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『ゼイラム』

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SF、特撮ファンの間じゃ有名な作品かと思います。'91年に雨宮慶太監督が創り上げた低予算SFアクションです。CSで観ました。

宇宙(異次元?)から逃げ込んで来た怪物=ゼイラムを追って、賞金稼ぎの美しき女戦士=イリヤ(森山祐子)がやって来る。その戦いに民間人の男二人が巻き込まれ、共に戦う内に芽生える異人種間の友情。

プロットは平凡かつシンプルながら、設定やギミックがSFテイストに溢れ、面白かったです。これぞセンス・オブ・ワンダーってやつでしょうか?

『エイリアン』シリーズや『ブレードランナー』の影響を受けた和製SFは数あれど、本作には群を抜くセンスの良さを感じました。

怪物が非常に東洋的な造形とキャラクターだし、ヒロインのバトルスーツも日本の特撮ヒーローを継承してる感じで、単なるハリウッドの劣化コピーになってないのが素晴らしい! アホの亀山とは大違いw

それよりも魅力的なのは、CG夜明け前の極めてアナログな、手作り特撮です。低予算だからハッキリ言ってチープなんだけど、何でもCGで平均的に処理されちゃう最近の特撮物では決して味わえない、温かみと懐かしさがあるんですよね。

着ぐるみの怪物、人形アニメーション、ちゃんと火薬を使った爆発etcと、いちいち手間暇かけた手作りの味。現在だと自主映画でもなかなかお目にかかれないかも?

もし、これを公開当時に観てたら「やっぱ日本のSF映画はチャチいよなぁ」としか思わなかったかも知れません。何でもコンピューターで処理されちゃう今だからこそ、この手作り感がたまらなく魅力的なんですよね。

それは私が自主映画出身者だから、余計に感じる事かも知れません。'80年代に観た数々の特撮自主映画と、イメージが重なるんです。

その手作り感とマニアックさ、つまりは特撮愛ですよね。SFや特撮への並々ならぬ愛が伝わって来るから、観てるこっちも楽しくなっちゃう。最近の作品には感じないですね、それは。

低予算映画と言えども、当時はバブルの真っ只中ですから、時間だけはタップリかけられたんじゃないでしょうか?

現在のマイナー映画界の製作環境と言えば、お金も無ければ時間も無く、自由も無い。才能があっても発揮する場が無いまま潰されちゃいますからね。メジャーはメジャーで企業の言いなりだし、クリエイターにとってあまりに辛い時代です。

『ゼイラム』はたかが20年前の作品なんだけど、古き良き時代の産物って感じがしますね。CG時代の幕開けと共に、日本の映画界は… チョメチョメ。

あと、ヒロイン・森山祐子さんの衣裳が場面毎に薄着になっていくのも見所です。最初のバトルスーツがごつい分、タンクトップ姿になるだけで充分にエロい。彼女のオッパイがまたエロいんですよw

芝居は拙い感じの森山さんですが、台詞を限界まで削ぎ落とす事でうまくカバーされてます。その分、アクションは意外にキレがあって格好良かったです。

CG時代に生まれ育った若い子らは、こういう手作り特撮を観た時に、どんな感想を持つんでしょうね? 我々世代がチャップリンの無声映画を観てちゃんと感動出来たみたいに、前時代ならではの良さを解ってくれるでしょうか?

ま、知ったこっちゃないけどw

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