本屋さんで雑誌「昭和40年男」を立ち読みしてたら、寺尾聰さんの大ヒット曲『ルビーの指環』をプロデュースした人の談話が載ってました。
寺尾さんは元々グループサウンズで音楽活動をされてた方ですが、当時(’80年代)は俳優として『西部警察』の松田刑事役(なぜ愛称が『リキ』だったのか未だに謎w)で人気沸騰中でした。
ミュージシャンとしての才能と当時の人気に目をつけた氏は、タイミングを見計らって3曲連続のシングル・リリースを仕掛けた上、一番売れそうな『ルビーの指環』をあえて三番目に出す等の狙いをパーフェクトに的中させ、あの社会現象とも言えるヒットを生み出したんだそうです。
棚ボタ的なイメージだったあの大ヒットが、実は全て計算づくだったってのが凄いと思うし、紅白歌合戦のリハーサルを寺尾さんがボイコットして危うく出場取り消しになりかけたエピソード等も語られてて、非常に興味深く面白い記事でした。
その3曲を含むアルバム『Reflections』も100万枚を超える大ヒットで、私は買わなかったけどクラスメートにダビングしてもらい、ほとんど毎日聴いてました。格好良くて切なくて、何より唄い易いのが魅力でした。
寺尾さんの父親である名優・宇野重吉さん(故人)は「あんな鼻歌みたいなもん、どこがいいんだ」との名言を吐かれたそうですがw、その鼻歌みたいに唄える所こそが良かったんですよね。
当時は買わなかったけど、近年になって寺尾さんが全曲セルフカヴァーされたアルバムは購入し、今でも時々聴きながら口ずさんでます。ホントに良いですよ、寺尾さんの曲は。
…とまぁ、寺尾さんの事をあれこれ思い出してる内に、『太陽にほえろ! PART 2 』の事を書きたくなりました。いずれCS放送かDVD発売の折に書くつもりだったけど、一体いつになるやらメドが立たない現状ゆえ、ならばこの機会にと。
ご存知でしたか、この番組の存在を? 知ってても観た事がないって方が大半じゃないでしょうか? なにしろ全12話、つまり1クールしか放映されなかったドラマですから…
今でこそ1クール(3カ月)放映が標準になってますけど、当時の連ドラは短くても2クール以上が常識でしたから、12話で終わりとなると「視聴率の低迷により打ち切り」って思われちゃうんですよね。
でも、違うんです。前作『太陽にほえろ!』はボス=石原裕次郎さんが体力の限界で急遽終了が決まった為、裕次郎さん以外のレギュラーキャスト陣の出演契約が、まだ1クール分残ってたんですよね。
日テレとしては新しいボスを迎えて番組を継続したかったんだけど、石原プロが終了を強く望んだ為、新しいドラマ(やはり刑事物の『ジャングル』)に切り替える事が決定、でも準備期間が要るしキャストの契約もあるから、苦肉の策として『PART2』を創る事になったワケです。(ファンはみんな、代理ボスを務めてた渡哲也さんの続投を望んでたと思いますが、まぁ出来ない事情が色々あったのでしょう)
だから、最初から1クール限定が前提だったワケですね。しかしそれにしても、パート1が全718話あるのに、パート2が12話って… どんなバランスやねんw 違うタイトルに出来なかったの?って思うけど、まぁ他にどうしょうも無いですよね。事情が事情だけに仕方がない、あるんだから仕方がない。
そうして製作されたパート2の最大の特徴は、メジャーな連続物の刑事ドラマでは恐らく初だったと思うのですが、ボスの役目を務めたのが女性だった事ですね。演じたのは、裕次郎さんが最も尊敬されてたと云われるベテラン女優・奈良岡朋子さんです。
これには賛否両論あろうかと思いますが、私は大正解だったと思ってます。もし、候補に挙がってたとされる加山雄三さんや後に『刑事貴族』でボスになる松方弘樹さんみたいな男性スターがボスになってたら、どうしても裕次郎さんと比べちゃいますからね。そして裕次郎さんに遠く及ばないのは目に見えてます。
ならば思い切って全く違った角度から人選した方が良いし、到来する女性の時代をいち早く先取りしてた点でも、実に鮮やかな舵取りだったと私は思います。ここまで大胆に改革されたら、ファンもかえって文句が言えなくなります。
そしてもう一つの目玉が、寺尾聰さん扮する喜多刑事でした。『太陽にほえろ!』の中だとスコッチ刑事(沖雅也)からの流れを汲む「クールな一匹狼キャラ」のポジションだけど、同じクールでも肩肘張らない飄々とした軽さも備えた、全く新しい刑事像を築かれてたのがもう、さすがとしか言いようありません。
何があってもウェットにならない、とことん乾いた感じが実にハードボイルドで、犯人をサラリと射殺しちゃうような所も『太陽』じゃ異色のキャラでした。ニックネームも無し!ですからね。たぶん、そうして『太陽』色に染まらない事こそが寺尾さんの希望というか、出演の条件だったんだろうと思います。
後のメンバーは前作から続投のドック(神田正輝)、マミー(長谷直美)、ブルース(又野誠治)、マイコン(石原良純)、DJ(西山浩司)、トシさん(地井武男)、さらに4年ぶりに現場復帰の長さん(下川辰平)と、総勢9名の大所帯。
そんな中でも寺尾さんは全く埋もれないどころか、ピカイチの存在感を示しておられました。これは私だけの感覚かも知れないですが、それまでチームの中心にいたリーダー格の神田正輝さんが、寺尾さんが加入した途端に影が薄くなっちゃったんですよね。
ベテランと若手の中間にいるポジションと、キャラ的にも少し被る部分があって、そうなると圧倒的に寺尾さんのカリスマ性とか男の色気が、神田さんを食っちゃったように私は感じました。
それだけ寺尾聰という俳優の持つパワーが凄いって事で、今でも主役級で活躍されてる所以ですよね。実際、粒揃いなパート2全話の中でも、寺尾さんが主役を務めた3本は特に面白かったです。武骨なブルース刑事とのコンビが、軽妙で凶悪で実に最高でした。
寺尾さんは『大都会PART3』以降、数々の刑事ドラマに出演されてますが、その中でもこの『太陽2』で演じられた喜多刑事こそが最高に魅力的だったと、贔屓目を抜きにしても私は思ってます。たった12話しか無いのが実に惜しい!
現時点では幻のドラマになってる『太陽にほえろ! PART 2 』ですが、一見の価値ありです。その存在を皆さんも是非、頭の片隅に置いて頂ければと思います。
寺尾さんは元々グループサウンズで音楽活動をされてた方ですが、当時(’80年代)は俳優として『西部警察』の松田刑事役(なぜ愛称が『リキ』だったのか未だに謎w)で人気沸騰中でした。
ミュージシャンとしての才能と当時の人気に目をつけた氏は、タイミングを見計らって3曲連続のシングル・リリースを仕掛けた上、一番売れそうな『ルビーの指環』をあえて三番目に出す等の狙いをパーフェクトに的中させ、あの社会現象とも言えるヒットを生み出したんだそうです。
棚ボタ的なイメージだったあの大ヒットが、実は全て計算づくだったってのが凄いと思うし、紅白歌合戦のリハーサルを寺尾さんがボイコットして危うく出場取り消しになりかけたエピソード等も語られてて、非常に興味深く面白い記事でした。
その3曲を含むアルバム『Reflections』も100万枚を超える大ヒットで、私は買わなかったけどクラスメートにダビングしてもらい、ほとんど毎日聴いてました。格好良くて切なくて、何より唄い易いのが魅力でした。
寺尾さんの父親である名優・宇野重吉さん(故人)は「あんな鼻歌みたいなもん、どこがいいんだ」との名言を吐かれたそうですがw、その鼻歌みたいに唄える所こそが良かったんですよね。
当時は買わなかったけど、近年になって寺尾さんが全曲セルフカヴァーされたアルバムは購入し、今でも時々聴きながら口ずさんでます。ホントに良いですよ、寺尾さんの曲は。
…とまぁ、寺尾さんの事をあれこれ思い出してる内に、『太陽にほえろ! PART 2 』の事を書きたくなりました。いずれCS放送かDVD発売の折に書くつもりだったけど、一体いつになるやらメドが立たない現状ゆえ、ならばこの機会にと。
ご存知でしたか、この番組の存在を? 知ってても観た事がないって方が大半じゃないでしょうか? なにしろ全12話、つまり1クールしか放映されなかったドラマですから…
今でこそ1クール(3カ月)放映が標準になってますけど、当時の連ドラは短くても2クール以上が常識でしたから、12話で終わりとなると「視聴率の低迷により打ち切り」って思われちゃうんですよね。
でも、違うんです。前作『太陽にほえろ!』はボス=石原裕次郎さんが体力の限界で急遽終了が決まった為、裕次郎さん以外のレギュラーキャスト陣の出演契約が、まだ1クール分残ってたんですよね。
日テレとしては新しいボスを迎えて番組を継続したかったんだけど、石原プロが終了を強く望んだ為、新しいドラマ(やはり刑事物の『ジャングル』)に切り替える事が決定、でも準備期間が要るしキャストの契約もあるから、苦肉の策として『PART2』を創る事になったワケです。(ファンはみんな、代理ボスを務めてた渡哲也さんの続投を望んでたと思いますが、まぁ出来ない事情が色々あったのでしょう)
だから、最初から1クール限定が前提だったワケですね。しかしそれにしても、パート1が全718話あるのに、パート2が12話って… どんなバランスやねんw 違うタイトルに出来なかったの?って思うけど、まぁ他にどうしょうも無いですよね。事情が事情だけに仕方がない、あるんだから仕方がない。
そうして製作されたパート2の最大の特徴は、メジャーな連続物の刑事ドラマでは恐らく初だったと思うのですが、ボスの役目を務めたのが女性だった事ですね。演じたのは、裕次郎さんが最も尊敬されてたと云われるベテラン女優・奈良岡朋子さんです。
これには賛否両論あろうかと思いますが、私は大正解だったと思ってます。もし、候補に挙がってたとされる加山雄三さんや後に『刑事貴族』でボスになる松方弘樹さんみたいな男性スターがボスになってたら、どうしても裕次郎さんと比べちゃいますからね。そして裕次郎さんに遠く及ばないのは目に見えてます。
ならば思い切って全く違った角度から人選した方が良いし、到来する女性の時代をいち早く先取りしてた点でも、実に鮮やかな舵取りだったと私は思います。ここまで大胆に改革されたら、ファンもかえって文句が言えなくなります。
そしてもう一つの目玉が、寺尾聰さん扮する喜多刑事でした。『太陽にほえろ!』の中だとスコッチ刑事(沖雅也)からの流れを汲む「クールな一匹狼キャラ」のポジションだけど、同じクールでも肩肘張らない飄々とした軽さも備えた、全く新しい刑事像を築かれてたのがもう、さすがとしか言いようありません。
何があってもウェットにならない、とことん乾いた感じが実にハードボイルドで、犯人をサラリと射殺しちゃうような所も『太陽』じゃ異色のキャラでした。ニックネームも無し!ですからね。たぶん、そうして『太陽』色に染まらない事こそが寺尾さんの希望というか、出演の条件だったんだろうと思います。
後のメンバーは前作から続投のドック(神田正輝)、マミー(長谷直美)、ブルース(又野誠治)、マイコン(石原良純)、DJ(西山浩司)、トシさん(地井武男)、さらに4年ぶりに現場復帰の長さん(下川辰平)と、総勢9名の大所帯。
そんな中でも寺尾さんは全く埋もれないどころか、ピカイチの存在感を示しておられました。これは私だけの感覚かも知れないですが、それまでチームの中心にいたリーダー格の神田正輝さんが、寺尾さんが加入した途端に影が薄くなっちゃったんですよね。
ベテランと若手の中間にいるポジションと、キャラ的にも少し被る部分があって、そうなると圧倒的に寺尾さんのカリスマ性とか男の色気が、神田さんを食っちゃったように私は感じました。
それだけ寺尾聰という俳優の持つパワーが凄いって事で、今でも主役級で活躍されてる所以ですよね。実際、粒揃いなパート2全話の中でも、寺尾さんが主役を務めた3本は特に面白かったです。武骨なブルース刑事とのコンビが、軽妙で凶悪で実に最高でした。
寺尾さんは『大都会PART3』以降、数々の刑事ドラマに出演されてますが、その中でもこの『太陽2』で演じられた喜多刑事こそが最高に魅力的だったと、贔屓目を抜きにしても私は思ってます。たった12話しか無いのが実に惜しい!
現時点では幻のドラマになってる『太陽にほえろ! PART 2 』ですが、一見の価値ありです。その存在を皆さんも是非、頭の片隅に置いて頂ければと思います。