たれた人はなぜか煙をモクモク出すというギャグにしちゃう位、血しぶきだの人体破壊描写だのは好まない人間です。

その私が観ても不快な感じがしない、様式美としての血糊の使い方なので、決してグロテスクなものではありません。美少女の顔やセーラー服が血で汚れる様を見せて萌えさせるという、変態趣味ですねw なお悪い?

そういった特殊な設定と、昭和初期の雰囲気を残すレトロな世界観。それら全て、監督・田渕寿雄さんの、趣味ですw いや、これは本当にそうなんです。

私が一から構築した『ケータイ小説家の愛』と違って、本作は田渕監督があらかじめ用意した、かなり詳細な設定書と、言わせたい台詞、やらせたいアクションを箇条書きしたメモに基づいて、あるいは取捨選択し、解りやすいストーリーに再構築するっていうのが、私に与えられた役割でした。

以前「大○田さんとの思い出」ってタイトルで記事にした『Monja』と同じパターンですね。大○田さんの場合は具材に統一感が無くて、料理するのに大変苦労しましたがw、田渕監督の場合は筋の通った変態趣味なのでw、そういった苦労は無かったです。

でも、最初にそれらの具材を提示された時には、正直なんじゃこりゃと思いましたw 高貴なお嬢様達が淑やかに銃を撃ちまくり、侵攻して来た男子校の連中を皆殺しにして、そんな中で女子どうしの純愛を育み、なんとなくハッピーエンド。

倫理的にけしからんとか、そんな事は別にいい(私も人のこと言えない)んだけど、共感出来るキャラクターがいないじゃないかと。世界観が優先されて、人物が殺戮ゲームの駒扱いされてるのは厭だなぁと。

だから最初はあまり乗り気になれなかったのですが… そんな私をアッサリ心変わりさせたのは、監督から「これを参考にして」と渡された、とあるアニメ番組のDVDでした。

それが、知る人ぞ知る百合アニメ『マリア様がみてる』です。やはり高貴な女子校のお嬢様たちが女子どうしの純愛を育んでいくお話なんだけど、これが観てみると、メチャクチャ面白かったw

まぁやっぱり世界観そのものに拒否反応を示す方もおられるでしょうけど、それさえ乗り越えたら非常にウェルメイドな青春ドラマであり、けっこう深い人間ドラマでもある。私はハマっちゃいました。

もちろん、百合の世界に萌えてしまったというw、新たな変態道への目覚めでもあったんです。いやぁ、百合って、本当にいいもんですねw

それも、思春期の少女(処女)たちが繰り広げる百合が良いんですw 多分それは、はかないから。

ただでさえ初恋ってはかないのに、まして女子どうしとなると、学校卒業までの期間限定の恋になると思うから。つまり絶対に成就しない事が、最初から分かってる恋だと思うから。

それでも健気に片思いしたり惹かれ合ったり、時には傷つき、相手を想う事で成長し、大人に近づいていく。そんな、甘美で切ない百合の世界に、萌えましたw

それと、お嬢様言葉にも魅力があるんです。最近は女子でも男みたいに汚い言葉を使うのが普通になっちゃってますから、お嬢様達の美しい日本語が、かえって新鮮に感じられるんです。何だかレトロな感じもして、郷愁までもたらしてくれる。

多部ちゃんにも、そういう魅力がありますよね? だから、もしかするとタベリストは『マリア様がみてる』に萌える素質を皆さん、秘めておられるんじゃないかと思うのですが、どうでしょう?w

とにかく私は『マリア様がみてる』を観て、監督のやりたい事を理解すると同時に、共感する事が出来たんです。

レトロ趣味や残酷描写は、私にとっては単なる味付け、調味料みたいなもんです。それはもう、シェフである監督にお任せして、女子どうしのはかない恋にこそ、自分の想いをこめて脚本を書かせて頂きました。

主演は、AKB48の秋元才加さん。AKBがまさかの大ブレイクを果たす直前の出演でしたが、既に風格みたいなものを感じさせたし、格闘技もこなせるそうなので、このジャンルでの活躍が期待出来る人材かと思います。

私は特に、彼女が対戦車ライフルをぶっ放す時の、「凛とした」どころじゃ済まない、精悍で力強い、要するにオットコマエなw面構えにシビレまくりました。カッチョエエ!の一言です。

だから、彼女が何人もの女子から慕われる展開に、映像としての説得力があるんですよね。そこが本作の肝だと思ってたので、このキャスティングは大成功だったんじゃないかと思います。ブラボー、田渕監督!

ただし、秋元さんが恋のお相手に選ぶ女子(あいか)が、あまりに天然キャラなのは、私的にはイマイチ共感しかねる部分です。これも田渕監督の、趣味ですねw

ついつい私も、コメディー作家の虫が疼いて、監督の指定に輪をかけてアホキャラにしちゃった負い目はあるのですがw あんなおバカさんに、あの才加様が萌えるだろうか?w

他にも、若手女優やグラビアアイドル、現場スタッフの女子に至るまでw、様々なタイプの女の子が登場します。

個人的にオススメなのは、才加様に次ぐNo.2のお姉様を演じてる、長澤奈央さんの淑やかさと、副生徒会長を演じてる高松いくさんの、捉えどころの無い怪しさです(『ケータイ小説家の愛』にもTVキャスター役で登場されてます)。

他にも、ボーイッシュや眼帯サディスト娘など、あらゆるマニアのニーズに応えるw趣向が凝らされてます。うーん、やっぱり変態w

でも、これほど監督の偏った趣味がストレートに反映させられるのは、マイナー作品ならではの楽しさじゃないでしょうか?

誰が観ても当たり障りの無い、無個性で何の主張もしないメジャー作品より、よっぽど見応えがあるんじゃないかと、私は思います。

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