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ユーモアと殺気

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さて、CSのファミリー劇場chで土曜夜に放映中の『刑事貴族』ですが、舘ひろし扮する伊達刑事が殉職し、主役をヒロミGo!とバトンタッチしました。

これまでは舘ひろしの個性を前面に押し出したハードボイルド・タッチでしたが、郷ひろみを迎えるに当たってはややトーンを明るくすると同時に、他の刑事達にも交代で主役を振るようになりました。

つまり、より『太陽にほえろ!』に近い形へと先祖帰りしたワケですね。製作が『太陽』と同じ日テレ+東宝ですから、ストレートに『太陽』の名エピソードをリメイクした回もいくつかありました。

たぶん、ひろし編が好評だったのを受けて、番組を長期継続型のフォーマットにシフトする目的と、ひろしに比べてひろみは主役として弱いと判断してのテコ入れだったんじゃないでしょうか?

ひろみ推しの酒井宏幸さんには申し訳ないのですが、今あらためて見直しても、やっぱりひろみは物足りないですm(_ _)m これはあくまで、私個人の感想です。

なぜ私は、ひろみを物足りなく感じるのか? 逆に、私の胸を踊らせてくれる刑事キャラクターの条件って何なのか? 観ながらずっと考えてました。結論として、2つのポイントが浮かび上がりました。

まず1つ目は「ユーモア」。私にとって、これはかなり重要なポイントです。『太陽』の中で私が特に好きだったゴリさん(竜雷太)やボン(宮内淳)、ドック(神田正輝)らに共通するのはこれなんですよね。二枚目一辺倒じゃ駄目なんです。

ひろみ扮する風間刑事にユーモアが無かったワケではないけど、私を笑わせるには至りませんでした。ひろみはマジメ過ぎるんですよね。近年はお笑いの人らにイジられる事で面白さを醸し出してますが、それは上手にツッコミを入れてくれる相手がいればこそで、ご本人にユーモアのセンスがあるワケじゃない。

2つ目の条件は、「殺気」です。この刑事を怒らせるとヤバイ、下手したら殺されるかも?って感じさせる位の殺気が、ひろみには有りません。どう見ても優しい人で、怒っても怖くない。

風間刑事はFBIからリターンして来た男って設定で、アメリカで何人も仲間を殺された経験から「撃たれる前に撃つ」が信条の、かなり『太陽』のスコッチ(沖雅也)に近いハードな人物像なのに、犯人を殺しちゃいそうなヤバいオーラが全然ないから、ちっともハラハラしないんですよね。

要するに、迫力がない。アクションにもキレが無いから、強そうに見えない。怒らせるとヤバイ感じが全然しないのが、私にはすこぶる物足りないです。沖さんのスコッチ(特に初期)は本当にヤバそうでしたからねw

前任の舘さんには殺気が、後任の水谷豊さんにはユーモアが備わってたけど、郷さんはどっちも足りない。その分「華」があるから女性視聴者にはアピールするけど、私には通じませんw

萩原健一、松田優作、イーストウッドやメルギブソンといった人達が演じた刑事キャラが伝説になったのは、いずれもユーモアと殺気を併せ持ってたからじゃないかと私は思ってます。『あぶない刑事』のコンビが魅力的なのも、舘ひろし=殺気、柴田恭兵=ユーモアの組み合わせだったからじゃないでしょうか。

もっと端的に言えば、ヒロミGo!には「毒」が足りない。笑いに毒は欠かせないし、殺気は毒そのものですから、毒というキーワードで繋がってるんですよね。健康食品だけじゃ物足りない、やっぱジャンキーな食べ物が欲しくなっちゃうワケです。

じゃあ、毒が足りない郷さんが主役の『刑事貴族』はつまらないかと言えば、決してそんな事はありません。郷さんには毒の替わりに華がありますし、より『太陽にほえろ!』に近づいた世界観は私に安心感を与えてくれます。

だからこそ、もうちょい毒があればいいのになぁって、欲が出ちゃうんですね。布施博さんが頑張ってカバーしてくれてますし、地井武男さんもひろし時代より偏屈になってキャラが立って来ましたけどw

ほか、黒木瞳さんが舘さんと一緒に降板し、高樹沙耶(現・益戸育江)さんと宍戸開くんが新加入しました。このあと水谷さんが主役になると寺脇康文さんも加わり、他局だけど『相棒』に繋がる水谷ファミリーが形成されて行くんですよね。

いろいろ文句言っちゃいましたけど、フィルムで撮影された最後の正統派刑事ドラマとして、今後も『刑事貴族』を楽しみたいと思ってます。癒やされるんですよね、やっぱりw

PS. ここで書いたのは、あくまで刑事ドラマで描かれる人物像の話であって、現実的には私は真面目な人が好きです。だから人間としての郷さんには好感を持ってますし、ショーケンや優作みたいな人は憧れこそすれ、お友達にはなりたくありません。ネバー、ネバー、ネバーw

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