#600 七曲署事件No.600
ボギー殉職から半年間は欠員補充が無く、新人刑事ブルースをフィーチャーした作品が目立つようになります。100〜500回の節目にはもっぱら、一係全員が活躍するイベント性の強いエピソードが組まれて来たのですが、この第600話はブルースのほぼ独り舞台となりました。
服役中の凶悪犯の恋人だった女が、その男と手を切りたくてブルースと婚約したなどと嘘をつき、逆上した男が女とブルースを殺す為に脱獄する。あえて自ら標的になるブルースだけど、実は女には別の目的があり…
ストーリーはありがちながら、女を演じる秋野暢子さんがさすがに巧くて、非常に見応えあるハードアクション編に仕上がってました。やっぱ役者の力は大きいよなぁって、あらためて実感させてくれる作品です。
#608 パリに消ゆ #609 モンブラン遥か
12周年記念作品ですが、七曲署は一体、何の権限があってフランスからスイスくんだりまで捜査網を広げられるのか?w 日本のTVドラマでは初めてと言うオリエント急行ロケが話題になりました。犯人役は長塚京三さん。
#618 コンピューター計画
さて、ここでまた衝撃的な人事発表がありました。『西部警察PART3』の撮影を終えたばかりの、石原良純さんの加入です。
正直言って、ガッカリしましたw あの濃過ぎる顔とぎこちない動きは、既に『西部』で見てましたからね。その印象は?と言えば「ダサい」の一言に尽きるw どんだけ三枚目を演じてもスタイリッシュに見えちゃう、あの世良さんの後釜なんですよ?w
しかも、ボス=石原裕次郎さんの甥っ子ですからね。100%コネじゃないスかw 石原プロ製作の『西部』ならまぁ、さもありなんって思えるけど、『太陽』まで巻き込まないでよ!って。
世間の人々が『太陽』も石原プロの作品だと思い込むようになったのは、多分この人事があってからですよ。神田正輝さんの時も裕次郎さんのプッシュがあったそうですが、甥っ子となるとまた、話は違って来ますよねぇ。
その上、ニックネームが「マイコン」と来たもんだw 要するにパソコンの事で、当時はまだスペシャリストにしか扱えない代物だったんですね。
本作は、初めて直面する本格的なコンピューター犯罪に手を焼く捜査一係、そこに本庁から助っ人として良純さんが派遣されて来る「プレ登場編」の2時間スペシャルです。
かくして『太陽』の世界にやって来てしまった良純さんは、本当にダサかったw
つい最近DVD特典として収録された同窓会でも、神田さんからは「あれほど拳銃が似合わない刑事はいない」、長谷直美さんからは「背中に物差しが入ってるみたいな動き方」と、さんざんな言われ様w
特筆すべきは走り方のダサさで、良純さんは奥様(元陸上選手)から「カメラの前で走らないで」ってw、ダメ出しを食らってたそうです。いやホントに、あんなダサい走り方は見たこと無いですw
立ち回りも画期的にぎこちなく、殴り方も蹴り方もとにかくダサい。歴代刑事の中じゃ殿下も立ち回りはダメだったけど、マイコンの比じゃないですねw とにかく、何をやってもダサい !
#623 マイコン刑事登場!
スペシャルから約1カ月後、良純さんは正式に七曲署の一員になっちゃいました。私は正直、ガッカリしましたw 当時はホント、最終回に至るまで毎週「嗚呼、マイコン…」「やれやれ、マイコン…」ってw
でも今思えば、コメディーリリーフとしてのマイコンの存在って、これから終盤の『太陽にほえろ!』にとって貴重な存在だったかも知れません。七曲署の刑事が必ず格好良くなければならないっていう偏見さえ捨てれば、こんなに面白いキャラクターは他にいないですからね。ご本人が真剣になればなるほど笑えるんだから最強ですw そこがまた『太陽』の凄い所なんですよね!
『西部警察』における良純さんは、あくまで二枚目として扱われてました。だから余計にダサさが際立っちゃうんです。それに対して『太陽』は、マイコンを刑事ドラマ史上でも前例が無かった「おたく刑事」として、徹底的に三枚目扱いしたんですね。
つまり設定からしてダサい刑事だから、良純さんの動きがどんなにダサくても全然オッケーになっちゃうワケです。これはホントに、さすがは岡田Pだと思います。
で、そういう全く異色なキャラクターが入って来ても成立しちゃう『太陽にほえろ!』の柔軟性が、ホントに素晴らしいと思うんですね。『西部警察』だとそうは行かないでしょう。
あのボギー刑事の後釜がマイコンであった事は返す返すも残念だけどw、マイコンのお陰で更に新鮮な『太陽にほえろ!』が観られたのも事実なんです。もし普通に格好良い人が入って来てたら、かえってつまんなくなってたかも知れません。
なお、この登場編にはマイコンのガールフレンド(マイコンのくせに!w)の交通課婦警として、沢口靖子さんも登場します。映画デビュー直後で、『太陽』が初のTVドラマ出演。
当時のテレビ誌の記事で、沢口さんは交通課時代の長谷さんみたいな「セミレギュラーで出演」ってアナウンスされてた筈ですが、この直後に朝ドラ『澪つくし』のヒロイン役が決まったせいで流れちゃいました。
もちろん婦警の制服姿は超絶に可愛かった沢口さん。1回きりの出演で終わったのは勿体ない限りです。
#626 激走・大雪溪
オフ日に2人して渓流釣りに出掛けたブルースとマイコンが、事件に巻き込まれるサバイバルアクション編。
アナログとデジタル、ワイルドとソフト、ツッコミとボケ。この2人の組み合わせは、服装からしても明らかに『俺たちの勲章』の松田優作&中村雅俊を意図的に再現してました。
この当時はまだ2人とも芝居が硬くて、見ててちょっとツラい部分もあったけど、2年目あたりからは息もピッタリ、すこぶる面白いコンビに成長して大いに我々を楽しませてくれました。
☆1985年
#636 ラガー倒れる
集合写真の画像を見て頂くと判るように、この1年でラガーこと渡辺徹さんはすっかり大きく成長しw、ニックネームを「ちゃんこ」に変えなきゃいけない程になってました。
だからってワケじゃないけど、この回からしばらく「骨肉腫」の治療の為にラガーは入院、見舞いに来た同僚刑事と会話する病室場面のみの出番となります。『デカワンコ』のちゃんこ刑事(石塚英彦)がしょっちゅう入院してたのは、そんなラガーのパロディだったのかも?w
これは確か文学座の舞台出演に配慮しての処置で、他にも主演ドラマ『風の中のあいつ』と掛け持ち出演する等、徹さんは『太陽』の新人刑事としては異例の扱いをされてました。(本来は掛け持ち禁止なのです)
ちなみに徹さんは本来、太った状態こそが標準スタイルであり、デビュー当時はダイエットと極度な緊張により、たまたま痩せてただけなんだそうですw
#644 七曲署全員出動!狙われたコンピューター
そんなラガーが捜査の第一線に復帰し、ハワイへ出張(笑)してたボスも帰国して、久々にフルメンバーが揃う2時間スペシャル。
ハッカーが暗躍するサイバーテロにより、マイコンの愛機であるパソコン「ホームズ三世」が使用出来なくなり、マイコン刑事が窮地に陥ります。
すると、捜査はデータを頼らず「足でするもの」がモットーだった一係メンバー達(特にブルース)が、ホームズ復活の為に発奮するんですよね。
キャスト全員に見せ場が配分され、どんでん返し有りのサスペンスも見事だし、森本レオ、石橋蓮司といったゲスト陣も豪華な、これは劇場公開しても遜色ない出来映えだったと思います。
なお、この回からラガーが背広姿になり、もはや徹さんも太り過ぎた事だしw、若手のポジションを卒業=ベテラン化して、殉職は無くなったのかと思ったのですが…
#658 ラガーよ、俺たちはお前がなぜ死んだか知っている
番組史上最も長いサブタイトルの本作で、ラガーも殉職する事になっちゃいます。ボン(宮内淳)と同じ4年間の任期でした。(新人刑事の最長寿はロッキーの5年)
ラガーが撃たれた瞬間に大量の血しぶきが飛ぶ『椿三十郎』ばりの演出が話題を呼び、あれは失敗じゃないかって声もあったみたいですが、私はチャレンジ精神がよく伝わる名場面だと思ってます。
しかし、ラガーやボギーといった明るくてアクティブなキャラクターが去って行くのは寂しいし、ちょっと心細くもありました。
その穴埋めってワケでもないでしょうが、最初は無口で冷静沈着なキャラだったブルースが、この辺りから饒舌かつ短気になり、どんどん面白くなって行きますw
この変貌ぶりには賛否両論あるみたいだけど、私自身は言うまでもなく、後半の面白いブルースが大好きですw